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4.日常
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家のことや食事の時間以外の一日の半分は少なくとも蒼葉は旭と別のことをしている。午後は三時ごろからストレッチを始めてランニングに出る。それ以外の時間、旭はパソコンに向かっているか本を読んでいるかのどちらかだ。蒼葉はほとんどの時間、大学の講義を手当たり次第に聞いているからやっていることはさして変わりないのだろう。
月に一度の頻度で旭はオンライン通話をしているが、どうやらそれは旭の寝る前の薬を処方するための診察であるらしい。砕けた会話だが、内容は旭の体調を聞くもので翌々日くらいに宅配で一か月分の薬が届く。旭はなにも言わないが、蒼葉は聞いてはいけないような気がしてその通話の時は同じ部屋にいないようにするかイヤホンで耳を塞ぐ。
個人的なことで旭は気にしていないだろうが、改めて蒼葉に話すこともない。目を逸らしているだけかもしれないが、蒼葉には自分から踏み込む勇気もない。デリケートな問題で、安易な言葉をかけてもどうにもならないと気付いてからは余計に蒼葉は気後れした。
普段の旭は穏やかで滅多に声を荒げない。なのに──。
「え!? ちょっと待って! そんなの聞いてないよ」
つい先ほどまで月に一度の診察に当たる同じような応答をしていたはずなのに、急に旭の声が大きくなって蒼葉は驚いてベッドに寝転がって講座を聞いていた顔をデスクの方へと向けた。ついでに片耳だけイヤホンを外す。
「急すぎでしょ! ぼくのこと暇人だと思ってない? 用事があるから無理って言ったらどうするつもりだったの」
カメラが接続されているのかどうかは知らないが旭は前のめりになって、どうやら怒っているようだ。イヤホンマイクにしていない会話は蒼葉にもそのまま届く。
「いや、暇人だろ引きこもりが。お前に用事なんてないのわかってるからねじ込んだんだろうが」
聞こえてくる声は確かに蒼葉も聞いたことのある声で診察のための通話だったのに違いはないらしいが、なにか別の要件がそこに紛れたようだ。
「嫌だよ、先生の相手なんて。それに君、なんて言った? 正気? ぼくはまだ復職できると思ってないよ」
「はいはい。煩い、黙れ。先生が仕事でそっちに出張するって言うから、仕方なく俺がセッティングした。んで、お前、先生のお気に入りだろ。一杯くらい相手してやれよ。それからいい加減一年近くも引きこもってんだ、少しは戻れ。リハビリの一環とでも考えりゃいいだろ。こっちの大学病院勤務と違ってクソ忙しくもないし、難しい症例もない」
「だからそういうこと勝手に決めないでくれる!? ぼくのことはぼくに決定権がある!」
「黙れっつってんだろ。リハビリくらいしろや。腕訛るぞ。そんなに嫌なら明日、先生に直接断り入れろよ」
「強引だなあ! 明日のことは仕方ないから先生の案内はするけど、復職の話は知らないよ。じゃあね。薬、ちゃんと送っておいてよね」
まくし立てるような会話をした後、旭は疲れたように椅子の背もたれに背を預けて大きな溜息をついている。しばらく天井を見上げたままぼんやりしていたかと思うと、蒼葉の方へ首を傾げてから椅子を立ってベッドの隣に転がり込んできた。
「旭。どうしたの」
スマートフォンで再生していた講座を止めて、もう片耳のイヤホンを外してまとめて枕元に置いてから蒼葉は訊いた。断片的に蒼葉にわかることは旭に明日急用ができたことと、その用が復職に関係していること。
「蒼葉。明日、大学の時にお世話になった先生がこっちの病院に出張で来るから案内することになった。昼過ぎに着く便で来るって言ってたから、迎えに行って、出張先の病院までお供して……ホテルまで送る。夕食も付き合うことになっちゃうから帰りは夜になる。それで、その先生の出張先の病院でぼくに非常勤でいいから働かないかって。いずれ、ぼくを元の病院に戻したいんだと思う」
「旭は嫌なの」
先ほどまでの剣幕を見て蒼葉はまた訊いた。
「先生の案内だけなら、めんどくさいけど仕方ないでよかったんだけど、非常勤でも復職とかまだ考えてなかった。確かにいつかは少しずつ仕事に戻らないとならないけど」
「非常勤ってどのくらい忙しいの」
「細かいことはまだ聞いてないけど、一般的には週に何日か外来を診るだけ。忙しくはない」
