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第九章 普通の恋人同士なら行かないで…そう言うのかな…
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しおりを挟む***00-11-07
え! 本当に?
夕立の音と共に、扉を開けて入ってきたのはアシュ兄ちゃんだった。
「……どうして……?」
「そんなことより、早くここに」
アシュ兄ちゃんは、羽織ってたマントを広げ、その中に私の身体を招き入れる。
厚手のマントは、天井から垂れ落ちる雨も弾いてくれる。
と、
ガラガラガラ、ドーン!
「いやぁッ!」
近くで雷が落ちた。
思わず悲鳴をあげた私を、アシュ兄ちゃんが抱き寄せてくれる。震える私の頭をずっと撫で撫でして、落ち着くまで待っててくれる。
ゴロゴロ、と音が響きつつ遠くに離れていく。
「……」
側に、隣にアシュ兄ちゃんが居てくれる。思わず涙が溢れ出しそうになるのを、必死に堪える。
「ちょっと待ってて」
アシュ兄ちゃんは、私をマントの中に入れたまま、部屋の隅にあった黒いストーブの蓋を開け、隣にあった薪と千切った新聞を放り込む。
胸元から四角い箱——ライターをとりだし、千切った新聞に火を点ける。
徐々に火が回る。
「ほら、寒かっただろ。温まりな」
マントで上からの雨を防ぎつつ、アシュ兄ちゃんは私をストーブの正面に座らせる。
⭐︎⭐︎⭐︎
え! 本当に?
夕立の音と共に、扉を開けて入ってきたのはアシュ兄ちゃんだった。
「……どうして……?」
「そんなことより、早くここに」
アシュ兄ちゃんは、羽織ってたマントを広げ、その中に私の身体を招き入れる。
厚手のマントは、天井から垂れ落ちる雨も弾いてくれる。
と、
ガラガラガラ、ドーン!
「いやぁッ!」
近くで雷が落ちた。
思わず悲鳴をあげた私を、アシュ兄ちゃんが抱き寄せてくれる。震える私の頭をずっと撫で撫でして、落ち着くまで待っててくれる。
ゴロゴロ、と音が響きつつ遠くに離れていく。
「……」
側に、隣にアシュ兄ちゃんが居てくれる。思わず涙が溢れ出しそうになるのを、必死に堪える。
「ちょっと待ってて」
アシュ兄ちゃんは、私をマントの中に入れたまま、部屋の隅にあった黒いストーブの蓋を開け、隣にあった薪と千切った新聞を放り込む。
胸元から四角い箱——ライターをとりだし、千切った新聞に火を点ける。
徐々に火が回る。
「ほら、寒かっただろ。温まりな」
マントで上からの雨を防ぎつつ、アシュ兄ちゃんは私をストーブの正面に座らせる。
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