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2 思いがけない依頼人
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シスター・ルイージと一緒に修道院長室へ入ると既にモントクレイユ男爵は席に着いていた。
修道院長であるマザー・アンヌはにこやかにサブリナ達を迎えると、椅子に座るよう言う。
シスター・ルイージが全員にハーブ・ティーをくばり終えたところでマザー・アンヌが口を開いた。
「サブリナ、この1ヶ月の活動についての報告は男爵様には先に済ませておきました」
「そうなんですね、ありがとうございます。マザー・アンヌ」
サブリナはお礼を述べると微笑みながら、彼女を見返した。
マザー・アンヌは父の古くからの友人だ。モンクレイユ家の医術や薬学の理念に賛同し、わざわざシスターになったときに、この修道院に来てくれたと聞いている。
サブリナにとってもマザー・アンヌは幼い頃から可愛がってくれる大切な人であり、今は「ラファエル・ナーシング・ホーム」を作り運営していくことに尽力してくれる大切な仲間でもある。
ひとしきり、マザー・アンヌとシスター・ルイージと一緒に幾つかの課題やそれに対する対処などを話し合ってから、サブリナは父親をチラリと見た。
最初から穏やかに自分たちの様子を見ているだけで、口を開かない。
そろそろ頃合いではないか、とサブリナは男爵を見た。
「それでお父様、今朝、仰っていたお話しをそろそろ聞かせていただけないでしょうか」
モントクレイユ男爵はうむ、と頷き横目でマザー・アンヌをチラリと見ると、彼女もその目線に応えるように頷き、シスター・ルイージを部屋から退出させた。
なんだろう?面倒な話じゃないと良いが・・・二人の普段と違う様子に不穏な空気を感じてサブリナはゴクリと唾を飲み込むと、父の言葉を待った。
モントクレイユ男爵は娘を見ると、やっと口を開いた。
「先日、私宛てに依頼が入った」
「ラファエル・ナーシング・ホームへのですか?」
サブリナの問いにモントクレイユ男爵は、そうだと答えた。
医術に長けた家柄ゆえ、父親のところには様々な依頼が来るのは知っている。だが、看護に関しては別だ。サブリナが作ったラファエル・ナーシング・ホームへの依頼は全て、自分宛てに来るようにしてある。
だが・・・父宛てに依頼が入ったということは・・・サブリナは嫌な予感で背筋に汗が伝うのを感じた。
なぜなら、高位の貴族ではないか、と思ったからだ。
高位の貴族だと、面倒くさい・・・いやいや病人に面倒もなにもないのだが、貴族を取り巻く環境がサブリナは嫌いだった。ドロドロ、ぐちゃぐちゃした悪意が渦巻いている、と言うのがサブリナの持論だ。
それを父の男爵や優しい母に言うと、いつも苦笑される。モントクレイユ家は、貴族らしさがない家であることは、全員が自覚しているからだ。
だから、社交界にもモントクレイユ家は滅多に顔を出さない。男爵夫人である母ですら、父と一緒に大きな薬草園を管理する忙しさを理由に、数々の夜会やお茶会を断りまくっているから、いつしかお誘いが掛からなくなっていた。
そう言う意味でも他の貴族達からは変わり者の男爵家だと思われている。
考えが逸れたが、サブリナは慌てて意識を目の前の二人に戻すと、あー、面倒、と思いながら自分から尋ねた。
「お父様、もしかして高位の貴族からですか?」
娘の勘の良さに父親はうっすら微笑んだ。
「そうだ、・・・ウィテカー公爵家からだ」
「!!!!!! ひぇーーー!!」
——ウィテカー公爵家——
