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第34話 来る日も来る日も

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あの日以降、まなみと会う頻度が格段に増えた。これまでは1週間に1回程度だったが、今週はまだ金曜日なのに3回も会っている。

会うといってもデートをしていたわけではない。ただ『それ』をしていたのだ。僕はまなみ家の住人のように門をくぐり、あたかも自分の部屋のように快楽部屋に入り浸っていた。

まなみの両親は仕事で帰りが21時位になる。まなみは気にしないというが、両親がいると僕は『それ』をするのに気を使う。

声が漏れているのではないか?

ベッドの軋み音は大丈夫か?

部屋に入ってきたらどうしよう

日没時間がまだ早い為、テニス部の終わりは大体18時頃だ。僕は部活が終わると友達と話すことすらなく、チーターのような早さで自転車を漕ぎ高級住宅街へ向かっていた。

そして家に着き手洗いうがいをすることもなく快楽部屋に入る。快楽部屋に入ると自然に僕の突起物は膨らむ。そしてただひたすらに『それ』をする。

『それ』を覚えた僕は、まるで初めてゲームを買ってもらった子供のように夢中だった。通学中も授業中も部活中も食事中も入浴中も睡眠中ですら『それ』で頭がいっぱいだった。

まなみには金髪男と快楽部屋に消えた日の出来事をまだ言っていない。僕はまだまだ言うつもりはない。それはというと、言えばもう『それ』ができなくなるかもしれないからだ。僕は何としてもそれだけは避けたかった。

この快楽を今失いたくない

これが僕の本音だろう。好きな人が浮気してたのならショックを受け問答無用で別れるだろう。しかしまなみは快楽のための存在、そう、『それ』のための存在にすぎない。

だから、そんなことはどうでもいいのだ。

『それ』のための存在に過ぎないからなのか、まなみには自分の欲望を全てぶつけることできる。もし好きな人ならこれほど強引なことはできないだろうが、なんでもできる。

例えば、僕の突起物を無理やり口に突っ込み、奥深くまで入り苦しいというまなみを見ても僕は辞めようとしない。まなみは激しめが好きだが、激しすぎるのは痛いらしく、もう少しだけ優しくしてと言われても僕は優しくしない。

もしかすると愛のない『それ』の方が気持ちいのだろうか?

僕はまなみの両親が帰ってくる21時少し前に快楽部屋を出る。そして家に着く頃にはまなみからメールがきている。

「今日も会えてよかった。さっき会ってたのにもう会いたいよ」

「僕も、もう会いたい……」

「明日は来れるの?」

「部活が朝だけやから昼から行くわ」

「やったー。明日もいっぱいしようね」

「もちろん」

明日で今週4回目の快楽部屋だ。

そろそろ僕の匂いが染み付くかもしれないな……



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