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二章 強さの道筋
四十二話 強さの信者
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訓練の再開はまず、休憩の間に見つけた自らの課題を発表するところから始まった。
「では貴方達は素振り。まずは基礎を固めてください。そちらの貴方達は十人は数もちょうどいいですし模擬戦を。そして残り三人ですが、そうですね……私が直接指導しましょう」
「はぁ?!ふざけんな!なんで俺がこっちでそのヒョロガリ共がそっちなんだ!」
俺達はそれぞれ自分の課題を順番に指導者であるライアに話した。
全力の一撃を簡単に止められた、全く速度が追いつかなかった、フェイントを簡単に見破られた等々。自分のダメだった所を考えつつ自分の課題点を挙げた。
そして俺は自分の技の少なさが自分の課題だと言った。俺にとっての技はせいぜい抜刀ぐらいだろう。
そして、それらを聞いたライアは俺達の技を思い出す為かよく顔を見ながら三班に人を分けてそれぞれ指示を出した。
そこで異議を申し立てたのか例の厄介男だ。
因みにこの男の自分の課題点は『オレ様は完璧で課題なんてねぇ!』だった。……課題点とは?
最初の一撃で吹き飛ばされて伸びてた奴のセリフでは確実になくて逆に尊敬しそうになった。
「そうですね。理由は沢山ありますが……まず一つ、貴方はそれなりに経験を積んでいるのか基礎はできているように感じます」
「フン!当たり前だ!なんだってオレ様はさいきょ……」
「ですが、一撃を逸らされた後の攻撃に対し防御が出来なかったこと。蹴り飛ばされた後に受身を取れなかったことから、同格以上の存在と戦った経験が少ない。もしくは……能力に依存しているか」
「ウグッ!?」
厄介男は図星を突かれたように言葉に詰まる。
なるほど。確かに何かしらの能力で攻撃を防御する必要性が無いのなら防御への反応が遅れるのも頷けるし、吹き飛ばされる経験がないなら咄嗟の受け身も出来ないかもしれない。
そしてこんな奴でも能力の使用禁止というルールは守ってるのは少し感心した。
「ですので、貴方はまず能力無しの対人戦を経験すべきだと判断しました。ここで訓練する以上、能力の使用は不可ですので諦めてください」
「チッ……クソ!やればいいんだろやれば!」
これ以上の異議は無駄だと判断したのか厄介男は不満しかなさそうな様子だが指示に従った。
もしかしたらライアの言った事に思う所が会ったのかもしれない。
「では、素振りの方達から細かな説明をしていくので他の方を少しの間、休憩でもしていてください」
そう言ってライアは素振りの人達に素振りのお手本を見せたりして教えていた。
「じゃあ少し自己紹介でもしようかな?と、言っても紹介するのは君にだけだけどね」
「そう言えば君達は簡易な物だが連携を取っていた様だったね」
最後に呼ばれた三人組は俺とレイ、そしてもう一人の男だった。
確かレイの自己課題点は『一つ一つの技への重さが足りない』で、彼は確か『癖で着いた反射が動きを遅くしている』だったか。
「私の名は『テレストラン』。軽くテレスと呼んでくれ」
「僕の名はレイ!よろしくねテレス!」
「俺はテルだ。よろしく」
「ああ、よろしく」
軽く自己紹介を終えると、レイはテレスについて色々聞き始める。
「テレスはどこから来たんだい?見た所『ミレテスティア神聖教国』の人だよね?」
「ほう、わかるものなのだな。確かに『ミレテスティア神聖教国』出身だが、数ヶ月前からこの街を拠点にして活動していた者だ」
『ミレテスティア神聖教国』は先程言った神聖剣術の発祥の地だ。
あの国は所謂『宗教国』であり、人族が主に信仰している、神マークシャルを主神とした宗教『マークシャル教』を絶対的な国教としている国だ。
因みに、前に俺が行った教会もその宗教の教会であり、何故かここに来ている聖職者達もその宗教の人達だ。
「僕の知り合いにもミレテスティア出身の人が居てね。もし自分と同じような指輪や首飾りをしていたら同じ国出身だろうって教えてもらったのさ」
「なるほど。だがそれは少し違うな。この指輪や首飾りは熱心な信者が貰うことが出来る物で、必ずしもこれを持ってる者がミレテスティア神聖教国出身とは限らない」
「へ~!そうだったんだ!」
「ああ。と、言ってもミレテスティア神聖教国の住人のほとんどは持っているからそういう認識も必ずしも間違っている訳ではないのだがな」
「つまり、国外の信者も信仰が厚いと分かれば貰えるのか?」
「ああ、もちろん」
そんな感じで雑談をしていると、それぞれの指示が終わったライアがこちらにやってきた。
「自己紹介は終わったようですね。ではさっそく貴方達の訓練を始めようと思います。まずは手始めに、レイ。槍を構えてください」
「お、僕からか。よろしくお願いします!」
「俺達は少し下がっておくか」
「そうだな」
レイが槍を構えたのを見てライアも剣を抜く。何時でもお互い斬り掛かる態勢だ。
「前提として、この訓練に参加している人の殆どは経験、及び技術がまだまだ足りていません。勿論、指導者である私達が完璧などというつもりはありませんし、まだまだ未熟です。……一人、完成している人も居ますが」
「少し話が逸れましたね」と、言いながらライアは手の位置と足の位置を変え、少し姿勢を低くしながら構え直す。
その瞬間、今までの構えがなんだったのかと聞きたくなるほど構えの隙が無くなる。
「このように、たった少しの位置調整と意識の変化、経験による少しのオリジナル要素を加えることで構え一つも全く別のものに変わります。因みにこれは簡単に言うと『守りの構え』です」
「は、はは……。隙がないどころか無闇に攻撃したらカウンター決められるのが目に見えるよ」
レイは乾いた笑みを浮かべる。レイが数回のフェイントを掛けたのがわかった。何度も仕掛けようとしているのだろう。
しかしレイはそこから一歩も動けずにいた。きっと周りから見るより目の前で見る方が迫力もその構えの強さも感じるのだろう。
「経験に関しては私から教えることはできません。しかし、私の持つ技術と貴方達が持つ技術、才能の活かし方を教えることは出来ます。それなりに厳しくなりますが、覚悟しておいて下さい」
「じょ、冗談きついなぁ……」
「望むところだ」
「神よ……」
他二人が現実逃避か少し遠い目をしだし他のを横目に、俺はここからが本番だと気合いを入れ直したのだった。
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