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≪第15章≫ —身体の中がお前を求めて熱くさざめく。それが恋なんだ…って俺はやっと気付いた…—
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しおりを挟む桂をベッドに入れて、シャワーを浴びに行っていた亮は、寝室に入った途端、聞えてきた桂の寝息にクスッと喉の奥で笑った。
足音を立てないように注意してベッドサイドに近づいてベッドを除き込む。
ベッドサイドの灯り一つの仄かな明るさの寝室…ボリュームを絞ったプレーヤーからはブラックシンガーの甘い歌声…。
心地よい空間に桂も眠りに誘われたのか、無防備なあどけない表情で眠っている。
亮はジッとその顔をしばらく眺めてすごすと、自分も桂を起こさないように注意しながら桂の隣に滑り込んだ。
そっと桂の身体を自分の胸に引き寄せる。上半身裸だったために、素肌の胸に桂の頬が押し当てられて亮は一気に心拍数があがるような衝動に駆られて行く。
「…ん…」
無意識に桂は亮の胸に顔を埋めて、甘えるような鼻息を漏らす桂を、亮は衝動を我慢しながら深く抱き寄せた。
久し振りに感じる桂の身体の重み…桂の温もり…肌のしっとりした感触。
リビングで自分は桂の身体を煽っていたが、本当は自分も煽られていたのだ…と亮は桂を抱きしめながら思う。
桂の柔らかい髪の毛に顔を埋めて、桂の身体を優しく擦っていく。何度も繰り返した慣れた行為なのに、それでも桂に触れる度亮の胸は少年のようにドクドクと熱く波打ってしまう。
さっき、リビングで桂に触れていた時に、久し振りに胸の果実の甘い感触を指先で感じて、それを口に含んでしまいたい欲求に駆られた…。
もう1ヶ月も桂のそれに愛撫していない…そんな事まで考えてしまうと、亮は下半身にどんどん熱と疼きが集まってくるのを意識せずにはいられない。
我慢できずに亮は眠っている桂のうなじや耳朶に歯を当てながら、やんわりと噛みしだく。そして耳朶を口に含みながら、手はもう1度先ほど確かめた桂の胸をさ迷っていく。
「ぁ…ぁ…。…」
眠りの中で桂が甘い吐息を零す。
たまらず亮は桂の胸を探り当てると、指先で愛撫し始めた。指で摘み、親指と人差し指の腹で感じるように擦ってみたり、摘んだままコリっと捻ってみる。
「…あっ…んっ!」
一番感じてしまう部分を弄られて、桂の身体が甘い刺激で跳ねあがった。
目を覚ましてしまったらしく、朦朧とした表情で桂は亮を見上げる。目の縁を朱に染めて、桂が亮を見つめた。
亮はその瞳に誘われて吸い込まれてしまいそうな自分を必至で抑える。
桂の胸から手を離すと、額にキスして唇をつけたまま囁く。その声が欲望に駆られて低く掠れてしまっている事を亮は自覚していた。
「桂…頼むから…眠って…。俺も寝るから…」
囁かれて、桂が亮の胸に顔を寄せながら眠りに落ちていく。その仕草を、目を細めて見つめると亮は桂をぎゅっと抱きしめた。
桂が欲しくて気が狂いそうだった…。
こんな風に誰かが欲しくて気がおかしくなりそうになった事など無かった。
…桂だけ…桂だけなんだ。
桂が欲しくて、身体中の血が逆流してしまいそうなぐらい、身体の中が熱くさざめいてしまう。
それが恋なんだ…って俺はやっと気付いた…。
誰かを愛している…ってこう言う事なんだって…俺はやっと分かったんだ…。
亮は桂の頬にもう1度キスをすると、桂を抱きしめて自分の中の欲望を宥めながら眠りにつく努力を始めた。
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