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あと、三日
抱きつかれて、それで
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何分が経過したのかもよく分からない。
部屋はもうかなり暗くって、時計を確認しようにも出来なかった。
けれど、かなり時間が経ったのだと。その事実だけは認識していた。
けど。何も言わずにこうして縛られ続けている理由は……。えっと……。
あれ? なんでだろう。
出ていた気がする答えが一気に引っ込んだように消えていた。
なんか凄いバカバカしいことを思考しているような気が……。
いや、けど。これはリリィへのご褒美ってことで先は納得したんだ。
ご褒美って言い方は、ちょっと子供扱いをしている感があるが。
うん。だから抵抗もせずにこうして縛られている。
そんな感じに思っておかないと、思考が変な方向にいって頭が爆発しそう。
……それに。今日の私は少しおかしい。……いや、物凄くおかしい。
それもこれも、リリィに好きって言われたからだろうけど。
そのせいで変にそればっかり意識して、頭を掻き乱されて、思考が変な方向にぶっ飛んでいくんだと思う。
リリィが悪い。これは。
…………。
……私が悪いか。
そういう風に。こんな感じで。
本当に馬鹿で、無意味で、恋愛脳な思考を繰り返して。
そうしている内に、時間もかなり経っていて。
気が付けば。
リリィの私を抱きしめる力が弱まっていた。
というか、今弱くなったんだと思う。
彼女の両腕が、するすると私の視界から離れていき。
やがて、私の身体はその手の感触を感じなくなっていて。
後ろから、気まずさの様な何かが私の背中を張らせた。
黙る。
けれど、向こうも黙る。
その沈黙に耐えかねて、私は後ろを向かずに声をかけた。
「……リ、リリィ? もう、大丈夫なの?」
自分でも何が大丈夫なのか聞いているのかが曖昧だった。
数拍、間をあけて、リリィの細々とした声が聞こえてきた。
「もう。大丈夫。……これで頑張れそう」
「頑張るって……。……まぁいいや」
何を? と聞こうとしたけど、やめておいた。
あまりいい返答が貰えなかったし。
特に気になったというわけでもなかったから。
「ミリア。……今、私にこうされたの嫌じゃなかったの?」
「え? ……いや別に。いいけど」
これくらい減るものがあるわけじゃない。
……待って。
考えてみれば減るものはあった。結構あった。
私のお腹である。
抱きつかれている時間で一体何回私の腹の虫の音が聞こえたことか……。
正直それは恥ずかしかった。
けれど、それを含めても抱きつかれたのは別に嫌じゃない。
「そう。そうなんだ」
リリィは意外そうにそう漏らした。
「うん」
頷いて、漂っていた気まずさも薄くなってきていたので、私は振り向いた。
暗闇に目が慣れた私は、彼女の顔をしっかり捉えられた。
というよりも、先よりも部屋は明るかった。
後ろの窓から星の光が差し込んで、部屋が薄暗く輝いていたから。
「……ど、どうも」
意味もなくペコリとお辞儀をした。
また気まずくなったからかもしれない。
にしても。
こういうことをされる度に『こんな顔の人が、私にこんなことをしているのか』と、むず痒くて、恥ずかしくて。そこに、第一に思考が巡る。
と、私は今日だけで何回こういうことを考えたのだろう。
良くない良くない。頭を左右に振る。
そして思考の中から彼女の向き直った。
……しかし。これがさっきまで抱きしめ続けていた人の表情なのか。
どこか、ぼんやり。いや、無心?