そこまで聞き出しておきながら、蒼葉は旭の背中を押せない。現状の生活が旭に頼りきりになっている状態で蒼葉には仕事に関して口を出せない。思わず溜息が零れて、無造作に旭に腕を回して抱き寄せた。
「俺がさあ、ちゃんと仕事とかしてて自立してるんだったらあんたが嫌なもんは嫌なままでいいよって言えるんだけどな」
「え? 蒼葉、もし仕事してたらそんなこと言ってくれるの? その前に、ぼく、明日ほとんど出かけなきゃなんないんだけど、いいの」
「あのさ。子どもじゃないんだから、一日くらいひとりでも平気だよ。運転すんなら酒飲むなよ」
「……それはもちろんだけど……」
蒼葉の腕の中で旭が戸惑ったように返事する。
「旭が嫌なんじゃん? 出かけるのとか、センセーの相手とかそういうんじゃなくて俺がいないの。俺が全然平気かって言ったら、子どもじゃないから平気だけど嫌かどうかで言ったらやっぱり嫌だよ。でも、仕事したりするようになったら嫌とか言ってらんないじゃん。俺だって、このままじゃ駄目なことは知ってる。自分のこと、ちゃんとしなきゃなんないし」
幼稚だとはわかっているけれど、蒼葉は思ったままを口にした。
まだ閉じこもったままでいたい。このままの時間が永遠になどならないことを知っていても、留守番くらいできるが、それはまだ嫌だと思う。
抱き寄せていた旭が蒼葉に強く抱き返す腕を回してきた。
「うん。蒼葉の言うとおりだ」
「だからさ、俺がまだ旭に頼ってるうちはあんたのことに口出しできない。さっきの人、旭のこと気にしてくれてんじゃん? 俺は、どうしたいのか少しわかってきたかもしんないくらいだから、あんたに迷惑ばかりかけるけど」
「蒼葉のことを迷惑だなんて思わない。甘えてるだけなんだ。……ずっと蒼葉としかいなかったから今更先生の案内をするとか、急すぎてどうしていいのかわかんなくなってる……」
そうなのかと蒼葉は納得した。過労で仕事に疲れた旭は蒼葉を監禁する前から休んでいて、蒼葉の知っている限りほかに話す相手は先ほどの通話の男しかいない。閉じこもったままだから当然ではある。
確かに先ほどの男のやり方は強引だけれど、そうでもしない限り旭が自分から動こうとしないとでも判断したのだろう。ずっと一緒にいる蒼葉ですら旭が他人と交流したがらないことを知っている。
「俺が一緒に行ってもいいなら行くよ」
ふと笑って冗談を言うと、蒼葉を抱く旭の腕が緩んだ。
「蒼葉、ぼくの保護者みたいだね」
「あんた、そのセンセーに気に入られてんだろ。邪に気に入られてんだったらぶん殴る。旭、綺麗なツラしてるし」
冗談の延長で蒼葉は続けた。蒼葉はほかの同性愛者がどういう風なのかを知らない。もちろん、医者のくわしい仕事内容もわからない。けれど、先生と呼ばれる人物に相当するのが老年にさしかかっているだろうことは想像できる。男だろうと女だろうと、気にいられていると他人から言われるのならその種類はふたつにわかれる。
「違うから安心して。……でも、蒼葉がそう言ってくれて少し気が楽になった。明日、行ってくるね」
踏ん切りがついたように蒼葉の頭を撫でて柔らかな声で言われた。「行ってこい」と言うと、旭は蒼葉の腕から離れて寝返りを打った。
「あー……でもスーツ着なきゃなんないの、めんどくさいな」
とても嫌そうに旭が呟いた。案内役よりもスーツを着用することの方が余程嫌そうに聞こえて蒼葉は笑った。
「大変だな、医者」
「うん。堅苦しい」
蒼葉が頬を撫でると旭は苦笑した。その堅苦しいところにいずれは戻ると旭はわかっているのだろうと、蒼葉はそれ以上を言わなかった。
そろそろ普段であればストレッチを始める頃合いだったが、蒼葉はそれも急かさない。明日の外出だけならよかったが、それに付随した話に対して旭はどうするのか決めかねているのだろう。もちろんまだくわしい条件なども知らないまま決断など下せないが、既に話があることはわかっているのだから先のことを考えてしまうのは自然だ。
翌日、蒼葉は身支度をしている旭をデスクの椅子から眺めていた。
蒼葉は旭がスーツを着ているところを初めて見る。クリーニングから帰ってきたままの状態でクローゼットに仕舞われたまま、ずっと放置されていたスーツにブラシをかけるのは習慣だろうか。
