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第8章 王子の宣言と変化
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「飛行機の中でザ・ワールド見てびっくりしたの。で、連絡しようと思ってたら、ビクトルの番組でしょう、もう、驚きすぎて顎が外れたわー」
キャロルは大らかに笑うと、真理を優しく見つめた。
「貴族でイケメンでお金持ちで、女にモテモテな遊び人が第二王子だなんてね。どうりであの時のアメリアの様子が変過ぎたのか、よく分かったわ」
その言葉に真理は決まり悪そうに肩を竦めてみせた。
親友のキャロル・ゼペットからは早速会いたいと連絡があった。
こう言った場合、今の自分はどうすれば良いのか迷って真理はアレックスに相談したが、彼の回答は「今まで通り、ふつうに会えばいいよ」だった。
キャロルの方が気を遣ってくれ、人目があるところよりは、と考えて自分の部屋に真理を招いてくれたのだ。
いくらメデイアに牽制しても、パパラッチ達は真理の姿を虎視眈々と狙うから、さすがに私邸からの移動で、徒歩は難しくなったが、真理はそれでも、私邸を出るときだけ車にして、あとは手近な駐車場で降ろしてもらい、そこからメトロに乗るようにしていた。
そこについてはアレックスもテッドも何も言わずに好きにさせてくれている。
キャロルは、まさか親友が王子とラブロマンスを繰り広げていたことなんて知らずに、中立地帯の難民キャンプに居たから、このニュースに、いたくいたく、それはもう真理でも引くくらい喜んだ。
「私、ビクトルの番組、3回も再生して見ちゃったわ。すっごい惚気てるわよね」
ふふふっと喜ぶキャロルに、頬がどんどん赤らんでしまう。
どうにか気持ちを落ち着けようと、出してくれた紅茶を口に含むと、真理のことを理解してくれてる親友は続けた。
「クリス殿下は、本当にアメリアに夢中なんだって凄く伝わってきたわ。もうあれは初恋って感じよね」
「初恋っ!?」
思わぬ言葉に紅茶を噴き出しそうになったが、キャロルはうんうんと頷く。
「なんかね、ちょっと感激したの。クリス殿下の顔つき、変わったよね。あんな風に優しい笑顔で笑ったのって初めてじゃない。あれを見て、あー、アメリアは大事にされてるんだなーって思った」
もう何をどう言ったら良いのか、真理は分からなくなってしまった。
そう、大事にしてもらってるし、愛してくれている。
分かっているけど、それを親友の前で肯定するのは、とても照れるし気恥ずかしい。
「・・・そうね。とても大切にして頂いてる」
顔を真っ赤にしながら、呟くようにそう言うと、キャロルも本当に嬉しそうに笑った。
そして、手を伸ばしてギュッと真理のカップに触れてる手を握る。
「ビクトルの番組が概ね好評なのって、多分あのクリス殿下の様子が変わったことに、みんな気がついたんだと思うの。いままでの超チャラい遊び人な雰囲気から、恋人を想う愛情が溢れ出てて。本気なのが分かって、見守る気満々よ」
ただでさえ、クリス殿下は国民の人気が高いからね、とキャロルが付け加えて、真理もそれには同意した。
真理も番組を観て悟っていた。
もう自分が写真に撮られるとか撮られないとか、ゴシップのネタになる、ならないとかの問題ではないのだ。
ドルトン国民が高い関心を寄せる中で、自分が第二王子のそばでどう生きていくのか、どんな自分であるのか、どうやって彼の愛に応えていくのか、そう言うことが全て問われる段階に入ったのだと、気づいたのだ。
「キャロル、でも私怖いの・・・」
ふと零れた本音。キャロルが目を見開いた。
「殿下はとても愛情深くて・・・私の生き方も大切に守ろうとしてくださる。でも、私はどうなんだろうって・・・。私が殿下に何ができるのか、好きと言う気持ちだけで、そばにいて良いのか・・・とても迷うし、不安になる」
キャロルは目の前の親友を見つめた。
勇敢でタフで、明るくて大らかで・・・そしてとても優しい彼女を。
難民キャンプで出会って、気が合って、たくさん話をして、いろんな価値観を共有してきた。
彼女はとても真っ直ぐで素直な人間なのだ。
戦火の中でカメラを片手に立つ彼女はとても凛々しい。
そんなアメリアが王子との恋で、今まで揺さぶられなかった感情を震わせている。
恋に臆病になるなんて・・・なんて素敵なことなのか。
妹を想う姉のような気持ちでキャロルは真理の頭を撫でると言った。
「何も変わる必要も変える必要もないんじゃない。王子様はありのままの貴女が好きなんでしょう。あなたらしくいればいいのよ」
真理がハッとしたような顔でキャロルを見ると、親友は励ますように頷いて続けた。
「恋愛は2人でするもの。何ができるとか、しなきゃいけないとかではなく、殿下が好きと言う気持ちだけで良いのよ。王子様もそれを望んでいると思う。わかった?」
その言葉に真理が頷くのを見て、キャロルは付け加えた。
「あれこれ考えすぎちゃダメ、アメリアらしくシンプルが一番よ。貴女は王子様ではなく、1人の男性を好きになったのだから」
キャロルの力強い言葉に、やっと真理は心の中のわだかまりが溶けていくような気がして、自分も親友に笑い返すことができたのだった。
キャロルは大らかに笑うと、真理を優しく見つめた。
「貴族でイケメンでお金持ちで、女にモテモテな遊び人が第二王子だなんてね。どうりであの時のアメリアの様子が変過ぎたのか、よく分かったわ」
その言葉に真理は決まり悪そうに肩を竦めてみせた。
親友のキャロル・ゼペットからは早速会いたいと連絡があった。
こう言った場合、今の自分はどうすれば良いのか迷って真理はアレックスに相談したが、彼の回答は「今まで通り、ふつうに会えばいいよ」だった。
キャロルの方が気を遣ってくれ、人目があるところよりは、と考えて自分の部屋に真理を招いてくれたのだ。
いくらメデイアに牽制しても、パパラッチ達は真理の姿を虎視眈々と狙うから、さすがに私邸からの移動で、徒歩は難しくなったが、真理はそれでも、私邸を出るときだけ車にして、あとは手近な駐車場で降ろしてもらい、そこからメトロに乗るようにしていた。
そこについてはアレックスもテッドも何も言わずに好きにさせてくれている。
キャロルは、まさか親友が王子とラブロマンスを繰り広げていたことなんて知らずに、中立地帯の難民キャンプに居たから、このニュースに、いたくいたく、それはもう真理でも引くくらい喜んだ。
「私、ビクトルの番組、3回も再生して見ちゃったわ。すっごい惚気てるわよね」
ふふふっと喜ぶキャロルに、頬がどんどん赤らんでしまう。
どうにか気持ちを落ち着けようと、出してくれた紅茶を口に含むと、真理のことを理解してくれてる親友は続けた。
「クリス殿下は、本当にアメリアに夢中なんだって凄く伝わってきたわ。もうあれは初恋って感じよね」
「初恋っ!?」
思わぬ言葉に紅茶を噴き出しそうになったが、キャロルはうんうんと頷く。
「なんかね、ちょっと感激したの。クリス殿下の顔つき、変わったよね。あんな風に優しい笑顔で笑ったのって初めてじゃない。あれを見て、あー、アメリアは大事にされてるんだなーって思った」
もう何をどう言ったら良いのか、真理は分からなくなってしまった。
そう、大事にしてもらってるし、愛してくれている。
分かっているけど、それを親友の前で肯定するのは、とても照れるし気恥ずかしい。
「・・・そうね。とても大切にして頂いてる」
顔を真っ赤にしながら、呟くようにそう言うと、キャロルも本当に嬉しそうに笑った。
そして、手を伸ばしてギュッと真理のカップに触れてる手を握る。
「ビクトルの番組が概ね好評なのって、多分あのクリス殿下の様子が変わったことに、みんな気がついたんだと思うの。いままでの超チャラい遊び人な雰囲気から、恋人を想う愛情が溢れ出てて。本気なのが分かって、見守る気満々よ」
ただでさえ、クリス殿下は国民の人気が高いからね、とキャロルが付け加えて、真理もそれには同意した。
真理も番組を観て悟っていた。
もう自分が写真に撮られるとか撮られないとか、ゴシップのネタになる、ならないとかの問題ではないのだ。
ドルトン国民が高い関心を寄せる中で、自分が第二王子のそばでどう生きていくのか、どんな自分であるのか、どうやって彼の愛に応えていくのか、そう言うことが全て問われる段階に入ったのだと、気づいたのだ。
「キャロル、でも私怖いの・・・」
ふと零れた本音。キャロルが目を見開いた。
「殿下はとても愛情深くて・・・私の生き方も大切に守ろうとしてくださる。でも、私はどうなんだろうって・・・。私が殿下に何ができるのか、好きと言う気持ちだけで、そばにいて良いのか・・・とても迷うし、不安になる」
キャロルは目の前の親友を見つめた。
勇敢でタフで、明るくて大らかで・・・そしてとても優しい彼女を。
難民キャンプで出会って、気が合って、たくさん話をして、いろんな価値観を共有してきた。
彼女はとても真っ直ぐで素直な人間なのだ。
戦火の中でカメラを片手に立つ彼女はとても凛々しい。
そんなアメリアが王子との恋で、今まで揺さぶられなかった感情を震わせている。
恋に臆病になるなんて・・・なんて素敵なことなのか。
妹を想う姉のような気持ちでキャロルは真理の頭を撫でると言った。
「何も変わる必要も変える必要もないんじゃない。王子様はありのままの貴女が好きなんでしょう。あなたらしくいればいいのよ」
真理がハッとしたような顔でキャロルを見ると、親友は励ますように頷いて続けた。
「恋愛は2人でするもの。何ができるとか、しなきゃいけないとかではなく、殿下が好きと言う気持ちだけで良いのよ。王子様もそれを望んでいると思う。わかった?」
その言葉に真理が頷くのを見て、キャロルは付け加えた。
「あれこれ考えすぎちゃダメ、アメリアらしくシンプルが一番よ。貴女は王子様ではなく、1人の男性を好きになったのだから」
キャロルの力強い言葉に、やっと真理は心の中のわだかまりが溶けていくような気がして、自分も親友に笑い返すことができたのだった。
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