地獄

四ノ瀬 了

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渚にて

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 潮が、凪いでおりました。天が血のように紅く染まる中白い砂浜を私は独りで歩いています。
「トーキョーの人?」
 私が振り向くと子ども、女の、子どもが一人立っていました。「そうだよ」と答えて屈みました。小学校中学年か高学年と言ったところでしょうか。この辺に家があるのか彼女は何も持たず、ワンピース一枚の姿で居ました。
「パパもトーキョーにいて、来週帰ってくるの。」
「そう、それは嬉しいね。」
「どんなとこ?パパはマキには会わない場所だよって言うの、じゃあなんでパパはずっとそんな場所に居るのかって聞くと、大人は仕事をしなきゃいけないから、厭でも行かなくちゃいけないって言うんだけど、そんなわけないよ、だって、みんなのパパやママはここで働いているんだから。」
「給料体系が違いますね。」
「キューリョータイケー?」
「簡単に言えば、東京の方がお金が稼げるということです。お嬢さんは、都会の鼠と田舎の鼠と言うお話を知っていますか、もし知らなければ、お母さんにでも頼めば教えてくれるでしょう。」
「お兄さんもお金がいっぱい貰えるからトーキョーにいるの?」
「……ああ、半分くらいはそうかな。」
「もう半分は?」
「お嬢さんが、大人になったらわかるよ。」

 私はそう言って子どもを振り切るように立ち上がり、再び歩き始めました。後ろを子どもが付いてきているのを感じながら、ゆっくりゆっくり、歩きます。今私の身体は紅く照らされています。

 私の出身は、ここのような、いやリゾートとしても売れない、しがない田舎です。国道沿いにチェーン店が立ち並び、休日にはイオンに行くような、田舎です。上京したのは、田舎では生きていけないと思ったからです。その結果が、今です。もしも私が親の意向通りに田舎に居たら、犯罪は犯さず、さっさと自殺していたのではないか、いや、自殺する気力すら起きず、案外、平穏無事な人生を送っていたかもしれませんね。公務員にでもなり、見合いをし、女性と結婚し、家族を作り、家を建て、子どもを作り、子育てをし、孫が生まれ、老後に自分の人生を味わいつくしたことを確信し、妻となった人と一緒に、死んでいくのです。

 しかし、私はそれを、幸せと、呼びません。
 私は今、幸せであり、不幸であり、その両方の上をたった独りで歩いています。

 人は、死ぬまで、独りです。
 たとえ、誰かと番おうと、独りで生まれて、独りで死んでゆくのです。

「ぁぁ゛……っ、ぁぁ」

 私が、隆起した雄鉾で速水を蹂躙している内、速水の身体のこわばりが段々と柔らかく、中から、ぬくくなっていくのを感じ、笑いました。更には闇に覆いかぶさると、彼の蕾が昼を迎えた睡蓮のようにぱらぱらぱらと、優しく濡れ閉じていきます。睡蓮は朝の限られた時間にしか、咲きません。昼には五分咲きとなり、夕方夜にかけてはきっちりと蕾を閉じてしまいます。ぬちぅ…!と淫な粘膜の擦れる音、肉と肉のこすれる音、私は速水の年齢にしては艶のある二の腕の辺りを抑えつけ、ず、ず、と蓮の蕾のその奥底、蜜の部分まで潜み潜り込んでいた邪蛇を引き出していくと、速水は自由を取り戻しつつある身体に力をいれ、私に手を回し「ぁ」と小さく啼いて蕾を締め、私の邪な雄、腰が重く震え、引いた腰を再び、彼の中に深く深く突きいれました。速水はまた堪えながら鳴き、そして、泣いていました。可哀そうと思いません、私はベッドのそばに備え付けられた鏡の方が気になってふと顔を彼から、逸らしました。私は、笑っていました。驚きながら、私は再び速水の方に戻り彼を貪ることに、したのです。それが、善太郎さんの望みでもありますから、私が貪ればむさぼる程、善太郎さんも、お悦びになる。速水の涙を親指で拭ってやると彼は不快気に眉を顰めましたが、勢い良く突けば、簡単にその威勢など壊れるのでした。

