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最後の日と、別れの日と、
お祭りへ
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お墓から家への帰路。
裏口から庭に入ったところ。
横にいる私服姿のリリィが問うてきた。
また昨日と同じ服だなーと思いつつ、その声に耳を傾ける。
「墓参りしてたの?」
「あ、うん! そだよ」
「そっか。なんか邪魔しちゃったかな」
「いや。ちょうど終わったとこだったから全然!」
「なら良かった。……あ、そういえばさ」
「ん? どうしたの?」
私がそう問い返す。しかし返事は来ない。
歩きながら裏庭を抜け、玄関前に来た時。
リリィは立ち止まり、私の顔を覗いてきた。
「ミリア。さっき、なんで私の頬にキスしてきたの?」
……ん?
頬にキスって。
あれ? 私が家を出る前にしたやつだよね?
え? なぜバレてる?
「へぇ。そんな夢みたんだ~」
とりあえず誤魔化し。
「リリィは私の事、凄く好きだねー」と。
めっちゃらしくないセリフを付け足す。
途端にジト目で私を見てくるリリィ。
「誤魔化さないで」
「う、うぅ。寝たふりとは卑怯な……」
「ミリアの気配で偶然に目覚めただけ。気付けば私の頬にしっとりとした感触が乗っていたっていうだけで」
「くっ。あれは完全に寝やがってると思っていたのにっ……」
絞るような声を吐く。
私の顔は下を向いていた。
私の目は視界の端の雑草を、縋るように見ていた。
思考は回る。ぐるぐるぐるぐる。
夏の暑さと恥ずかしさの熱で倒れそう。
リリィはやれやれという風に溜息を吐く。
そして、次の彼女の行動は本当に間髪入れずにやってきた。
顎に包むような手の感触が訪れ、私の顔を上げてきて。
頬に柔らかい唇を触れさせてきた。
「これでおあいこ」
すぐに離れたリリィはあざとく笑った。
「なっ。ななななな!」
私は膠着の後、キスされた場所を抑え、更に赤面する。
リリィさん。ちょっと積極的すぎやしませんか⁉︎
こう言ってやりたかったけれど、私の喉でそれはつっかえてた。
さっきまでの恥ずかしさと交代して、新しい恥ずかしさが私を襲う。
というかさ。笑顔めっちゃ可愛い。ドキッてした。
なんか、一日目に比べて、凄く表情とか、声とか。
諸々が柔らかくなっている気がする。
一日目は、凄くこう。硬いというか。
優しさの趣きを感じれなかったもん。
リリィを見やる。
まだ、私に微笑みを見せていた。
「もう。調子狂うな~」
言いながら、私も微笑む。
調子は狂ったけど、良い方向に狂ってくれたので結果オーライだった。
※
部屋に戻る。
リリィはベッドに腰掛け、私は部屋をぐるぐると歩いている。
今からはお昼ご飯の時間だ。リリィも多分そう思っているはず。
しかし、今日はお祭り。
外には、沢山の出店があるはず。
そう。お昼ご飯は、リリィとお外で食べたいのだ。
けど。誘うのって意外と緊張する。
昨日は、お祭りはリリィと楽しむぞって意気込んでいたし。いつもの私だったら、普通に誘うところなのだけれど。なんでかそうなっちゃう。
……いやしかし。こんなことで時間を喰われるのも良くない。
ここは意を決して言うしか──。
「ミリア、さっきからどうして歩き回ってるの?」
だが、その前にリリィが先に言葉を発した。
とうとう痺れを切らしたらしい。
そりゃそうだ。私、さっきからずっと部屋をウロウロしてるもん。
私は足をピタと止め、彼女を見た。
言うしかないと思った私は口を開ける。
「え、えーっと」
「うん?」
首を傾げるリリィ。
私は、あからさまに深呼吸をし、リリィに想いを飛ばした。
「あのさっ! 今日お祭りですから今から一緒に行きましょう! と、思いまして!」
すごい早口。
言いながらそう思った。
リリィは一瞬戸惑った様子を見せてきたけど。
その顔はたちまち笑顔に切り替わった。
「うん。いいよ」
瞬間、私の心は偉く安心した。
「あぁ良かったぁ……。リリィならそう言ってくれるって信じてたよぉ」
「えー? それを言うのを緊張して部屋を歩き回っていたってこと?」
「そ、そういうことです」
「ミリア、とっくに私に対するそういう恥じらいって捨ててる物だと思ってた」
その語尾には『キスをしてきたくらいなのに』って言葉が付いているようだった。
多分気にしすぎだとは思うけど。
「ははは……。なんか恥ずかしかったので」
言いながら恥ずかしくなり。体が熱を上げたのを理解し。
このままだといつもみたく顔が熱さで破裂しそうだった。
ので、私は「さぁ!」とリリィに飛ばし。
「そ、そういうことなので、今から一緒に行こう!」
裏口から庭に入ったところ。
横にいる私服姿のリリィが問うてきた。
また昨日と同じ服だなーと思いつつ、その声に耳を傾ける。
「墓参りしてたの?」
「あ、うん! そだよ」
「そっか。なんか邪魔しちゃったかな」
「いや。ちょうど終わったとこだったから全然!」
「なら良かった。……あ、そういえばさ」
「ん? どうしたの?」
私がそう問い返す。しかし返事は来ない。
歩きながら裏庭を抜け、玄関前に来た時。
リリィは立ち止まり、私の顔を覗いてきた。
「ミリア。さっき、なんで私の頬にキスしてきたの?」
……ん?
