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本編
26 インセスト・タブー
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……ああ、まただ。また、前世の夢を見た。ベッドから上体を起こした私は思わず頭を抱える。
リヒトとジゼル嬢の縁談が破談になってから、十日ほどが経過した。
あの日以来、なぜか私は前世の夢を連日見ている。それも決まって幼少時の夢で、あまりにもそれが続くものだから、何か意味があるのではないかと考えていたところだ。
そのため、ここ数日はベッドに入るのを躊躇してしまい、寝不足で頭がふらふらしている。
あの日、私はリヒトがいかに本気かということを思い知らされた。
そのせいか──
──千鶴ちゃん、変だよ。きょうだいは結婚できないんだよ。
前世で言われたこの言葉を思い出してしまう。
今の私はリヒトの気持ちを受け入れられず拒絶しているけれど、当時の私はそう言われて酷くショックを受けていた。「大人になったら望のお嫁さんになる」と夢見ていた私には、その言葉はあまりにも残酷すぎたのだ。
そんなことを考えながら、私は前世のある日のことを思い出した。
◆
当時、仲が良かった友達と幼稚園の先生に「きょうだいは結婚できない」と言われた日のことだ。
それを信じたくない私は家に帰るなり、望に抱きついて泣きじゃくった。
「ち、千鶴ちゃん……!? どうしたの!?」
「ひっく……うぅ……ううぅ……」
突然抱きついてきた私に困惑したのか、望は「僕がいない時、お父さんに打たれたの?」と心配そうに尋ねてきた。
私が「違うよ」と言って首を横に振ると、彼は動揺した様子で「もしかして、誰かにいじめられたの!?」と聞き返してきた。
「千鶴ちゃんをいじめるなんて、許せない! 僕がやっつけて──」
「ち、違うの! あのね、今日ね……」
私はその日、幼稚園であったことを望に話した。
「ねえ、嘘だよね……? わたしと望くん、結婚できるよね……?」
望の腕に縋り付くようにそう尋ねると、彼は突然顔を曇らせ、そのまま俯いてしまった。
「望くん……?」
「……大丈夫。僕は、絶対に千鶴ちゃんをお嫁さんにするよ」
望は少し間を置き、顔を上げてにっこり微笑むと、そう答えた。
「本当……? 約束してくれる?」
「うん、約束する」
望はそう言うと、自分の服の袖で私の涙を拭いてくれた。
それから二年ほど経ち、私達双子は小学一年生になった。私達は相変わらず仲が良く、いつも手を繋ぎながら行動していた。
けれども……小学生になった頃には、流石に夢見がちな女の子だった私でも「きょうだいは結婚できない」という事実を理解し、望との約束が果たされることは絶対にないのだと悟った。
そんなある日のこと。
私達は二人で一緒に大きなクッションにもたれ掛かり、一緒に漫画を読んでいるうちに寝てしまった。
一時間ほど経って私は自然に目を覚ましたのだが、望はまだすやすやと可愛らしい寝息を立てて眠り込んでいた。
整った顔立ちに加え、色素の薄い栗色の髪とフランス人形のように長いまつ毛を持つ彼は、たびたび女の子に間違えられていた。
女の子である自分より綺麗な弟に子供ながら嫉妬することもあったけれど、やはり私にとって望はいつも自分を守ってくれる格好いい『王子様』だった。
私はそんな望の寝顔をぼんやりと見つめていた。
……と、そこまでの記憶はある。でも、それからどうしたんだっけ。なぜか思い出せない。
──あれ?
そう思った瞬間、不意に頭の中に映像が流れ込んできた。
その映像の中の私は、床に手をつき、眠っている望の唇にゆっくりと自分の唇を近づけていた。
……え? ちょっと待って。私は一体何をしているの?
