3 / 101
《第1章》 ―お遊び…それは分かってる…でも俺は「ごっこ」をしたかったのか?―
2
しおりを挟む
恋人の言葉に亮は眉をひそめながら言った。
「随分突然なんだな?」
健志は亮を宥めるような艶っぽい笑みを浮かべると、ああと頷いた。
週末のデート。
今日は健志の希望で都心のシティホテルに部屋を取っていた。亮のそつのない準備で、部屋は東京湾の夜景が見晴らせるオーシャン・ビュー。二人のお気に入りの場所だった。
「仕方がないんだ。予定していた奴が病気で入院してね。代わりに俺が行くことになった」
まぁ後は俺しかあの仕事できないからね…。自信タップリに付け加える健志を亮は憮然として見つめていた。
「いいけどさ。じゃ、10ヶ月の間…俺どうすんだよ?俺…独りは無理だぜ。絶対側に誰かいないと…」
口を尖らせて拗ねたように言う亮を、健志は優しい瞳で見つめると答える。
「亮は寂しがりやだからね。確かに…独りは無理だね…。でも、俺は相手ができないからなぁ…」
言って情事の後の火照った体を亮の胸に押し付ける。亮の胸板をやんわりとなぞりながら、思いついたように言った。
「じゃぁさ、亮…。俺がいない間、誰かと遊んだら?」
健志の言葉に亮が不機嫌そうに顔を顰めた。乱暴にベッドから起き上がると煙草に火をつける。
「俺さ…お前と違ってフリーセックスは無理だ…。一晩だけの付き合いってのは嫌いなんだ」
亮の言葉に健志は苦笑いを浮かべると、知っているよ。と答えた。
亮は変なところで甘えたがりやだった。不特定多数とのお遊びよりも、たった一人との関係を好む。パッと見はキザなプレイボーイその物なのに、その変な一途さが健志にとっては心配の種だったのだが…。
「それじゃ、俺がいない間だけ、誰かと恋愛ごっこしろよ。それだったら良いだろ?誰か一人に決めてさ」
「どう言う事だ…?」
健志の言葉に亮は煙草を吸いながら聞き返す。
健志の言っている事が分からない。
亮の困惑したような顔に手を伸ばして優しく撫でると健志が続けた。
「だからさ、俺は仕事が大事だから絶対ニューヨークに行くだろ。その間、お前は一人ぼっち。誰か俺の代わりの奴を見つけて10ヶ月だけ遊べよ。まぁ恋人ごっこっていったところかな」
「恋人ごっこねぇ…」
「そう。お前だったら相手は選り取りみどりだろ。俺…許すからさ、亮のお遊び。お互いに10ヶ月は好きに遊ぼうぜ」
意外に良いアイディアかもしれない…。
亮は健志の提案に乗り気になっていた。
なんと言っても健志のお許しがあるのだから…。他の奴と付き合うのも楽しいかもしれないな…。
「グッド・アイディアじゃん。なんか面白そう」
亮の乗り気な様子に健志が、だろ?とニッコリ笑う。亮の手から吸いかけの煙草を取り上げると、健志はゆっくりと唇を寄せていく。
唇を触れさせながら
「でも…遊びだからね。絶対、身代わりの奴に本気になったりするなよ。恋人は俺だけだからね…」
やんわりと釘を刺す恋人に亮は、当たり前だ、と魅力タップリに微笑むとキスを落としていた。
「随分突然なんだな?」
健志は亮を宥めるような艶っぽい笑みを浮かべると、ああと頷いた。
週末のデート。
今日は健志の希望で都心のシティホテルに部屋を取っていた。亮のそつのない準備で、部屋は東京湾の夜景が見晴らせるオーシャン・ビュー。二人のお気に入りの場所だった。
「仕方がないんだ。予定していた奴が病気で入院してね。代わりに俺が行くことになった」
まぁ後は俺しかあの仕事できないからね…。自信タップリに付け加える健志を亮は憮然として見つめていた。
「いいけどさ。じゃ、10ヶ月の間…俺どうすんだよ?俺…独りは無理だぜ。絶対側に誰かいないと…」
口を尖らせて拗ねたように言う亮を、健志は優しい瞳で見つめると答える。
「亮は寂しがりやだからね。確かに…独りは無理だね…。でも、俺は相手ができないからなぁ…」
言って情事の後の火照った体を亮の胸に押し付ける。亮の胸板をやんわりとなぞりながら、思いついたように言った。
「じゃぁさ、亮…。俺がいない間、誰かと遊んだら?」
健志の言葉に亮が不機嫌そうに顔を顰めた。乱暴にベッドから起き上がると煙草に火をつける。
「俺さ…お前と違ってフリーセックスは無理だ…。一晩だけの付き合いってのは嫌いなんだ」
亮の言葉に健志は苦笑いを浮かべると、知っているよ。と答えた。
亮は変なところで甘えたがりやだった。不特定多数とのお遊びよりも、たった一人との関係を好む。パッと見はキザなプレイボーイその物なのに、その変な一途さが健志にとっては心配の種だったのだが…。
「それじゃ、俺がいない間だけ、誰かと恋愛ごっこしろよ。それだったら良いだろ?誰か一人に決めてさ」
「どう言う事だ…?」
健志の言葉に亮は煙草を吸いながら聞き返す。
健志の言っている事が分からない。
亮の困惑したような顔に手を伸ばして優しく撫でると健志が続けた。
「だからさ、俺は仕事が大事だから絶対ニューヨークに行くだろ。その間、お前は一人ぼっち。誰か俺の代わりの奴を見つけて10ヶ月だけ遊べよ。まぁ恋人ごっこっていったところかな」
「恋人ごっこねぇ…」
「そう。お前だったら相手は選り取りみどりだろ。俺…許すからさ、亮のお遊び。お互いに10ヶ月は好きに遊ぼうぜ」
意外に良いアイディアかもしれない…。
亮は健志の提案に乗り気になっていた。
なんと言っても健志のお許しがあるのだから…。他の奴と付き合うのも楽しいかもしれないな…。
「グッド・アイディアじゃん。なんか面白そう」
亮の乗り気な様子に健志が、だろ?とニッコリ笑う。亮の手から吸いかけの煙草を取り上げると、健志はゆっくりと唇を寄せていく。
唇を触れさせながら
「でも…遊びだからね。絶対、身代わりの奴に本気になったりするなよ。恋人は俺だけだからね…」
やんわりと釘を刺す恋人に亮は、当たり前だ、と魅力タップリに微笑むとキスを落としていた。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる