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第1章 王子の探し人
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真理は今自分が置かれた状況を冷静に判断していた。
スーパーの買い物帰り、裏手の細い路地に入ったところ。
人通りはない。
そして目の前には薄ら笑いを浮かべた男が1人。
自分は今日、護身用の武器は携帯していない。
「ミス・アメリア・ジョーズ、貴女に会いたいと言ってる人がいるんだけど、ちょっと付き合ってもらえないっすか」
最初は例の軍絡みの人間かと思ったが、ザッとその男を上から下まで睨め付けて、そんな感じではないと感じる。
キッと男を睨み付けると
「今時、付き合ってって言われて、ホイホイついていく人なんていないわよ」
そう言うと、相手はちょっと困ったように眉尻を下げた。
「まあ、そうっすけど、、、おおごとにするのもなんなので、、、
非公式だし、、、悪いことはしないんで、大人しくついてきてもらえるとありがたいんすけど」
と、歯切れ悪くモゴモゴ言う。
非公式?やっぱり軍なのか。
でも目の前の人物は、軍人を見慣れた真理にはそうも思えない。
やけに情けない温和な雰囲気を醸し出す男に真理は戸惑う。
強盗でもなければ人攫いでもなさそう、、、新手のナンパか?
男は片手で頭をボリボリ掻きながら、もう片方の手を真理に向かって伸ばしてくる。
「すいません、時間は取らせないんで。お願いします」
それを見て真理はスーパーで買い物した荷物をグッと抱えた。
「悪いけど、知らない人にはついていってはいけないってパパに言われてるの」
言って、抱えなおした荷物を男に向かって放り投げるとすばやく踵を返して走り出す。
「うわぁっ!!!あっ!!!待てっ!!おいっ!」
放り投げられてパラパラと中身が散乱する荷物に慌てる男の声を背に、真理は人の多い通りに向かっていく。
表通りに出てしまえば助けも呼べるからだ。
10分近く追っ手が付いてきてないか背後を確認しながら、細い路地を走り抜けて
「逃げ切れた、良かった」と安堵した瞬間、目の前を遮るように飛び出してきた人物を見て、今度は真理がひゃあー!っと声をあげた。
「いやぁ、走るの速いっすね、びっくりしたっす」
さっきの男が呼吸をやや乱しながらも、ヘラヘラした笑い顔はそのままに自分の行く手を阻んでいる。
こんな細い入り組んだ路地で先回りされるなんて、、、ただものではない気がした。
やっぱり軍なの、何かしたの?私?
真理の頭の中は混乱しっぱなしだ。
ジリジリと相手は自分と間合いを詰めてくる。
ヘラヘラしたチャラい男なのに、その動きには隙がない。
真理の頭の中で警戒警報がマックスで鳴り響いていた。
これは捕まってはならない、ならば、、、
すぅっと呼吸を整えると
「っ!はっ!!!」
得意の回し蹴りを相手の喉元狙って繰り出した。
「うわぁっーーー!!」
男がビックリしたような表情で、両腕で頭部を守るように素早く防御の態勢を取る。
真理はすんでで蹴り上げた脚をぴたりと止めると、その隙をついて、屈むと素早く男の横をすり抜けた。
男の叫び声とそこから飛び出してきた自分に、何事かと人が集まってくる。
これで振り切れる、そう安心して真理はそのまま街中を走り抜けながら自宅に戻った。
間違いなく、自分の身に何かが迫っている。
あの兵士か、それとも写真か、、、どうせ、この自宅だってバレている。
いずれにしろ、落ち着くまでドルトンを離れた方が良いかもしれない、真理はそう思い始めていた。
スーパーの買い物帰り、裏手の細い路地に入ったところ。
人通りはない。
そして目の前には薄ら笑いを浮かべた男が1人。
自分は今日、護身用の武器は携帯していない。
「ミス・アメリア・ジョーズ、貴女に会いたいと言ってる人がいるんだけど、ちょっと付き合ってもらえないっすか」
最初は例の軍絡みの人間かと思ったが、ザッとその男を上から下まで睨め付けて、そんな感じではないと感じる。
キッと男を睨み付けると
「今時、付き合ってって言われて、ホイホイついていく人なんていないわよ」
そう言うと、相手はちょっと困ったように眉尻を下げた。
「まあ、そうっすけど、、、おおごとにするのもなんなので、、、
非公式だし、、、悪いことはしないんで、大人しくついてきてもらえるとありがたいんすけど」
と、歯切れ悪くモゴモゴ言う。
非公式?やっぱり軍なのか。
でも目の前の人物は、軍人を見慣れた真理にはそうも思えない。
やけに情けない温和な雰囲気を醸し出す男に真理は戸惑う。
強盗でもなければ人攫いでもなさそう、、、新手のナンパか?
男は片手で頭をボリボリ掻きながら、もう片方の手を真理に向かって伸ばしてくる。
「すいません、時間は取らせないんで。お願いします」
それを見て真理はスーパーで買い物した荷物をグッと抱えた。
「悪いけど、知らない人にはついていってはいけないってパパに言われてるの」
言って、抱えなおした荷物を男に向かって放り投げるとすばやく踵を返して走り出す。
「うわぁっ!!!あっ!!!待てっ!!おいっ!」
放り投げられてパラパラと中身が散乱する荷物に慌てる男の声を背に、真理は人の多い通りに向かっていく。
表通りに出てしまえば助けも呼べるからだ。
10分近く追っ手が付いてきてないか背後を確認しながら、細い路地を走り抜けて
「逃げ切れた、良かった」と安堵した瞬間、目の前を遮るように飛び出してきた人物を見て、今度は真理がひゃあー!っと声をあげた。
「いやぁ、走るの速いっすね、びっくりしたっす」
さっきの男が呼吸をやや乱しながらも、ヘラヘラした笑い顔はそのままに自分の行く手を阻んでいる。
こんな細い入り組んだ路地で先回りされるなんて、、、ただものではない気がした。
やっぱり軍なの、何かしたの?私?
真理の頭の中は混乱しっぱなしだ。
ジリジリと相手は自分と間合いを詰めてくる。
ヘラヘラしたチャラい男なのに、その動きには隙がない。
真理の頭の中で警戒警報がマックスで鳴り響いていた。
これは捕まってはならない、ならば、、、
すぅっと呼吸を整えると
「っ!はっ!!!」
得意の回し蹴りを相手の喉元狙って繰り出した。
「うわぁっーーー!!」
男がビックリしたような表情で、両腕で頭部を守るように素早く防御の態勢を取る。
真理はすんでで蹴り上げた脚をぴたりと止めると、その隙をついて、屈むと素早く男の横をすり抜けた。
男の叫び声とそこから飛び出してきた自分に、何事かと人が集まってくる。
これで振り切れる、そう安心して真理はそのまま街中を走り抜けながら自宅に戻った。
間違いなく、自分の身に何かが迫っている。
あの兵士か、それとも写真か、、、どうせ、この自宅だってバレている。
いずれにしろ、落ち着くまでドルトンを離れた方が良いかもしれない、真理はそう思い始めていた。
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