そう思ったけれど、頭の中の映像はそのまま流れ続け──嫌な予感は的中し、幼い私は眠っている望にそっと触れるだけの口付けを落とした。
……ああ、そうだ。思い出した。
あの時の私は、『決して結ばれることのない王子様』に最後のキスをしてお別れをしたんだ。
きっと、それまでの私は彼に対して恋にも似た淡い想いを抱いていたのだ。それは間違いないと思う。
たぶん、私はそこでお別れのキスをして、男の子としての『好き』から弟としての『好き』に気持ちを移行させていったのだと思う。
とはいえ……私とリヒトが、前世ですでにキスを済ませていたことに衝撃を受けてしまった。あの時のキスは自分からしたのだから、完全に自業自得なのだけども……。
◆
前世のことを思い出したせいで夜遅くまで自己嫌悪に陥っていると、突然ドアを叩く音が聞こえた。
私が返事をすると、いつも通りリヒトが部屋に入ってきた。でも、今夜は何だか様子がおかしい。ほんのり顔が赤く、少し惚けているような印象さえ受ける。
「リヒト、どうしたの……?」
「……同僚に付き合わされて、酒を飲まされた」
ああ、なるほど。それで顔が赤いのか。
この世界では一応、十六歳から飲酒ができる。リヒトは今まで、早く帰りたい(私に会いたい)からという理由で、勤務後に「飲みに行かないか」と誘われても断っていたそうだ。
けれども、今日は「どうしても参加して欲しい」と上司に頼み込まれてしまい、断れなかったらしい。
「大丈夫……?」
「……ああ」
飲みすぎたのかも知れない。そう思った私はリヒトの体調を気遣った。
今の私達の雰囲気は決して良好とは言えないけれど、彼が大切な弟であることに変わりはないから心配だ。そう思いながらリヒトをベッドに座らせると、彼は突然私に抱きつき唇を奪った。
「……!?」
私はそのままベッドに押し倒され、あっという間に組み敷かれてしまった。
「リヒト……!?」
「……もう我慢出来ない。今夜はお前がいくら泣き叫んだとしても、最後までやめない」
「な、何言ってるの……!?」
そう聞き返すと、リヒトはニッと妖艶な笑みを浮かべて私の両腕を掴んだ。一体どうする気なのかと怯えていると、彼は私の手を頭の上に持ち上げ、容赦なく魔法で拘束した。
「リヒト!? やだ! やめて……! 私達は、こんなことしちゃいけないんだよ! 駄目なの……お願い、わかって!」
「駄目……? 俺は男でお前は女──その気になれば、お前は俺の子供を産むこともできるのに、なぜ駄目なんだ?」
「だって……私達は姉弟だから……」
「……姉弟だから駄目? そんなこと、人間が決めた掟に過ぎないだろ?」
「それだけじゃないよ! 私達は、マスターと隷属者の関係でもあるし──」
「それも同じだ。所詮、この世界の人間が決めた掟に過ぎない」
「リ、リヒト……」
私がいくら駄目な理由を並べ立てようと、リヒトは一向にやめる気配を見せなかった。リヒトは私が着ているネグリジェの胸元に手を掛けると、その薄い生地を一気に引き裂いた。
「!?」
その途端、私の双丘が露わになった。困惑しながらリヒトを見上げてみると、彼は眉一つ動かさずにじっと私の体を見つめていた。
「え……!? やだ、やめて! 怖い、怖いよ……! やめて……!」
「駄目だ」
涙ながらに懇願したにもかかわらず、リヒトは私の耳元に口を近づけ、優しい声音でそう囁いた。
酒に酔っているせいなのか、それとも何か意図があるのかその辺は定かではないが、少なくとも今の彼はもうあの日私に拒絶されたことを気にしているようには見えなかった。
「お前を壊したい。無茶苦茶にしてやりたい」
至近距離でそう囁くリヒトの声は艶やかで、加虐的で──前世で、幼い頃の私が淡い想いを抱いていた『王子様』とはまるで正反対のように思えた。
今回ばかりは、見逃して貰えそうにない。ああ、どうしよう……。
「お願い、やめて……!」
リヒトは抵抗する私に伸し掛かって全身をベッドに押さえつけると、するすると足から下着を引き剥いだ。
そして、その下着をベッドの端に放り投げたかと思えば、すぐに私の唇を塞ぎ、いつものように強引に舌を絡ませてきた。
けれども、以前のようにただ苦しいだけのキスではない。私を喜ばせようと努力した結果なのか、リヒトは本当にキスの仕方が上手くなった。
「ふあぁ……ん……はぁっ……」
以前よりも気持ちよく感じるキスの余韻に浸っていると、リヒトは私の肩を優しく撫でながら、首筋に舌を這わせた。
「んっ……あぁっ……」
リヒトはそのままゆっくりと私の左胸まで舌を這わせると、薄桃色の乳首を口に含み、ちゅうちゅうと音を立てて強く吸い始めた。
それと同時に、もう片方の乳房を強く揉み時々乳首を摘んだり軽く抓ったりして私の胸を弄んでいる。
「こうされると気持ちいいんだろ?」
「んっ……んぅ……んっ……」
私が声を押し殺していると、リヒトは先程と同じように私の耳元で「我慢しなくていい。俺にお前の可愛い声を聞かせてくれ」と優しい口調で囁き、胸の谷間に顔を埋めた。
彼はその状態で私の両胸を横から鷲掴みにし、暫くの間感触を堪能すると、再び乳首に吸い付き先程と同じことをし始めた。
「あぁっ……やぁんっ……リヒト、駄目……やめてぇ……」
やめてと言いながらも、私の秘部からは快楽の蜜が溢れ出し、甘い吐息が漏れてしまう。
私はリヒトから与えられる電流のような刺激に耐えられず、ひたすら声を上げ悶え続けていた。改めて、彼との性的な相性の良さを実感してしまう。
止め処なく溢れ出す蜜に困惑していると、漸く私の乳首から口を離したリヒトが徐に私の秘部に手を伸ばし、蜜を指で拭って見せてきた。
「お前のここは、こんなにぐっしょり濡れているのに……それでも、お前は俺に欲情していないと言い張るつもりなのか?」
「……っ!」
そう尋ねられ、羞恥のあまり思わず目を背けた。
リヒトの指に付着したキラキラと光る液体──それが自分のものだと思うと、羞恥心と自己嫌悪感でどうにかなってしまいそうだった。
「恥ずかしがることはないだろ。ほら……こんなに美味しいのに」
リヒトは呟くようにそう言うと、自分の指についている液体をぺろっと美味しそうに舐めてみせた。
「……!?」
「もっと気持ちよくさせてやろうか?」
リヒトの行動に驚いて絶句していると、彼は私の太腿を掴み強引に足を開かせ、その美貌を秘部に近づけた。
「な、何をする気な──ひゃあんっ……!」
最後まで言い終わらないうちに、リヒトは舌先でちろちろと私の花芯を舐め始めた。その刺激によって全身に稲妻のようなものが走り、意志に反して変な声が出てしまう。
「セレス……ああ……俺の可愛いセレス……」
「やんっ……ひあぁ……んっ……」
リヒトは溢れ出た私の蜜を、勿体無いと言わんばかりに全て舐め取ると、今度は肉襞に手を掛けて押し開き、膣内に舌を差し入れた。
「ひあっ……!? だ、駄目……リヒト……そんなとこ──あんっ……」
もうこれ以上は駄目だと制止するも、声を出せば出すほど嬌声を上げてしまう。それが余計にリヒトの興奮を煽ったのか、彼は私の膣内を執拗に舌で刺激し、止め処なく溢れ出す蜜をじゅるっと淫らな音を立てて舐め取った。
「ああっ……」
「こんなにシーツを濡らして……お前は本当に淫乱だな。いけない子だ」
「ち、違う……私、淫乱なんかじゃ……」
「ああ、そうだったな。お前は俺以外の男にこんな姿を見せたことがないんだったな」
「……っ」
「そうだ、それでいい……お前は俺以外の男を知らなくていいんだ。だから──」
リヒトはそこまで言うと、ズボンのファスナーを下ろしてすっかり固くなった自身を取り出した。
リヒトがそそり立つそれを私の秘部に押し当てた途端、先端から溢れ出ている彼の透明な体液が秘部に付着した。そのせいで、悠然とした態度で私の体を弄び続けていたリヒトももう限界なのだと悟らされる。
「お前の初めてを奪うのも、この俺だ」
「……! 嫌……そ、それだけは……お願い、やめて……」
「駄目だと言っただろう? 今回は、お前がどんなに泣き叫ぼうとやめるつもりはない」
リヒトはそう言うと、肉棒を手で持ち私の花芯を刺激し始めた。彼があまりにも執拗に、体液を塗りつけるようにその動作を繰り返すものだから、私はその刺激に耐えられず、また甘い吐息を漏らしてしまう。
「リ、リヒト……お願い、やめて……これ以上こんなことをされたら、私……」
「ん……? 何だ? その続きは?」
──あなたが欲しくてたまらなくなってしまうから。
思わずそう言いかけて、言葉を飲み込んだ。勿論、私の心は相変わらずリヒトと男女の関係になることを拒否している。
それなのに、私の体はすっかり彼の虜になってしまった。双子ゆえに体の相性が抜群なのだろうか。最早、そうとしか思えない。それくらい、彼との行為は気持ちがよかった。
「ん……はぁっ……リヒト……」
「今、挿れてやるから待ってろ」
リヒトはそう言いながら、私の考えを見透かしたように口角を上げた。
