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第9章 同じ空の下
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数日間隔で、空爆は恒常的かつ執拗に続いた。
開戦から1ヶ月、空爆の停止が発表される。
ついに多国籍軍とグレート・ドルトン王国軍は陸路でガンバレン国への侵攻をはじめたのだ。
地上戦の開始だ。
空爆で、ほとんどの軍事や重要拠点は破壊され、ガンバレン国軍は首都決戦をするつもりなのか、首都へ兵力を集めだし、撤退の一途をたどっている。
ガンバレン国の南側にある山岳地帯、ノントレイ共和国側のエリアはグレート・ドルトン王国軍の特殊部隊が制圧に成功した。
多国籍軍に帯同しているメディアは、制圧したところを追うようにしながら進み、取材を続ける。
日々、世界中のテレビに新聞に雑誌にネット動画に戦争の様子が流れる。
多国籍軍は「戦局優勢」を宣言し、戦争が多国籍軍側に有利に進んでいると強調していて、TVクルーも功績を派手に伝えて、勝利への高揚感を煽る。
真理はそんな様子も記録しつつ、世界中にこの戦争はどのように映っているのだろう、そう思いながら、淡々と空爆された惨状とそこに転がる兵士の死体を撮影し続けた。
「おい、朗報だ!シュナイド砂漠の前線本部近くにメディアを入れてくれるらしいぞ!」
軍広報官からの情報を持ってきたランディの興奮した言葉に、真理は写真チェックをしていた顔を上げた。
「シュナイド砂漠に?本当に?」
一緒にいたティナも驚いたような顔をする。
結局、彼女は単独行動は心細かったのだろう、真理についてきていた。
ランディは喜びを露わに、ああと答えた。
彼が興奮するのも無理もない。
従軍していても、最前線の本部があるところにはメディアは決して立ち入れない。
危険でもあるし、情報が少しでも漏れたらいけない場所だからだ。
「地上戦も恐らくもうじき終わる、首都が落ちるのも時間の問題なんだろう。空爆で防空システムが破壊されてガンバレン国の空軍はもう機能してないと発表があった」
ランディは興奮したまま続ける。
「地上戦の兵士達は装備も貧弱で、士気がなく、投降も始まっているそうだ。首都陥落前に、いままで帯同してきたメディアに、褒美がわりに前線近くで取材をさせてくれるらしい。ただ、さすがに本部はNGだから国境側の安全なキャンプにドルトン軍のお偉方が出てきてインタビューに答えてくれるらしいぞ」
——ドルトン軍のお偉方——
その言葉に真理の胸が震える。アレックスは出てくるだろうか・・・一目、彼を見ることはできるのだろうか。
もう会えなくなって3ヶ月が経とうとしている。開戦中だから連絡も控えていた。
アレックスの動向は、彼の安全を守るため一切メディアには情報が来ないようになっている。
報道協定でそう決められているのだ。
彼1人が標的になることを避けるためであるが、まったく彼の様子が分からないことに、どうしても不安になる。
元気なのだろうか。
食事は取れているのだろうか。
眠れているのだろうか。
プレッシャーに押しつぶされていないだろうか。
心が追い詰められていないだろうか。
戦地でのストレスが彼を苦しめていないか、心配でならない。
「それは、楽しみね。どんな話しが聞けるのか」
真理はほんの少しの期待ももたないよう自分を叱咤しながら、それでも彼を思いながら、眼前に広がるシュナイド砂漠を見つめた。
開戦から1ヶ月、空爆の停止が発表される。
ついに多国籍軍とグレート・ドルトン王国軍は陸路でガンバレン国への侵攻をはじめたのだ。
地上戦の開始だ。
空爆で、ほとんどの軍事や重要拠点は破壊され、ガンバレン国軍は首都決戦をするつもりなのか、首都へ兵力を集めだし、撤退の一途をたどっている。
ガンバレン国の南側にある山岳地帯、ノントレイ共和国側のエリアはグレート・ドルトン王国軍の特殊部隊が制圧に成功した。
多国籍軍に帯同しているメディアは、制圧したところを追うようにしながら進み、取材を続ける。
日々、世界中のテレビに新聞に雑誌にネット動画に戦争の様子が流れる。
多国籍軍は「戦局優勢」を宣言し、戦争が多国籍軍側に有利に進んでいると強調していて、TVクルーも功績を派手に伝えて、勝利への高揚感を煽る。
真理はそんな様子も記録しつつ、世界中にこの戦争はどのように映っているのだろう、そう思いながら、淡々と空爆された惨状とそこに転がる兵士の死体を撮影し続けた。
「おい、朗報だ!シュナイド砂漠の前線本部近くにメディアを入れてくれるらしいぞ!」
軍広報官からの情報を持ってきたランディの興奮した言葉に、真理は写真チェックをしていた顔を上げた。
「シュナイド砂漠に?本当に?」
一緒にいたティナも驚いたような顔をする。
結局、彼女は単独行動は心細かったのだろう、真理についてきていた。
ランディは喜びを露わに、ああと答えた。
彼が興奮するのも無理もない。
従軍していても、最前線の本部があるところにはメディアは決して立ち入れない。
危険でもあるし、情報が少しでも漏れたらいけない場所だからだ。
「地上戦も恐らくもうじき終わる、首都が落ちるのも時間の問題なんだろう。空爆で防空システムが破壊されてガンバレン国の空軍はもう機能してないと発表があった」
ランディは興奮したまま続ける。
「地上戦の兵士達は装備も貧弱で、士気がなく、投降も始まっているそうだ。首都陥落前に、いままで帯同してきたメディアに、褒美がわりに前線近くで取材をさせてくれるらしい。ただ、さすがに本部はNGだから国境側の安全なキャンプにドルトン軍のお偉方が出てきてインタビューに答えてくれるらしいぞ」
——ドルトン軍のお偉方——
その言葉に真理の胸が震える。アレックスは出てくるだろうか・・・一目、彼を見ることはできるのだろうか。
もう会えなくなって3ヶ月が経とうとしている。開戦中だから連絡も控えていた。
アレックスの動向は、彼の安全を守るため一切メディアには情報が来ないようになっている。
報道協定でそう決められているのだ。
彼1人が標的になることを避けるためであるが、まったく彼の様子が分からないことに、どうしても不安になる。
元気なのだろうか。
食事は取れているのだろうか。
眠れているのだろうか。
プレッシャーに押しつぶされていないだろうか。
心が追い詰められていないだろうか。
戦地でのストレスが彼を苦しめていないか、心配でならない。
「それは、楽しみね。どんな話しが聞けるのか」
真理はほんの少しの期待ももたないよう自分を叱咤しながら、それでも彼を思いながら、眼前に広がるシュナイド砂漠を見つめた。
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