堕ちる犬

四ノ瀬 了

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オナホの分際で言葉を話すなよ。

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モニターの中で女が後ろから尻を突かれて喘いでいる。二輪挿した。
間宮は自分の物をしごきながらその様子を見ていたが、モニターの中で男優が射精するより先に射精し、ティッシュを汚した。その時携帯が鳴り、慌てて手に取ると二条からであった。身体を針で突かれたような感覚が走り、呼吸を整えてから通話ボタンを押す。

「……はい、間宮です。」
「……お前今何してた?」
電話越しの二条の声の背後から誰か、男の呻く声が聞こえた。
「……。霧野さんの部屋調べてました。まだ何かあるかと。」
「そうか、他にまだ何か面白いものあったら持って帰ってこい。」
「はい、もう少しあさったら戻ります。」
「ところで、電話の解析はもう終わったのか?」
「自宅電話ですか?まだ途中ですが、まあ、今日中にはあらかた終えるかなと。」
「わかった。終わったら連絡しろ。」

電話が一方的に切られた。胸に手を当て深呼吸してから、ずり落ちていたボクサーパンツをあげ、深緑色のミリタリーパンツを履きなおす。それから箱ティッシュの横に置いていた黒の革手袋に手を通しなおす。間宮のピアニストのような細く長い指がぴったりと革手袋の中におさまった。

テーブルの上には霧野の部屋の本棚の奥に隠すように置いてあった複数のAVが置かれていた。
間宮はDVDプレイヤーからさっきまで見ていたAVを取り出し元のパッケージに入れ直す。それらを手に取り黒い大きなショルダーバックに投げ入れた。

「良い趣味してやんの。」

霧野の部屋に来るのは彼を捕える前を含めれば既に3回目で、前回侵入した際に様々なものを回収していたが、警察手帳や制服などそういったあからさまに"面白いもの"は流石に部屋には置いてはいなかった。

伸びをしながらキッチンに入り、冷蔵庫を漁った。賞味期限がギリギリの牛乳が残っていたので、パックに直接口はつけずに中身を拝借した。口からこぼれ出た牛乳が一筋口元から伝いそれを親指で拭いながら、部屋を見渡す。
よく整頓された清潔な一人暮らしの部屋だ。奴の性格が出ている。

ショルダーバッグを手に取り、マンションの廊下に出た。背後でオートロックの鍵が締まる。
ちょうど廊下に同じフロアの人間と思われる老婆がいた。軽く笑顔で会釈すると向こうも何の疑いもない顔で笑顔で会釈を返してきた。間宮はピアスを外し、黒の長袖のタートルネックを着ていた。タトゥーが見えそうな部分はファンデーションで消していた。ぴったりと身体に這いつくタイプのタートルネックは、盛り上がった彼の胸筋や腕を強調した。

筋肉質であることと全身のタトゥーやピアスを除けば、間宮はヤクザを名乗るには、どちらかといえば好青年風の見た目をしすぎていた。幼稚園や小学校の先生と間違われたこともあり、それは彼のコンプレックスの一つでもあった。

どれだけ身体を鍛え、強面を目指そうと雰囲気を変えても、ほとんどの他人から良い印象をもたれて警戒されず、悪い意味ではなめられてしまう。そのたびにタトゥーやピアスが一つずつ増えていき、時に目の周りにクマをつくるのような陰気なナチュラルメイクを施した。その特性は、若手警官にしては肝が据わりどこか暗い雰囲気のある見た目をしている霧野と同じように敵陣への潜入捜査に向いていた。

マンションに忍び込む際も鍵管理業者を装い、電子キーの回路をハッキングし、玄関のマスターキーと霧野個人の部屋の鍵番号を管理人の目の前で業者の点検と称して抜き取っていた。

日が暮れるころに事務所に戻るとちょうど二条が車に乗り込もうとしていた。
「あ、二条さん。」
間宮は彼に駆け寄り、眉を寄せて彼の顔をじっと見た。
「大丈夫ですか?顔、昨日血まみれでしたけど……」
「別にお前に心配されるいわれはない。」
「そんな冷たいことを言わないでくださいよぉ。」

二条は間宮を無視して車に乗り込み、鍵をさしこみアクセルを踏み込もうとした。
間宮は助手席の窓に半ば強引に太い腕をかけ、窓から中を覗き込み、フランクな笑顔で話し続けようとする。ガレージの明かりが間宮の顔を照らし、長いまつ毛が目の下に影を落としていた。

