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第7章 背面軍の奮闘と熊本城完全解囲
第7話
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「いろいろと思うところはあるだろうが、全力を尽くせ。何としても川尻を突破し、熊本城を速やかに解放するぞ」
4月13日朝、滝川充太郎少佐は、部下の第2海兵大隊の兵に訓示した。
熊本城攻防戦は、色々な意味で末期戦に突入していた。
熊本城の守備兵の兵糧は、4月17日に尽きる、と奥保鞏少佐は、滝川少佐らに語っていた。
(実際には、奥少佐率いる突出隊を支援した部隊の一部が、熊本城下の民家から食糧を調達しており、4月中は熊本城籠城軍が籠城を続けられる目途が立っていたのだが、熊本城籠城軍と連絡がつかないので、田原坂からの熊本城救援軍、背面軍共にそれを知らなかった)
そして、熊本城まで、背面軍は、川尻を抜けば、すぐにでも熊本城にたどり着ける状況になっていた。
背面軍の救援が阻止されれば、4月18日以降、熊本城籠城軍からは餓死者が出る惨状が発生する。
その一方で、背面軍の救援が成功すれば、熊本城は解放され、この戦争は政府軍の勝利に終わることが、ほぼ確定的となる。
(熊本城解放は、政府軍にとって明らかな勝利であり、その後から西郷軍に味方して挙兵しようとする者は、現状まで挙兵を見合わせる慎重派である以上、ほぼ絶無であると見られていた)
そういったことから、西郷軍、背面軍(更には田原坂からの熊本城救援軍も)共に、ここ一両日中が、熊本城攻防戦のヤマになると覚悟を固めていたのだ。
4月14日、別働第2旅団、別働第4旅団を主力とする川尻攻撃が始まった。
第2海兵大隊は攻撃の最右翼(一番東側)を受け持ち、西郷軍に対する猛攻を開始した。
「芋兵の怖ろしさを見せてやれ。
西郷軍の芋侍に負けるな」
滝川は、屯田兵に対する蔑称、芋兵を敢えて言ってまで、部下を鼓舞し奮闘させた。
4月14日午後、遂に川尻は陥落した。
黒田清隆参軍は、川尻陥落直後で、指揮下の諸部隊が混乱していたことから、部隊整理を優先して、明日15日を期しての熊本城救援を決断した。
そして、その旨を指揮下の諸部隊に連絡するが、陸軍の諸部隊には連絡が届いたものの、混乱した状況のために、海兵隊には連絡が届かないという事態が発生した。
そのために。
「何で陸軍は前進しないんだ」
滝川少佐は首を捻る羽目になった。
しかし、これは海兵隊が、熊本城救援一番乗りを果たす千載一遇の好機でもある。
「折角、陸軍が海兵隊に熊本城救援の名誉を与えてくれるんだ。
これを活用して、海兵隊が熊本城救援一番乗りの名誉を果たすぞ」
滝川少佐は、第2海兵大隊を熊本城に急進撃させた。
「何で海兵隊は停止しないんだ」
それを見た背面軍所属の陸軍の諸部隊は騒然となり、慌てて進撃の準備に取り掛かった。
だが、当然のことながら海兵隊の方が先に進んでしまう。
「あれは、海兵隊ではないか」
一刻も早い救援を待ち望み、焼失を免れた熊本城の建物の中で一番高い所に立って、周囲を見渡していた谷干城は驚いて呟いた。
横にいた樺山資紀も驚愕している。
「何で陸軍ではなく海兵隊が、熊本城救援の先陣をしているのでしょう」
「熊本城救援に来たぞ」
滝川少佐は、平然と熊本城籠城軍に呼びかけた。
籠城軍の兵の多くも、まさか海兵隊が先陣とは思わなかったので、射撃を忘れて呆然としている有様だった。
「とにかく出迎えろ、そして、射撃は厳禁だ」
谷は慌てて部下に命令を下した。
海兵隊の方はそんなことは知らずに、のこのこと熊本城に近づいていく。
籠城軍の兵も、谷の命令を受けて我に返り、海兵隊を出迎えた。
「お待たせしました。
第2海兵大隊、熊本城の救援に到着しました」