「ま、待って……! せめて、避妊はして……! ねえ、お願い!」
「駄目だ」
「そ、そんな……いやぁぁぁっ!」
一応、この世界にも避妊具の類は存在する。それなのに、リヒトは残酷にもそれを使用することを拒否した。彼は泣き叫ぶ私の腰に両手を添え秘部に自身をあてがうと、ゆっくりと中に侵入してきた。
その途端、膣に激痛が走る。これが処女喪失の痛みだということは、性経験が乏しい私でも想像に難くなかった。
「あ……あぁっ……入ってくる……あぁっ……嫌ぁ……」
「──やっと、お前と一つになれた……」
リヒトはズブリと最奥まで楔を打ち込むと、静かにそう呟き、喜悦の表情を浮かべながら私を見下ろした。恐怖と痛みで意識が朦朧とする。
「リヒト……お願い、抜いてっ……! 痛い……痛いよぉ……」
「見ろ、セレス。俺達は今繋がっているんだ」
リヒトは私の訴えを無視して、結合部分を見せつけてきた。
「嫌……いやぁ……見せないで……」
「駄目だ、しっかり見ろ。今日、俺とお前が繋がったという事実をこの先もずっと忘れるな」
「やめて……やめてよぉ……」
どうしてそこまでして見せたいのかはわからないが、リヒトは私にそれを強要した。
暫くそんなやり取りが続いた後、リヒトはゆっくりと私の膣内で動き始めた。彼が動く度に、結合部分からぐちゅぐちゅといやらしい音が鳴っている。
その淫らな音が、ベッドが軋む音や肌同士がぶつかり合う音と共に室内に響き渡っているせいで、目を瞑っていても自分達が許されない行為をしているのだと再認識してしまう。
そんなことを考えているうちに、不思議と痛みは快感へと変わっていった。
「んっ……ふあぁ……あぁっ……」
「セレス、気持ちいいか……? 俺も気持ちいい……。お前の中がこんなに気持ちいいなんて思わなかった。想像以上だ。動く度にこれでもかという程に俺を咥え込んで締め付けてくる」
「あぁ……んっ……はぁっ……あっ……リヒ……ト……だめぇ……」
「セレス……愛してる……。お前が気持ちよさそうにしてくれて、本当に嬉しい……。こんなことなら、もっと早く抱いておけばよかったな。前世でも、お前を気持ちよくさせてやりたかった」
私はリヒトから与えられる甘い快楽に抗えず、為す術もなく揺さぶられ続ける。
リヒトは暫くの間そうやって楔を打ち込み続けると、突然自身を引き抜いた。
「リヒト……?」
──もしかしたら、思い留まってくれたのかもしれない。
そう思って、ふとリヒトの顔を見上げる。けれど、私の願いとは裏腹に彼は嗜虐的な笑みを浮かべ、再びその美貌を私の秘部に近づけた。
「……ああ、やっぱり」
リヒトは何かを確認するようにそう呟くと、ねっとりと私の秘部を舐め上げた。
「ああ、美味しい……何て美味しいんだろう……。そうだ、セレス。お前も一緒に味わうといい」
「え……?」
羞恥心に耐えつつも出方を窺っていると、リヒトは恍惚とした表情で顔を上げ、思い及んだ様子で私に深い口付けを落とした。
「んっ……!? ふ、ぁ……あ……」
ぬるりと生温い舌が挿入された途端、独特な塩味と鉄のような味が同時に口内に広がった。
最初はそれが何なのかわからなかった。けれど、すぐにその味の正体に気づき思わず身震いする。
恐らく、リヒトが舐めていたのは破瓜の血だ。彼は今、破瓜の血と互いの体液が混ざり合ったものを私に味わわせているのだ。
「俺が奪ったんだ……お前の初めてを……。あいつが成し遂げられなかったことを、俺は成し遂げた……。この味は、その証なんだ……」
リヒトは漸く私から離れたかと思うと、喜びを噛みしめるようにそう呟いた。そして、少し間を置くと再び私の膣内に自身を奥深く挿入した。
そのまま何度も何度も子宮口を突かれ、その度に絶頂を迎えそうになっていると、リヒトは突然ペースを上げ今までよりも激しく動き始めた。
「ひゃっ!? あぁっ……!」
「こうすると、もっと気持ちいいだろ……? ああ、でも心配はいらないぞ。すぐ終わらないように俺も耐えるからな」
「あんっ……やんっ……リヒト、だめ……だめぇ! もう動かないでぇ……!」
「セレス、愛してる……。ああ……俺だけのセレス……。ずっとこうしたかったんだ。ずっと我慢していたんだ。前世からずっと、ずっと……」
リヒトは至福と感傷が共存したような表情でこちらを見下ろし、私の下腹部を激しく掻き回し続けた。そのせいで私は絶頂に達し、頭の中が真っ白になり、半ば意識を失いながらリヒトの美貌を見上げていた。
