堕ちる犬

四ノ瀬 了

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この方がよく味わえて、俺の精液の味も覚えられるだろ。

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雨が一層強く降り、パチンコ玉でいっぱいになった籠を蹴とばした時のような音が続いている。少し前までは遠くから雨を避けてはしゃぐような人々の声が聞こえていたが、今は水の音だけだ。

近くのパーキングに車を止め、運転席に深く座り込んだまま、一度事務所に傘をとりに行くか、近くのコンビニまで走って傘を買いに行くか考えていた。運転席の窓を大量に流れ落ちる水で周りの景色が歪んで見える。ずっとこのままここにいると眠ってしまいそうだ。それはそれでいいような気がした。

突然助手席の扉が開き反射的に身体を起こし、ジャケットの中に手を突っ込んだ。
空いた扉の向こうにずぶ濡れの深緑をしたレインコートに全身を包み、顔半分を黒いネックウォーマーで覆い目だけ出した人物が立っていた。
「傘が無いんだろ。」
折り畳み傘が二本助手席に転がった。美里はそれを手に取らず、彼の方を目をしかめてじっと見ていた。
彼は目だけで笑って、傘を再びとると自分の懐に入れてしまう。
「あ、そう。使わないんならいいよ。惨めに濡れそぼって風邪をひいたらいい。」
「……」
彼はネックウォーマーを降ろした。顔つきがあまりに好青年風で一瞬わからなかったが、間宮だった。
わん!わん!と足元で跳ね回る黄色の塊があり、黄色の犬用レインコートを着せられたノアが間宮に飛びついていた。
「いい加減、銃から手を離したら。そんなに俺が不信かい。」
美里はゆっくり懐から手を出し、席にもたれかかってだるそうに間宮の方を見た。
「不信だね。なんだ?そのださい恰好。馬鹿なんじゃねぇの。」

間宮があからさまに美里を馬鹿にするような笑顔を見せ、眉をひそめた。
「天気予報を見もせず、傘を一本も用意せず上司の送り迎えする方が馬鹿だと思うけど?そんなぬるい態度で何故制裁されないのか不思議で仕方がない。お前はコネでそんな地位にいるかもしれないが、一般社会だったら底辺確定の輩だということを自ら証明していくよな。すげぇよ。この厳つい車は自分の虚弱さを隠すための飾りか?」
「お前……」
美里が身を乗り出そうとすると、間宮は両手をあげそれを制止する。
手までぴっちりと防水性の厚い手袋で覆われていた。まるで何かが自分の方に何かが飛び散ってもいいように。

「まあいいや。別に喧嘩しに来たわけじゃないし。ノアが寒そうだから送っていってやってくれないかな。もしくは一緒に連れて行ってやってよ。店の裏口からいれてくれるだろう。俺はこの後小さい仕事が一件あってそれでアガリなんだ。ついでに散歩させてやる予定だったけどここまで酷い雨じゃちょっとね。」

間宮はその場に屈みこむと美里の返事も聞かずにノアのレインコートを脱がし、タオルで体と手足を軽くふいてから助手席の方に飛び乗らせた。ノアにのしかかられて、もたもたしている間に間宮は助手席のドアをゆっくりと閉めようとする。
「おい、良いなんて言ってないぞ」
僅かに開いたドアの隙間から彼の笑った瞳が覗いていた。
「じゃ、よろしく」
ドアが優しくしめられ雨音とノアの呼吸音で車内が満たされる。ノアを落ち着かせ、助手席に座らせると座席の下に畳まれたノアのレインコートと折り畳み傘が一本置いてあった。