白のワイシャツとチャコールグレーのスーツにネクタイ。慣れた仕草で身に着けていく様子は昨日「めんどくさい」と言っていた口とは裏腹で、身に染みついているのだろうと思うと蒼葉は少し心配になる。その姿は旭が仕事をしていた時の普段の姿に近しいのだろうことが原因だと蒼葉は自覚している。それからまだ自分が社会的な立場もなにも持ちえないことも。
「旭、スーツ着てんのかっこいいじゃん」
軽口を叩くと、蒼葉の方を見た旭に嫌そうな顔をされた。
「堅苦しくて嫌なんだよ。医者はずっとネクタイしてると思うの? 普段はスクラブやケーシーの上に白衣羽織っていれば楽でいいんだ。外向きの用がある時くらいしかスーツなんて着ないよ」
「スクラブ? ケーシーってなに?」
聞きなれない言葉に蒼葉が首を傾げると、旭に説明された。
「んー……身近なとこだと歯医者の先生がよく着ている……。あと、看護師も」
「ああ。ああいう」
「だから、スーツ着る時は先生のお供や学会とかの外向きの用事でめんどくさい」
溜息交じりに旭は言うけれど、蒼葉にはそのスーツ姿は着慣れているように見える。実際、旭にそういう機会も以前は多かったのかもしれない。だからこそ、余計にめんどくさいと連発しているのかもと考える。
「あのさ、旭。俺はあんたの過労と不眠のこととかなんもしてやれないし、どうやってなんか言ったらいいのかわかんない。でも、今日案内するあんたがお世話になったセンセーとか昨日話してた人とかだったら、あんたがどうしたらいいのか少しは聞いてくれるんじゃねえの」
蒼葉は椅子の背もたれに引っかけた腕に頭を乗せて思い切って言った。蒼葉がどう接していいのかわからない旭の部分。人に託すなど不本意ではあるが、デリケートな問題で素人の蒼葉にはどうしようもない。
「確かにそうだね。……ぼくは蒼葉に固執してしまうから、言ってくれなかったら今日もきっとただ先生の案内をして、それだけで帰ってくるつもりだった」
「あんた言ったじゃん。バスケの相手は自分じゃできないって。それと同じことだと思う」
全く未知のことで専門的な知識が必要だから相談相手にもなれない。仕方ないことだとわかっていても、蒼葉は悔しくて腕に乗せた顔を隠した。遊びでやるスポーツとは違って、旭の過労と不眠は仕事に密接に関係する分、専門家ではない蒼葉には的確なことが言えない。
「蒼葉。蒼葉がそうやってぼくの背中を押してくれるだけで嬉しい。だから、ありがとう」
顔を隠した頭を撫でられて隠しきれない耳にキスされた。
互いに雁字搦めになりたくてもそれでは生活が破綻すると知っている。それならば、与えられたチャンスをふいにするのは少なくともいいとは言えない。蒼葉の言葉は感情を横にしているけれど、時にはロジカルである必要がある。
「行ってこいよ。遅刻しちゃまずいんだろ」
「うん。でも、その前に顔上げて欲しいな」
柔く耳元で言われて蒼葉は渋々顔を上げると、旭は苦笑した。拗ねているのが顔に出ているのだろう。頬にキスが落ちて、もう一度頭を撫でられた。
「ごめんね、ぼくがちゃんとしなきゃなんないのに蒼葉にそんなこと言わせてしまって。行ってくるね」
準備をしていた時はずっと陰鬱な雰囲気を纏っていたのに、旭の顔は蒼葉には多少すっきりして見えた。
「おう」
短く返事すると、旭はひらりと手を振って最低限の持ち物だけで出かけていった。ばたんと玄関のドアが閉まる音を聞いてから蒼葉は椅子にぐったりと崩れて深い溜息をついた。
「……あいつ、本当に俺以外全員モブなんだな……」
言葉にしてみるとそれは思ったよりも酷かった。
蒼葉はそれを嬉しいと思うけれど、旭のことを気にかけている他人にはその態度はあまりにも冷酷だ。蒼葉以外の誰の言葉も聞く耳を持たない。視野が狭いという問題ではなく、破綻的なのだ。元々、旭のしたこと自体が破滅のシナリオだったのだからその先などないはずだったが、蒼葉が捻じ曲げた。
いまの旭は想定外の道を模索している最中なのに、唯一旭が見ている蒼葉が直接旭に作用できないことは悔しい以外のなにものでもない。第三者にくわしい者がいるならそちらに託すしかない。そうして少しずつこの閉じこもった生活から外に踏み出すしかないが、蒼葉はまだ迷っている。
「べったりしてないと駄目なのは俺の方だっつの」
苛立たしく舌打ちをして蒼葉は吐き出す。
自立しなければならない。勉強し直すなり、アルバイトをするなり手段はいくらでもある。少しの間だが、ここに転居してからアルバイトもしていたが、ずっと続けたい仕事かと言われるとその場しのぎでしかなかった。将来という言葉は蒼葉に重くのしかかる。