「なんだお前はさっきから、要件があるなら一言で言え。」
「……、じゃあはっきり言いますけど、俺にも使わせてくださいよ。霧野さん。どうせ今空きでしょ。」

二条はあからさまに嫌そうな顔をして間宮を見据えているが、間宮は笑顔のまま二条の気持ちなど無視してまくしたてるようにして続ける。

「ずるいじゃないですか~、今回俺結構頑張ったと思いません?功労賞じゃないですか?それなのになんで美里君が良くて俺が駄目なんです?また俺だけハブですか??あいつ今回何もしてないでしょ。なんなんですかあいつ昨日も夜中にノコノコやってきて、追い返しましたが、正直ぶち殺したかったっすよ。しかも霧野さんは二条さんのことを殴ったんでしょ?そんなことは許されないと思うんですけど。それに……」

二条は止まらない間宮の言葉を聞き流しながら、しばらく黙って外を見ていたがポケットから鍵を出して投げ渡した。間宮はようやく口を閉ざし笑顔のまま二条を見つめた。

「2時間だけな。あとで家まで返しにこいよ。絶対鍵のコピーなんか作るんじゃねぇぞ。」



間宮は地下室に降り、電気を消され、真っ暗になっている部屋の電灯をつけた。部屋の手前から順々にチリチリと音を立てながら蛍光灯の明かりがついていく。部屋全体をゆっくりと見回す。部屋の一番奥、隅の方で何か動くものを見つけ、ゆっくりと近寄っていく。

「へぇ~。うちの組長も趣味が悪いなあ、男の乳首なんか開発してどうすんだよ。ねぇ霧野さん。そう思わない?」
「……」
「そうは思わないか、そっかそっかぁ。霧野さんも物好きだな~。」

霧野の口は噛ませるタイプの枷で塞がれており、目だけが睨みつけるように間宮を見上げていた。
手足は拘束され、乳首は銀色の挟み口がギザ歯になったちいさなクリップで挟まれており、クリップから垂れた細い鎖が二つのクリップの間に橋を渡していた。下半身からは犬のような尻尾が飛び出てたままになっている。

間宮はミリタリーパンツのポケットに手を突っ込んだまましばららく黙って霧野を見下げていた。
霧野からは間宮が後ろから蛍光灯で照らされ表情が良く見えない。しかし、その威圧的な体躯のシルエットがくっきりとうきあがっていた。

「霧野さん、いい年の大人の男がそんな馬鹿みたいなもんケツにつっこまれて何してるの?変態なの?まじで恥ずかしいな。俺だったら自殺するけど、アンタ絶対自殺とかしなそうなタイプだもんな~。」

間宮は肩にかけていたショルダーバックを手に持ち替え作業台の上に放り投げるようにして置いた。

間宮は改めて作業台と化しているテーブルの上を眺めた。乱雑に荷物が置かれているが、まだ空いているスペースは十分あった。霧野の腕を掴み、身体を抱えるようにして簡単に持ち上げてしまうと、テーブルの前に立たせそのまま身体をうつぶせの状態で押し付ける。抵抗はされても体力や精神力が削られ手足の自由のない人間の抵抗など、どうということはない。

間宮は上から覆いかぶさるようにして霧野に顔を近づける。左手で首筋を遠慮ない手つきで触り、傷口の上に手袋をつけたままの指を這わせ爪を立てた。霧野が痛みに顔をしかめると、さらに執拗に指先でいたぶった。
「これは二条さんにされたんでしょ、ああやっぱり二条さんの趣味はいいなぁ。素敵だ、たまらない。」

それから霧野首全体を覆うようにして首元に手を軽く当ててから、親指と中指で頸動脈のあたりをピンポイントで強く押した。

「どうだ、頭がボーっとしてきて気持ちがいいだろう。ここを3分もこうしてれば気持ちがいいままゆっくりとあの世に行けるけど、イってみるか?俺はこの方法で人を殺すのが好きだ。優しいだろう。人からも良くそういわれる。」

霧野は血管が強く脈打ち顔が体全身が熱くなってくるのを感じ、目を細めかぶりを振った。ゆっくりと指が離れる。

「そうだよなぁ、霧野さんこんな惨めな姿になっても生にしがみついて、許してもらおうと必死になって上司に身体明け渡してんだからネ。ダセェ、マジで最低だよアンタ。」

間宮は言葉とは裏腹にしばらく優し気に指で傷口をなぞっていたが、ゆっくりと傷口から手を離す。
それからもう一度上から霧野を見下ろした。

ゆっくりと屈みこむとミリタリーパンツに備え付けられたポケットを探り、サバイバルナイフを取り出した。間宮はしばらくの間無表情にナイフの表面に写る自分の顔を見ていた。あまりにも無感動な表情をしていた。
それをおおきく振りあげ、テーブルの床版にナイフを思い切り突き立てる。良い音がして先端が板にめり込んだ。突き立てた衝撃でナイフが一瞬だけしなった。