実の弟に犯されているというのに、今の私は快楽に酔いしれ、肉欲に溺れ、意識すら飛びそうになっている。
散々リヒトを拒絶しておきながら、このざまだ。何たる醜態だろう。そんなことを考えつつも揺さぶられていると、リヒトが小声で囁いてきた。
「セレス、もう限界だ……このままお前の中に──」
「……! やだ、やめて! やだぁっ……!」
そう叫びながら全力で首を振ったが、リヒトは構わず私の中に楔を打ち込み続けた。そして、リヒトが小さな呻き声を上げた途端、膣内がどくどくと脈打つような感覚に襲われ、私の中に熱が放たれた。
「あぁっ……中に出て……駄目なのに……あぁぁ……」
私達姉弟は禁忌を犯してしまった。もうその事実をなかったことには出来ないのだと思うと、自然と涙が溢れ出てきた。
「ああ、そうだな……駄目だな。世間から見ればいけないことだな。でも──これで俺達は『同罪』だ」
リヒトはそう言って絶望に打ちひしがれている私の涙を指ですくうと、愛おしそうに頬を撫で、そっと唇を重ねてきた。
リヒトとジゼル嬢の縁談が破談になってから、十日ほどが経過した。
あの日以来、なぜか私は前世の夢を連日見ている。それも決まって幼少時の夢で、あまりにもそれが続くものだから、何か意味があるのではないかと考えていたところだ。
そのため、ここ数日はベッドに入るのを躊躇してしまい、寝不足で頭がふらふらしている。
あの日、私はリヒトがいかに本気かということを思い知らされた。
そのせいか──
──千鶴ちゃん、変だよ。きょうだいは結婚できないんだよ。
前世で言われたこの言葉を思い出してしまう。
今の私はリヒトの気持ちを受け入れられず拒絶しているけれど、当時の私はそう言われて酷くショックを受けていた。「大人になったら望のお嫁さんになる」と夢見ていた私には、その言葉はあまりにも残酷すぎたのだ。
そんなことを考えながら、私は前世のある日のことを思い出した。
◆
当時、仲が良かった友達と幼稚園の先生に「きょうだいは結婚できない」と言われた日のことだ。
それを信じたくない私は家に帰るなり、望に抱きついて泣きじゃくった。
「ち、千鶴ちゃん……!? どうしたの!?」
「ひっく……うぅ……ううぅ……」
突然抱きついてきた私に困惑したのか、望は「僕がいない時、お父さんに打たれたの?」と心配そうに尋ねてきた。
私が「違うよ」と言って首を横に振ると、彼は動揺した様子で「もしかして、誰かにいじめられたの!?」と聞き返してきた。
「千鶴ちゃんをいじめるなんて、許せない! 僕がやっつけて──」
「ち、違うの! あのね、今日ね……」
私はその日、幼稚園であったことを望に話した。
「ねえ、嘘だよね……? わたしと望くん、結婚できるよね……?」
望の腕に縋り付くようにそう尋ねると、彼は突然顔を曇らせ、そのまま俯いてしまった。
「望くん……?」
「……大丈夫。僕は、絶対に千鶴ちゃんをお嫁さんにするよ」
望は少し間を置き、顔を上げてにっこり微笑むと、そう答えた。
「本当……? 約束してくれる?」
「うん、約束する」
望はそう言うと、自分の服の袖で私の涙を拭いてくれた。
それから二年ほど経ち、私達双子は小学一年生になった。私達は相変わらず仲が良く、いつも手を繋ぎながら行動していた。
けれども……小学生になった頃には、流石に夢見がちな女の子だった私でも「きょうだいは結婚できない」という事実を理解し、望との約束が果たされることは絶対にないのだと悟った。
そんなある日のこと。
私達は二人で一緒に大きなクッションにもたれ掛かり、一緒に漫画を読んでいるうちに寝てしまった。
一時間ほど経って私は自然に目を覚ましたのだが、望はまだすやすやと可愛らしい寝息を立てて眠り込んでいた。
整った顔立ちに加え、色素の薄い栗色の髪とフランス人形のように長いまつ毛を持つ彼は、たびたび女の子に間違えられていた。
女の子である自分より綺麗な弟に子供ながら嫉妬することもあったけれど、やはり私にとって望はいつも自分を守ってくれる格好いい『王子様』だった。
私はそんな望の寝顔をぼんやりと見つめていた。
……と、そこまでの記憶はある。でも、それからどうしたんだっけ。なぜか思い出せない。
──あれ?
そう思った瞬間、不意に頭の中に映像が流れ込んできた。
その映像の中の私は、床に手をつき、眠っている望の唇にゆっくりと自分の唇を近づけていた。
……え? ちょっと待って。私は一体何をしているの?
