〜Marigold〜 恋人ごっこはキスを禁じて

嘉多山瑞菜

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第三章 恋人ごっこをするなら、自覚しないと...

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 絶対に帰るなよ…亮は真剣な瞳でそう言うと桂をベッドに沈めた。

 桂は顔を赤らめながらコクンと頷く。今朝の自分の身勝手な行為が、思っていた以上に亮を傷つけていた…その事が辛かった。

 朱に染まった桂の頬を、亮の指先が触れるか触れないかのスレスレの距離でゆっくりと滑り落ちて行った。

 亮は桂の顔をジッと見詰めながら何度も顔を撫でていく。
頬の次は少し震えている瞳…こめかみ…そして最後には喘ぎを零さまいと引き結び閉じられている唇に親指を這わせていく。

 何度も感触を確かめるように擦りあげられる所為で、桂の唇が腫れたように赤く染まった。

 まるで…キスの後みたいに…。

 唇を見詰めながら亮がポツリと呟いた。

「一体…あんたの唇は誰のものなんだ…?」
「…え…?」

 亮の言っている意味が分からず桂が戸惑ったように亮の顔を覗き込んだ。

 亮は一瞬瞳を躊躇うように揺らすと今度は首筋に唇を這わせていく。キツク首を吸い上げながら亮が言った。

「ごめん…なんでもない…。くだらない事言った…」

 ―俺の唇は…。

 桂は亮の愛撫に身を任せながら考える。

 ―貴方にあげたい…。 
 でも…貴方の唇は健志さんのものだから…俺は触れちゃいけないんだ…。

 亮の愛撫に堪らず桂は彼の熱い身体に縋りつく。
それに答えるように亮は桂の身体をさらに抱き寄せると一層激しく桂の身体を弄りはじめた。



 
「…んっ…ぁぁ…ゃ…っ…」

 桂が嫌々をするように頭を左右に振る。
もう限界だった…。身体中に荒れ狂う激しい熱をどうにかしたくて…もどかしいような疼きが腰に集まり始める。

「…どうして…欲しい…?」

 自分の胸の下で身体を苦しそうに捩る桂を、瞳を細めて見詰めながら亮が意地悪く問う。

 快感に潤んだ瞳で桂は亮を見上げた。亮の瞳は欲望で翳った暗い瞳で桂を見下ろしている。

 その確かに自分に欲情している亮の瞳を見詰めて桂の心臓がドクンと高鳴った。

 何も答えない桂に亮は低く笑うと意地悪そうな声音で呟いた。

「…そう…ここを弄ってもらいたい…?」

 言って、先ほどまで口に含んでいた胸の粒にもう一度歯を当てる。

「…や…っ!」

 そのツンとした痛みに桂が悲鳴を上げる。構わず亮は桂の胸の尖りをしゃぶるとわざと桂に聞かせる様にピチャピチャと音を立てて舌を絡め舐めてあげていく。

 桂の胸の粒が自分の唇の中で硬くピクッと勃つのを感じると、今度はそれをチュっとしつこく吸いあげていった。

「…あぁ…いやだ…っ…やめ…っ…。」

耐えきれないように桂が哀願する。

 桂の手は亮の頭を無意識に掻き撫ぜていた。

 亮は片手でもう一つの胸の果実を弄っていたが、桂の喘ぎを聞いて今度は掌をゆっくりと滑らせていった。

 感じる脇腹を撫で、さらに頼りなく自分と桂の身体の間で勃ちあがりはじめている桂自身に指を絡ませ、ギュッと強く握り込んでやる。

「…ひっ…あっぁぁ・・っ!」

 突然与えられた強烈な刺激に桂の身体が跳ねた。

「いや…やめ…」

 激しく自分を責めたてる亮の行為に桂は戸惑う。

 昨日はもっと軽くて…慎ましやかなセックスだった。それなのに今日の亮は桂を焦らして焦らして…熱く翻弄する。

「…言って…どうして欲しいの…?ここはこのままで良いのか…?」

 握り締めた桂自身を緩々と上下に抜き上げながら亮が桂に言う。

 どうして欲しいのかなんて…分かりきっているくせに…。

 桂は潤んだ瞳で亮を睨んだ。その瞳を見て亮が喉の奥で笑う。

「言わないと…このままだよ…。」

 言いながら胸の粒を弄っていた手をそっと桂自身の下に滑り込ませる。桂が溢れさせている透明の液体がそこにまで零れていて…亮はその蜜を指で掬い取ると、ゆっくり桂の蕾に押し込めていった。