手に職を持っている旭は仕事を再開することに関してはスムーズにいくだろう。
しかし、まだ半端に学生を中断して閉じこもった蒼葉には難しい。対等の収入とまではいかなくとも、安定した収入と長く続けられる仕事とはなんなのかまだ蒼葉には判断しかねる。適当なサラリーマンにはなりたくないと思う。
収入は必要だが、そのためだけに思い入れもない仕事をしてストレスをためるのは本末転倒だ。蒼葉は旭を見ている分、その思いが強い。医者など、簡単になれる職業ではない。少なくとも蒼葉にはなれない。努力の末に得た職業で過労と不眠になった旭を見ると、職業の選択が慎重になる。そこに更に旭と離れないという条件を追加するだけで蒼葉は途方に暮れるが、まだそれを旭に相談しようとは思わない。旭はきっと蒼葉ひとりなら働かなくてもいいと言いかねないことを知っている。せめて、なにになりたいのかだけでも方向性を見つけないと話にならないと蒼葉は思い込んでいた。
ひとりで過ごす時間など久しぶりすぎて、普段と同じでいいはずなのに蒼葉はぼんやりとしていた。
昼前に旭を送り出してから、おやつ時になって昼食を忘れていたことに気付く。その時間に気付いたのは毎日習慣にしているストレッチの時間で、習慣がなければずっとぼんやりしていたかもしれない。いつもは旭の手を借りるストレッチをひとりでして、その後はランニングに出る。外の空気を吸うと少し気分が紛れた。南の島でも冬に差し掛かると多少は冷える。
休憩地点の公園まで走ると、いつも休んでいるベンチの向こうのハーフコートで今日も中学生たちが遊んでいた。部活帰りだろうに飽きないものだと思うが、昔の蒼葉も同じだった。彼らとは時々、一緒に遊んでいる。
ユウキのシュートが綺麗に入ってボールを拾ったテツヤが振り向いた時に蒼葉に気付いて手を振ってきた。
「蒼葉さーん! 一緒にやんない? ってか今日ひとりなの?」
「ひとりだよ。ちょっと休んでから混ざるから待って」
返事をしながら蒼葉はハーフコートの近くのベンチに腰を下ろした。無理をするなと旭に何度も言われている。ランニングの折り返し地点で休憩するのにそのままゲームに混ざっては休憩にならない。
「じゃあ俺たちも休憩にしよーぜ」
アキラがそう提案して、ゲームは一時中断となった。
蒼葉の座るベンチの近くに各々好きに座り込んで中学生らしい雑談に花が咲く。クラスの女子が可愛いとか、誰かが告白されたとか、テストの点数だとか。
「そういえばさ、旭さんって蒼葉さんのお兄さん? あんまり似てないよね」
ふと話を振られて、蒼葉はふふと笑った。兄弟だと思われていたのかと初めて知った。
「兄弟じゃないもん、似てるわけないだろ」
「でもいつも一緒にいるよね」
怪訝そうに首を傾げるユウキに蒼葉は悪戯に笑う。
「そりゃ一緒にいるだろ。だって旭、俺のカレシだもん」
堂々と他人にそういうのは二度目だなと思いながら、蒼葉は断言した。
「男同士なのに気持ち悪いと思うか?」
問いかけると、まだ中学生の少年たちはそれぞれ頭を振った。
「そんなこと思わないし、なんか納得した」
「納得ってなんだよ」
蒼葉が笑って訊くと、テツヤが少し考えながら答えた。
「カレシとかカノジョとか、そういうの俺まだいないけど付き合ってる相手いるやつってさ、独特の雰囲気あって蒼葉さんと旭さんってそれと同じだなと思った」
「へえ。あいつが聞いたら喜びそう」
「それって俺らが知ってていいの」
「俺は隠す気ねえからいいよ。旭はわかんねえけど。でも喜ぶと思う」
走ってきた分の呼吸が落ち着いたところで蒼葉は伸びをした。
勝手にひとりの時に共通の知り合いに関係を明らかにした。旭は蒼葉との関係を公言する気はないらしく、ずっと彼らと接していてもそこに触れていなかったが蒼葉は気にしない。旭を彼氏だと言って気持ち悪いと少年たちが言うのならば仕方ないで済むことだった。けれど、少年たちはなんの偏見もなく納得している。
「じゃ、やろうぜ。スリーゲームな」
ストレッチと片道のランニングで躰は温まっている。スリーゲームの制限は蒼葉がつい夢中になってしまうので旭が設けたルールだ。
彼らが三人のところに蒼葉が加わるとちょうど四人になってツーオンツーになる。組み合わせは毎回くじで決める。
「今日こそ勝ち逃げさせないよ」