イラついて仕方がなかったが、さらに五分ほど車の中で気を静めてから、ノアにレインコートを着なおさせる。
その時一瞬ノアの身体から煙草と血液と土のような臭いがした。
そのあどけない顔つきの奥にならんだ大量の鋭い歯で、人間を噛み殺すのは簡単だ。
ノアの口元を押し上げるようにして歯の様子を見る。ほとんど成犬だが48本全ての歯が生え揃っているかは怪しい。
一番奥の歯に布の切れ端のようなものが挟まっており引っ張り出すと茶色のしみの着いた靴下の繊維のようだった。ノアの前に飼われていたアスモは1年ほど前に彼と入れ替るようにして死んだ。
彼も構成員の一員として優秀だったことを思い出す。追跡、脅し、殺戮、死体処理、そして愛玩動物としての奉仕。
川名は組織が殺害した人間の一部をアスモに与えて文字通り犬に食わせて愉しんでいた。そのくらいのことは平気でやる男だ。

傘を手に外に出た。雨に濡れるのが珍しいのかノアがはしゃぐせいで水が跳ね服を汚し、小さな折り畳み傘では無いよりはましだが身体の半分がびしょ濡れになった。
雨が酷いせいネオンが滲んでいるのに人っ子一人おらず、世界に自分一人だけになったような気分だった。
店の裏口に回って従業員用の出口を開けると、訳知り顔の店員が中に入れてくれた。

奥に通されると中は既に盛り上がりを見せており、自分の席も用意されていたが騒ぎに加わる気も起きない。自分の座るべき席の前、霧野の席が空席だが彼が1人でどこかに行けることは有り得ず、大方今何をさせられているのか想像がつき、生あくびがでてきた。

ノアを連れて部屋の奥のカウンタースペースに座った。ノアは視界の端に川名の姿をとらえたおかげか、おとなしく床に臥せって舌を出した。雨に濡れたせいもあり身体が気怠い。
濡れた髪の端や顔を伝って雨水が服や床にぽつぽつと垂れていた。

カウンターの上に複数個ひっくり返されておかれていたグラスをひとつ手に取る。
氷も用意されており、いくらかグラスの中に落としてから奥からウィスキーの瓶をとって注いだ。
一気に喉に流し込むと身体に付き纏うプールの後のような気だるさが多少はましになる。

「あっちにはいかないのかい」
似鳥がソファの上から話しかけてきた。振りかえって口を開く。
「ちょっと落ち着いてからいきます。俺もあんまり食欲がないし。」
俺「も」と言ってしまってから、何を霧野に感情移入しているんだろうかと不快な気分になってくる。よほど怖い顔をしていたのか似鳥が口パクで「おお、こわ」と言って視線を元に戻した。



「なかなかうまいじゃないか、霧野。お前は何でもそつなくこなすからな。よく俺に振られるはずの仕事を巻きとっていたもんな。」

頭の上で久瀬の淡々とした声が聞こえてくる。
なぜこんな男の物を舐め、咥えなければいけないのだろうと気持ちの悪さと屈辱感で頭がいっぱいだったが、想像より早く口の中で大きく怒張してくれるため、早く済ませるために馬鹿に丁寧にそれを扱って口に含んでいた。 

「下ばっかり見てないで、顔を見せてみろよ。」
顔を掴まれあげさせられそうになるのが、どうしても嫌で肉棒をさらに喉の奥の方に押し込む。強い性の臭いが鼻をつき、喉の奥から何かがせりあがりかけ、呼吸が荒くなる。
呼吸が荒くなると余計に性の臭いが身体の中にとりこまれていき、不快な、妙な気分になってくる。

「へぇ、そんなに俺のちんぽに夢中か。ありがたいことだね。お前も少しは気持ちよくなっていいぞ。」
排泄器官から身体に埋め込まれた機械が軽く音を立てて振動し始めた。
「う……っ、………。」
緩い刺激が一定の振動で確実に秘所をつき、体を拡張された痛みと緩い快楽が下半身に広がり始める。
「お前の息がさっきからくすぐったいんだよ。何ちんぽ咥えて気分出してるんだ?ホモ野郎。」