思いもかけない、最上級位貴族の家名にサブリナは叫声を上げ、椅子から転がり落ちそうになった。
このセント・グローリア・アラゴン王国は王政だが、その下には貴族院がある。
貴族院は東西南北をそれぞれ治める4貴族と辺境伯を合わせ、五大貴族と呼ばれ国王を支えている。
ウィテカー公爵家は五大貴族の筆頭で、強大な力を誇示している家柄だ。公爵自身は王位継承権を放棄しているが現国王の王弟であり、国政を担う宰相でもある。
国王がおっとり穏やかな包容力のある気質なら、ウィテカー宰相は策謀と掌握に長けており裏で糸を引く人柄、この国の中枢を握っていると言われている。
にも関わらず、ウィテカー公爵が国の争乱の火種にならないのは、ウィテカー公爵も国王も兄弟仲はとても良いと言う、ひどくこのご時世としてはほのぼのした理由からだった。
それは、ともかくとして・・・サブリナは喘ぐように父に尋ねる。
「おっ!お父様っ!ウィテカー公爵家でご病気の方とはどなたでいらっしゃいますか?私は知りませんでした」
娘の質問に男爵は少し眉根を寄せた。ここまで、娘が貴族社会に興味がなかったとは思わなかったのだ。
「奥方だ、公爵夫人のディアラ様だよ。わりかし有名な話だが知らなかったかね?」
「・・・存じませんでしたわ」
父のチクリとした嫌味を肩を竦めて交わすと、マザー・アンヌをチラリと見る。仕事が忙しいから、と庇ってくれても良さそうだが、彼女は静かに微笑んで話を聞いてるだけで、助けてくれなさそうだ。
男爵は娘の気まずげな顔を見ながら、話しを続ける。
「一年ほど前から、公爵夫人が体調を崩されて、社交を全て控えている、というのはウィテカー宰相から発表されていたから、彼女が病の床にあることは周知の事実だった」
「そうでしたか・・・」
サブリナは父の話しを聞きながら頭の中で整理する。依頼の内容が分かった気がした。
「奥方様のご病状は思わしくないのですね?それで・・・お父様に連絡が来たと・・・」
父親は重々しく頷くと、そうだ、と肯定した。
「難しい病で、医術師からはもって半年と言われている。日々の世話にも、もっとも気を遣わなければならない局面だが、いくら公爵家の優秀な使用人でも、奥方の楽なようになかなか出来なくなってきているらしい。そこで当家に相談が来た」
「それは大変ですね・・・もちろん、ご依頼とあれば、誰か遣わしましょう。ね、マザー・アンヌ」
病人を思い、暗い顔をしながら、サブリナは誰が適任だろうかと、早くも頭の中で考える。マザー・アンヌは誰に白羽の矢を立てたかしら、とそこまで考えた時・・・
「その話しだがな・・・お前に行ってもらう」
モントクレイユ男爵の強い台詞が部屋に響いた。
「えっ?!私が?ですか?」
びっくりしたサブリナに男爵は、そうだ、と否はないと言った雰囲気満載で頷く。
いやいや、私はここで抱えている病人が多いから、しかも公爵家なんて!!さすがに無理無理!と言い返そうとしたところ、男爵が口を挟むことは許さないとばかりに続けた。
「依頼人はこの国の宰相でもある筆頭公爵家だ。しかも住み込みでの看護を希望されてる。こうなると貴族の礼儀やマナーが分かって出来る人間でないと難しい」
それに、と男爵は恐らく依頼の一番の重要部分であるだろうことを口にした。
「公爵家からは奥方の残された時間を、少しでも穏やかなものにしたい、と仰られ、ラファエル・ナーシング・ホームで一番の看護者を要望されている」
「お父様、看護の技術はもちろん一番だと自負してますが・・・えーと、貴族のマナーや礼儀は・・・お分かりのはずだわ」
ゴニョゴニョと断り言葉を婉曲的に呟いてみたが、二人はさらっと無視をした。
・・・うー、酷い!!
