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たまにはミルクでもいかがです?
09 プラグイン・ベイビー
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かなちゃんとの出会いから1週間。
俺とかなちゃんは桜乃森大学に来ていた。
俺が研究を手伝っている『異能力研究室』。
そこでかなちゃんが俺の助手としてバイトすることになったからだ。
「あら。彼女?」
「違います。」
「初めまして。沖田かなです。」
「あぁ、あなたがかなちゃんね。初めましてこの研究室の室長、化乃麻衣(あだしのまい)です。」
麻衣さんは日本でも数少ないロストマン研究の第一人者。
見た目は若いけどおそらく20代後半。
一度も年齢を教えてくれた事は無い。
スタイルが良く、色っぽい顔つきをしているので男子学生からは割と人気らしい。
性格はかなり適当。酒癖と男癖が悪い。
「イノさんは…この大学の学生なんですか?」
「違うのよ。そいつはただのニート。」
「麻衣さんの研究手伝ってるでしょう。せめてフリーターと呼んでください。」
「同じようなモンじゃん。かなちゃん、紅茶と緑茶どっちがいい?」
「すいません。おかまいなく…」
「いや麻衣さんからもかなちゃんに言ってくださいよ。やめたほうがいいって。」
「別にいいじゃん。人数多い方が楽しいし。危険な案件には連れて行かなければいいじゃない。」
「そうですけど…」
「ちゃんとお給料も出してあげるからね。」
「ありがとうございます!」
俺がノリ気じゃない理由は色々ある。
1つは、俺たちのやることが他人のトラウマに深く入り込む必要があるということだ。
人間の見たくない部分とか…
納得できない結末になることだってある。
かなちゃんがそれらに耐えることができるのか…
俺にはまだわからない。
「私…初めてなんです…こんなにやりたいって思えることに出会ったの。」
「かなちゃん…」
「私はイノさんに助けられました。私が直接できることは少ないと思うけれど、力になれるならなりたいと思ったんです。」
かなちゃんは、今まで部活に入った事もないらしい。
やりたい事を見つけるのがとても苦手なんだそうだ。
まぁ、少しでも興味のある事ができたのならそれは素晴らしい事だと思う。
けれど…
「土日とか休日だけになりますけど、これからよろしくお願いします。」
「よろしくね。」
「…」
「イノ。なんか言いなさい」
「…よろしく。かなちゃん。」
「はい!」
トゥルルルル
麻衣さんの研究室の電話が鳴った。
麻衣さんはよく研究室で電話をしてる。
大体は合コンで知り合った男とのくだらないじゃれあいだ。
でも携帯じゃないってことは…
…いつもの男関連じゃないな。
「はい。『桜乃森大学異能力研究室』の化乃です。…えぇ…はい。…えぇ。……えぇ。」
麻衣さんが電話にでると、かなちゃんが俺に聞く。
「イノさんって世界中を旅してたんですよね。」
「うん。ロストマンの知り合いがいてさ、その2人と一緒にね。」
「色んな国に行ったんですよね?」
「うん…」
あんまりいい思い出はない。
あの2人も今はどこで何してんだか…
ぼうっと3年前のことについて想いをはせていると
麻衣さんが電話を終えたようだ
「イノ、お仕事よ。今から向かってくれる?学校の車使っていいから。」
この表情、きっと良くない案件だ。
「わかりました」
「わたしもいきます!」
かなちゃんが食い気味に言ってきた。
なんとなく嫌な予感がした俺は、
「かなちゃん…今回はちょっと…」
となんとなく断ろうとしたが…
「お願いします。」
その表情に俺は決意めいたものを感じ、俺は結局彼女を連れていく事にした。
…
今回の依頼は埼玉県警からだった。
警察が動くということはつまり…事件である。
かなちゃんには
「絶対に俺の指示に従ってね」
と強く言っておいた。
俺とかなちゃんは『桜乃森大学』のダサいロゴが入った車に乗り込む。
改めて事件の内容を整理する。