そう思ったけれど、頭の中の映像はそのまま流れ続け──嫌な予感は的中し、幼い私は眠っている望にそっと触れるだけの口付けを落とした。
……ああ、そうだ。思い出した。
あの時の私は、『決して結ばれることのない王子様』に最後のキスをしてお別れをしたんだ。
きっと、それまでの私は彼に対して恋にも似た淡い想いを抱いていたのだ。それは間違いないと思う。
たぶん、私はそこでお別れのキスをして、男の子としての『好き』から弟としての『好き』に気持ちを移行させていったのだと思う。
とはいえ……私とリヒトが、前世ですでにキスを済ませていたことに衝撃を受けてしまった。あの時のキスは自分からしたのだから、完全に自業自得なのだけども……。
◆
前世のことを思い出したせいで夜遅くまで自己嫌悪に陥っていると、突然ドアを叩く音が聞こえた。
私が返事をすると、いつも通りリヒトが部屋に入ってきた。でも、今夜は何だか様子がおかしい。ほんのり顔が赤く、少し惚けているような印象さえ受ける。
「リヒト、どうしたの……?」
「……同僚に付き合わされて、酒を飲まされた」
ああ、なるほど。それで顔が赤いのか。
この世界では一応、十六歳から飲酒ができる。リヒトは今まで、早く帰りたい(私に会いたい)からという理由で、勤務後に「飲みに行かないか」と誘われても断っていたそうだ。
けれども、今日は「どうしても参加して欲しい」と上司に頼み込まれてしまい、断れなかったらしい。
「大丈夫……?」
「……ああ」
飲みすぎたのかも知れない。そう思った私はリヒトの体調を気遣った。
今の私達の雰囲気は決して良好とは言えないけれど、彼が大切な弟であることに変わりはないから心配だ。そう思いながらリヒトをベッドに座らせると、彼は突然私に抱きつき唇を奪った。
「……!?」
私はそのままベッドに押し倒され、あっという間に組み敷かれてしまった。
「リヒト……!?」
「……もう我慢出来ない。今夜はお前がいくら泣き叫んだとしても、最後までやめない」
「な、何言ってるの……!?」
そう聞き返すと、リヒトはニッと妖艶な笑みを浮かべて私の両腕を掴んだ。一体どうする気なのかと怯えていると、彼は私の手を頭の上に持ち上げ、容赦なく魔法で拘束した。
「リヒト!? やだ! やめて……! 私達は、こんなことしちゃいけないんだよ! 駄目なの……お願い、わかって!」
「駄目……? 俺は男でお前は女──その気になれば、お前は俺の子供を産むこともできるのに、なぜ駄目なんだ?」
「だって……私達は姉弟だから……」
「……姉弟だから駄目? そんなこと、人間が決めた掟に過ぎないだろ?」
「それだけじゃないよ! 私達は、マスターと隷属者の関係でもあるし──」
「それも同じだ。所詮、この世界の人間が決めた掟に過ぎない」
「リ、リヒト……」
私がいくら駄目な理由を並べ立てようと、リヒトは一向にやめる気配を見せなかった。リヒトは私が着ているネグリジェの胸元に手を掛けると、その薄い生地を一気に引き裂いた。
「!?」
その途端、私の双丘が露わになった。困惑しながらリヒトを見上げてみると、彼は眉一つ動かさずにじっと私の体を見つめていた。
「え……!? やだ、やめて! 怖い、怖いよ……! やめて……!」
「駄目だ」
涙ながらに懇願したにもかかわらず、リヒトは私の耳元に口を近づけ、優しい声音でそう囁いた。
酒に酔っているせいなのか、それとも何か意図があるのかその辺は定かではないが、少なくとも今の彼はもうあの日私に拒絶されたことを気にしているようには見えなかった。
「お前を壊したい。無茶苦茶にしてやりたい」
至近距離でそう囁くリヒトの声は艶やかで、加虐的で──前世で、幼い頃の私が淡い想いを抱いていた『王子様』とはまるで正反対のように思えた。
今回ばかりは、見逃して貰えそうにない。ああ、どうしよう……。
「お願い、やめて……!」
リヒトは抵抗する私に伸し掛かって全身をベッドに押さえつけると、するすると足から下着を引き剥いだ。
そして、その下着をベッドの端に放り投げたかと思えば、すぐに私の唇を塞ぎ、いつものように強引に舌を絡ませてきた。
けれども、以前のようにただ苦しいだけのキスではない。私を喜ばせようと努力した結果なのか、リヒトは本当にキスの仕方が上手くなった。
「ふあぁ……ん……はぁっ……」
以前よりも気持ちよく感じるキスの余韻に浸っていると、リヒトは私の肩を優しく撫でながら、首筋に舌を這わせた。
「んっ……あぁっ……」
リヒトはそのままゆっくりと私の左胸まで舌を這わせると、薄桃色の乳首を口に含み、ちゅうちゅうと音を立てて強く吸い始めた。
それと同時に、もう片方の乳房を強く揉み時々乳首を摘んだり軽く抓ったりして私の胸を弄んでいる。
「こうされると気持ちいいんだろ?」
「んっ……んぅ……んっ……」