久瀬の手が霧野の口から自身の怒張し霧野の唾液で濡れそぼったペニスを無理に引き出す。霧野は顔をつかまれ、いきり立ち青筋をたてた一物をすぐ目の前に見せつけられた。その背後に久瀬の嗜虐的な笑みが見えた。三白眼気味の瞳の中で瞳孔が開いている。
はぁはぁと解放された口で呼吸をすると唾液が椅子の上までこぼれ落ちてつたった。

「お前の今の顔を鏡で見せてやりたいな。」
「……」
「どうした?普段のご鞭撻は。なにか言い返してみたらどうだ。それとも早くこれでそのいやらしい口を塞いで欲しくて言葉を思考する余裕もないか。」

思考するな、と誰かの声が聞こえたような気がした。が、まだ回ってしまう頭が勝手に言葉を話し始めた。
「……奥さんと子どもにはこのこと、どう説明するんだ?、同僚とほもって、子種をぶちまけさせられました、とでも?長男の、典明くんは、そんなお父さんのこと、どう思うんだろうな、それを考えると、こうしているのも、悪い気がしないな……」

久瀬の骨ばった左手の薬指には銀の指輪が光っていた。久瀬は一瞬だけ霧野から目を背け、何かを考えるように天井の方を見てから、冷めた目で見降ろした。

「お前はこんなにされてもまだそういうところが治らないのか。俺が愚痴るとお前はすぐにもっと言い返したらいいなどと非生産的な答えを返してきたが、地でそれをやっていたお前はこのザマだ。本当に救えない男だよ。馬鹿だな霧野、お前がそんなに望むなら組長に許可を貰って俺と典明とお前で3Pしてやろう。もちろんお前はぶち込まれる側だがな。妻にはその様子を見ていてもらってもいい。ああ、ミクに俺らよりデカいペニバンつけさせてやってお前を際限なく一日中掘らせてもいいな。アイツはそういうのも好みだから。ほら、またそのデカい口を塞いでやるから少し頭を冷やせよ。」

再び口内に肉棒が侵入し中をこすり始める。教え込まれた恐怖に身体がそれに噛みつくことを許さない。
今、地震が起きてくれないだろうかと思った。そうすれば勝手に口がしまって誤ってペニスを噛み切ってしまっても殺されることはないだろう。

「えらそうなこといっておいて歯も立てずに随分美味そうにしゃぶるじゃないか。んっ……たまらないな。今度から妻とできないときはお前に突っこむことにするよ。口は悪いが中は絶品だ。ご褒美をくれてやる。」

身体の中の振動が大きくなり、前と後ろから肉体を犯される感覚が強くなる。自分の息が上がり、椅子に掛けていた手や跪いている足に力が入り始めた。喉の奥からくぐもった声が漏れ出、もっと刺激を求めるように腰が軽く動いてしまう。

「そんなにご褒美もらえて嬉しいか、よかったな。……そろそろ中に、出してやる。感謝して受け止めな。」

頬と喉の肉に一層強く肉棒が押し当てられ、熱い液体が断続的に口の中に吐き出されていく。
肉棒がずるりと引き抜かれるのと同時に口の中に指が入ってきて、口内に無理やり何かやわらかい物体を押し込まれてから口を押えられる。それはここ数日は味わったことのない肉の味だった。一瞬だけおいしいと思ってしまうがすぐさま口内の穢れた液や臭いがそれを打ち消し、異常な味覚に吐き気がしてくる。

「こら、吐くんじゃない。せっかく俺の残飯をお前のような犬に与えてやってるんだ。お腹を空かせてきたらしいじゃないか。だったらもっと喜んで嚥下しろ。この方がよく味わえて、俺の精液の味も覚えられるだろ。」