ことの発端は昨日、埼玉県警に一件の通報が入った。
とあるアパートの管理人からで
「3カ月前から家賃を滞納している人がいる。インターホンを鳴らしても反応が無い。」
という内容だったそうだ。
今日の朝、警官2名が住人への注意をするため直接家へ向かう。
インターホンなどの呼びかけに応じず、あきらめようとした時。
「…?」
中から赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
嫌な予感がした警官2名は、管理人から預かった鍵を使い中へ入る。
「なんなんだこれ…」
部屋の中は異常な悪臭が漂っており、奥へ進む事を躊躇するほどだった。
短い廊下の先にワンルームの部屋があり、その先から赤ちゃんの泣き声が聞こえる。
恐る恐る奥へ進んでいった警官は、そこで異様な光景を目の当たりにする。
部屋の中の物が、まるでアイスクリームのように白くドロドロに溶けていたのだ。
壁や床、写真立てから冷蔵庫に至るまでその白いドロドロとした物で溢れていたのだ。
辛うじて形をとどめているものもあるが、それがむしろ不気味だった。
ひどい悪臭はどうやらそれらが腐ったことが原因らしい。
ちらほら虫もわいている。
「とにかくあの子を保護してくる。お前は本庁へ連絡をいれろ。」
「そ…そうだな。」
警官の一人が外へ出て電話をしようとした時。
「う”ぅぅッ!!!」
同僚の鈍い叫び声。
振り向くとさっきまでそこにいたはずの同僚姿は無い。
ふと視線を床へ向けると…
「ひっ!」
さっきまで話していたはずの同僚は…
下半身だけを残し、白くドロドロに溶解していた。
上半身は既に形を失っていたという。
「うぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その後やってきた警視庁からも人員が到着する。
しかし誰ひとり状況を把握する事ができず、現在も調査中。
命を落とす危険があるため部屋の中には誰も踏み込む事ができない。
状況からロストマンが関係していると睨んだ警察は、専門家である麻衣さんに協力を求めたのだった。
俺とかなちゃんは桜乃森大学に来ていた。
俺が研究を手伝っている『異能力研究室』。
そこでかなちゃんが俺の助手としてバイトすることになったからだ。
「あら。彼女?」
「違います。」
「初めまして。沖田かなです。」
「あぁ、あなたがかなちゃんね。初めましてこの研究室の室長、化乃麻衣(あだしのまい)です。」
麻衣さんは日本でも数少ないロストマン研究の第一人者。
見た目は若いけどおそらく20代後半。
一度も年齢を教えてくれた事は無い。
スタイルが良く、色っぽい顔つきをしているので男子学生からは割と人気らしい。
性格はかなり適当。酒癖と男癖が悪い。
「イノさんは…この大学の学生なんですか?」
「違うのよ。そいつはただのニート。」
「麻衣さんの研究手伝ってるでしょう。せめてフリーターと呼んでください。」
「同じようなモンじゃん。かなちゃん、紅茶と緑茶どっちがいい?」
「すいません。おかまいなく…」
「いや麻衣さんからもかなちゃんに言ってくださいよ。やめたほうがいいって。」
「別にいいじゃん。人数多い方が楽しいし。危険な案件には連れて行かなければいいじゃない。」
「そうですけど…」
「ちゃんとお給料も出してあげるからね。」
「ありがとうございます!」
俺がノリ気じゃない理由は色々ある。
1つは、俺たちのやることが他人のトラウマに深く入り込む必要があるということだ。
人間の見たくない部分とか…
納得できない結末になることだってある。
かなちゃんがそれらに耐えることができるのか…
俺にはまだわからない。
「私…初めてなんです…こんなにやりたいって思えることに出会ったの。」
「かなちゃん…」
「私はイノさんに助けられました。私が直接できることは少ないと思うけれど、力になれるならなりたいと思ったんです。」
かなちゃんは、今まで部活に入った事もないらしい。
やりたい事を見つけるのがとても苦手なんだそうだ。