「おう。一回くらい勝ってみろよ。こちとらブランクあんだぜ」
バスケットボールのことになると蒼葉も少年たちも顔つきが変わる。自覚はなくても好きなことをしている時の表情は生き生きとする。その間は悩み事も忘れて夢中でいられる。
月に一度の頻度で旭はオンライン通話をしているが、どうやらそれは旭の寝る前の薬を処方するための診察であるらしい。砕けた会話だが、内容は旭の体調を聞くもので翌々日くらいに宅配で一か月分の薬が届く。旭はなにも言わないが、蒼葉は聞いてはいけないような気がしてその通話の時は同じ部屋にいないようにするかイヤホンで耳を塞ぐ。
個人的なことで旭は気にしていないだろうが、改めて蒼葉に話すこともない。目を逸らしているだけかもしれないが、蒼葉には自分から踏み込む勇気もない。デリケートな問題で、安易な言葉をかけてもどうにもならないと気付いてからは余計に蒼葉は気後れした。
普段の旭は穏やかで滅多に声を荒げない。なのに──。
「え!? ちょっと待って! そんなの聞いてないよ」
つい先ほどまで月に一度の診察に当たる同じような応答をしていたはずなのに、急に旭の声が大きくなって蒼葉は驚いてベッドに寝転がって講座を聞いていた顔をデスクの方へと向けた。ついでに片耳だけイヤホンを外す。
「急すぎでしょ! ぼくのこと暇人だと思ってない? 用事があるから無理って言ったらどうするつもりだったの」
カメラが接続されているのかどうかは知らないが旭は前のめりになって、どうやら怒っているようだ。イヤホンマイクにしていない会話は蒼葉にもそのまま届く。
「いや、暇人だろ引きこもりが。お前に用事なんてないのわかってるからねじ込んだんだろうが」
聞こえてくる声は確かに蒼葉も聞いたことのある声で診察のための通話だったのに違いはないらしいが、なにか別の要件がそこに紛れたようだ。
「嫌だよ、先生の相手なんて。それに君、なんて言った? 正気? ぼくはまだ復職できると思ってないよ」
「はいはい。煩い、黙れ。先生が仕事でそっちに出張するって言うから、仕方なく俺がセッティングした。んで、お前、先生のお気に入りだろ。一杯くらい相手してやれよ。それからいい加減一年近くも引きこもってんだ、少しは戻れ。リハビリの一環とでも考えりゃいいだろ。こっちの大学病院勤務と違ってクソ忙しくもないし、難しい症例もない」
「だからそういうこと勝手に決めないでくれる!? ぼくのことはぼくに決定権がある!」
「黙れっつってんだろ。リハビリくらいしろや。腕訛るぞ。そんなに嫌なら明日、先生に直接断り入れろよ」
「強引だなあ! 明日のことは仕方ないから先生の案内はするけど、復職の話は知らないよ。じゃあね。薬、ちゃんと送っておいてよね」
まくし立てるような会話をした後、旭は疲れたように椅子の背もたれに背を預けて大きな溜息をついている。しばらく天井を見上げたままぼんやりしていたかと思うと、蒼葉の方へ首を傾げてから椅子を立ってベッドの隣に転がり込んできた。
「旭。どうしたの」
スマートフォンで再生していた講座を止めて、もう片耳のイヤホンを外してまとめて枕元に置いてから蒼葉は訊いた。断片的に蒼葉にわかることは旭に明日急用ができたことと、その用が復職に関係していること。
「蒼葉。明日、大学の時にお世話になった先生がこっちの病院に出張で来るから案内することになった。昼過ぎに着く便で来るって言ってたから、迎えに行って、出張先の病院までお供して……ホテルまで送る。夕食も付き合うことになっちゃうから帰りは夜になる。それで、その先生の出張先の病院でぼくに非常勤でいいから働かないかって。いずれ、ぼくを元の病院に戻したいんだと思う」
「旭は嫌なの」
先ほどまでの剣幕を見て蒼葉はまた訊いた。
「先生の案内だけなら、めんどくさいけど仕方ないでよかったんだけど、非常勤でも復職とかまだ考えてなかった。確かにいつかは少しずつ仕事に戻らないとならないけど」
「非常勤ってどのくらい忙しいの」
「細かいことはまだ聞いてないけど、一般的には週に何日か外来を診るだけ。忙しくはない」
そこまで聞き出しておきながら、蒼葉は旭の背中を押せない。現状の生活が旭に頼りきりになっている状態で蒼葉には仕事に関して口を出せない。思わず溜息が零れて、無造作に旭に腕を回して抱き寄せた。
「俺がさあ、ちゃんと仕事とかしてて自立してるんだったらあんたが嫌なもんは嫌なままでいいよって言えるんだけどな」
