美男伯様のお嫁取り

文字の大きさ
上 下
1 / 6
序章

メイド・キャサリンの覚書

しおりを挟む
あたしはキャサリン・デュー、18歳。
これから書くのは、あたしが参加した、エストコート伯爵邸・楡森屋敷で催された「花嫁選抜」の顛末だ。
エストコート伯爵ピーター卿といえば、社交界でも一時はかなり評判となった美男子。病に倒れ、領地の屋敷に引きこもった後は幾分やつれたけれども、まだまだ相当な好男子だ。しかもエストコート伯爵家は王国有数の由緒正しいお血筋で、さらに近年はいくつもの工場や水運事業に成功しているというお金持ち。
こんなお伽噺の王子様のような男性との結婚、どんな娘だって憧れる。

と、言うわけでも、なかったんだけどね。
はじめに言っておくと、これはあたしの恋の話ではない。
でも、お伽噺のロマンスに憧れる娘さん達にも、知ってほしいと思うのだ。
これも一つの、愛の物語だから。
しおりを挟む

処理中です...