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第四章 この想いを終わらせるために…始めたんだ…
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しおりを挟むすっかり夢の中…久し振りに桂は心地良い睡眠を貪っていた。
亮との激しいセックスでどうしても体力は消耗しがち、授業に手を抜く事も出来ず…やはり疲労は溜まっていたのか。
桂は来週の授業の準備を一通り終えるとベッドに直行していた。亮の事を考えて眠れないかも…と思った心配も枕に頭を着けた途端霧散して、桂はコットリと寝入っていた。
スマートフォンの着信音が深夜の静寂を切り裂くように鳴り響いた時すら、桂はなかなか目を覚ませないでいた。
「…あ…れ…電話か…。」
やっと起きた頭を振りつつ身体を起こす。目覚し時計に目をやるとまだ深夜の3時だった。
こんな時間になんだよ…と悪態をつきながら暗闇の中で携帯を手探りで引き寄せた。
出るの止めようかな…。眠い誘惑に打ち勝つ事が出来ず枕に頭を戻そうとする。瞬間リナのことが頭を過ぎってハッと桂は身体を起こした。
もしかしたらリナかも…新しい恋人となにか有ったのか…心配がどっと吹き出してきて桂は慌てて、まだ着信音を鳴らすスマートフォンを手繰り寄せると、画面だ発信者を確認せずに耳に当てた。
「リナ…リナか…?」
受話器ごしから答えは無く、リナの声も聞こえてこない。
間違い電話?思って桂は暗闇の中で携帯のディスプレイに目を凝らす。何となく…桂はディスプレイに映るのが亮の名前のような気がして…一気に目が覚め、冷や汗が身体を伝いはじめていた。
嘘…?なんで…?どうして…?深夜だぜ…?もう日曜日なのに…?どうしよう…?取りとめも無い考えが頭をグルグル回る。
「…俺…だけど…。悪かったな…リナ…じゃ無くて…。」
普通深夜に電話を掛けてきた非常識を詫びるんじゃないか?なんでリナじゃ無い事を嫌味たらしく謝るんだ?
桂は喉もとまで出かかった言葉をグッと飲み込んだ。受話器の向こうの亮はなぜかまた黙り込んでいる。
「…どうしたんですか…?」
少し拗ねたような不機嫌な声だったのを思い出して桂は、気持を落ちつかせて声を出した。
亮を怒らすようなことはしたくなかった。もちろん彼のためもあったが、自分のためでもあった。
亮は桂が自分の気に障ることをすると、必ずセックスで桂を責め立てていたからだ。
冗談じゃない…彼の機嫌を損ねて…体ががたがたになるようなセックスだけは勘弁だった。
桂の穏やかな声に少し気分を和らげたのか、受話器の奥で亮が身体を身じろぎさせる微かな音が聞こえる。
少しの沈黙の後、亮がポツリと呟いた。
「こいよ…。」
「…え…?」
亮が何を言っているのか分からず、桂は聞き返す。少しだけ亮が苛々したような声で続けた。
「今から…迎えに行くから…だからこいよ。俺…眠れなくってさ…。」
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