霧野の目と鼻の先、目からの距離にして5センチも無い場所にナイフが突き刺さっている。
鏡のようによく磨かれたナイフが光っており、自分の目が見開かれ、瞬きしているのが見える。

「でも、霧野さんの意思とは関係なく、アンタを見てると実に殺したくなってくる。しかもてめぇ何二条さんに手を出してんだ?今度同じようなことをしたら俺は自分を抑えていられる自信が無い。なぜお前なんだ?許せない。しかもポリ公だっただと?役満もいい所だぜ。」

目の前でナイフが抜かれては繰り返し同じ位置突き立てられる。トン!トン!トン!と音がして繰り返し繰り返し目の前でナイフが上下する。
その度にナイフの刺さる衝撃が霧野のほほに伝わり、床板に抉られた傷がつき、木屑がまった。
ナイフがいっそう強く突き立てられ、持ち手から黒い革の手袋に覆われた手がゆっくりと離れていった。
少しの間沈黙が流れ、霧野は間宮が何を考えているのかわからず背中に汗をかいた。

「……はあ、まぁいいや。それより霧野さん、シコシコ満員痴漢電車埼京線編の感想を聞かせてよ。」

間宮はショルダーバックの中からシコシコ満員痴漢電車埼京線編とタイトルのつけられたのパッケージAVを取り出し、突き立ったナイフに立てかけるようにして丁寧に霧野の目の前に置いた。パッケージでは女子学生に扮したAV女優が電車を背景に困惑した表情をし、その臀をごつい男の手がまさぐっていた。

霧野は戸惑いを隠せず間宮の方を見ようとするが間宮の手が顔に押し付けられAVのパッケージを直視させられる。もう片方の手が臀を暴力的にまさぐった。

「なに?自分も同じようにされたくて堪らない?ええ?警官同士でホモってる?やばいな~それは、霧野さんガチの変態じゃんネ。…………。お前痴漢を捕まえる立場なのになんてもん見てんだよ、あ?お前みたいな変態警官を国の金で雇ってるなんて信じらんねぇよ。地域の皆さんに土下座で謝罪すべきレベルの痴態だ。『霧野遥巡査は国の治安を守る立場にも関わらず痴漢AVで毎日抜いてるド変態犯罪者予備軍です。申し訳ございません。』とな。全く恥ずかしい野郎だな。お前の上司の山崎さんにお前の宛名で送っておいてやろうか?お前の筆跡は真似しやすいからな。」

霧野は口枷の奥で唸るが、その反応は間宮を愉しませた。彼は痴漢電車のAVをゆっくりと机の上に置きなおす。
「何か言いたげだな、霧野巡査。あまりの恥ずかしさに世間に謝罪したくなったのか?わかった、外してやるから『霧野遥巡査は国の治安を守る立場にも関わらず痴漢AVで毎日抜いてるド変態犯罪者予備軍です。』と宣言してみろ。」

間宮は細い指で丁寧に口枷を外してやり、AVの横に飾るように置いた。
「なんでこんなものを」
霧野が口を開いたと同時に尻をまさぐっていた手が離れ、平手が強く尻を打った。いきなりのことに身体が膠着し、尻に熱と痛みがじわじわと広がっていく。
「ん?よく聞こえなかったな。最初の言葉は『霧野遥巡査は』だぞ、今違う言葉を言ったように聞こえたが?」
「……」
「どうした?」
再度間宮は手を振り上げると強く霧野の尻を打った。音が地下室に響き渡り、尻の上に手の形に皮膚が赤く染まっている。
「早くしろよ。それとも尻を叩かれるのが好きなマゾなのか?」
間宮は容赦なく手を振り下ろすのをやめず、繰り返し同じ個所を平手で打ち続けた。霧野が痛みに耐え震えながら身をよじると、さらに強い力で尻を打たれ、痛みに声を上げるとさらに強い力で打たれた。

食いしばった歯の隙間から唸る犬のような息遣いが漏れ出る。
尻が赤い手形でいっぱいになるころには、霧野も間宮も肩で息をするほどに疲弊していた。
「はぁ~そんなにだんまりが好きかい。わかったわかった、じゃあもうしゃべるなよ。」

間宮は再びショルダーバックを漁ると中からポータブルDVDプレイヤーを取り出し、ディスク投入口を開いた。
「二輪挿し!試練の肛虐地獄!3時間!」と書かれたDVDが痴漢AVに重なるように目の前に置かれた。