自分よりはるかにに大人な二人の大人気ない態度に腹が立つが、ここまで聞いて、サブリナに拒否権はないのだと悟る。
なぜなら、それまで穏やかな笑みを浮かべたまま話しを聞くだけだったマザー・アンヌが言ったからだ。
「サブリナの懸念は良く分かります。でも安心してください。貴女が抱えている病人達へは、シスター・ルイージと相談して、それぞれの看護者達へ割り振りますから」
そうですか・・・ありがとうございます・・・と悄然と答えながらも、頭の中はぐるぐる回る。
男爵家どころか、ほぼ庶民のような生活をしている自分に公爵夫人の看護が務まるのか・・・看護を手伝ってくれている商人の娘達の方がサブリナよりも遥かに貴族令嬢に見える。
それに、「宰相公爵家」という家格が自分の看護の足を引っ張るのではないか・・・、貴族ってドロドロしてるし虐められたら面倒くさい・・・などなど不安は尽きない。
そしてサブリナは一番の懸念を口にした。
「お父様、宰相公爵家ともなれば私自身の評判もご存知のはず。そんな人間がこの国の宰相家に出入りしてもよろしいのでしょうか」
モントクレイユ男爵もマザー・アンヌもその問いには、少し困ったような顔をした。
だがサブリナの父親は優しい笑みを浮かべると答えた。
「もう6年以上前のことだ。覚えているものなどおらんよ、サブリナ。それにさっきも言った通り、 宰相殿は一番の腕を持つ看護者を希望されている。このホームでサブリナ以外に誰がいるんだ?」
マザー・アンヌもニコニコしながら頷いている。
父親の自分への信頼を込めた言葉に、サブリナはすっと一呼吸すると覚悟を決めた。
病の前では人は誰しも平等だ。家格や階級や政治的権力は関係ない。
病に苦しむ人々が少しでも楽であるよう、自分らしく過ごせるように看護するべきだというのが、サブリナの揺るがない信念であり、ラファエル・ナーシング・ホームの根幹でもある。
宰相公爵家の奥方は確かにいま苦しんでいるのだろう。貴族の間では必ずしも評判の良くない自分達に、妻の余生の一端を託そうとしているのだから・・・。
そうであれば・・・サブリナは真っ直ぐに父親を見返すと、決然と答えた。
「かしこまりました、モントクレイユ男爵。私が参ります」
満足のいく返事に二人は笑みを浮かべ、サブリナは早くも準備のあれこれを考え始めていた。
修道院長であるマザー・アンヌはにこやかにサブリナ達を迎えると、椅子に座るよう言う。
シスター・ルイージが全員にハーブ・ティーをくばり終えたところでマザー・アンヌが口を開いた。
「サブリナ、この1ヶ月の活動についての報告は男爵様には先に済ませておきました」
「そうなんですね、ありがとうございます。マザー・アンヌ」
サブリナはお礼を述べると微笑みながら、彼女を見返した。
マザー・アンヌは父の古くからの友人だ。モンクレイユ家の医術や薬学の理念に賛同し、わざわざシスターになったときに、この修道院に来てくれたと聞いている。
サブリナにとってもマザー・アンヌは幼い頃から可愛がってくれる大切な人であり、今は「ラファエル・ナーシング・ホーム」を作り運営していくことに尽力してくれる大切な仲間でもある。
ひとしきり、マザー・アンヌとシスター・ルイージと一緒に幾つかの課題やそれに対する対処などを話し合ってから、サブリナは父親をチラリと見た。
最初から穏やかに自分たちの様子を見ているだけで、口を開かない。
そろそろ頃合いではないか、とサブリナは男爵を見た。
「それでお父様、今朝、仰っていたお話しをそろそろ聞かせていただけないでしょうか」
モントクレイユ男爵はうむ、と頷き横目でマザー・アンヌをチラリと見ると、彼女もその目線に応えるように頷き、シスター・ルイージを部屋から退出させた。
なんだろう?面倒な話じゃないと良いが・・・二人の普段と違う様子に不穏な空気を感じてサブリナはゴクリと唾を飲み込むと、父の言葉を待った。
