堕ちる犬

四ノ瀬 了

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やっぱりお前の本質はド変態のドマゾ野郎だな。

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「警官がヤクやってすげぇ声出してガンギマリしてんだ。ざまあないな。」

組員たちが帰り支度をしながら、霧野の周囲に集まっていた。
霧野は自分一人発情が治まらず勃起を続け、汗ばんだ身体の穴という穴から精液を垂れ流し、床に身を横たえていた。流れ出た精液が絨毯に染みを作る。

身体の昂りがとまらず、周りの声がまだ歪んで聞こえる。視界が二三重に見えて、歪んでいた。空気が身体を擦るだけで、いやらしい気持ちが膨らむ。あれだけ犯されつくしたというのに。
はへはへと舌を出して呼吸をしているこれが、自分だとは情けない。

軽度な薬物であれば、組織の仲間に勧められて全く断るわけにも行かず5回に1回程度は軽度であればいれるか、いれるふりをしてやり過ごしていた。

しかし、こんなにキクものはなく、使い続ければ確実に心身ともにやられて、自分じゃなくなってしまう。こんなものを無理矢理摂取させられ続けたら完全に奴らの奴隷だ。

「薬漬けにして、薬欲しさに自ら身体を差し出すように調教してやろう。」
「早くこいつを事務所に設置して、皆で使えるようにしようぜ。」
「おい、マゾホモ警官。良かったぜまた掘ってやるから楽しみしとけよ。毎日マンコを使えるよう準備しておけよ。」

「……るさい……」

美里は彼がかなり小さな震えた声で「うるさい」と言ったのを聞き、「安堵感」と「嗜虐心」を煽られ今すぐにでも激しい暴行を加えたくなったが、静かに黙っていた。自分が今それをやると他の者が追従してもう一戦始まってしまう。川名が与えた薬は中でもまだ薄いほうだ。キメ続ければ効かなくなり、もっと濃度の高いものをキメるようになってくる。素人に最初から強濃度の物を打てば、一瞬で脳が破壊され人間ではなくなる。

蹴られ殴られた跡が痛々しく残っていたが、途中から彼はそれさえも感じはじめ、殴られても萎えることなく余計に惨めにペニスを怒張させていた。

美里は冷めた目で彼を見下ろしながら、「おい、いつまで寝てんだよ?帰るぞ。」と静かに怒声を浴びせ、軽く腹部を蹴り上げた。いつもであれば渋々といったように起きてくるのに、うずくまったまま惨めに震えている。軽く舌打ちをしてから、組員たちから離れて立っていた川名の方を見た。

「川名さん、コレどうします?こんな汚いもんアンタと一緒の車に乗せられないすよ。」
川名は美里と霧野の方に近づいてきて床に這いつくばっている生き物を見降ろした。

「こんな物、人ではなく荷物としてパッキングして車の荷物置きにでも乗せればいい。しかし、この淫乱警官はまだまだ射精したりないみたいだな。キッチリ縛り上げて感じさせてやれ。薬の効果もまだ残っているだろ。」
「……わかりました。準備するんで、待っててください。」

他の者が消えていき、霧野と美里のふたりだけが薄暗くなった広間に残された。
美里は手早く手首足首を拘束した上、尚且つ拘束テープで腕と身体膝同士を接着させた。

美里の指が霧野の体を這う度に、彼の身体は軽くはね、普段より随分甘ったるい声を出していた。拘束を嵌められると余計に気持ちがいいのか、息を荒らげ始めた。
その顔にはいつもの険のある様子はなく、眉を下げ目をうるませ舌を出して、求めるように喘いでいた。

「おい、なんだこの痴態は……。しっかりしないか。」
美里は声の昂る心を抑えきれず軽く震えていたが、今の思考力や状況把握力が著しく低下した霧野にはその声ひとつひとつが快楽となってさらに身を震わせた。

「理性がなくなったおかげで本性をあらわしたな。縛り上げられて普段以上にアヘってるぞ。やっぱりお前の本質はド変態のドマゾ野郎だな。」
「……ちがう、……ちがう」
「何が違うんだ。」
蚊の鳴くような声可愛らしい声が漂っていた。



美里が運転する車の背後から凄まじい吐息交じりの呻き声と適度な振動が伝わってくる。
荷物置きに置くといっていたが、実際はそんな場所には置かれず、川名と二条の足元に置かれることになった。

手首、足首、口を塞ぐことはもちろん、身動きが取れないように、拘束テープで腕と身体、膝同士も接着したうえで死体袋に仕舞い、その上からさらに縄で縛っておいた。拘束具や縄が食い込むと敏感な皮膚が感じ、それだけで発情するだろう。

死体袋を川名と二条が上からぐりぐりと踏みしだいていた。時に股間や乳首などの性感帯を嗜虐的に踏み、明らかに官能的な口惜しそうな声を出し、社内の空気を和ませた。薬がキマっているせいで普段のどう猛さが軽減された甘い声を出し続けた。

「こんなふうに足で踏まれて感じているのか?とんでもないマゾだな。理性が外れたせいで余計に地がでたな。お前がそんな奴だったとは、面白い。」

「遥、お前は天性のマゾだ。誇っていいぞ、俺との相性が抜群だからな。美里、もう二、三周程度迂回しろ。」

思わずため息が出る。まただ。とっくに、川名や二条の家の付近まで来ているというのに、ふたりが楽しみにあけくれ全く降りてくれないのである。似鳥は満足してとっくに帰っていったというのに。

霧野は拘束された肢体を必死に蠢かせていたが、薬が程よく周りつくし、全身が自分の身体ではないように熱くほてり、すべての感覚が快楽に変換させられ頭を性のことでいっぱいにしてよがり狂っていた。死体袋につつまれているおかげで、その無様な姿を誰にも見られないことが、彼のよがりを加速させ、信じられない無様な醜態を一人晒していた。

そうしてよがっていると、一人分の重みがどいた。川名が、車を降りたのだ。物足りなさに余計に身体がビクビクと発情した。
 
「んん……、うぅ……!!」
「ふーん、もっと踏んで欲しいのか?薬をキメるとお前は随分素直になるな。可愛いじゃねぇか。組長に頼んで薬漬け性奴隷にさせてやろうか?その方がお前も何も考えなくてよくなり、ハッピーだろ。」

上から二条の声が下りてきてその声すら耳に心地が良く、もっとふんでほしいという感情以外何もなくなってしまった。完全に理性がなくなってくる。

美里はじっとバックミラーを見据えて二条を自分のできる範囲で威圧したが、美里がそうすることも二条は予見していたように、こちらを見て微笑んでいた。そして、意外なことを言った。

「地下に運ばず、ホテルかどこかに泊まり、コイツの身体を洗ってやれ。組長には俺から言っておくから。」

「ホテルですか。」

「中が酷いし、薬キメたあとだ、ラリったまま放置して、あそこの壁や床に頭を打ち付け自殺などされても困る。たまにそういう馬鹿がいるんだよ。水をしっかり飲ませ、体調管理もしてやれ。……一応釘をさしておくが、妙なことは考えるなよ?」

二条が降り、車を走らせた。時間は最早3時を周り空いているホテルといえばラブホテルくらいだ。
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