私が声を押し殺していると、リヒトは先程と同じように私の耳元で「我慢しなくていい。俺にお前の可愛い声を聞かせてくれ」と優しい口調で囁き、胸の谷間に顔を埋めた。
彼はその状態で私の両胸を横から鷲掴みにし、暫くの間感触を堪能すると、再び乳首に吸い付き先程と同じことをし始めた。
「あぁっ……やぁんっ……リヒト、駄目……やめてぇ……」
やめてと言いながらも、私の秘部からは快楽の蜜が溢れ出し、甘い吐息が漏れてしまう。
私はリヒトから与えられる電流のような刺激に耐えられず、ひたすら声を上げ悶え続けていた。改めて、彼との性的な相性の良さを実感してしまう。
止め処なく溢れ出す蜜に困惑していると、漸く私の乳首から口を離したリヒトが徐に私の秘部に手を伸ばし、蜜を指で拭って見せてきた。
「お前のここは、こんなにぐっしょり濡れているのに……それでも、お前は俺に欲情していないと言い張るつもりなのか?」
「……っ!」
そう尋ねられ、羞恥のあまり思わず目を背けた。
リヒトの指に付着したキラキラと光る液体──それが自分のものだと思うと、羞恥心と自己嫌悪感でどうにかなってしまいそうだった。
「恥ずかしがることはないだろ。ほら……こんなに美味しいのに」
リヒトは呟くようにそう言うと、自分の指についている液体をぺろっと美味しそうに舐めてみせた。
「……!?」
「もっと気持ちよくさせてやろうか?」
リヒトの行動に驚いて絶句していると、彼は私の太腿を掴み強引に足を開かせ、その美貌を秘部に近づけた。
「な、何をする気な──ひゃあんっ……!」
最後まで言い終わらないうちに、リヒトは舌先でちろちろと私の花芯を舐め始めた。その刺激によって全身に稲妻のようなものが走り、意志に反して変な声が出てしまう。
「セレス……ああ……俺の可愛いセレス……」
「やんっ……ひあぁ……んっ……」
リヒトは溢れ出た私の蜜を、勿体無いと言わんばかりに全て舐め取ると、今度は肉襞に手を掛けて押し開き、膣内に舌を差し入れた。
「ひあっ……!? だ、駄目……リヒト……そんなとこ──あんっ……」
もうこれ以上は駄目だと制止するも、声を出せば出すほど嬌声を上げてしまう。それが余計にリヒトの興奮を煽ったのか、彼は私の膣内を執拗に舌で刺激し、止め処なく溢れ出す蜜をじゅるっと淫らな音を立てて舐め取った。
「ああっ……」
「こんなにシーツを濡らして……お前は本当に淫乱だな。いけない子だ」
「ち、違う……私、淫乱なんかじゃ……」
「ああ、そうだったな。お前は俺以外の男にこんな姿を見せたことがないんだったな」
「……っ」
「そうだ、それでいい……お前は俺以外の男を知らなくていいんだ。だから──」
リヒトはそこまで言うと、ズボンのファスナーを下ろしてすっかり固くなった自身を取り出した。
リヒトがそそり立つそれを私の秘部に押し当てた途端、先端から溢れ出ている彼の透明な体液が秘部に付着した。そのせいで、悠然とした態度で私の体を弄び続けていたリヒトももう限界なのだと悟らされる。
「お前の初めてを奪うのも、この俺だ」
「……! 嫌……そ、それだけは……お願い、やめて……」
「駄目だと言っただろう? 今回は、お前がどんなに泣き叫ぼうとやめるつもりはない」
リヒトはそう言うと、肉棒を手で持ち私の花芯を刺激し始めた。彼があまりにも執拗に、体液を塗りつけるようにその動作を繰り返すものだから、私はその刺激に耐えられず、また甘い吐息を漏らしてしまう。
「リ、リヒト……お願い、やめて……これ以上こんなことをされたら、私……」
「ん……? 何だ? その続きは?」
──あなたが欲しくてたまらなくなってしまうから。
思わずそう言いかけて、言葉を飲み込んだ。勿論、私の心は相変わらずリヒトと男女の関係になることを拒否している。
それなのに、私の体はすっかり彼の虜になってしまった。双子ゆえに体の相性が抜群なのだろうか。最早、そうとしか思えない。それくらい、彼との行為は気持ちがよかった。
「ん……はぁっ……リヒト……」
「今、挿れてやるから待ってろ」
リヒトはそう言いながら、私の考えを見透かしたように口角を上げた。
「ま、待って……! せめて、避妊はして……! ねえ、お願い!」
「駄目だ」
「そ、そんな……いやぁぁぁっ!」
一応、この世界にも避妊具の類は存在する。それなのに、リヒトは残酷にもそれを使用することを拒否した。彼は泣き叫ぶ私の腰に両手を添え秘部に自身をあてがうと、ゆっくりと中に侵入してきた。
その途端、膣に激痛が走る。これが処女喪失の痛みだということは、性経験が乏しい私でも想像に難くなかった。
「あ……あぁっ……入ってくる……あぁっ……嫌ぁ……」
「──やっと、お前と一つになれた……」
リヒトはズブリと最奥まで楔を打ち込むと、静かにそう呟き、喜悦の表情を浮かべながら私を見下ろした。恐怖と痛みで意識が朦朧とする。
「リヒト……お願い、抜いてっ……! 痛い……痛いよぉ……」