余り噛まないようにして中の物を飲み込むと、再び口の中に指を入れられ中をじっとりと点検された。

「よしよし、ちゃんと飲み込んだな。じゃあ次はお向かいの竜胆りんどうのところにこのまま這っていけ。……おい、竜胆」

久瀬は顔をあげ、向かいに座る竜胆を見据え、遠隔リモコンのスイッチを切ってから投げ渡した。竜胆はそれを片手でキャッチしてから、テーブルの下をのぞき込んだ。

「ハルちゃん、早くこっちに来な。あと六人分あるんだからさァ、そんなゆっくりしてたら朝になっちゃうぞ。ま、俺らより下っ端連中がハルちゃんと遊べなくても俺は別にいいけど、それだと君が組長に怒られちゃうんじゃないの?それとも久瀬のチンポが美味しくてなついちゃったか?俺にもなつかせてやるからこっち来いよ。」

久瀬と竜胆はほぼ同期の幹部で、霧野と美里のように久瀬と竜胆で一緒に行動していることが多かった。

久瀬がブレーキ、竜胆がアクセルのような役割をしている。見た目だけでいえば、竜胆の方が軽い長髪の優男で派手な服装を好み今日も白スーツを着ていた。久瀬の方は神経質な顔をして前髪を分け、尚且つこれから葬式に出るようなダークスーツばかり好んで着ていた。

竜胆がこの場に来ているのはキツかった。久瀬とはこうなる前からまだ話ができていたが、竜胆と会話する場合、あまりにも下品で喜怒哀楽が激しく必ず不快な思いをさせられてきた。問題なのは彼に悪意がある訳では無いということだ。彼は人と仲良くするためにそういった手段をとろうとしているだけで、怒るにも怒ることが出来なかった。

今日の席順は霧野と美里の方が上座だが、力関係としては肩書きが彼らの方があるため同等か少し上であるが、実際のところは仕事の出来により川名の直属になる霧野より評価が上がったり下がったりしていた。彼らの方が霧野より年は上であったが、敬語混じりの態度で接するような関係性だ。
川名や二条の周辺の隣席は、彼らが用のある人物、幹部、霧野や美里のような川名直属の人物の誰かがその都度占める。

今日ここにいる幹部はそれだけで、他はそれ以下の構成員だ。本来なら高級料理店に呼ばれるような存在ではない二条の配下の諜報部の末端構成員らしき人間が幾人か見え、まだ限られた人間にしか自分の情報が公表されていないことがわかる。

霧野は身体を久瀬から離しテーブルの下をそのままくぐり文字通り這って反対側の竜胆の足元に向かった。
頭の上ではいつも通りの飲食や会話が行われており、自分がここにいる不自然さを誰も指摘しないことが心にこたえてくる。

竜胆は足元にやってきた霧野を確認すると、椅子の上で身をかがめ笑顔で霧野の方をじっと見つめ無遠慮に頭を撫で始め、霧野のシャツのボタンに手をかけた。ボタンが3つほど外されると痣のできた身体が露出する。

「あはは、本当に犬みたい。可愛いよハルちゃん。久瀬なんかのチンポ咥えさせられて可哀そうに。アイツ既婚者なのによくも手を上げたよね。あれでお前のこと結構尊敬してたんだから許してやってね。」
竜胆は身を引くと、細身のベルトに手をかけ準備を始めた。

「ハルちゃんがこんなことになると聞いてからねぇ、俺はどうやってハルちゃんを制裁してあげようかとずっと考えていたんだよ。美里や二条さんはハルちゃんが身を落としてもをなんやかんや可愛がってくれてるだろう。」

さっきから、竜胆のスマートな外見に似合わないすさまじい性の臭いや男くさい体臭が鼻をつき、思わず顔を伏せ鼻と口に手を当てた。

「そうそう、久瀬は優しいからここに来る前にも丁寧にお風呂に入ってきたっていってたよ。まだハルちゃんのことを敬う気持ちが少しは残っているのかもね。俺はとにかくアンタにキツイ思いをさせられれば満足なんだよ。ハルちゃんのためにここ三日は女も抱かず、オナニーもせず、まともに下半身を洗ってないんだ。ほめてくれてもいいよ。全部ハルちゃんのためにやったことなんだからね。入念に舐めてキレイにしてほしいな。」

