上 下
98 / 128
第五章 最終章 異世界最終決戦編

第九十三話 戦いの最後の日

しおりを挟む
 俺達は既に準備は万端だった。

 俺の装備はマントを羽織るだけで、後は速さを重視して軽装備だ。

 メンバーは、俺、リリア、セシリア、マリー、シア、タマ、校長、アランだ。

 師匠と、ミレイアさんは何やら用事があるらしく、後々来るそうだ。

 「今邪神は魔大陸からこのムー大陸に向かっているらしい」

 そして戦いの舞台となるのが、俺の生まれ故郷の村のすぐ側だ。

 魔大陸からムー大陸に行くのに俺の生まれ故郷を通るのだ。まさか生まれ故郷で戦う羽目になるとは思わなかったけどこれで俺の最後の戦いになる。

 「それで邪神が俺の村を通り過ぎて、森を抜ける瞬間から戦闘が始まるからな」

 それに皆は頷いている。

 「校長も来て下さってありがとうございます」

 「いえいえ。こればっかりは私も戦わないわけにはいきませんから」

 そう言ってくれる。俺が朝早くに校長に頼んだら普通にオッケーしてもらえた。

 これでメンバーは揃った。増援も呼んである。後は戦って勝つだけだ。

 俺達は召喚魔法で行こうとすると、師匠とミレイアさんが来た。

 「どうしたんですか?」

 「いや。マリーにお願いがあってな」

 「私に?」

 マリーは心当たりがないのか不思議そうにしている。

 「ちょっとばかしジルドを借りていいか?」

 「はあ。別に構わないけどあの子誰にも緊張気味だから嫌がるならやめてよ」

 「分かってる」

 マリーは不思議そうにしながらも許可したようだ。ただ、ジルドを借りて何をしでかすのだろうか?

