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最終章 きみを死なせない
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彼の身体まで後少し・・・突き飛ばそうと伸ばした手の先で、触れることは叶わず、彼の身体はゆっくりと真理の目の前から弾き飛ばされていった。
悪い夢でも見ているように、王子の身体は受けた銃弾の衝撃で、スローモーションのようにゆっくり、ゆっくり、後ろに倒れていく。
「アレクっ!!!!!」
ドクドクと自分の心臓の音が全身で鳴り響き、身体が恐怖でガタガタと震える。
瞬間、脳裏に同じように銃弾に撃ち抜かれて、血塗れで倒れた父親の姿が過ぎる。
ドサッという音とともに床に仰向けに倒れた王子の姿に、真理は足が竦んで動けなくなった。
第二王子が倒れた姿を茫然と見つめていたマダム・ウエストに、クロード達が飛びかかり、拳銃を持った腕を抑え込む。
それを合図にわらわらとたくさんの警官や護衛達が次々に覆い被さると、拳銃を取り上げ、身柄を確保していた。
目の前で起きたことが信じられない。
彼は、さっきまで自分の横で微笑んでいてくれた。
血の気が引いて、口の中がからからに乾いていく。全身が凍りつくようなショックに、頬をいつのまにか冷たいものが伝っていくが、真理は混乱してそれすらも気付かない。
「なんで・・・どうして・・・こんなこと・・・」
倒れたアレックスの指がピクリと動いた瞬間、真理は彼の身体に駆け寄った。
傍らに跪き王子の頭を抱き起すと、頬に触れる。
頬はまだ温かい。
「アレクっ!アレクつ!!、いやっ!しっかりしてっ!!眼をっ!眼を開けてっ!!!!!」
彼の頭を抱きしめると、テッドが真理の肩に手をかけた。
「アメリア様・・・」
泣き濡れた顔を上げて、真理はテッドに縋るように懇願する。
「お願い・・・早く、早く、救急車を・・・早くっ!!!!!」
零れ落ちる涙がアレックスの顔に落ちるのも構わず、真理は彼の頭を抱きしめ、頬に唇を這わす。
「死んじゃだめ・・・お願い・・・アレク眼を開けて・・・」
動かない彼の唇に自分の唇を触れさせながら囁く。
「愛してる・・・愛してるの・・・!!あなたを!!!」
やっとその言葉を告げたのに、彼が逝ってしまうという、闇に突き落とされるようにゾッとする感情に心が壊れそうになった瞬間、自分の頭に腕が回りググッと顔が引き寄せられる。
言葉を発していた唇に今度はアレックスの唇が押し付けられ、するりと舌が入り込んできた。
「んんっ?!」
突然のことに理解が追いつかず、眼を白黒させ咄嗟に離れようとした真理の頭は、力強く抑え込まれたまま、しばらく濃厚なキスは続いた。
舌を絡め取られ、粘膜を濃厚に擦りながら甘噛みされる。パニックになったまま、真理は必死で唇を離して膝の上の王子を見下ろした。
「あ、アレク・・・?」
デッドがふぅとため息をつくと諌めるように声をかけた。
「お戯れが過ぎますよ、クリス殿下」
その言葉に、倒れていた王子はパッと眼を開けると、とても嬉しそうな笑顔を見せながら、よいしょと身体を起こして真理を優しく見つめた。
「心配かけてすまない、俺は大丈夫だ」
頭の中はぐちゃぐちゃで、何が起きているのか理解できないまま幽霊でも見たかのように呆然としていたが、アレックスの言葉に真理はハッとすると彼が着ていたジャケットとシャツをぴらりと捲った。
そういえば、血飛沫は見ていない・・・父の時のような飛び散る血は。
恐る恐る見ると軍用のボディアーマーと思しき黒いベストが見え、右脇腹に銃弾がめり込んでいる。
彼の意図が分かった瞬間、身体中から力がへなへなと抜けていく。
「あっ、あっ、あっ・・・良かった・・・良かったっ!!」
アレックスが無事だった・・・そう理解できた瞬間、気が抜けたような声が出てしまった。
目の前でちょっと困ったような笑顔から、いつものどんどん青ざめていく王子の顔を見て、どうにもならない感情が込み上げて、真理の顔はぐしゃりと歪んだ。
激しい嗚咽とともに、涙が止めどもなく出てくる。
「ふっ・・・うっ・・・良かった・・・良かった・・・生きてて・・・ 生きて・・・・・・っっ」
そこからは言葉にならなかった。
