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《第17章》—コントロール出来ない、荒れ狂う黒い感情…それが嫉妬なのか…—
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しおりを挟む—かっちゃんに会いたいのなら…私を通して—
忌々しい事にリナはそう亮に宣言をした。
亮は桂が倒れた夜以来、桂のマンションに出入り禁止になっていた。訪ねていってもリナは頑として亮を部屋に入れず、ストレスを理由に亮を追い返していた。
どんなに亮が言ってもリナは亮を睨んで、まだ会わせられないの一点張り。
桂の容態すら…意識が戻ったのか、熱は下がったのか、胃の痛みは退いたのか…何も教えてはくれなかった。
亮は会社と自分の部屋を往復しながら、逢えないもどかしさと、リナへの苛立ちに苛まされていた。
桂と逢いたくて…あの夜の暴挙を謝りたくて、そして抱きしめてやりたくて…亮は鬱々と桂のことを考え続けていた。
桂に逢うのに、どうしてあんな女を通さなきゃいけないのか、とリナに悪態をついたりもしてみた。
面と向かってそう言えばとも思うのだが、あの夜の桂の様子からリナが桂にとっては大事な親友だと言うことが分かったから、それ以上リナに対して暴言を吐くことは躊躇われた。これ以上桂に嫌われる要因を作りたくなどなかったからだ。
苛々が募る亮にとって唯一の救いは、あれほど怯えていた「リナ」が桂の恋人ではないということだった。
桂のあの夜の言葉と、そして自分がその後色々探ったリナの身辺から考えても、リナは桂の親友で、恋人ではないということを裏付けていた。
「どうするか…」
亮は、仕事をひと段落させるとふぅっとため息をつきながら桂の事をまた考えていた。
桂が倒れて3日…。
逢いたくても、目の前には最大の難所が立ちはだかっている…。
あの女は、当たり前のように桂の傍にいて、当たり前のように桂の看病をしている。それがたまらなく嫌だった。
桂の部屋への市民権を持たない自分は、リナの許可がないとあの部屋に入れない…。
でもリナが自分を嫌っていることは、いくら他人の感情に疎い亮でも理解できていた。
恐らく桂は自分の関係を包み隠さずリナに話しているのだろう。最初から、リナは好戦的な態度だった。
リナの自分の心証が良くないこと位容易く想像がついた。
どうしたらあの部屋に入れて、そして桂に逢うことが出来るのか…。
亮は考えをめぐらし続けると、ふっと頭の中に過ぎったアイディアに一瞬顔を顰めた。そんな事はしたくない…ましてやした事など無かった。
でも、それしか方法が無さそうだと渋々自分を納得させると、亮はその考えを実行に移すべくデスクの上の電話を取り上げた。
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