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第12章 育った妄執と覚悟
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彼女が驚いた顔をするのを、アレックスはハラハラしながら見ていた。
「エステル様が?私も・・・ですか?」
「そうっす!・・・んおっ!うまいっすね!このパンケーキ!!」
クロードは真理に話があると彼女の自宅に、アレックスと一緒にやってきた。
甘党の補佐官は王子をガン無視して、真理におねだりをし夜食にパンケーキを焼いてもらい、今、ガッついている。
クロードの答えに真理が助けを求めるように隣に座る自分を見たので、アレックスは口を挟んだ。
「ああ、エスターが君に会わせて欲しいと言ってきた」
補佐官のくせに、真理の作るものを前にすると、すぐそっちに夢中になりやがる、とチッと舌打ちするとアレックスは隣に座っている真理を安心させるように微笑んだ。
「どうしてでしょうか・・?」
真理が当惑したような表情を浮かべた。当然だろう、彼女は我が儘な貴族のご令嬢に余計なことを言われ貶められた。
自分が不甲斐なかったのは確かだが、それでも彼女を傷つけたことは許しがたい。
真理が日本に帰国したあの厭わしい日の翌日、すぐにクロードをソーンディック侯爵家に行かせ、エステルを尋問させた。
洗いざらい吐かせた上で厳しい叱責と王室府として正式に警告を行なって以来、ソーンディック侯爵家は鳴りを潜め、エスターも含めて、戦争が始まったこともあり、接触はなかった。
クロードはリコッタチーズが入ったパンケーキを完食すると、カフェオレを啜りながら口を開いた。
「表向きはミリーちゃんへの暴言の謝罪とお見舞いっすね」
「あれは暴言じゃねぇ、虚偽だ」
大事なところだから、きちんと訂正しておく。
「・・・謝罪・・・そんなものは必要ない・・・前にもそう言ったし。それにお叱りは殿下から受けているでしょ」
そう、彼女は「自分がエステルの言葉を信じてアレックスへの確認を怠っただけのこと。大事《おおごと》にする必要はないから、ソーンディック侯爵家への咎は無しで」・・・そう許したのだ。
どうして、そんな簡単に許せるのかと納得行かず、あの後ベッドで攻め立てたら、彼女は全身を真っ赤にしながら、舞い上がるようなことを言ってくれた。
「あれは同じ人に想いを寄せてしまった女の子の牽制でしかないのだから」と。
その後、歯止めが効かず彼女をとろとろになるどころか意識が飛ぶまで抱き潰してしまったのは・・・当然だろう。
彼女の答えにクロードは考え込むような顔をしたが、ニカッと笑って続けた。
「相手の考えがいまいち読めないっすが、何かあると思うっす。だから、ここは腐り切ってても貴族なんで、面子立てるのと、その何かを知るために会ってやってくれっす」
相変わらず、ひどい言いように真理は一瞬目を見開いた後、ふふっと笑う。
クロードは能力がないくせに偉そうに振る舞う貴族様が大嫌いだ。いつでも毒舌三昧だ。
信頼するのはせいぜい騎士の家系で伯爵家を継承するテッドぐらいなものだろう。
真理の笑顔にキスしたくなる気持ちを抑えながら、アレックスは恋人を安心させるために、付け加えた。
「俺も一緒だしクロードもいるから大丈夫だ」
言って、彼女の指に自分のそれを絡めれば、真理も握り返してくれて。
穏やかな笑みを浮かべて「分かりました」と答えてくれたのだった。
「エステル様が?私も・・・ですか?」
「そうっす!・・・んおっ!うまいっすね!このパンケーキ!!」
クロードは真理に話があると彼女の自宅に、アレックスと一緒にやってきた。
甘党の補佐官は王子をガン無視して、真理におねだりをし夜食にパンケーキを焼いてもらい、今、ガッついている。
クロードの答えに真理が助けを求めるように隣に座る自分を見たので、アレックスは口を挟んだ。
「ああ、エスターが君に会わせて欲しいと言ってきた」
補佐官のくせに、真理の作るものを前にすると、すぐそっちに夢中になりやがる、とチッと舌打ちするとアレックスは隣に座っている真理を安心させるように微笑んだ。
「どうしてでしょうか・・?」
真理が当惑したような表情を浮かべた。当然だろう、彼女は我が儘な貴族のご令嬢に余計なことを言われ貶められた。
自分が不甲斐なかったのは確かだが、それでも彼女を傷つけたことは許しがたい。
真理が日本に帰国したあの厭わしい日の翌日、すぐにクロードをソーンディック侯爵家に行かせ、エステルを尋問させた。
洗いざらい吐かせた上で厳しい叱責と王室府として正式に警告を行なって以来、ソーンディック侯爵家は鳴りを潜め、エスターも含めて、戦争が始まったこともあり、接触はなかった。
クロードはリコッタチーズが入ったパンケーキを完食すると、カフェオレを啜りながら口を開いた。
「表向きはミリーちゃんへの暴言の謝罪とお見舞いっすね」
「あれは暴言じゃねぇ、虚偽だ」
大事なところだから、きちんと訂正しておく。
「・・・謝罪・・・そんなものは必要ない・・・前にもそう言ったし。それにお叱りは殿下から受けているでしょ」
そう、彼女は「自分がエステルの言葉を信じてアレックスへの確認を怠っただけのこと。大事《おおごと》にする必要はないから、ソーンディック侯爵家への咎は無しで」・・・そう許したのだ。
どうして、そんな簡単に許せるのかと納得行かず、あの後ベッドで攻め立てたら、彼女は全身を真っ赤にしながら、舞い上がるようなことを言ってくれた。
「あれは同じ人に想いを寄せてしまった女の子の牽制でしかないのだから」と。
その後、歯止めが効かず彼女をとろとろになるどころか意識が飛ぶまで抱き潰してしまったのは・・・当然だろう。
彼女の答えにクロードは考え込むような顔をしたが、ニカッと笑って続けた。
「相手の考えがいまいち読めないっすが、何かあると思うっす。だから、ここは腐り切ってても貴族なんで、面子立てるのと、その何かを知るために会ってやってくれっす」
相変わらず、ひどい言いように真理は一瞬目を見開いた後、ふふっと笑う。
クロードは能力がないくせに偉そうに振る舞う貴族様が大嫌いだ。いつでも毒舌三昧だ。
信頼するのはせいぜい騎士の家系で伯爵家を継承するテッドぐらいなものだろう。
真理の笑顔にキスしたくなる気持ちを抑えながら、アレックスは恋人を安心させるために、付け加えた。
「俺も一緒だしクロードもいるから大丈夫だ」
言って、彼女の指に自分のそれを絡めれば、真理も握り返してくれて。
穏やかな笑みを浮かべて「分かりました」と答えてくれたのだった。
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