「……いいだろう。」

 私の口は、そのようなことを口走っていました。速水は何か言いかけましたが、私がストロークを強めに打ち込めば、何もしゃべれなくなり、「い゛……っ、ひ、」、とさえ、口走りかけ、ハッとした表情を私に、見せ、悔し泣きに震えていました。そう、「いい」と言いかけたのですよ。口に出さずとも、途中から震えて、勃起して、喘いで、ベッドの上のシーツをぐしゃぐしゃにしてのたうって、私に腕をかけさえしているのだからね。その時、今まで見物していた善太郎さんが満足した顔をしたまま部屋から出ていくのが見えました。私は一層速水に覆いかぶさり、熟れた蜜壺のその最奥まで彼を、貫きました。私も、ふぅ、と思わず息をつきました、はちみつような香りが漂います。肉棒の先端を速水の蓮花の奥の奥が吸引口がもう一つそこに在るかのように絡みついて、離さず、速水はぶるぶる震えて、う゛っ、と太い声を出しながら、貫かれた體、その股座で何もない空間を貫いている己の一物から汁を垂らし、はちみつのような香りが一層部屋に濃く漂い私は彼の頭の両サイドに腕をついて顔を近づけ、もし善太郎さんが居たとしても聞こえない程の声量で彼に声をかけました。彼は貫かれたまま、横に向けていた視線を、ゆっくりと私の方へ向け、その黒目は、焦点をやや失い、震えていました。普段社会に理性的な顔しか見せていないだろう彼だからこそ、ベッドでは乱れがちなのだ。

「ねぇ、先生、今、良いと言いかけただろう。俺のがいいと、ねぇ……。実際いいんだろ。お前の彼氏の短小ゴミペニスよりも全然見ず知らずの俺のチンポの方がたまんねぇんだろ、な……、ふふふ、おい、今、身体で返事したな、お前。わっかりやすいね、先生、だから、いいよ、口では黙ってて。わかるから、いや、こっちのほうがいいか?うるせぇから、黙って肉便器してろ屑医者が。黙ってたってわかんだからナぁ、あ、ほら、また感じたのだろう。」
 
 私は彼に顔を近づけたまま、腰をぐりぐりと動かし始めることにしました。
 また、せんせいの息があがってきています。

「彼氏じゃなく、俺のが、そぉんなに、いいんですねぇ……。先生、先生は頭はよくっても、チンポは自分の彼氏を簡っ単に裏切っちまう程には糞馬鹿だし、マンコも糞馬鹿感度なんですねえ……最悪ですね、ああ、イイ?、そりゃあ、良かった、だって、先生の良い部分、簡単なんですからね、こんな簡単なマンコも攻略できない先生の彼氏って先生以上に、カス、なんじゃないですかぁ~?へぇ~、こうなると、一体お前の彼氏の一物がどんなもんか、気になってきましたよ。写真とか、ねぇのかよ?無いですか?あ、そう、そいつは残念、じゃ~~↑あ~~↓ここに呼んでチンポ比べでも、しますかァ?あ?舞阪からお前の家にでも電話かけてもらうんですよ、お前が倒れたから迎えに来いってよォ、で、お前は彼氏のじゃなく、俺ので噴くんだよ、想像してみろ。俺のなんか普通、特別特殊なもんじゃないっていうのに、俺の方がいいってことは、お前普段ベッドでは相当不満なのでしょう。毎晩毎晩さぞ、ストレスでしょうね。でも、他はいいから、言えない。彼氏だからこそ、言えない。可哀そうなせんせい……、溜まってるんだろ?だから、出せ、出しちまえよ、なぁ……淫乱な面して。彼氏の前でもそういう顔すんのかよ?いや、お前の彼氏の短小じゃ、お前をこんな顔にさせられないよなァ、いいよ、いい、ここで思う存分気持ちよくなって帰れよ。これは舞阪さんからお前への、彼なりのプレゼントのつもりなんでしょうからね。ひねくれてるんだから。だから、存分に堪能して行けよ……我慢せず、そう、そのまま無様にイキゃあいいんだよ…‥、笑ってやりますからね。帰ったらしばらくまた欲求不満になるでしょう、だからさ、もし東京に帰ってから欲しくてたまらくなったら、いつでも電話しな、ああ、もちろん俺じゃなく、舞坂さんに電話するんだぜ、欲しいって、俺の身体は今、彼の物だからな。」

 速水先生の下のお世話の後は、別の仕事が待っていました。

 いよいよ、舞阪さんは、沖に復讐する気でいるのです。少し二人きりになりたい、後で呼ぶ、というので、私は一度お役御免となって、身なりを整え、この避暑地のビーチを歩いていたというわけです。

「俺の後なんか、ついて来るな。」

 私は子どもを振り返りましたが、そこには誰もおらずただ、私の影がどす黒く長く長く、伸びているだけでした。
 私は咄嗟に辺りを見渡しました。誰もいません、隠れられる場所も、ありそうもないのでした。
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