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《第6章》―どうして、お前の胸はこんなに温かいんだ…心地良いんだ…?俺は…この胸が一番…―
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桂の匂い…温もり…それがこんなに心を落ち着かせるなんて思わなかった。
桂の背中が玄関から消えると、亮はホッと息を吐いて頭痛で痛む重い頭を枕に沈み込ませた。途端ふわっと桂の匂いが鼻を擽って亮は笑みを零した。
さっきまで感じていた不安が跡形もなく消えているのに気付いて亮はククッと笑った。自分がこんなにゲンキンだとは思わなかったのだ。
それでも嬉しいのだから…仕方が無い。
桂のTシャツを着て、桂のベッドに寝て、桂の香りに包まれている…なによりも桂が自分を部屋に入れてくれた。
その事実が亮をひどく有頂天にさせていた。
熱で朦朧としながらもテンションが高くなってしまっている自分。寝つけそうにもなく、亮は物珍しげに、先日まで許される事のなかった桂の部屋をぐるっと見渡した。
桂そのものといった感じの部屋だった。6畳ほどの狭いワンルーム。そこに本棚が置かれ、所狭しとたくさんの書籍が並べられている。
日本語関係の本だけでなく、エッセイや日本や外国の古典文学。それにミステリー。
イギリス人作家が好きなのか…。シャーロック・ホームズやアガサ・クリスティーのみならず、セイヤーズやディック・フランシスが棚に並んでいるのを見て亮はうっすらと笑みを浮かべた。
桂の好きな作家が分かるだけでも嬉しい。部屋の中央にはコタツ兼用の机と座布団。机の上には仕事用と思しきパソコンとたくさんのファイル。
桂は椅子より床に座るほうが好きなのか…亮は以前TVを見るとき桂がソファではなく床に座り込んでいたのを思い出した。
俺の部屋のソファも処分するかな…。そんな事まで考えてしまう。
体がぽかぽかと熱くなってきて、眠気が襲ってくる。不思議だった。イタリアでは絶対に眠れなかったのに。亮はゴロッと寝返りを打った。途端、桂の匂いがフッと鼻を掠めて亮はフッと笑みを零した。
「桂…早く帰ってこいよ…」
さっき額に二度もキスしてくれた桂の姿が脳裏を掠める。
キスしてくれた…とても嬉しかった…桂が自分を嫌っていないってことがわかって…。
自分の車を駐車場に入れにいった桂の事を思いながら、亮は久し振りに幸せな眠りの中に吸い込まれていった。
桂の背中が玄関から消えると、亮はホッと息を吐いて頭痛で痛む重い頭を枕に沈み込ませた。途端ふわっと桂の匂いが鼻を擽って亮は笑みを零した。
さっきまで感じていた不安が跡形もなく消えているのに気付いて亮はククッと笑った。自分がこんなにゲンキンだとは思わなかったのだ。
それでも嬉しいのだから…仕方が無い。
桂のTシャツを着て、桂のベッドに寝て、桂の香りに包まれている…なによりも桂が自分を部屋に入れてくれた。
その事実が亮をひどく有頂天にさせていた。
熱で朦朧としながらもテンションが高くなってしまっている自分。寝つけそうにもなく、亮は物珍しげに、先日まで許される事のなかった桂の部屋をぐるっと見渡した。
桂そのものといった感じの部屋だった。6畳ほどの狭いワンルーム。そこに本棚が置かれ、所狭しとたくさんの書籍が並べられている。
日本語関係の本だけでなく、エッセイや日本や外国の古典文学。それにミステリー。
イギリス人作家が好きなのか…。シャーロック・ホームズやアガサ・クリスティーのみならず、セイヤーズやディック・フランシスが棚に並んでいるのを見て亮はうっすらと笑みを浮かべた。
桂の好きな作家が分かるだけでも嬉しい。部屋の中央にはコタツ兼用の机と座布団。机の上には仕事用と思しきパソコンとたくさんのファイル。
桂は椅子より床に座るほうが好きなのか…亮は以前TVを見るとき桂がソファではなく床に座り込んでいたのを思い出した。
俺の部屋のソファも処分するかな…。そんな事まで考えてしまう。
体がぽかぽかと熱くなってきて、眠気が襲ってくる。不思議だった。イタリアでは絶対に眠れなかったのに。亮はゴロッと寝返りを打った。途端、桂の匂いがフッと鼻を掠めて亮はフッと笑みを零した。
「桂…早く帰ってこいよ…」
さっき額に二度もキスしてくれた桂の姿が脳裏を掠める。
キスしてくれた…とても嬉しかった…桂が自分を嫌っていないってことがわかって…。
自分の車を駐車場に入れにいった桂の事を思いながら、亮は久し振りに幸せな眠りの中に吸い込まれていった。
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