まぁ、少しでも興味のある事ができたのならそれは素晴らしい事だと思う。
けれど…
「土日とか休日だけになりますけど、これからよろしくお願いします。」
「よろしくね。」
「…」
「イノ。なんか言いなさい」
「…よろしく。かなちゃん。」
「はい!」
トゥルルルル
麻衣さんの研究室の電話が鳴った。
麻衣さんはよく研究室で電話をしてる。
大体は合コンで知り合った男とのくだらないじゃれあいだ。
でも携帯じゃないってことは…
…いつもの男関連じゃないな。
「はい。『桜乃森大学異能力研究室』の化乃です。…えぇ…はい。…えぇ。……えぇ。」
麻衣さんが電話にでると、かなちゃんが俺に聞く。
「イノさんって世界中を旅してたんですよね。」
「うん。ロストマンの知り合いがいてさ、その2人と一緒にね。」
「色んな国に行ったんですよね?」
「うん…」
あんまりいい思い出はない。
あの2人も今はどこで何してんだか…
ぼうっと3年前のことについて想いをはせていると
麻衣さんが電話を終えたようだ
「イノ、お仕事よ。今から向かってくれる?学校の車使っていいから。」
この表情、きっと良くない案件だ。
「わかりました」
「わたしもいきます!」
かなちゃんが食い気味に言ってきた。
なんとなく嫌な予感がした俺は、
「かなちゃん…今回はちょっと…」
となんとなく断ろうとしたが…
「お願いします。」
その表情に俺は決意めいたものを感じ、俺は結局彼女を連れていく事にした。
…
今回の依頼は埼玉県警からだった。
警察が動くということはつまり…事件である。
かなちゃんには
「絶対に俺の指示に従ってね」
と強く言っておいた。
俺とかなちゃんは『桜乃森大学』のダサいロゴが入った車に乗り込む。
改めて事件の内容を整理する。
ことの発端は昨日、埼玉県警に一件の通報が入った。
とあるアパートの管理人からで
「3カ月前から家賃を滞納している人がいる。インターホンを鳴らしても反応が無い。」
という内容だったそうだ。
今日の朝、警官2名が住人への注意をするため直接家へ向かう。
インターホンなどの呼びかけに応じず、あきらめようとした時。
「…?」
中から赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
嫌な予感がした警官2名は、管理人から預かった鍵を使い中へ入る。
「なんなんだこれ…」
部屋の中は異常な悪臭が漂っており、奥へ進む事を躊躇するほどだった。
短い廊下の先にワンルームの部屋があり、その先から赤ちゃんの泣き声が聞こえる。
恐る恐る奥へ進んでいった警官は、そこで異様な光景を目の当たりにする。
部屋の中の物が、まるでアイスクリームのように白くドロドロに溶けていたのだ。
壁や床、写真立てから冷蔵庫に至るまでその白いドロドロとした物で溢れていたのだ。
辛うじて形をとどめているものもあるが、それがむしろ不気味だった。
ひどい悪臭はどうやらそれらが腐ったことが原因らしい。
ちらほら虫もわいている。
「とにかくあの子を保護してくる。お前は本庁へ連絡をいれろ。」
「そ…そうだな。」
警官の一人が外へ出て電話をしようとした時。
「う”ぅぅッ!!!」
同僚の鈍い叫び声。
振り向くとさっきまでそこにいたはずの同僚姿は無い。
ふと視線を床へ向けると…
「ひっ!」
さっきまで話していたはずの同僚は…
下半身だけを残し、白くドロドロに溶解していた。
上半身は既に形を失っていたという。
「うぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その後やってきた警視庁からも人員が到着する。
しかし誰ひとり状況を把握する事ができず、現在も調査中。
命を落とす危険があるため部屋の中には誰も踏み込む事ができない。
状況からロストマンが関係していると睨んだ警察は、専門家である麻衣さんに協力を求めたのだった。
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