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聖なる力は煙の奥に
Ⅱ
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キャローズ邸のベッドを借りてディページは横になった。
額からはあぶら汗がにじみ、掛けられた布団は激しく揺れる。
ディページは、決して表情豊かではない。
ジェイスはディページの顔の種類なんて、真顔、笑顔、悪い顔の三種類だけかと思っていた。
しかし今のディページの表情は、苦しみで眉間にしわをよせ、痛みに歯を噛みしめ、息使いも荒かった。
ジェイスが何度も使役の術を使って痛みを軽減させ、タバコを吸ってから1時間後…
ようやく話が出来るほど苦しみが引いた。
しかし、それでもまだ息使いは荒く…
顔をゆがめているのは変わらない。
「はぁ…はぁ…」
「大丈夫か?落ちついたか?」
「俺の…心配?…めずらし…いね」
「…」
こんな時にも嫌味を言ってくるディページだったが…
心の余裕がないのはむしろジェイスだった。
自分のせいでディページを苦しめている。
そんな罪悪感によって、いつものようなこじゃれた冗談で返答することができなかった。
「すまなかった…お前が…こんなことになるなんて…」
「はぁ…はぁ…ジェ…イス…」
「どうした?苦しいのか?」
「…苦しい…けど…わかったよ…原因が…はぁ…はぁ…」
原因を聞きたいのは山々だった。
しかし、ジェイスは…
「…無理して喋るな…大人しくしてるんだ」
と言うのが精いっぱいだった。
しかし、ひねくれ者なのがこの馬の悪魔だ。
ディページは苦しみに悶えながら、ジェイスのこの言葉を無視して続きを話した。
「…これは…『聖感』だよ…ジェイス」
「!」
「悪魔は病気や呪いにかからないし痛みにも強い…そんな悪魔を、こんな苦しめるのは聖なる力…つまり、『聖感』しかありえない…」
「…」
以前話したと思うが、聖感とは想いの力や喜びを根源とする魔法エネルギーである。
この聖感を使い魔法を使う魔術を『聖法魔術(せいほうまじゅつ)』と呼び、ジェイスが他人の興奮状態を抑える時に使う『アクシリオス』という魔法がまさにこの聖法魔術であった。
汚れた力とも言われる魔力とは、似て対になる存在である。
聖感を使って発動する聖法魔術のほぼ全てが、『誰かを救うために開発された魔法』。
しかし、その『誰か』という言葉の前には『悪魔以外の…』という頭言葉がつく。
簡単に言えば、聖感は魔力を存在の根源とする悪魔にとって、ある種の毒なのだ。
「…ありえない…そんなこと」
「そんなこと…いわ…れてもねぇ…はぁはぁ…くっ」
「…」
「なんの警戒もしていなかった…まさか…はぁはぁ…タバコの中に、俺にこんなに苦痛を与えるほど、膨大な量の聖感が込められているなんて…」
ジェイスは、ここでこの事態の異様さに気づく。
怨念などの負のエネルギーを根源とする魔力は、湿気が多い地域や人の多い場所に留まりやすい。
しかし聖感は生物の幸福感によって瞬間的に発せられるエネルギー。
つまり、特定の場所に留まる性質などはない。
そのため聖法魔術のほとんどは一過性の魔法で、呪術など一定期間留まるような魔法を使うことはできない。
つまり本来、『聖感を込める』ということ自体がありえないことだった。
「煙草に口をつけた時は何も感じなかったんだ…煙を吸い込んだ時に膨大な聖感が一気に放出される感じだった…『聖感が込められている』状態じゃなきゃおかしいよ…まるで聖法魔術のトラップだ」
「…」
…
その後、数分おきに使役の術を使ったものの…
ディページの容態が良くなることはなく…
ジェイスはことの発端であるタバコの謎の究明を急いだ方がいいと判断した。
寝室から出ると、ヘンリケ爺さんがジェイスに声をかける。
「お連れさん…大丈夫ですか?」
「あぁ…かなり酷い…申し訳ないな、力になれるとか言ってこんなことになってしまうとは…」
「いえ…」
「ただ俺のツレが言うには、タバコの中にあるのは『聖感』という力のようだ…」