「見ろ、セレス。俺達は今繋がっているんだ」
リヒトは私の訴えを無視して、結合部分を見せつけてきた。
「嫌……いやぁ……見せないで……」
「駄目だ、しっかり見ろ。今日、俺とお前が繋がったという事実をこの先もずっと忘れるな」
「やめて……やめてよぉ……」
どうしてそこまでして見せたいのかはわからないが、リヒトは私にそれを強要した。
暫くそんなやり取りが続いた後、リヒトはゆっくりと私の膣内で動き始めた。彼が動く度に、結合部分からぐちゅぐちゅといやらしい音が鳴っている。
その淫らな音が、ベッドが軋む音や肌同士がぶつかり合う音と共に室内に響き渡っているせいで、目を瞑っていても自分達が許されない行為をしているのだと再認識してしまう。
そんなことを考えているうちに、不思議と痛みは快感へと変わっていった。
「んっ……ふあぁ……あぁっ……」
「セレス、気持ちいいか……? 俺も気持ちいい……。お前の中がこんなに気持ちいいなんて思わなかった。想像以上だ。動く度にこれでもかという程に俺を咥え込んで締め付けてくる」
「あぁ……んっ……はぁっ……あっ……リヒ……ト……だめぇ……」
「セレス……愛してる……。お前が気持ちよさそうにしてくれて、本当に嬉しい……。こんなことなら、もっと早く抱いておけばよかったな。前世でも、お前を気持ちよくさせてやりたかった」
私はリヒトから与えられる甘い快楽に抗えず、為す術もなく揺さぶられ続ける。
リヒトは暫くの間そうやって楔を打ち込み続けると、突然自身を引き抜いた。
「リヒト……?」
──もしかしたら、思い留まってくれたのかもしれない。
そう思って、ふとリヒトの顔を見上げる。けれど、私の願いとは裏腹に彼は嗜虐的な笑みを浮かべ、再びその美貌を私の秘部に近づけた。
「……ああ、やっぱり」
リヒトは何かを確認するようにそう呟くと、ねっとりと私の秘部を舐め上げた。
「ああ、美味しい……何て美味しいんだろう……。そうだ、セレス。お前も一緒に味わうといい」
「え……?」
羞恥心に耐えつつも出方を窺っていると、リヒトは恍惚とした表情で顔を上げ、思い及んだ様子で私に深い口付けを落とした。
「んっ……!? ふ、ぁ……あ……」
ぬるりと生温い舌が挿入された途端、独特な塩味と鉄のような味が同時に口内に広がった。
最初はそれが何なのかわからなかった。けれど、すぐにその味の正体に気づき思わず身震いする。
恐らく、リヒトが舐めていたのは破瓜の血だ。彼は今、破瓜の血と互いの体液が混ざり合ったものを私に味わわせているのだ。
「俺が奪ったんだ……お前の初めてを……。あいつが成し遂げられなかったことを、俺は成し遂げた……。この味は、その証なんだ……」
リヒトは漸く私から離れたかと思うと、喜びを噛みしめるようにそう呟いた。そして、少し間を置くと再び私の膣内に自身を奥深く挿入した。
そのまま何度も何度も子宮口を突かれ、その度に絶頂を迎えそうになっていると、リヒトは突然ペースを上げ今までよりも激しく動き始めた。
「ひゃっ!? あぁっ……!」
「こうすると、もっと気持ちいいだろ……? ああ、でも心配はいらないぞ。すぐ終わらないように俺も耐えるからな」
「あんっ……やんっ……リヒト、だめ……だめぇ! もう動かないでぇ……!」
「セレス、愛してる……。ああ……俺だけのセレス……。ずっとこうしたかったんだ。ずっと我慢していたんだ。前世からずっと、ずっと……」
リヒトは至福と感傷が共存したような表情でこちらを見下ろし、私の下腹部を激しく掻き回し続けた。そのせいで私は絶頂に達し、頭の中が真っ白になり、半ば意識を失いながらリヒトの美貌を見上げていた。
実の弟に犯されているというのに、今の私は快楽に酔いしれ、肉欲に溺れ、意識すら飛びそうになっている。
散々リヒトを拒絶しておきながら、このざまだ。何たる醜態だろう。そんなことを考えつつも揺さぶられていると、リヒトが小声で囁いてきた。
「セレス、もう限界だ……このままお前の中に──」
「……! やだ、やめて! やだぁっ……!」
そう叫びながら全力で首を振ったが、リヒトは構わず私の中に楔を打ち込み続けた。そして、リヒトが小さな呻き声を上げた途端、膣内がどくどくと脈打つような感覚に襲われ、私の中に熱が放たれた。
「あぁっ……中に出て……駄目なのに……あぁぁ……」
私達姉弟は禁忌を犯してしまった。もうその事実をなかったことには出来ないのだと思うと、自然と涙が溢れ出てきた。
「ああ、そうだな……駄目だな。世間から見ればいけないことだな。でも──これで俺達は『同罪』だ」
リヒトはそう言って絶望に打ちひしがれている私の涙を指ですくうと、愛おしそうに頬を撫で、そっと唇を重ねてきた。
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