滝川少佐は、谷に言って敬礼した。
「救援を感謝する」
谷は、心の整理がまだついていなかったが、答礼して出迎えた。
4月13日朝、滝川充太郎少佐は、部下の第2海兵大隊の兵に訓示した。
熊本城攻防戦は、色々な意味で末期戦に突入していた。
熊本城の守備兵の兵糧は、4月17日に尽きる、と奥保鞏少佐は、滝川少佐らに語っていた。
(実際には、奥少佐率いる突出隊を支援した部隊の一部が、熊本城下の民家から食糧を調達しており、4月中は熊本城籠城軍が籠城を続けられる目途が立っていたのだが、熊本城籠城軍と連絡がつかないので、田原坂からの熊本城救援軍、背面軍共にそれを知らなかった)
そして、熊本城まで、背面軍は、川尻を抜けば、すぐにでも熊本城にたどり着ける状況になっていた。
背面軍の救援が阻止されれば、4月18日以降、熊本城籠城軍からは餓死者が出る惨状が発生する。
その一方で、背面軍の救援が成功すれば、熊本城は解放され、この戦争は政府軍の勝利に終わることが、ほぼ確定的となる。
(熊本城解放は、政府軍にとって明らかな勝利であり、その後から西郷軍に味方して挙兵しようとする者は、現状まで挙兵を見合わせる慎重派である以上、ほぼ絶無であると見られていた)
そういったことから、西郷軍、背面軍(更には田原坂からの熊本城救援軍も)共に、ここ一両日中が、熊本城攻防戦のヤマになると覚悟を固めていたのだ。
4月14日、別働第2旅団、別働第4旅団を主力とする川尻攻撃が始まった。
第2海兵大隊は攻撃の最右翼(一番東側)を受け持ち、西郷軍に対する猛攻を開始した。
「芋兵の怖ろしさを見せてやれ。
西郷軍の芋侍に負けるな」
滝川は、屯田兵に対する蔑称、芋兵を敢えて言ってまで、部下を鼓舞し奮闘させた。
4月14日午後、遂に川尻は陥落した。
黒田清隆参軍は、川尻陥落直後で、指揮下の諸部隊が混乱していたことから、部隊整理を優先して、明日15日を期しての熊本城救援を決断した。
そして、その旨を指揮下の諸部隊に連絡するが、陸軍の諸部隊には連絡が届いたものの、混乱した状況のために、海兵隊には連絡が届かないという事態が発生した。
そのために。
「何で陸軍は前進しないんだ」
滝川少佐は首を捻る羽目になった。
しかし、これは海兵隊が、熊本城救援一番乗りを果たす千載一遇の好機でもある。
「折角、陸軍が海兵隊に熊本城救援の名誉を与えてくれるんだ。
これを活用して、海兵隊が熊本城救援一番乗りの名誉を果たすぞ」
滝川少佐は、第2海兵大隊を熊本城に急進撃させた。
「何で海兵隊は停止しないんだ」
それを見た背面軍所属の陸軍の諸部隊は騒然となり、慌てて進撃の準備に取り掛かった。
だが、当然のことながら海兵隊の方が先に進んでしまう。
「あれは、海兵隊ではないか」
一刻も早い救援を待ち望み、焼失を免れた熊本城の建物の中で一番高い所に立って、周囲を見渡していた谷干城は驚いて呟いた。
横にいた樺山資紀も驚愕している。
「何で陸軍ではなく海兵隊が、熊本城救援の先陣をしているのでしょう」
「熊本城救援に来たぞ」
滝川少佐は、平然と熊本城籠城軍に呼びかけた。
籠城軍の兵の多くも、まさか海兵隊が先陣とは思わなかったので、射撃を忘れて呆然としている有様だった。
「とにかく出迎えろ、そして、射撃は厳禁だ」
谷は慌てて部下に命令を下した。
海兵隊の方はそんなことは知らずに、のこのこと熊本城に近づいていく。
籠城軍の兵も、谷の命令を受けて我に返り、海兵隊を出迎えた。
「お待たせしました。
第2海兵大隊、熊本城の救援に到着しました」
滝川少佐は、谷に言って敬礼した。
「救援を感謝する」
谷は、心の整理がまだついていなかったが、答礼して出迎えた。
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