 まあ、俺は今はそれどころじゃない。これから戦いに行くのだから。

 「「お兄ちゃん」」

 そこにはココとロロ、それにアネットとレイシア、ジルドまでいた。

 「「頑張って来てね!」」

 「ああ。頑張る」

 二人はいつも通り息ぴったりにそう言った。いつも通り可愛くて自慢の双子の妹だ。

 「レイ君。それに皆も勝たなくても必ず生きて帰ってきてください」

 「分かってる。負けるつもりはないけどな」

 アネットは心配そうに言った。あの魔王との戦争の頃の事があるから仕方ないのかもしれない。

 そしてアネットはリリアの方を向いて、抱きついた。

 「必ず帰って来てね」

 「分かってるわよ。お母さんこそちゃんとご飯用意しといてよ」

 何だか二人の様子を見て微笑ましい気持ちになる。

 そしてレイシアとジルドが来た。

 「なにするのかわかんないけどがんばって!」

 「......がんばって」

 「ああ。帰ったら沢山遊んで、魔法も教えてあげるからな」

 「「うん」」

 二人は元気よく頷いた。今回はマリーとシアも反対しないようだ。

 「よし。行くぞ!」

 そして全員で俺達は召喚魔法で移動するのだった。

 「懐かしいわね」

 リリアがそう呟く。

 「ああ。本当に懐かしい」

 俺達の目の前には俺の冒険が始まる場所でもあった。

 俺達は少し森から離れた場所でその光景を見ていた。

 すると、俺達が見ていた目の前の森がいきなり凍った。

 「は?」

 俺はそう呟かずにはいられなかった。

 次にこちらにも伝わる程の強風が吹き荒れた。

 すると氷になった所全てが崩れ落ちた。

 そしてその氷が次に燃え尽きた。

 なんだ、この三コンボのような組み合わせは。

 すると、遠くに何千もの魔物がいる。

 おかしい。初めは千ぐらいの数と聞いていたんだけどな。

 明らかに違う。すると、空から一人の男性が飛んできた。邪神だ。

 「ほんとに俺に歯向かうのか?そのまま死んだ方が楽だぞ」

 邪神の恰好は以前と違い戦闘服なのだろう。マントを羽織り、その恰好は魔導士だ。

 「それはありえないな。もし死ぬにしてもあがいて死ぬ方がいいね」

 俺はそう言って剣を抜いた。

 「呆れたぞ。たったそんだけの数でこの三千にも及ぶ強者だらけの魔人を倒して挙句の果てに俺まで殺せると思ってるのか?」

 俺はそれに笑った。

 「誰が俺達だけだって?」

 「何?」

 俺達の後方から大勢の音が聞こえる。

 「レイさん!」

 その声と共に最初に到達したのはミラさんだ。

 「来てくれてありがとうござます。ミラさん」

 「いえ!レイさんの為ならば!」

 そして獣人達が沢山やって来た。

 その中には犬神と狼神もいる。

 「久々じゃな。戦争なんて」

 「そうだな。それに相手が最強と言われた邪神だからな」

 二匹はそんな会話をしながらもこれからの戦いを楽しみにしているようだった。

 「ミラさんには悪いですけどあの魔人を頼んでもいいですか?」
 
 「任せてください!」

 ミラさんもすでに戦闘モードだった。

 「なるほど。考えたな。だがこちらにも手駒はまだいる。俺が召喚した最強の魔物が二体いるんでな」

 邪神は俺の背後にいる獣人の人達を見ても未だ余裕の表情だ。

 だからこそ俺はその余裕の表情を崩してやりたかった。

 「それだけじゃないでしょ?まだいるんじゃないですか?」

 「何を言っているんだ?」

 邪神は平静を未だ保っている。

 「例えば後ろにいる『剣聖』とか」

 「は?」

 それはアランの声だった。

 「......どうして分かった?」

 そして邪神は驚きの表情になり、邪神のマントから剣聖が出てきた。

 「.......親父」

 アランは幽霊でも見ているような表情だった。だが、これで終わりじゃない。

 「まあ。待ってくださいよ。まだいるでしょう?」

 「これはどういうことでしょうか?冗談でも笑えないですよ?」

 アラン以外の全員が校長にそれぞれ武器を突き付ける。

 「校長。あんたが裏切り者の二人目だ」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)

朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】 バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。 それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。 ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。 ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――! 天下無敵の色事師ジャスミン。 新米神官パーム。 傭兵ヒース。 ダリア傭兵団団長シュダ。 銀の死神ゼラ。 復讐者アザレア。 ………… 様々な人物が、徐々に絡まり、収束する…… 壮大(?)なハイファンタジー! *表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます! ・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

『お宝探し、しませんか?』 ダメダメおっさんが、超絶美少女と仲良くなっても良いじゃないか。俺ってそこはかとなく良い男かもしれません

米糠
ファンタジー
中世ヨーロッパ風の異世界、主人公・堀田岳男は、クマタニ組勤務三十歳、妻なし、財産なし、恋愛経験なし、のナイナイ尽くし。十五歳からトンネルを掘り続け、穴を掘ること十五年、掘ること以外は何もできない穴掘り男だ。 そんな彼の前に突然現れた謎の美少女メアリーアンはトレジャーハンターだった。彼女のペット、プリンちゃんは、もふもふ可愛い『ここ掘れワンワン犬』。彼女に頼まれて宝を掘り出すことに。トレジャーハンターをすることで、文化局の美人局長スカーレット、Sランク美人冒険者エリザベス、剣真流師範ガルドの自慢の一人娘カテリナなど色々なタイプの美人達と出会う。さてさて彼女いない歴30年の岳男に春は訪れるのか? トレジャーハントで巨万の富を手にするのか? 現れる魔物相手にどう戦うのか? これは、ダメダメオッサンが巨万の富をゲットし、魔物相手に無双するまで? の成り上がり成長譚である。 一話2000字程度。 64話以降二日に一度17時10分更新

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...