頬にキスって。
あれ? 私が家を出る前にしたやつだよね?
え? なぜバレてる?
「へぇ。そんな夢みたんだ~」
とりあえず誤魔化し。
「リリィは私の事、凄く好きだねー」と。
めっちゃらしくないセリフを付け足す。
途端にジト目で私を見てくるリリィ。
「誤魔化さないで」
「う、うぅ。寝たふりとは卑怯な……」
「ミリアの気配で偶然に目覚めただけ。気付けば私の頬にしっとりとした感触が乗っていたっていうだけで」
「くっ。あれは完全に寝やがってると思っていたのにっ……」
絞るような声を吐く。
私の顔は下を向いていた。
私の目は視界の端の雑草を、縋るように見ていた。
思考は回る。ぐるぐるぐるぐる。
夏の暑さと恥ずかしさの熱で倒れそう。
リリィはやれやれという風に溜息を吐く。
そして、次の彼女の行動は本当に間髪入れずにやってきた。
顎に包むような手の感触が訪れ、私の顔を上げてきて。
頬に柔らかい唇を触れさせてきた。
「これでおあいこ」
すぐに離れたリリィはあざとく笑った。
「なっ。ななななな!」
私は膠着の後、キスされた場所を抑え、更に赤面する。
リリィさん。ちょっと積極的すぎやしませんか⁉︎
こう言ってやりたかったけれど、私の喉でそれはつっかえてた。
さっきまでの恥ずかしさと交代して、新しい恥ずかしさが私を襲う。
というかさ。笑顔めっちゃ可愛い。ドキッてした。
なんか、一日目に比べて、凄く表情とか、声とか。
諸々が柔らかくなっている気がする。
一日目は、凄くこう。硬いというか。
優しさの趣きを感じれなかったもん。
リリィを見やる。
まだ、私に微笑みを見せていた。
「もう。調子狂うな~」
言いながら、私も微笑む。
調子は狂ったけど、良い方向に狂ってくれたので結果オーライだった。
※
部屋に戻る。
リリィはベッドに腰掛け、私は部屋をぐるぐると歩いている。
今からはお昼ご飯の時間だ。リリィも多分そう思っているはず。
しかし、今日はお祭り。
外には、沢山の出店があるはず。
そう。お昼ご飯は、リリィとお外で食べたいのだ。
けど。誘うのって意外と緊張する。
昨日は、お祭りはリリィと楽しむぞって意気込んでいたし。いつもの私だったら、普通に誘うところなのだけれど。なんでかそうなっちゃう。
……いやしかし。こんなことで時間を喰われるのも良くない。
ここは意を決して言うしか──。
「ミリア、さっきからどうして歩き回ってるの?」
だが、その前にリリィが先に言葉を発した。
とうとう痺れを切らしたらしい。
そりゃそうだ。私、さっきからずっと部屋をウロウロしてるもん。
私は足をピタと止め、彼女を見た。
言うしかないと思った私は口を開ける。
「え、えーっと」
「うん?」
首を傾げるリリィ。
私は、あからさまに深呼吸をし、リリィに想いを飛ばした。
「あのさっ! 今日お祭りですから今から一緒に行きましょう! と、思いまして!」
すごい早口。
言いながらそう思った。
リリィは一瞬戸惑った様子を見せてきたけど。
その顔はたちまち笑顔に切り替わった。
「うん。いいよ」
瞬間、私の心は偉く安心した。
「あぁ良かったぁ……。リリィならそう言ってくれるって信じてたよぉ」
「えー? それを言うのを緊張して部屋を歩き回っていたってこと?」
「そ、そういうことです」
「ミリア、とっくに私に対するそういう恥じらいって捨ててる物だと思ってた」
その語尾には『キスをしてきたくらいなのに』って言葉が付いているようだった。
多分気にしすぎだとは思うけど。
「ははは……。なんか恥ずかしかったので」
言いながら恥ずかしくなり。体が熱を上げたのを理解し。
このままだといつもみたく顔が熱さで破裂しそうだった。
ので、私は「さぁ!」とリリィに飛ばし。
「そ、そういうことなので、今から一緒に行こう!」
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