「聖感…?」
「人の喜びや想いの力を根源とする魔法エネルギーだ…本来は危険なものではないが、膨大すぎるエネルギーは聖感に限らず、人間の精神部分に悪い影響を及ぼす危険性がある…」
「人間の精神…とは?」
「頭の回転が速くなることで、酷い知恵熱を出したり、過剰な多幸感を内側だけで発散できず、身体で表現したりな…」
「…そ、それじゃぁ…」
「あのタバコの被害者が熱で寝込んだり、踊りだしたりするのはそれが原因と見て間違いないだろう」
『聖感を込めることはありえない』
ジェイスはもっとも重要な部分の謎が解けないまま、現状を説明するのが気持ち悪かった。
しかし逆に考えれば、『聖感を込める』という状態が成立する事態とは何か?と考えることが、この謎の究明する近道だと言うこともわかっていた。
「つまり…その聖感を使った呪いのようなものがあのタバコに込められていた…と言うことなのですか?」
「いや、聖法魔術を使った呪いは存在しないんだ…聖感は魔力と違って、モノや場所に定着することはない…」
「そうですか…」
「あぁ…しかしそのあり得ない状態がタバコに起きているのは間違いない…もう少し時間をくれないか?」
…
ジェイスは加工されたタバコの倉庫にもう一度戻ったり…タバコ畑に行ったり…
可能な限りの調査を続けた。
しかし結局、何も進展はなかった…
「…」
ディページが倒れて数時間後…
ジェイスは次の一手が見つからず、途方に暮れていた。
改めて集めた状況を整理しようと、畑の隅に置いてあった椅子に腰かけ頭を抱える。
「(聖感を込める…膨大なエネルギー…あり得ない事…少なくとも長時間『タバコの中に聖感が込められている』という状態が起きていたのは間違いない…)」
「(なのにもかかわらず…被害者たちは症状が現れると数日で治ると言っていた…一体どういうことなんだ…)」
ジェイスは持てる全ての知識を思い出していた。
数分考えても、やはりなにも出てこない。
喫煙者はこう言った考え事をするときにタバコが吸いたくなるんだろうな…
ジェイスはそんなことを考えながら空を見上げた。
「はぁ…」
と、珍しくこぼれるような吐息を漏らす。
「…」
しばらくぼーっとしていると…
ジェイスの後ろからザッシュ!ザッシュ!と、土をスコップで掘るような音が聞こえて来た。
振り向くと、ジェイスのいる畑のすぐ隣の畑に、数人の従業員と思われる男達がなにやら作業を始めていた。
もう昼すぎ…農園の仕事が始まったようだ。
タバコ農家の朝は、そこまで早くないらしい。
ジェイスは彼らからも何か情報が聞けるかもしれないと、彼らに声をかけてみることにした。
「すまないが…少しいいか?」
「ん?…あぁ、キャローズさんが言っていたヴェル・トゥーエ家の使いの人か…どうした?」
「タバコの出荷に制限がかかっているらしいが…やはり大変か?」
「まぁな…仕事の量が減るってんで、従業員は皆いつ首を切られるかドキドキしてるよ…」
「…そうか」
「あんたが見てたそっちの畑はもう埋め立てるんだ…その畑で取れた葉っぱでタバコを作ると、例の奇病にかかっちまうからな」
「…?」
ジェイスは先程自分が見ていた畑と、男たちが作業する畑を見比べる。
「…こっちの畑は平気なのか?」
「あぁ…そっちと、そっちの畑も平気だ…あんたが見てた一番大きな畑だけだよ、例の奇病にかかるタバコができるのは」
「…」
ジェイスはもう一度畑を見比べる。
「…こっちの畑とそっちの畑は何か違うのか?…生産している葉の種類が違うとか?」
「いや?…ウチで作ってるのは『キャローズシガ―』っていう品種だけだ…キャローズさんが品種改良して出来たオリジナルのタバコさ」
「…じゃあ…あの畑だけ何か特別だったりするのか?」
「ん?そんなことはないと思うが…」
「…」
改めて考えれば当たり前のことだった。
タバコの生産に制限がかかっている…
つまり、現在も出荷されているタバコがあるということ。
しかし特定の畑でとれたタバコだけ聖感が込められている…とは?
