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《第5章》―お前の世界を知りたい…。それすらも「ごっこ」の関係では許されないのか…?―
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亮はもともとがあれこれ考える性質ではない。桂との事を色々考えながらも、整理できない自分の感情を考える事を止めた。
取り敢えずは、当分このまま桂と恋人関係を続けていこう…そう考えていた。他人が聞けば無責任と言われかねないが…今の亮にはどうにもこれ以上手の打ちようが無かったのだ。
先日健志から来た定期的なメッセージの中で、仕事の遅れで帰国が延びそうだと言って来たのも、亮の楽観的な判断に一役買っていた。
亮にとって、今の関心事は桂だけで、桂ともっと気持を深めあう事が優先だった。桂との関係が深まれば何かが変わるかもしれない…そんな甘い事を考えていたのだった。
仕事が順調だったことも余計亮を脳天気にしていた。
旗艦店のリニューアルと新ブランドの準備が着々と進んでいたのだ。もともと亮の得意な分野なだけに、新しいデザイナーと契約できた事で、一層仕事が楽に進んでいた。
今日は、旗艦店のカタログに掲載する商品の写真撮影に立ち会っていた。インテリア・デザイナーと相談しながら商品をコーディネートしていく。
それらを専門のカメラマンに撮影してもらっていった。
トラブルもなく撮影は順調に終った。
新たに企画・デザインした物ばかりで、旗艦店のユーザーを意識して、20代から30代の女性が好みそうな物ばかりを選んでいたのだ。
プロジェクトが成功するかどうかは、この商品セレクトで決まる。亮は着々と進む撮影を傍で眺めながら、今回も上手くいくな…と早くも手ごたえを感じていた。
この間納品した、「ゴブレット」も好評を博していたからだ。有名俳優の披露宴で使われたゴブレットはその後、様々なテレビや雑誌から取材を受けていた。
亮の会社の完全オリジナル商品だった事もあって、かなりの問い合わせがショップに殺到し、残っていた150個はアッというまに完売した。
納品先のホテルからも、披露宴をした俳優や、その出席者達からも購入の依頼を受けて、再生産に入り亮のご機嫌は上がるばかり。
亮は撮影が終わると上機嫌でスタッフ達と打合せをし、撮影スタジオを後にした。
今日は、桂と逢う約束をしていた。最近逢えない日が続いていて、それは亮を苛々させる。桂は絶対に自分からは、連絡をして来ない。それも亮の不満の種になった。
自分と逢えなくて…桂は平気なのだろうか…?それとも…俺と逢うのは嫌なのか…?
逢えない日が続くと、そんな事が亮を新たに不安にさせていた。
でも、自分が連絡をすると、桂はいつだって「良いよ。今夜行くから」そう嬉しそうに答えてくれる…。
その口調からは、自分と逢うのを嫌がっているとは、考え難かった…最も亮がそう考えたくないだけなのだが…。
亮は、頭を振りながら考えることを止めた。どっちにしろ今日は桂とゆっくり過ごす事が出来る…。
それに・・・桂が絶対喜んでくれるサプライズも用意した。
亮はそのサプライズで驚くだろう・・・そして嬉しがるだろう桂の笑顔を思い浮かべて、うっすらと笑みを浮かべた。
桂に逢える・・・それだけが亮の楽しみだった。
取り敢えずは、当分このまま桂と恋人関係を続けていこう…そう考えていた。他人が聞けば無責任と言われかねないが…今の亮にはどうにもこれ以上手の打ちようが無かったのだ。
先日健志から来た定期的なメッセージの中で、仕事の遅れで帰国が延びそうだと言って来たのも、亮の楽観的な判断に一役買っていた。
亮にとって、今の関心事は桂だけで、桂ともっと気持を深めあう事が優先だった。桂との関係が深まれば何かが変わるかもしれない…そんな甘い事を考えていたのだった。
仕事が順調だったことも余計亮を脳天気にしていた。
旗艦店のリニューアルと新ブランドの準備が着々と進んでいたのだ。もともと亮の得意な分野なだけに、新しいデザイナーと契約できた事で、一層仕事が楽に進んでいた。
今日は、旗艦店のカタログに掲載する商品の写真撮影に立ち会っていた。インテリア・デザイナーと相談しながら商品をコーディネートしていく。
それらを専門のカメラマンに撮影してもらっていった。
トラブルもなく撮影は順調に終った。
新たに企画・デザインした物ばかりで、旗艦店のユーザーを意識して、20代から30代の女性が好みそうな物ばかりを選んでいたのだ。
プロジェクトが成功するかどうかは、この商品セレクトで決まる。亮は着々と進む撮影を傍で眺めながら、今回も上手くいくな…と早くも手ごたえを感じていた。
この間納品した、「ゴブレット」も好評を博していたからだ。有名俳優の披露宴で使われたゴブレットはその後、様々なテレビや雑誌から取材を受けていた。
亮の会社の完全オリジナル商品だった事もあって、かなりの問い合わせがショップに殺到し、残っていた150個はアッというまに完売した。
納品先のホテルからも、披露宴をした俳優や、その出席者達からも購入の依頼を受けて、再生産に入り亮のご機嫌は上がるばかり。
亮は撮影が終わると上機嫌でスタッフ達と打合せをし、撮影スタジオを後にした。
今日は、桂と逢う約束をしていた。最近逢えない日が続いていて、それは亮を苛々させる。桂は絶対に自分からは、連絡をして来ない。それも亮の不満の種になった。
自分と逢えなくて…桂は平気なのだろうか…?それとも…俺と逢うのは嫌なのか…?
逢えない日が続くと、そんな事が亮を新たに不安にさせていた。
でも、自分が連絡をすると、桂はいつだって「良いよ。今夜行くから」そう嬉しそうに答えてくれる…。
その口調からは、自分と逢うのを嫌がっているとは、考え難かった…最も亮がそう考えたくないだけなのだが…。
亮は、頭を振りながら考えることを止めた。どっちにしろ今日は桂とゆっくり過ごす事が出来る…。
それに・・・桂が絶対喜んでくれるサプライズも用意した。
亮はそのサプライズで驚くだろう・・・そして嬉しがるだろう桂の笑顔を思い浮かべて、うっすらと笑みを浮かべた。
桂に逢える・・・それだけが亮の楽しみだった。
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