「…あぁ…んっ…」

 亮の指がクチュっと音を立てて桂の蕾の中に潜り込んでいく。亮は指をゆっくり抜き差ししながら桂の内を柔らかく揉み解していく。

 亮の指が桂の感じてならない場所を探り当てると執拗にそこを攻め始めた。

「…あっ…やめっ…だめ…だっ…!!」

 激しくぬくぬくと内壁を擦りあげられ、内の奥深い部分をズクッと焦らすように抉られる。亮の指でタップリと愛され甘く潤んだ襞が淫らに蠢き始まるのを感じて、桂の体が羞恥で薔薇色に染まった。

 もう桂には止める事など出来なくなっていた。亮の指をキツク締め上げ貪欲に快感を貪り始める。

 亮の指に絡め取られた桂自身は、亮の指が入り込んでいる蕾からの甘く深い刺激の所為でぬるぬるとした白濁の密を滴り零し始めていた。

 亮がもう一度甘い声で桂の耳朶を噛みながら囁く。

「どうして欲しいの…?言って…」

 言いながら握り締めた桂を強く弱く力を変えながら蜜を絡めて抜いていく。その度に湿った水音が桂の耳を焼いた。

「あ…やっ…やだ…っ…!」

 ふいに自分の内壁を擦る亮の指が強く自分の感じる部分を掠め、桂が一気に頂きに駆け上っていきそうになる。

 それに気付いた亮が、桂の根元を締め上げる。

「…んっ…やめっ!…ぁぁ…。」

 桂の唇から甘い喘ぎがひっきりなしに漏れ落ちる。

 桂の内は激しい収縮を繰り返し、亮の指を深く取り込もうとギュウギュウと締めつける。その感触に亮はクッと喉の奥で低く呻いた。

 ヒクヒクと自分の指に絡まる襞に耐えきれず亮は指を引きぬく。桂が、ズルッと淫らな水音を立てて自分の中から圧迫感が無くなるのと同時に嬌声を上げた。

「…やっ…いやっ…だっ!」

 亮は桂の顔を覗きこむと酷薄な雰囲気を滲ませた声音で命令するように桂に言う。

「言って…どうして欲しい…?俺に…言えるだろ…言えよ…。」

 初めて聞く亮のキツイ口調に桂の瞳が戸惑うように揺れた。でも…自分の身体も…心も誤魔化しようがなかった…。

 恥ずかしいのに…桂はすっかり亮に魅せられている…身体も心も恨めしかった。

 先ほどまで甘く愛された蕾は彼を欲して激しく収縮を繰り返し…亮の手の中にある桂自身は愛撫をねだってピクピクと脈打っている。

 …おい…と亮が焦れたように握っている桂の敏感な先端をゆっくりとズクズクと親指で抉り上げる。

 耐えきれず桂が亮の逞しい背中に縋った。とてもじゃないが亮の顔を見てなんて言えなかった…。

 それでも自分の言葉を執拗に欲しがる亮が…すごく嬉しくて…。桂は縋ったまま亮の耳元に顔を寄せると、小さな掠れた声で囁いていた。

「あ…。俺…貴方が…欲しい…」

 やっと絞り出されたその言葉…頬を赤らめたまま桂は亮の顔を見る。

 嬉しそうな亮の笑顔が視界に飛び込んできて桂は息を呑んだ。亮は優しく桂の汗でしっとり濡れた額に掛かる髪の毛を掻きあげると「OK…。」そう優しさを滲ませた声音で答える。

 昨夜感じた甘い熱を思い出して桂の身体が熱く疼いた。

 亮は自分に縋る桂の体をしっかりと抱き寄せるとゆっくりと熱い硬く撓った自身を桂の中に沈めはじめていった…。
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