温かい腕に抱き寄せられ、押し当てられた胸で確かに脈動するアレックスの鼓動を感じた瞬間、真理の涙腺は決壊し、おいおいと号泣し続けていた。
悪い夢でも見ているように、王子の身体は受けた銃弾の衝撃で、スローモーションのようにゆっくり、ゆっくり、後ろに倒れていく。
「アレクっ!!!!!」
ドクドクと自分の心臓の音が全身で鳴り響き、身体が恐怖でガタガタと震える。
瞬間、脳裏に同じように銃弾に撃ち抜かれて、血塗れで倒れた父親の姿が過ぎる。
ドサッという音とともに床に仰向けに倒れた王子の姿に、真理は足が竦んで動けなくなった。
第二王子が倒れた姿を茫然と見つめていたマダム・ウエストに、クロード達が飛びかかり、拳銃を持った腕を抑え込む。
それを合図にわらわらとたくさんの警官や護衛達が次々に覆い被さると、拳銃を取り上げ、身柄を確保していた。
目の前で起きたことが信じられない。
彼は、さっきまで自分の横で微笑んでいてくれた。
血の気が引いて、口の中がからからに乾いていく。全身が凍りつくようなショックに、頬をいつのまにか冷たいものが伝っていくが、真理は混乱してそれすらも気付かない。
「なんで・・・どうして・・・こんなこと・・・」
倒れたアレックスの指がピクリと動いた瞬間、真理は彼の身体に駆け寄った。
傍らに跪き王子の頭を抱き起すと、頬に触れる。
頬はまだ温かい。
「アレクっ!アレクつ!!、いやっ!しっかりしてっ!!眼をっ!眼を開けてっ!!!!!」
彼の頭を抱きしめると、テッドが真理の肩に手をかけた。
「アメリア様・・・」
泣き濡れた顔を上げて、真理はテッドに縋るように懇願する。
「お願い・・・早く、早く、救急車を・・・早くっ!!!!!」
零れ落ちる涙がアレックスの顔に落ちるのも構わず、真理は彼の頭を抱きしめ、頬に唇を這わす。
「死んじゃだめ・・・お願い・・・アレク眼を開けて・・・」
動かない彼の唇に自分の唇を触れさせながら囁く。
「愛してる・・・愛してるの・・・!!あなたを!!!」
やっとその言葉を告げたのに、彼が逝ってしまうという、闇に突き落とされるようにゾッとする感情に心が壊れそうになった瞬間、自分の頭に腕が回りググッと顔が引き寄せられる。
言葉を発していた唇に今度はアレックスの唇が押し付けられ、するりと舌が入り込んできた。
「んんっ?!」
突然のことに理解が追いつかず、眼を白黒させ咄嗟に離れようとした真理の頭は、力強く抑え込まれたまま、しばらく濃厚なキスは続いた。
舌を絡め取られ、粘膜を濃厚に擦りながら甘噛みされる。パニックになったまま、真理は必死で唇を離して膝の上の王子を見下ろした。
「あ、アレク・・・?」
デッドがふぅとため息をつくと諌めるように声をかけた。
「お戯れが過ぎますよ、クリス殿下」
その言葉に、倒れていた王子はパッと眼を開けると、とても嬉しそうな笑顔を見せながら、よいしょと身体を起こして真理を優しく見つめた。
「心配かけてすまない、俺は大丈夫だ」
頭の中はぐちゃぐちゃで、何が起きているのか理解できないまま幽霊でも見たかのように呆然としていたが、アレックスの言葉に真理はハッとすると彼が着ていたジャケットとシャツをぴらりと捲った。
そういえば、血飛沫は見ていない・・・父の時のような飛び散る血は。
恐る恐る見ると軍用のボディアーマーと思しき黒いベストが見え、右脇腹に銃弾がめり込んでいる。
彼の意図が分かった瞬間、身体中から力がへなへなと抜けていく。
「あっ、あっ、あっ・・・良かった・・・良かったっ!!」
アレックスが無事だった・・・そう理解できた瞬間、気が抜けたような声が出てしまった。
目の前でちょっと困ったような笑顔から、いつものどんどん青ざめていく王子の顔を見て、どうにもならない感情が込み上げて、真理の顔はぐしゃりと歪んだ。
激しい嗚咽とともに、涙が止めどもなく出てくる。
「ふっ・・・うっ・・・良かった・・・良かった・・・生きてて・・・ 生きて・・・・・・っっ」
そこからは言葉にならなかった。
温かい腕に抱き寄せられ、押し当てられた胸で確かに脈動するアレックスの鼓動を感じた瞬間、真理の涙腺は決壊し、おいおいと号泣し続けていた。
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