露出しているペニスにはさっきまでの久瀬のような清潔さはなく、今まで見たどの肉棒よりも恥垢に塗れ、強い臭いをはなち、もっと言えば似鳥のソレよりも拒否反応を示すような代物だった。
「……」
「おい、はやくしろよ霧野。なにもたついてるの?組長に言ってヤキいれさせてやろうか。七本どころかお前の正体を知ってる末端組員全員呼んで上と下からくわえさせてやるよ。」
竜胆は顔から笑顔を消して霧野から川名の方に顔を向けようとする。

「わかった、やる、やるから……」
椅子に手をつき、顔を股に近づけるとあまりのことに身体がいつも以上に拒絶反応を示し、嘔吐きそうになり、目の端に涙が溜まった。
「ふふ、もう無理そうな顔してるじゃないすか……アンタがそんな顔するとはね……。その可愛さに免じて手伝ってやりますよ。」

上から感極まったような竜胆の声が降ってくる。
唇に肉棒の先端を押し付けられ、鼻をつままれる。微かに開いた口にねじ込まれるようにしてキツイ雄臭を放つグロテスクな肉塊が入ってくる。味覚器官に少しでも触れると喉の奥から吐息と共に途切れ途切れに嗚咽のような声が混ざってしまう。

「う゛っ……、ふ……、ぅ」
「泣くほどいいの?そりゃあ嬉しいな!」

鼻を掴んでいた手が離れ頭を後ろから抱えられるようにして中に一気にそれが突き入れられた。
反射的に身を引いてしまうがガッチリと両手で頭を押さえつけられ口内を汚物で蹂躙される。口の中に今まで以上に大量のよだれが溜まっていき、半分が椅子の上にこぼれ落ち、半分が喉の奥に汚物と一緒に流れていく。
呼吸をする度に脳が直接犯され、あまりの衝撃に焦点が合わなくなってくる。

「もっと舌を動かさないと綺麗にならないよ。……。おい、聞いてんのか?全然舌が動いてねぇじゃねぇか!お前がどんなに嫌がろうと全部綺麗に舐めとるまで終わらせねぇからな。」

ドスの効いた声が響き、片方の手が頭から外れた。少ししてからカチカチと頭の上で音がして、性の匂いの上に煙草の匂いが上書きされていく。

「おい、竜胆。あんまり酷いことをするなよ。」

久瀬がそう言うと竜胆は目を丸くして久瀬を真正面から見つめ、タバコの煙を大きく吐き出すと、それから肩を揺らし声を上げて笑い始めた。

「何言ってんだ?もしかしてあんまり酷いことをするなよ、とか言ったか?聞き間違いかな?」
「その通り言ったさ。聞き間違いじゃない。」

「お前もコイツに尺八させた癖に、どの口がそんなこと言えんだよ。妻子持ちのくせにしゃしゃり出てこんな場にまで来やがって、お前がどれだけコイツにお熱だったか知らねぇけど、お前に俺を止める権利はねぇよ。」

「なんだと?お熱だ?てめぇこそなんだ?さっきの気持ちわりぃ発言は。変態じゃねぇか。身体くらい洗ってこいよ。てめぇのやってることは偏執狂のストーカーがゴミ漁ってんのと同じなんだよ。お前こそ立て込んでた仕事の予定を繰り上げてわざわざここに来てるじゃねぇか。どれだけそいつを影から偏愛してたんだ?え?真底気持ちわりぃ野郎だな。」

「また難しい言葉をつかってえらぶるんじゃねぇよ」

上で次々と口論が繰り広げられている間に多少は口内の惨事に慣れてくる。

時々竜胆が口論中に感極まって頭を押え付ける強さが強くなり、その度に声が出る。しかし、久瀬も竜胆も自分たちの沽券を守る戦いに夢中になって霧野に構わず口喧嘩を続けるのだ。