ジェイスはさらに従業員に聞く。
「どんなささいなことでもいいんだ…なにか畑に違いはないのか?見る限り奇病の原因になっている畑は少し大きい気がするが…」
「まぁそうだな…強いて言えば、あの畑だけ水の循環が違うくらいか…」
「水の循環…?」
「一番面積が大きいからな…他の畑はぜんぶ同じ水路を共有して循環させているが…あの畑の水路は、あの畑だけで循環させてあるんだ…」
「水路…」
ここでジェイスは…
キャローズさんに最初に事情を聞いたときの言葉を思い出す。
…
「実はもう先々月になりますか…領内で大きな嵐がやってきたのです…その数日後、うちで作った煙草を吸って体調を崩した方が大勢現れたのです…」
…
「大きな嵐…」
「ん?…どうした?」
「あ…いや…なぁ、例の被害が現れる数日前、この辺りに大きな嵐が来たんだろ?」
「あぁ、来たな…久しぶりの嵐だったからよく覚えているよ」
「嵐の方向とか覚えていないか?どっちから風が吹いていたとか」
すると、話を聞いていた男とは違う男が話に割り込む。
「南だよ…農園の南にある納屋がぶっ倒れたからよく覚えてる…雨でビショビショになった納屋を俺が掃除したんだ」
「…」
ジェイスは南を見る。
南は農園の裏手にあたり、大きな森が悠々とこちらを見ていた。
視線の先には確かに壊れた納屋と思われる建物もある。
「あの森は…人が入れるような森なのか?」
「あぁ…毎日木こりのファッテって言う男が木を切りに入ってるぜ…」
「悪魔やグールが出たりしないのか…?」
「いや…そんな話は聞かないな…最近ファッテと話してないが…」
「(悪魔も…グールもいない森…)」
「…どうかしたか?」
「いや、ちなみにその…木こりのファッテ?だったか…彼の家の場所を教えてくれないか?」
額からはあぶら汗がにじみ、掛けられた布団は激しく揺れる。
ディページは、決して表情豊かではない。
ジェイスはディページの顔の種類なんて、真顔、笑顔、悪い顔の三種類だけかと思っていた。
しかし今のディページの表情は、苦しみで眉間にしわをよせ、痛みに歯を噛みしめ、息使いも荒かった。
ジェイスが何度も使役の術を使って痛みを軽減させ、タバコを吸ってから1時間後…
ようやく話が出来るほど苦しみが引いた。
しかし、それでもまだ息使いは荒く…
顔をゆがめているのは変わらない。
「はぁ…はぁ…」
「大丈夫か?落ちついたか?」
「俺の…心配?…めずらし…いね」
「…」
こんな時にも嫌味を言ってくるディページだったが…
心の余裕がないのはむしろジェイスだった。
自分のせいでディページを苦しめている。
そんな罪悪感によって、いつものようなこじゃれた冗談で返答することができなかった。
「すまなかった…お前が…こんなことになるなんて…」
「はぁ…はぁ…ジェ…イス…」
「どうした?苦しいのか?」
「…苦しい…けど…わかったよ…原因が…はぁ…はぁ…」
原因を聞きたいのは山々だった。
しかし、ジェイスは…
「…無理して喋るな…大人しくしてるんだ」
と言うのが精いっぱいだった。
しかし、ひねくれ者なのがこの馬の悪魔だ。
ディページは苦しみに悶えながら、ジェイスのこの言葉を無視して続きを話した。
「…これは…『聖感』だよ…ジェイス」
「!」
「悪魔は病気や呪いにかからないし痛みにも強い…そんな悪魔を、こんな苦しめるのは聖なる力…つまり、『聖感』しかありえない…」
「…」
以前話したと思うが、聖感とは想いの力や喜びを根源とする魔法エネルギーである。
この聖感を使い魔法を使う魔術を『聖法魔術(せいほうまじゅつ)』と呼び、ジェイスが他人の興奮状態を抑える時に使う『アクシリオス』という魔法がまさにこの聖法魔術であった。
汚れた力とも言われる魔力とは、似て対になる存在である。
聖感を使って発動する聖法魔術のほぼ全てが、『誰かを救うために開発された魔法』。
