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二章 強さの道筋
三十六話 強気の動き
しおりを挟む「よし!全員組めたな!全員武器を構えろ!では、初め!」
「先手は貰うよ!」
開始の合図と共に、槍を構えた青年は刺突を繰り出す。
俺はタイミングを合わせて槍を払い、カウンターを入れるがすぐに姿勢を戻した青年は槍で防ぐ。
そのままお互いに少し間を開けるように武器を弾き合う。そして体勢を整え上からの攻撃とフェイントをかけつつ胴体を狙うが簡単に防がれ、カウンターを許してしまう。
俺は槍のなぎ払いに対して咄嗟に跳躍することで回避するが即座に愚策だと理解する。
青年は待ってましたと言わんばかりに俺にやりの狙いを定めて突きを放つ。
木製で槍の先はクッションがついて重症を負うことはないだろうがそれなりに痛い筈。
そう易々と食らうわけにい行かない。
「隙あり!」
「食らうか!」
槍の先端に僕等の側面を叩きつけ、突きの威力と叩きつける勢いで自分を吹き飛ばして回避する。
回転しながら後ろに飛び、上手く着地してすぐに構える。
青年はそんな俺を見て少し呆れたように苦笑いをしていた。
「ははは……まぁ訓練だからね」
「流石に今のを実践ではしないぞ」
今の動きはお互いの武器がそこまで殺傷能力がなく、槍の先端がクッションでかつ青年に本気で俺を殺す気がないから出来たことで、俺がジャンプした時点でほぼ彼の勝ちだ。
「そういえば名前を聞いてなかったね。僕の名前は『レイ』。君は?」
「テルだ」
「テル?どこかで聞いたような……まぁいいか」
一瞬の思案の後、レイと名乗った彼は槍を構え直す。その様子は先程より迫力があった。
「もう少し本気を出すよ。テルももう少し本気でかかってきて」
「わかった」
俺は木刀を腰の辺りに持っていき、抜刀の構えを取る。
呼吸を整え、深く集中し、全身を身体強化して隙を伺う。
視線をずらしたり少し重心をずらしたり、隙を見せて攻撃を誘うが乗ってこない。
成程、ならお望み通り俺から行かせてもらおう。
俺は脚に力を込め、地面を蹴る一瞬だけ脚を最大まで強化する。
そうすることで一瞬だけだが爆発的な速度を出すことが出来る身体強化の技の一つ。極めると『縮地』と呼ばれる技にもなったりするが今は置いておこう。
最高速度で近ずいた俺は正面から叩き切る……かとフェイントを掛けてレイの背後に周り斬り掛かる。
が、その攻撃はレイによって受けられ……ることなく完全に空振る。完全に避けられた。
まさか防ぐのではなく避けられると思わなかった俺は一瞬の好きを晒す。
「はやっ……!?」
「せいや!!」
俺は振り下ろされる槍に体を倒れるように屈ませることで時間を稼ぎ、なんとか木刀で防ぐ。
なんだ今の動き!?木刀を振る直前までは確かにその場にいたのに木刀が触れる直前な消えるように居なくなった。
そして今回は何とかなったが、攻撃後の即座に反応しずらい不安定な体勢の時に放たれるカウンターはそう簡単には対処出来ない。
何とかなったと言っても直撃を避けただけで敵を前に地面に寝そべっているという状態。確実に俺の方が不利だった。
俺は即座に槍を蹴り飛ばし、その勢いのまま腕の筋力で飛び上がって距離をとる。追撃の警戒したがどうやら無さそうだ。
「ふふ、どうして避けられたんだ?って顔してるね。正直僕もほとんど同じ気持ちだよ。君が早いのはわかってたけどあのカウンターを止められるとは思わなかったよ」
「俺が止められたのはほとんど偶然だ。それよりもどうやって回避したのかの方が気になる」
「教えてあげたいのはやまやまなんだけど、これは師匠から教わった秘密の技術なんだ」
「いや、いいんだ。俺のわがままだからな。それに……」
「それに?」
俺はレイの目を見て挑発するように言う。
「そういうのは自分で攻略する方が楽しいしな」
「……ふふ、君とは仲良くなれそうだ」
俺とレイは自然と武器を構えなおす。それぞれの魔力が二人の全身をめぐり、次の衝突に備えて強く、鋭くなっていく。
そしていざ動き出そうとした……その時。
「うおらぁぁぁ!!」
「ぐへええ!?」
「「?!」」
俺とレイの間に見知らぬ男冒険者が吹き飛んでくる。状況から見るに組んだ冒険者に吹き飛ばされたのだろう。
「チビチビ、チビチビうるせぇ!実力ねえ奴がオレ様を馬鹿にすんじゃねえよ!」
どうやらこいつは身長に関してはタブーのようだ。
「おい、あんた。周りっていうか俺たちが迷惑だ」
「ああ?なんか文句あんのか!」
「むしろ文句しかない」
指導してくれる先輩冒険者の話を聞いていたのだろうか。聞いてないだろうな。だってこいつずっと俺の事睨みつけてたから。
「はん!さっき見てたぜ!おめぇがそこのひょろがり2《に倒されてるのをな!」
「ひょろがり2!?」
「だったらなんだ。俺たちは訓練をしてる。試合じゃない。その過程で倒れることだってあるだろ」
「はっ、なんだ?いいわけか?結局おめぇらみたいな無駄に身長高くて細いひょろがりはオレ様みたいに完璧な肉体を持った男には勝てないんだよ!笑っちまうぜ!でゅべっへっへっへ!!」
「「でゅべっへっへっへ!?」」
あまりに独特な笑い方に、いやお前身長めちゃくちゃ気にしてるだろとかより、いや笑い方独特だな!しか言葉が出ないのだった。
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