「え? 蒼葉、もし仕事してたらそんなこと言ってくれるの? その前に、ぼく、明日ほとんど出かけなきゃなんないんだけど、いいの」
「あのさ。子どもじゃないんだから、一日くらいひとりでも平気だよ。運転すんなら酒飲むなよ」
「……それはもちろんだけど……」
蒼葉の腕の中で旭が戸惑ったように返事する。
「旭が嫌なんじゃん? 出かけるのとか、センセーの相手とかそういうんじゃなくて俺がいないの。俺が全然平気かって言ったら、子どもじゃないから平気だけど嫌かどうかで言ったらやっぱり嫌だよ。でも、仕事したりするようになったら嫌とか言ってらんないじゃん。俺だって、このままじゃ駄目なことは知ってる。自分のこと、ちゃんとしなきゃなんないし」
幼稚だとはわかっているけれど、蒼葉は思ったままを口にした。
まだ閉じこもったままでいたい。このままの時間が永遠になどならないことを知っていても、留守番くらいできるが、それはまだ嫌だと思う。
抱き寄せていた旭が蒼葉に強く抱き返す腕を回してきた。
「うん。蒼葉の言うとおりだ」
「だからさ、俺がまだ旭に頼ってるうちはあんたのことに口出しできない。さっきの人、旭のこと気にしてくれてんじゃん? 俺は、どうしたいのか少しわかってきたかもしんないくらいだから、あんたに迷惑ばかりかけるけど」
「蒼葉のことを迷惑だなんて思わない。甘えてるだけなんだ。……ずっと蒼葉としかいなかったから今更先生の案内をするとか、急すぎてどうしていいのかわかんなくなってる……」
そうなのかと蒼葉は納得した。過労で仕事に疲れた旭は蒼葉を監禁する前から休んでいて、蒼葉の知っている限りほかに話す相手は先ほどの通話の男しかいない。閉じこもったままだから当然ではある。
確かに先ほどの男のやり方は強引だけれど、そうでもしない限り旭が自分から動こうとしないとでも判断したのだろう。ずっと一緒にいる蒼葉ですら旭が他人と交流したがらないことを知っている。
「俺が一緒に行ってもいいなら行くよ」
ふと笑って冗談を言うと、蒼葉を抱く旭の腕が緩んだ。
「蒼葉、ぼくの保護者みたいだね」
「あんた、そのセンセーに気に入られてんだろ。邪に気に入られてんだったらぶん殴る。旭、綺麗なツラしてるし」
冗談の延長で蒼葉は続けた。蒼葉はほかの同性愛者がどういう風なのかを知らない。もちろん、医者のくわしい仕事内容もわからない。けれど、先生と呼ばれる人物に相当するのが老年にさしかかっているだろうことは想像できる。男だろうと女だろうと、気にいられていると他人から言われるのならその種類はふたつにわかれる。
「違うから安心して。……でも、蒼葉がそう言ってくれて少し気が楽になった。明日、行ってくるね」
踏ん切りがついたように蒼葉の頭を撫でて柔らかな声で言われた。「行ってこい」と言うと、旭は蒼葉の腕から離れて寝返りを打った。
「あー……でもスーツ着なきゃなんないの、めんどくさいな」
とても嫌そうに旭が呟いた。案内役よりもスーツを着用することの方が余程嫌そうに聞こえて蒼葉は笑った。
「大変だな、医者」
「うん。堅苦しい」
蒼葉が頬を撫でると旭は苦笑した。その堅苦しいところにいずれは戻ると旭はわかっているのだろうと、蒼葉はそれ以上を言わなかった。
そろそろ普段であればストレッチを始める頃合いだったが、蒼葉はそれも急かさない。明日の外出だけならよかったが、それに付随した話に対して旭はどうするのか決めかねているのだろう。もちろんまだくわしい条件なども知らないまま決断など下せないが、既に話があることはわかっているのだから先のことを考えてしまうのは自然だ。
翌日、蒼葉は身支度をしている旭をデスクの椅子から眺めていた。
蒼葉は旭がスーツを着ているところを初めて見る。クリーニングから帰ってきたままの状態でクローゼットに仕舞われたまま、ずっと放置されていたスーツにブラシをかけるのは習慣だろうか。
白のワイシャツとチャコールグレーのスーツにネクタイ。慣れた仕草で身に着けていく様子は昨日「めんどくさい」と言っていた口とは裏腹で、身に染みついているのだろうと思うと蒼葉は少し心配になる。その姿は旭が仕事をしていた時の普段の姿に近しいのだろうことが原因だと蒼葉は自覚している。それからまだ自分が社会的な立場もなにも持ちえないことも。
「旭、スーツ着てんのかっこいいじゃん」
軽口を叩くと、蒼葉の方を見た旭に嫌そうな顔をされた。