分からないけど、恥ずかしがるなり何かしてもいいんじゃないかとも思う。
けど、全くそんな様子も見えないし。
話しかけた時に、恥ずかしさが引いたのかな、と納得してこう言う。
「いやー、お腹空いたね」
ちょっと唐突すぎたかなとも思ったけど。
さっきの事は一旦頭の隅に追いやって。
お腹をさすりながら、ちょっと照れ気味に。
「うん、空いた」
薄暗く輝いた部屋の中で、彼女の首が縦に振られる。
「じゃあ、ご飯食べる?」
「食べる。食べよう」
「よし! ……ちょっと前にも言ったけど、家なんにもないからさ。外で食べよっか! 私、すごく美味しいお店知ってるから!」
言いながら距離をつめて。彼女の手を盗った。
その手は、ほんの少しだけ汗で濡れていた。
部屋はもうかなり暗くって、時計を確認しようにも出来なかった。
けれど、かなり時間が経ったのだと。その事実だけは認識していた。
けど。何も言わずにこうして縛られ続けている理由は……。えっと……。
あれ? なんでだろう。
出ていた気がする答えが一気に引っ込んだように消えていた。
なんか凄いバカバカしいことを思考しているような気が……。
いや、けど。これはリリィへのご褒美ってことで先は納得したんだ。
ご褒美って言い方は、ちょっと子供扱いをしている感があるが。
うん。だから抵抗もせずにこうして縛られている。
そんな感じに思っておかないと、思考が変な方向にいって頭が爆発しそう。
……それに。今日の私は少しおかしい。……いや、物凄くおかしい。
それもこれも、リリィに好きって言われたからだろうけど。
そのせいで変にそればっかり意識して、頭を掻き乱されて、思考が変な方向にぶっ飛んでいくんだと思う。
リリィが悪い。これは。
…………。
……私が悪いか。
そういう風に。こんな感じで。
本当に馬鹿で、無意味で、恋愛脳な思考を繰り返して。
そうしている内に、時間もかなり経っていて。
気が付けば。
リリィの私を抱きしめる力が弱まっていた。
というか、今弱くなったんだと思う。
彼女の両腕が、するすると私の視界から離れていき。
やがて、私の身体はその手の感触を感じなくなっていて。
後ろから、気まずさの様な何かが私の背中を張らせた。
黙る。
けれど、向こうも黙る。
その沈黙に耐えかねて、私は後ろを向かずに声をかけた。
「……リ、リリィ? もう、大丈夫なの?」
自分でも何が大丈夫なのか聞いているのかが曖昧だった。
数拍、間をあけて、リリィの細々とした声が聞こえてきた。
「もう。大丈夫。……これで頑張れそう」
「頑張るって……。……まぁいいや」
何を? と聞こうとしたけど、やめておいた。
あまりいい返答が貰えなかったし。
特に気になったというわけでもなかったから。
「ミリア。……今、私にこうされたの嫌じゃなかったの?」
「え? ……いや別に。いいけど」
これくらい減るものがあるわけじゃない。
……待って。
考えてみれば減るものはあった。結構あった。
私のお腹である。
抱きつかれている時間で一体何回私の腹の虫の音が聞こえたことか……。
正直それは恥ずかしかった。
けれど、それを含めても抱きつかれたのは別に嫌じゃない。
「そう。そうなんだ」
リリィは意外そうにそう漏らした。
「うん」
頷いて、漂っていた気まずさも薄くなってきていたので、私は振り向いた。
暗闇に目が慣れた私は、彼女の顔をしっかり捉えられた。
というよりも、先よりも部屋は明るかった。
後ろの窓から星の光が差し込んで、部屋が薄暗く輝いていたから。
「……ど、どうも」
意味もなくペコリとお辞儀をした。
また気まずくなったからかもしれない。
にしても。
こういうことをされる度に『こんな顔の人が、私にこんなことをしているのか』と、むず痒くて、恥ずかしくて。そこに、第一に思考が巡る。
と、私は今日だけで何回こういうことを考えたのだろう。
良くない良くない。頭を左右に振る。
そして思考の中から彼女の向き直った。
……しかし。これがさっきまで抱きしめ続けていた人の表情なのか。
どこか、ぼんやり。いや、無心?
分からないけど、恥ずかしがるなり何かしてもいいんじゃないかとも思う。
けど、全くそんな様子も見えないし。
話しかけた時に、恥ずかしさが引いたのかな、と納得してこう言う。
「いやー、お腹空いたね」
ちょっと唐突すぎたかなとも思ったけど。
さっきの事は一旦頭の隅に追いやって。
お腹をさすりながら、ちょっと照れ気味に。
「うん、空いた」
薄暗く輝いた部屋の中で、彼女の首が縦に振られる。
「じゃあ、ご飯食べる?」
「食べる。食べよう」
「よし! ……ちょっと前にも言ったけど、家なんにもないからさ。外で食べよっか! 私、すごく美味しいお店知ってるから!」
言いながら距離をつめて。彼女の手を盗った。
その手は、ほんの少しだけ汗で濡れていた。
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