囚われの赤ずきん ～一途な人狼は最愛の義姉を逃がさない～

第19話

「ひぁっ……！」
「ああ、あったあった。この辺かな？　知ってる？　今、俺が触っているところは、女性が最も気持ちよくなれる場所らしいよ。どう？　気持ちいい？」

　そう問われ、メイジーはぶんぶんと首を横に振る。
　けれど、それは否定の意味ではない。あまりにも気持ちよくて、頭がどうにかなってしまいそうだったからだ。
　カイルはその考えを見透かしたのか、ぐいぐいとそこを押して刺激し続けてくる。指の腹でその部分を押されるたびに、メイジーは何かがこみ上げてきそうな感覚に襲われた。

（何、これ……この前とは全然違う……。こんなこと嫌なはずなのに……私、どうして……）

　けれど、不思議と不快感はなかった。背徳的な行為だと思いつつも、心のどこかではカイルを『弟』ではなく『男』として認識してしまっているからなのかもしれない。
　そう考えてしまうのは、カイルが実の弟ではないという事実を免罪符にしているからだろうか。メイジーはそんな自分が嫌でたまらなかった。

（こんな風に感じてしまうなんて……自分がこんなにはしたない女だなんて思わなかったわ……）

　そんなことを考えていると、カイルは突然動きを止めてメイジーの中から指を引き抜いた。

「ねえ、姉さん。自分ばかり気持ちよくなるのはずるいと思わない？　せっかくの夫婦の営みなんだから、相手のことも気持ちよくさせないと」

　カイルはそう言うと、メイジーに握らせている自身を気持ちよくさせるよう促した。
　メイジーはそれを拒もうと、慌てて手を離そうとする。けれど、カイルにしっかりと腕を掴まれているため逃れることができない。
「ほら、ちゃんと気持ちよくさせて」

　カイルは囁くようにそう言うと、メイジーの手を使って自身の陰茎を上下させ始めた。
　暫くそれが続いたかと思うと、カイルは再びメイジーの裂目に指を挿入し上壁を刺激し始めた。不本意ながら、互いの手で互いの性器を刺激し合うような形になってしまう。
　秘所から鳴り響くクチュクチュという水音が耐え難いほどに淫靡で、メイジーは思わず耳を塞ぎたくなった。
　そうこうしているうちに、下腹部が今まで経験したことがないほどの強烈な疼きに支配され、メイジーは体全体がざわめきたつのを感じた。

「……ふ、ぁっ……」

　先日とは比べ物にならないほどの絶頂感が、メイジーを襲った。そして、次の瞬間──。

「あぁっ……！」

　メイジーはとうとう絶頂に登りつめてしまった。
　快感の余韻に浸りつつもカイルの方に視線を移してみれば、彼も絶頂を迎えそうなのか、呼吸が荒くなっていた。

「姉さん……俺も、もういきそう……くっ……」

　カイルが小さく呻く。突然反り返った雄がびくんと跳ね上がったかと思えば、先端から白い液体がびゅっと吹き出した。
　その直後、メイジーの手をどろっとした白濁液が伝う。

「カ、カイル……」

　羞恥に耐えつつも、メイジーは自分と同じように果てた弟の顔を見つめる。

「どうだった？　姉さん」

　カイルは艶めかしい吐息混じりにそう問いかけてきた。メイジーは気まずさと恥ずかしさで、火照る顔を隠すように俯いてしまう。

「……」
「駄目だよ、姉さん。いちいち恥ずかしがっていたら、一生、夫との初夜なんて迎えられないよ？　でも……よくできました」
「なっ……」
「偉い、偉い」

　カイルはそう言って満足げに微笑みながら、メイジーの頭をまるで子供を褒めるように撫でる。
　断りきれなかったとはいえ、メイジーはカイルが提案した『レッスン』を受け入れてしまった自分に対してひたすら自己嫌悪した。