「堅苦しくて嫌なんだよ。医者はずっとネクタイしてると思うの? 普段はスクラブやケーシーの上に白衣羽織っていれば楽でいいんだ。外向きの用がある時くらいしかスーツなんて着ないよ」
「スクラブ? ケーシーってなに?」
聞きなれない言葉に蒼葉が首を傾げると、旭に説明された。
「んー……身近なとこだと歯医者の先生がよく着ている……。あと、看護師も」
「ああ。ああいう」
「だから、スーツ着る時は先生のお供や学会とかの外向きの用事でめんどくさい」
溜息交じりに旭は言うけれど、蒼葉にはそのスーツ姿は着慣れているように見える。実際、旭にそういう機会も以前は多かったのかもしれない。だからこそ、余計にめんどくさいと連発しているのかもと考える。
「あのさ、旭。俺はあんたの過労と不眠のこととかなんもしてやれないし、どうやってなんか言ったらいいのかわかんない。でも、今日案内するあんたがお世話になったセンセーとか昨日話してた人とかだったら、あんたがどうしたらいいのか少しは聞いてくれるんじゃねえの」
蒼葉は椅子の背もたれに引っかけた腕に頭を乗せて思い切って言った。蒼葉がどう接していいのかわからない旭の部分。人に託すなど不本意ではあるが、デリケートな問題で素人の蒼葉にはどうしようもない。
「確かにそうだね。……ぼくは蒼葉に固執してしまうから、言ってくれなかったら今日もきっとただ先生の案内をして、それだけで帰ってくるつもりだった」
「あんた言ったじゃん。バスケの相手は自分じゃできないって。それと同じことだと思う」
全く未知のことで専門的な知識が必要だから相談相手にもなれない。仕方ないことだとわかっていても、蒼葉は悔しくて腕に乗せた顔を隠した。遊びでやるスポーツとは違って、旭の過労と不眠は仕事に密接に関係する分、専門家ではない蒼葉には的確なことが言えない。
「蒼葉。蒼葉がそうやってぼくの背中を押してくれるだけで嬉しい。だから、ありがとう」
顔を隠した頭を撫でられて隠しきれない耳にキスされた。
互いに雁字搦めになりたくてもそれでは生活が破綻すると知っている。それならば、与えられたチャンスをふいにするのは少なくともいいとは言えない。蒼葉の言葉は感情を横にしているけれど、時にはロジカルである必要がある。
「行ってこいよ。遅刻しちゃまずいんだろ」
「うん。でも、その前に顔上げて欲しいな」
柔く耳元で言われて蒼葉は渋々顔を上げると、旭は苦笑した。拗ねているのが顔に出ているのだろう。頬にキスが落ちて、もう一度頭を撫でられた。
「ごめんね、ぼくがちゃんとしなきゃなんないのに蒼葉にそんなこと言わせてしまって。行ってくるね」
準備をしていた時はずっと陰鬱な雰囲気を纏っていたのに、旭の顔は蒼葉には多少すっきりして見えた。
「おう」
短く返事すると、旭はひらりと手を振って最低限の持ち物だけで出かけていった。ばたんと玄関のドアが閉まる音を聞いてから蒼葉は椅子にぐったりと崩れて深い溜息をついた。
「……あいつ、本当に俺以外全員モブなんだな……」
言葉にしてみるとそれは思ったよりも酷かった。
蒼葉はそれを嬉しいと思うけれど、旭のことを気にかけている他人にはその態度はあまりにも冷酷だ。蒼葉以外の誰の言葉も聞く耳を持たない。視野が狭いという問題ではなく、破綻的なのだ。元々、旭のしたこと自体が破滅のシナリオだったのだからその先などないはずだったが、蒼葉が捻じ曲げた。
いまの旭は想定外の道を模索している最中なのに、唯一旭が見ている蒼葉が直接旭に作用できないことは悔しい以外のなにものでもない。第三者にくわしい者がいるならそちらに託すしかない。そうして少しずつこの閉じこもった生活から外に踏み出すしかないが、蒼葉はまだ迷っている。
「べったりしてないと駄目なのは俺の方だっつの」
苛立たしく舌打ちをして蒼葉は吐き出す。
自立しなければならない。勉強し直すなり、アルバイトをするなり手段はいくらでもある。少しの間だが、ここに転居してからアルバイトもしていたが、ずっと続けたい仕事かと言われるとその場しのぎでしかなかった。将来という言葉は蒼葉に重くのしかかる。
手に職を持っている旭は仕事を再開することに関してはスムーズにいくだろう。
しかし、まだ半端に学生を中断して閉じこもった蒼葉には難しい。対等の収入とまではいかなくとも、安定した収入と長く続けられる仕事とはなんなのかまだ蒼葉には判断しかねる。適当なサラリーマンにはなりたくないと思う。