モントクレイユ男爵は娘を見ると、やっと口を開いた。
「先日、私宛てに依頼が入った」
「ラファエル・ナーシング・ホームへのですか?」
サブリナの問いにモントクレイユ男爵は、そうだと答えた。
医術に長けた家柄ゆえ、父親のところには様々な依頼が来るのは知っている。だが、看護に関しては別だ。サブリナが作ったラファエル・ナーシング・ホームへの依頼は全て、自分宛てに来るようにしてある。
だが・・・父宛てに依頼が入ったということは・・・サブリナは嫌な予感で背筋に汗が伝うのを感じた。
なぜなら、高位の貴族ではないか、と思ったからだ。
高位の貴族だと、面倒くさい・・・いやいや病人に面倒もなにもないのだが、貴族を取り巻く環境がサブリナは嫌いだった。ドロドロ、ぐちゃぐちゃした悪意が渦巻いている、と言うのがサブリナの持論だ。
それを父の男爵や優しい母に言うと、いつも苦笑される。モントクレイユ家は、貴族らしさがない家であることは、全員が自覚しているからだ。
だから、社交界にもモントクレイユ家は滅多に顔を出さない。男爵夫人である母ですら、父と一緒に大きな薬草園を管理する忙しさを理由に、数々の夜会やお茶会を断りまくっているから、いつしかお誘いが掛からなくなっていた。
そう言う意味でも他の貴族達からは変わり者の男爵家だと思われている。
考えが逸れたが、サブリナは慌てて意識を目の前の二人に戻すと、あー、面倒、と思いながら自分から尋ねた。
「お父様、もしかして高位の貴族からですか?」
娘の勘の良さに父親はうっすら微笑んだ。
「そうだ、・・・ウィテカー公爵家からだ」
「!!!!!! ひぇーーー!!」
——ウィテカー公爵家——
思いもかけない、最上級位貴族の家名にサブリナは叫声を上げ、椅子から転がり落ちそうになった。
このセント・グローリア・アラゴン王国は王政だが、その下には貴族院がある。
貴族院は東西南北をそれぞれ治める4貴族と辺境伯を合わせ、五大貴族と呼ばれ国王を支えている。
ウィテカー公爵家は五大貴族の筆頭で、強大な力を誇示している家柄だ。公爵自身は王位継承権を放棄しているが現国王の王弟であり、国政を担う宰相でもある。
国王がおっとり穏やかな包容力のある気質なら、ウィテカー宰相は策謀と掌握に長けており裏で糸を引く人柄、この国の中枢を握っていると言われている。
にも関わらず、ウィテカー公爵が国の争乱の火種にならないのは、ウィテカー公爵も国王も兄弟仲はとても良いと言う、ひどくこのご時世としてはほのぼのした理由からだった。
それは、ともかくとして・・・サブリナは喘ぐように父に尋ねる。
「おっ!お父様っ!ウィテカー公爵家でご病気の方とはどなたでいらっしゃいますか?私は知りませんでした」
娘の質問に男爵は少し眉根を寄せた。ここまで、娘が貴族社会に興味がなかったとは思わなかったのだ。
「奥方だ、公爵夫人のディアラ様だよ。わりかし有名な話だが知らなかったかね?」
「・・・存じませんでしたわ」
父のチクリとした嫌味を肩を竦めて交わすと、マザー・アンヌをチラリと見る。仕事が忙しいから、と庇ってくれても良さそうだが、彼女は静かに微笑んで話を聞いてるだけで、助けてくれなさそうだ。
男爵は娘の気まずげな顔を見ながら、話しを続ける。
「一年ほど前から、公爵夫人が体調を崩されて、社交を全て控えている、というのはウィテカー宰相から発表されていたから、彼女が病の床にあることは周知の事実だった」
「そうでしたか・・・」
サブリナは父の話しを聞きながら頭の中で整理する。依頼の内容が分かった気がした。
「奥方様のご病状は思わしくないのですね?それで・・・お父様に連絡が来たと・・・」
父親は重々しく頷くと、そうだ、と肯定した。
「難しい病で、医術師からはもって半年と言われている。日々の世話にも、もっとも気を遣わなければならない局面だが、いくら公爵家の優秀な使用人でも、奥方の楽なようになかなか出来なくなってきているらしい。そこで当家に相談が来た」