口論の節々で川名と二条の笑い声が聞こえた。どちらかがまるでキャットファイトだなと言った。

呼吸を出来るだけしないようにしながら大量の唾液を飲尿する時と同じように喉の中に流し込むか口の端から外に出した。
美里に言われた通りのやり方だった。たまに喉の奥で咳き込むと強く酸素を吸いこもうとするために凄まじい雄の匂いが爆発し、何も考えることが出来なくなる。

ようやく舌を這わせることができるようになり、口を動かしていると中のものがいよいよ怒張しはじめた。

存在を無視され、散々臭いと汚物で器官と脳を犯され、さっきまで動いていた体を穿つ機械の肉棒が動かずしんとしているため、身体が求めるように静止した機械を締め付け始めた。
久瀬が罵っていた中で出た気分のようなものが出始めてしまい、最悪な気分になりつつ期待と高まりが止まらない。

気がつくと上の口論が納まっており、タバコを吸い終えた竜胆を軽く紅潮させてぼーっとした目でこちらを見下げていた。

「うまいじゃないか、そんなに俺のチンカス舐めさせられんの良かった?こんなんされてギンギンに勃起して。本当に可愛い人だな。ん……、ああそうだ忘れてたな、こんなものつけてやる気無かったけど、いいよ、そんな顔されたらね、欲しいんだろこれが。ほら、やるよ。」

身体の中のものが最初から凄まじい振動で動き出し、身体が二三度大きく痙攣してしまう。そのまま強く椅子を掴みながら刺激に耐えていると、再び両手で頭を抱え込まれペニスを押し込まれた。

「あ゛…!」
「なんだ?ハルちゃんモロ感じゃん。こりゃあちんぽケツに突っ込んでやる時も期待大だね。もうちょっとで出そうなんだ、こっちにも集中してよ。出したら切ってあげるからさ。」
「ん゛ん゛……っ、」

何も考えず舌を必死に動かしているだけだったが、それでも竜胆は良いらしく気持ちよさそうな顔をしてこちらに微笑みかけていた。首筋に薄らと汗をかいている。

「イク、イきそう…っ、あ………っ、あー…!」

強く頭を押さえつけれそのまま酷い味のする濃くどろどろとした精液が口内にべったりと張り付いた。そのまま尻を機械で強く犯され続け、目がチカチカし、裏返りそうな衝撃的な刺激に身体の震えが止まらなくなる。

「ハルちゃん、もう舌動かさなくていい、しゃぶったまま自分のチンポ弄ってイっていいよ。ご褒美だよ。」
吐息混じりの疲れた竜胆の声が降ってきて、それから革靴でパンツの上から股間を軽く踏まれる。

「早くしごきなよ。それとも俺の革靴の底でゴリゴリされたい?どっちでもいいよ。」

霧野は震える手で自分のペニスを露出させ、しごき始めた。全身が汗に濡れ、すぐに陰茎が湿り気を帯びて匂いを出し始めた。もはや自分に張りついた臭いがなんなのかわからない。

「あはは、盛りのついた犬みたい。ほんと可愛いな~。俺のチンポの臭い嗅ぎながらイケ!、俺が近くに来たら臭いで即勃起するように調教してやるよ。」

床に精液がとびちり手の中に熱い液体が流れ伝った。その瞬間に身体の中のものの動きが止まり、口から粘ついた一物が引き抜かれた。
イッて気持ちが良かったが、その気持ちよさと共に涙がボロボロこぼれ出気持ちよさから来る涙なのか絶望から来る涙なのか顔も頭の中もグチャグチャになってしまう。

「そんなに泣かないでよ、良かっただろ?……おい久瀬、どうだ?霧野は俺の前で射精までして見せたぞ。てめぇのやり方がぬりぃんだよ。」

呼吸を整えながら、ペニスをしまい、床に手を着いて頭を垂れていた。これでまだ二人目だということに絶望するが、あとは雑魚だ大丈夫だと言い聞かせながら、床を這った。
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