「霧野さん、本当にいい趣味してるよな~アンタの部屋で二回も抜いちゃったよ、コレもらっていい?でも今すぐもう一発抜きたいんだよね。なんか思い出してムラムラしてきちゃったよ。ほら。」

霧野は自分の尻の上に何か巨大な筒のような物が押し当てられているのを感じた。
それから、自分の中から勢いよくプラグが引き抜かれ、突然のことに思わず軽く声が漏れ出た。
「あれ?尻尾で隠れて見えてなかったけど、なに?これは。」
間宮のが手袋越しに軽く勃起していた霧野のペニスを握り、もてあそぶように手の中で転がした。
「あれあれ???霧野さん、アンタとんでもない変態だな。俺に尻ぶったたかれたのがそんなによかったのか?それとも俺のデカチンこすりつけられた興奮したのか?おらっ、見せてやるよ。」

間宮は霧野の身体を自分のほうに抱えるようにして立たせると、霧野の股の間から自分のいきり立ったペニスをつきだした。霧野は自分のペニスの下に屹立する巨大な一物を驚愕のまなざしで見ていた。太さだけで自分自身の物の1.5倍、長さは5センチ程度長かった。一回り違う全く別の生き物のペニスのような物が自分の尻にこすりつけられていた。
「霧野さん、どうしたんだ。そんなに震えなくてもいいだろう?それとも期待して身体が疼いてたまらない?」

間宮は再び乱暴に霧野を机にねじ伏せると上にのしかかり、DVDプレイヤーに肛虐地獄のDVDを差し込む。それから自身と霧野の見える位置にプレイヤーを移動させる。早送りをし適当なところで止めると、ちょうど画面の中のショートカットの女が後ろから二人の男の物を咥え込んでいた。

間宮がショルダーバックの中からローションを取り出してプレイヤーの画面を見ながら軽く自分の物をしごいていると、下になっている霧野が息を荒げ身体を抜けさせようともがいていた。強く腕を掴み上げ、腰に手を回した。
「いいよ霧野さん、抜けれるもんなら抜けてみな。絶対むりだから。普段のアンタなら別だけど、今のアンタに勝ち筋なんて全くないよ。」

尻に濡れた間宮のペニスの先端がこすりつけられているが、入ってこようとしない。拘束された状態で間宮の腕から逃れようともがくと彼はわざと手の力を抜いたり入れたりして、余裕を見せつける。
「霧野さァん、まだァ?早く抜けてみてよ。もう入れちゃうよ~。」
中に先端部分がいれられ、それだけで太さの違いが判る。似鳥のピアスで拡張されたペニスに似て、穴を直接割いてくるような凶暴な圧迫感が身体に襲い掛かる。身体が割かれるような痛みに声にならない悲鳴を漏れで、拒絶反応に身体がぶるぶると震えた。
背後で同じように間宮が震えながら息を荒げている。尻に触れている手が手袋越しだというのに熱く、湿ったにおいがあたりに拡がった。

「ああ……、マジで久しぶりに肉穴にぶち込んだ。すごい締まりだ……、でもまだ半分あるからね。」
身体の中にねじこまれるようにしてその化け物がはいってくると、身体に力が入らなくなり、動いてもいないのに圧迫感だけで痛みと、全身のツボを中から押されるような感覚と屈辱的な快楽が身体中に満ち溢れた。
獣のような息遣いが後ろから身体を包み込み、背中に間宮の汗が垂れてくるを感じた。

「俺はこんなだからね……、悲しいことに、なかなか女と寝れないんだよ……。よかったよ、霧野さんみたいな肉オナホが居てくれて。」
身体全身を襲うような衝撃と痛みが続き、なにがなんだかわからなくなる。瞼の裏で目が上を向いたり下を向いたりを繰り返した。

尻を強くたたかれ、我に返ると目の前で女が同じような姿勢で尻を突かれていた。違うところは画面の中の男や女はそれなりに気持ちよさそうに喘いでいたが、こちらはそうではないことだ。
「もう、無理だ……、意識が」
口の中に指が入ってきて舌を挟むように中で動いた。
間宮の目がモニターからゆっくりとこっちに向き、彼は目を細くして微笑んでいた。

「オナホの分際で言葉を話すなよ。しゃべるのはもうやめたんじゃなかったのか?意識だ?アンタの意識なんてど~でもいいんだよ。俺に必要なのは使える穴だけだ。あんたはその役だけやってりゃいいんだ。」
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