「それは大変ですね・・・もちろん、ご依頼とあれば、誰か遣わしましょう。ね、マザー・アンヌ」
病人を思い、暗い顔をしながら、サブリナは誰が適任だろうかと、早くも頭の中で考える。マザー・アンヌは誰に白羽の矢を立てたかしら、とそこまで考えた時・・・
「その話しだがな・・・お前に行ってもらう」
モントクレイユ男爵の強い台詞が部屋に響いた。
「えっ?!私が?ですか?」
びっくりしたサブリナに男爵は、そうだ、と否はないと言った雰囲気満載で頷く。
いやいや、私はここで抱えている病人が多いから、しかも公爵家なんて!!さすがに無理無理!と言い返そうとしたところ、男爵が口を挟むことは許さないとばかりに続けた。
「依頼人はこの国の宰相でもある筆頭公爵家だ。しかも住み込みでの看護を希望されてる。こうなると貴族の礼儀やマナーが分かって出来る人間でないと難しい」
それに、と男爵は恐らく依頼の一番の重要部分であるだろうことを口にした。
「公爵家からは奥方の残された時間を、少しでも穏やかなものにしたい、と仰られ、ラファエル・ナーシング・ホームで一番の看護者を要望されている」
「お父様、看護の技術はもちろん一番だと自負してますが・・・えーと、貴族のマナーや礼儀は・・・お分かりのはずだわ」
ゴニョゴニョと断り言葉を婉曲的に呟いてみたが、二人はさらっと無視をした。
・・・うー、酷い!!
自分よりはるかにに大人な二人の大人気ない態度に腹が立つが、ここまで聞いて、サブリナに拒否権はないのだと悟る。
なぜなら、それまで穏やかな笑みを浮かべたまま話しを聞くだけだったマザー・アンヌが言ったからだ。
「サブリナの懸念は良く分かります。でも安心してください。貴女が抱えている病人達へは、シスター・ルイージと相談して、それぞれの看護者達へ割り振りますから」
そうですか・・・ありがとうございます・・・と悄然と答えながらも、頭の中はぐるぐる回る。
男爵家どころか、ほぼ庶民のような生活をしている自分に公爵夫人の看護が務まるのか・・・看護を手伝ってくれている商人の娘達の方がサブリナよりも遥かに貴族令嬢に見える。
それに、「宰相公爵家」という家格が自分の看護の足を引っ張るのではないか・・・、貴族ってドロドロしてるし虐められたら面倒くさい・・・などなど不安は尽きない。
そしてサブリナは一番の懸念を口にした。
「お父様、宰相公爵家ともなれば私自身の評判もご存知のはず。そんな人間がこの国の宰相家に出入りしてもよろしいのでしょうか」
モントクレイユ男爵もマザー・アンヌもその問いには、少し困ったような顔をした。
だがサブリナの父親は優しい笑みを浮かべると答えた。
「もう6年以上前のことだ。覚えているものなどおらんよ、サブリナ。それにさっきも言った通り、 宰相殿は一番の腕を持つ看護者を希望されている。このホームでサブリナ以外に誰がいるんだ?」
マザー・アンヌもニコニコしながら頷いている。
父親の自分への信頼を込めた言葉に、サブリナはすっと一呼吸すると覚悟を決めた。
病の前では人は誰しも平等だ。家格や階級や政治的権力は関係ない。
病に苦しむ人々が少しでも楽であるよう、自分らしく過ごせるように看護するべきだというのが、サブリナの揺るがない信念であり、ラファエル・ナーシング・ホームの根幹でもある。
宰相公爵家の奥方は確かにいま苦しんでいるのだろう。貴族の間では必ずしも評判の良くない自分達に、妻の余生の一端を託そうとしているのだから・・・。
そうであれば・・・サブリナは真っ直ぐに父親を見返すと、決然と答えた。
「かしこまりました、モントクレイユ男爵。私が参ります」
満足のいく返事に二人は笑みを浮かべ、サブリナは早くも準備のあれこれを考え始めていた。
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