収入は必要だが、そのためだけに思い入れもない仕事をしてストレスをためるのは本末転倒だ。蒼葉は旭を見ている分、その思いが強い。医者など、簡単になれる職業ではない。少なくとも蒼葉にはなれない。努力の末に得た職業で過労と不眠になった旭を見ると、職業の選択が慎重になる。そこに更に旭と離れないという条件を追加するだけで蒼葉は途方に暮れるが、まだそれを旭に相談しようとは思わない。旭はきっと蒼葉ひとりなら働かなくてもいいと言いかねないことを知っている。せめて、なにになりたいのかだけでも方向性を見つけないと話にならないと蒼葉は思い込んでいた。
ひとりで過ごす時間など久しぶりすぎて、普段と同じでいいはずなのに蒼葉はぼんやりとしていた。
昼前に旭を送り出してから、おやつ時になって昼食を忘れていたことに気付く。その時間に気付いたのは毎日習慣にしているストレッチの時間で、習慣がなければずっとぼんやりしていたかもしれない。いつもは旭の手を借りるストレッチをひとりでして、その後はランニングに出る。外の空気を吸うと少し気分が紛れた。南の島でも冬に差し掛かると多少は冷える。
休憩地点の公園まで走ると、いつも休んでいるベンチの向こうのハーフコートで今日も中学生たちが遊んでいた。部活帰りだろうに飽きないものだと思うが、昔の蒼葉も同じだった。彼らとは時々、一緒に遊んでいる。
ユウキのシュートが綺麗に入ってボールを拾ったテツヤが振り向いた時に蒼葉に気付いて手を振ってきた。
「蒼葉さーん! 一緒にやんない? ってか今日ひとりなの?」
「ひとりだよ。ちょっと休んでから混ざるから待って」
返事をしながら蒼葉はハーフコートの近くのベンチに腰を下ろした。無理をするなと旭に何度も言われている。ランニングの折り返し地点で休憩するのにそのままゲームに混ざっては休憩にならない。
「じゃあ俺たちも休憩にしよーぜ」
アキラがそう提案して、ゲームは一時中断となった。
蒼葉の座るベンチの近くに各々好きに座り込んで中学生らしい雑談に花が咲く。クラスの女子が可愛いとか、誰かが告白されたとか、テストの点数だとか。
「そういえばさ、旭さんって蒼葉さんのお兄さん? あんまり似てないよね」
ふと話を振られて、蒼葉はふふと笑った。兄弟だと思われていたのかと初めて知った。
「兄弟じゃないもん、似てるわけないだろ」
「でもいつも一緒にいるよね」
怪訝そうに首を傾げるユウキに蒼葉は悪戯に笑う。
「そりゃ一緒にいるだろ。だって旭、俺のカレシだもん」
堂々と他人にそういうのは二度目だなと思いながら、蒼葉は断言した。
「男同士なのに気持ち悪いと思うか?」
問いかけると、まだ中学生の少年たちはそれぞれ頭を振った。
「そんなこと思わないし、なんか納得した」
「納得ってなんだよ」
蒼葉が笑って訊くと、テツヤが少し考えながら答えた。
「カレシとかカノジョとか、そういうの俺まだいないけど付き合ってる相手いるやつってさ、独特の雰囲気あって蒼葉さんと旭さんってそれと同じだなと思った」
「へえ。あいつが聞いたら喜びそう」
「それって俺らが知ってていいの」
「俺は隠す気ねえからいいよ。旭はわかんねえけど。でも喜ぶと思う」
走ってきた分の呼吸が落ち着いたところで蒼葉は伸びをした。
勝手にひとりの時に共通の知り合いに関係を明らかにした。旭は蒼葉との関係を公言する気はないらしく、ずっと彼らと接していてもそこに触れていなかったが蒼葉は気にしない。旭を彼氏だと言って気持ち悪いと少年たちが言うのならば仕方ないで済むことだった。けれど、少年たちはなんの偏見もなく納得している。
「じゃ、やろうぜ。スリーゲームな」
ストレッチと片道のランニングで躰は温まっている。スリーゲームの制限は蒼葉がつい夢中になってしまうので旭が設けたルールだ。
彼らが三人のところに蒼葉が加わるとちょうど四人になってツーオンツーになる。組み合わせは毎回くじで決める。
「今日こそ勝ち逃げさせないよ」
「おう。一回くらい勝ってみろよ。こちとらブランクあんだぜ」
バスケットボールのことになると蒼葉も少年たちも顔つきが変わる。自覚はなくても好きなことをしている時の表情は生き生きとする。その間は悩み事も忘れて夢中でいられる。
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