しかし、その『誰か』という言葉の前には『悪魔以外の…』という頭言葉がつく。
簡単に言えば、聖感は魔力を存在の根源とする悪魔にとって、ある種の毒なのだ。
「…ありえない…そんなこと」
「そんなこと…いわ…れてもねぇ…はぁはぁ…くっ」
「…」
「なんの警戒もしていなかった…まさか…はぁはぁ…タバコの中に、俺にこんなに苦痛を与えるほど、膨大な量の聖感が込められているなんて…」
ジェイスは、ここでこの事態の異様さに気づく。
怨念などの負のエネルギーを根源とする魔力は、湿気が多い地域や人の多い場所に留まりやすい。
しかし聖感は生物の幸福感によって瞬間的に発せられるエネルギー。
つまり、特定の場所に留まる性質などはない。
そのため聖法魔術のほとんどは一過性の魔法で、呪術など一定期間留まるような魔法を使うことはできない。
つまり本来、『聖感を込める』ということ自体がありえないことだった。
「煙草に口をつけた時は何も感じなかったんだ…煙を吸い込んだ時に膨大な聖感が一気に放出される感じだった…『聖感が込められている』状態じゃなきゃおかしいよ…まるで聖法魔術のトラップだ」
「…」
…
その後、数分おきに使役の術を使ったものの…
ディページの容態が良くなることはなく…
ジェイスはことの発端であるタバコの謎の究明を急いだ方がいいと判断した。
寝室から出ると、ヘンリケ爺さんがジェイスに声をかける。
「お連れさん…大丈夫ですか?」
「あぁ…かなり酷い…申し訳ないな、力になれるとか言ってこんなことになってしまうとは…」
「いえ…」
「ただ俺のツレが言うには、タバコの中にあるのは『聖感』という力のようだ…」
「聖感…?」
「人の喜びや想いの力を根源とする魔法エネルギーだ…本来は危険なものではないが、膨大すぎるエネルギーは聖感に限らず、人間の精神部分に悪い影響を及ぼす危険性がある…」
「人間の精神…とは?」
「頭の回転が速くなることで、酷い知恵熱を出したり、過剰な多幸感を内側だけで発散できず、身体で表現したりな…」
「…そ、それじゃぁ…」
「あのタバコの被害者が熱で寝込んだり、踊りだしたりするのはそれが原因と見て間違いないだろう」
『聖感を込めることはありえない』
ジェイスはもっとも重要な部分の謎が解けないまま、現状を説明するのが気持ち悪かった。
しかし逆に考えれば、『聖感を込める』という状態が成立する事態とは何か?と考えることが、この謎の究明する近道だと言うこともわかっていた。
「つまり…その聖感を使った呪いのようなものがあのタバコに込められていた…と言うことなのですか?」
「いや、聖法魔術を使った呪いは存在しないんだ…聖感は魔力と違って、モノや場所に定着することはない…」
「そうですか…」
「あぁ…しかしそのあり得ない状態がタバコに起きているのは間違いない…もう少し時間をくれないか?」
…
ジェイスは加工されたタバコの倉庫にもう一度戻ったり…タバコ畑に行ったり…
可能な限りの調査を続けた。
しかし結局、何も進展はなかった…
「…」
ディページが倒れて数時間後…
ジェイスは次の一手が見つからず、途方に暮れていた。
改めて集めた状況を整理しようと、畑の隅に置いてあった椅子に腰かけ頭を抱える。
「(聖感を込める…膨大なエネルギー…あり得ない事…少なくとも長時間『タバコの中に聖感が込められている』という状態が起きていたのは間違いない…)」
「(なのにもかかわらず…被害者たちは症状が現れると数日で治ると言っていた…一体どういうことなんだ…)」
ジェイスは持てる全ての知識を思い出していた。
数分考えても、やはりなにも出てこない。
喫煙者はこう言った考え事をするときにタバコが吸いたくなるんだろうな…
ジェイスはそんなことを考えながら空を見上げた。
