9 / 14
第9話 不安
しおりを挟む
会社を出て家に着く頃には、プロマイド写真がメールで送られていた。流石はプロのカメラマン、自分で言うのはなんだがカッコよく写っている。僕は京子に見て欲しくて、さっそくプロマイド写真を送った。
「かっこいい!翔太はもう芸能人だねえ。なんだか翔太が日に日に遠くに行ってしまう気がする」
「遠くになんか行かへん。これからもずっと京子の横に居るで」
「ありがとう、そうならいいけどね……」
メールの文面からは京子の不安感が伝わってくる。それも仕方ない。僕がもし逆の立場ならきっと不安が募るだろう。愛する人が芸能人になり、どこか遠くへ行ってしまう。そして芸能人になると周りからもチヤホヤされ、きっと僕のことなど捨てて、イケメン俳優の所へ行ってしまうのではないかと。僕ならきっと、芸能界入りを反対するだろう。
僕は居ても立っても居られず京子に電話した。着信音が二回鳴った時、京子は電話に出た。
「もしもし京子、そんな不安がらんでも大丈夫やで」
「うん、わかってるけど……なんだかね」
京子は少し涙声だった。なんとしてでも京子の不安を取り除きたい。懸命に頭を働かせたが、いい言葉が浮かんでこない。
「そういえば、京子と初めてデートした時は緊張したなあ。前日の晩寝られへんかったわ」
「懐かしいね。翔太すごく頑張って話してくれてたよね」
「だって京子全然話してくれへんかったもん」
「緊張してたし仕方ないよ。多分翔太よりも緊張してたよ」
なぜか初デートの話を始める自分がいた。初デートに誘うはいいものの、デートなどしたことのなかった僕にデートプランを作るなど至難の技だった。結局、映画を見てご飯を食べて帰った。それはそれで楽しかったが、自分の経験のなさを少し恨んでいた。初デート以降は京子がずっとデートプランを考えてくれている。きっと僕がデートプランを作るのが苦手なのを察したのだろう。
「あの映画は面白くなかったよなあ。最初から最後までずっと退屈やった」
「確かに。ハズレだったよね」
「初デートにこれはミスったってめっちゃ思ってたもん」
「今ではいい思い出だけどね、わざわざ電話ありがとうね。バイト行ってきます」
「いつでも電話するし、かけてきてな。バイト頑張って」
「うん、ありがとう。じゃあね~」
「はーい」
少しは元気になったようで良かった。
僕はいつも通りジムへ向かい汗を流した。ジムに通い始めてから身体はだいぶ変化した。これなら撮影で脱ぐことがあっても恥ずかしくないだろう。
日に日に芸能人への道が前進していた。
「かっこいい!翔太はもう芸能人だねえ。なんだか翔太が日に日に遠くに行ってしまう気がする」
「遠くになんか行かへん。これからもずっと京子の横に居るで」
「ありがとう、そうならいいけどね……」
メールの文面からは京子の不安感が伝わってくる。それも仕方ない。僕がもし逆の立場ならきっと不安が募るだろう。愛する人が芸能人になり、どこか遠くへ行ってしまう。そして芸能人になると周りからもチヤホヤされ、きっと僕のことなど捨てて、イケメン俳優の所へ行ってしまうのではないかと。僕ならきっと、芸能界入りを反対するだろう。
僕は居ても立っても居られず京子に電話した。着信音が二回鳴った時、京子は電話に出た。
「もしもし京子、そんな不安がらんでも大丈夫やで」
「うん、わかってるけど……なんだかね」
京子は少し涙声だった。なんとしてでも京子の不安を取り除きたい。懸命に頭を働かせたが、いい言葉が浮かんでこない。
「そういえば、京子と初めてデートした時は緊張したなあ。前日の晩寝られへんかったわ」
「懐かしいね。翔太すごく頑張って話してくれてたよね」
「だって京子全然話してくれへんかったもん」
「緊張してたし仕方ないよ。多分翔太よりも緊張してたよ」
なぜか初デートの話を始める自分がいた。初デートに誘うはいいものの、デートなどしたことのなかった僕にデートプランを作るなど至難の技だった。結局、映画を見てご飯を食べて帰った。それはそれで楽しかったが、自分の経験のなさを少し恨んでいた。初デート以降は京子がずっとデートプランを考えてくれている。きっと僕がデートプランを作るのが苦手なのを察したのだろう。
「あの映画は面白くなかったよなあ。最初から最後までずっと退屈やった」
「確かに。ハズレだったよね」
「初デートにこれはミスったってめっちゃ思ってたもん」
「今ではいい思い出だけどね、わざわざ電話ありがとうね。バイト行ってきます」
「いつでも電話するし、かけてきてな。バイト頑張って」
「うん、ありがとう。じゃあね~」
「はーい」
少しは元気になったようで良かった。
僕はいつも通りジムへ向かい汗を流した。ジムに通い始めてから身体はだいぶ変化した。これなら撮影で脱ぐことがあっても恥ずかしくないだろう。
日に日に芸能人への道が前進していた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ワンコインの誘惑
天空
現代文学
人生一度の失敗で全てが台無しになる。
最底辺の生活まで落ちた人はもう立ち上がれないのか。
全財産を競馬にオールインした男。
賭けたのは誰にも見向きもされない最弱の馬だった。
競馬から始まる人と人の繋がり。人生最大の転換期は案外身近なところに落ちている。


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる