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『うふふ。満足いく姿にできてよかったわね。』

「はい!」

『次は身分だけど、どうする?平民貴族王族なんでもありよ?』

日本には身分制度はなかった(天皇は居たけれど)からなかなか想像ができない。 

というか、私はこの綺麗な顔を眺められれば基本なんだっていい。

「まかせます。」

『え?』

「なんでもいいです!」

『え!?いいの!?身分が高いと贅沢し放題よ!?!?』

リティアさんは目を見開いて私の肩を掴みぶんぶん揺らす。

そもそも贅沢とはなんなのかよくわからない。

美味しいご飯に家族がいればそれでもう幸せなのでは?

「そういうのよくわからないので。」

『わかったわよ、、。3つの中間の貴族にしちゃうからね、もー。』

顔へのこだわりはあるのに地位はいらないとかどうなってんのよ。

とリティアさんがぶつぶつ呟いているがよくわからない。

ササっとリティアさんが手元に紙を出しメモをしている。

さっきまで使っていたこのスマホはもう使わないようだ。

『じゃあ次は能力ね。

りさはどんな風になりたい?』

静かにそう聞かれた。

じっと考えると浮かんできたのは父のことだ。

「負けたくないんです。」

思い出してこみ上げてくる涙を堪えて小声で答えた。

『え?』

「男の人に、力がないだけで抵抗もできないのはうんざりなんです。

私は男に負けない女になりたいです。強く、なりたいです。」

理不尽な暴力に負けるのは前世までにしたい。

ずっと、そう思っていた。

真っ直ぐに答える私を見てリティアさんは少し瞳を潤ませた。

『そう。じゃあ二択ね。

体術で最強を目指すか、魔術で最強を目指すか。』

「どっちの方が強いとかありますか?」

『うーん。極まっちゃうとどっちもどっちよ。

例えば、寝てる時に襲われたとするじゃない?

体術だと、無意識に気配を察知して撃退。

魔術だと、無意識にバリアが張られて撃退。

って感じね。』


お、なんだか物騒であんまり参考にならないぞ笑

でもこれなら襲われる心配はなさそうだ。

でもちょっと考えてみる。

さっき決めた顔と身体で戦うとする。

顔に血飛沫をつけながら敵を素手でボコボコにしている美女。

または

でっかい魔法をぶっ放しながら敵をボコボコにする美女。

うーん、ビジュアルで言ったら魔法の方がマシ?かな。

美女が物理もそこそこに憧れがあるけどドン引かれそうだし。


「リティアさん。私魔法にします。」

『了解よ。

一応言っておくけど、能力があるからって油断は禁物よ。

あと、私が与えた能力は貴方の限界値ではなくて、初期値よ。

鍛錬すればするほど強くなれるの。

努力を忘れないでね。』

「わかりました。」

それが知れただけでも頑張れる。

『そろそろ、お別れなんだけど、私からりさにお祝いをさせて頂戴。』

「お祝い?」

コテンと首を傾げる

『そう!貴方の復活のお祝いよ!

自分でも気付いていると思うけれど、貴方はここで自分のトラウマを一つ乗り越えたわ!

それに加えて未来への挑戦も決めた。

貴方の最初の状態から考えるとすごい進歩よ。』

「そんな、全部リティアさんのおかげです。私1人だったらずっと立ち直れなかったと思います。ありがとうございます。」

ペコリと頭を下げる。
苦しんでいたこと、悩んでいたこと、全てリティアさんが受け止めてくれたから今の自分がいる。

なんで素敵な出会いだったんだろう。

『もう!謙虚なんだから!!

でも私はそんな貴方が好きよ。』

ウフフと笑った

『さぁ、手を出して。』

言われるがままに右手を出す。

するとリティアさんは自分の手をズボッと谷間に突っ込んだ。

「!?」

ズルズルと細長い鎖のようなものを谷間から取り出そうとしている。

何かが引っ掛かったのか取り出すのに苦戦していたが、胸が大きくぷるんと揺れると同時に取れたようだった。

そして取り出した物を私の右手に置いた。

それはペンダントだった。

ペンダントトップは500円玉くらいの大きさで、表に不思議な文様が刻んであり、真ん中に小さめの水色の宝石がついている。その宝石を囲むように宝石と同じ大きさの窪みが4つあった。

裏は鏡になっていた。

「これは..なんですか?」

『表についている宝石は私特製の魔法石よ。

中に入っている魔法は空間制御よ。』

「空間制御!?!」

『ただし、操れるのは自分の体と自分から半径1m以内の物体だけ。

瞬間移動とかもできちゃうわよ。』

「す、すごすぎますよ!?本当にもらっちゃっていいんですか!?!
というか、無くしそうで怖いです。」

『あ、そのペンダントは帰属制の物だから、無くしたり、取られたりしても1時間くらいすると戻ってくるわよ。』

「至れり尽くせりすぎます、、、!」

チートをもらってばっかりでこの時点でもう幸せだと思う。

『裏にある鏡はこの部屋につながっているわ。』

「???、??、」

この部屋に?どういう、、、

『その鏡がこの部屋への出入り口になるの。あ、言い忘れていたけれど、この部屋もあげるわ。』

「え?????」

こんなにもらってばかりでいいのだろうか、、、甘やかされすぎでは、、

『この部屋は貴方の想像力さえあればいくらでも広くなるし、家具も増やせる。

食べ物だけは出せないから気をつけて。

でも、この空間に食べ物を入れると勝手に時間停止の能力が働くから、貯蔵庫として使うのオススメ♡』

「なるほど、、、!

自分以外の人間も連れてきたりできますか?」

『できないわ。』

「わかりました。」

『この部屋の中は少し時間の進みが遅いから気をつけてね。』

「はい。」

『注意事項は全部伝えたからこれから転生してもらうわ。心の準備はいい?』

「大丈夫です!この御恩は一生忘れません!!」

『いいのよ。りさが幸せに暮らせることを祈っているわ。』

その言葉を最後に私の身体が光り、部屋の床を突き抜けて落ちた。

急なことに、びっくりしたところまでは覚えている。
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