「はぁ…」
と、珍しくこぼれるような吐息を漏らす。
「…」
しばらくぼーっとしていると…
ジェイスの後ろからザッシュ!ザッシュ!と、土をスコップで掘るような音が聞こえて来た。
振り向くと、ジェイスのいる畑のすぐ隣の畑に、数人の従業員と思われる男達がなにやら作業を始めていた。
もう昼すぎ…農園の仕事が始まったようだ。
タバコ農家の朝は、そこまで早くないらしい。
ジェイスは彼らからも何か情報が聞けるかもしれないと、彼らに声をかけてみることにした。
「すまないが…少しいいか?」
「ん?…あぁ、キャローズさんが言っていたヴェル・トゥーエ家の使いの人か…どうした?」
「タバコの出荷に制限がかかっているらしいが…やはり大変か?」
「まぁな…仕事の量が減るってんで、従業員は皆いつ首を切られるかドキドキしてるよ…」
「…そうか」
「あんたが見てたそっちの畑はもう埋め立てるんだ…その畑で取れた葉っぱでタバコを作ると、例の奇病にかかっちまうからな」
「…?」
ジェイスは先程自分が見ていた畑と、男たちが作業する畑を見比べる。
「…こっちの畑は平気なのか?」
「あぁ…そっちと、そっちの畑も平気だ…あんたが見てた一番大きな畑だけだよ、例の奇病にかかるタバコができるのは」
「…」
ジェイスはもう一度畑を見比べる。
「…こっちの畑とそっちの畑は何か違うのか?…生産している葉の種類が違うとか?」
「いや?…ウチで作ってるのは『キャローズシガ―』っていう品種だけだ…キャローズさんが品種改良して出来たオリジナルのタバコさ」
「…じゃあ…あの畑だけ何か特別だったりするのか?」
「ん?そんなことはないと思うが…」
「…」
改めて考えれば当たり前のことだった。
タバコの生産に制限がかかっている…
つまり、現在も出荷されているタバコがあるということ。
しかし特定の畑でとれたタバコだけ聖感が込められている…とは?
ジェイスはさらに従業員に聞く。
「どんなささいなことでもいいんだ…なにか畑に違いはないのか?見る限り奇病の原因になっている畑は少し大きい気がするが…」
「まぁそうだな…強いて言えば、あの畑だけ水の循環が違うくらいか…」
「水の循環…?」
「一番面積が大きいからな…他の畑はぜんぶ同じ水路を共有して循環させているが…あの畑の水路は、あの畑だけで循環させてあるんだ…」
「水路…」
ここでジェイスは…
キャローズさんに最初に事情を聞いたときの言葉を思い出す。
…
「実はもう先々月になりますか…領内で大きな嵐がやってきたのです…その数日後、うちで作った煙草を吸って体調を崩した方が大勢現れたのです…」
…
「大きな嵐…」
「ん?…どうした?」
「あ…いや…なぁ、例の被害が現れる数日前、この辺りに大きな嵐が来たんだろ?」
「あぁ、来たな…久しぶりの嵐だったからよく覚えているよ」
「嵐の方向とか覚えていないか?どっちから風が吹いていたとか」
すると、話を聞いていた男とは違う男が話に割り込む。
「南だよ…農園の南にある納屋がぶっ倒れたからよく覚えてる…雨でビショビショになった納屋を俺が掃除したんだ」
「…」
ジェイスは南を見る。
南は農園の裏手にあたり、大きな森が悠々とこちらを見ていた。
視線の先には確かに壊れた納屋と思われる建物もある。
「あの森は…人が入れるような森なのか?」
「あぁ…毎日木こりのファッテって言う男が木を切りに入ってるぜ…」
「悪魔やグールが出たりしないのか…?」
「いや…そんな話は聞かないな…最近ファッテと話してないが…」
「(悪魔も…グールもいない森…)」
「…どうかしたか?」
「いや、ちなみにその…木こりのファッテ?だったか…彼の家の場所を教えてくれないか?」
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