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第三章 魔法学校編
第四十五話 魔法学校の日常
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俺が、この学校に入って一週間が経った。
正直、俺はこの学校を舐めていた。
授業が、俺の知らない事だらけだった。
例えば、『魔法の性質』だ。
火魔法などの、魔法を使う時、何故手が熱くないかというものだった。
それは、魔法を使う際、身体に魔法の膜のような物が作られるかららしい。
要するに、魔法を使う際に、魔力が体に流れるその時、魔力のバリアが身体にはられるという仮説などがあるというもの。
他にも様々な授業があり、全て素晴らしいの言葉に尽きるものだった。
それに、この学校で新しく無詠唱魔法の実戦経験が含まれるようになった。
だが、これに殆どの生徒が難航した。
それもそうだろう。今まで魔法を唱えて使ったものを、いきなり無詠唱でやれと言われているのだ。
簡単に出来るのはあり得ない。
だが、ここで、誰もくじけることはなかった。
皆、あの校長との勝負を見て、自分でも頑張ればと思っているんだとおもう。
これからもその気持ちを忘れずに頑張ってほしいと俺は心の底から思った。
それと、俺が危惧していた、俺やマリーへの妬みなどの悪口は無かった。
俺は、あの校長との戦いで、皆からは避けられるものだと思っていたが、全くの逆だった。
どうやって無詠唱を覚えたのか、これまで何をしていたのかなど、質問攻めだった。
少し疲れたが、色んな人と話せたおかげで、コミュニケーション力が上がったと思っておきたい。
だが、今までの出来事は、俺にとってはそれほどでもないと思える事があった。
それは、アスタナシアさん、マリーの事を好きになってしまったことだ。
アスタナシアさんは、あの校長と勝負をした後の笑顔に一目惚れしてしまった。
それに、彼女は、清楚で美しいのだ。
こんな美しい人を好きにならない人は少ない。
実際、彼女は、毎日告白を受けているようだ。
だが、全員振っているようなので、俺からしたら嬉しい限りだ。
マリーは、初め俺が助けた人で可愛い子という印象だった。
俺が、マリーを好きになったのかは、いつからかは、俺もまだ覚えていない。
だが、いつの間にか好きになっていた。
マリーとは、学校でずっと一緒にいるし、偶に俺の家でご飯を食べたりもしたりしている。
それに、マリーの優しさが俺からしたら、とてもやばかった。
俺が教科書などを忘れると、何も言わず、教科書を、俺が見える位置に置いてくれたりもする。
そんな、素直じゃない優しいマリーを好きになった。
だが、俺にはすでに彼女が二人もいる。
そんな俺が、この二人を好きになってもいいだのだろうか。
リリアとセシリアにも失礼だ。
リリアはあんまり多くは、増やして欲しくはないとは言っていた。
セシリアは、あの時何も言わなかったが、増えるのに、そんな嬉しい顔をしないだろう。
まあ。まず俺が、あんな可愛い二人と付き合えるとは思えないんだけどな。
俺は、そう結論付ける事にした。
~アスタナシア視点~
私は、最近頭が上の空のことが多い気がする。
私自身、その原因は分かっている。
あのレイロード君のせいだ。
彼の、更衣室での笑顔がずっと私の頭の中から離れない。
何故か、何度も彼の顔が、頭の中ではっきりイメージできる。
その瞬間、自分の顔が赤くなることも。
私は、最近やっと自覚が持つことが出来た。
レイロード君の笑顔に一目惚れしてしまった。
だが、この気持ちを伝えることは出来ない。
私には、秘密がある。
私と付き合ったりしたら、彼にも迷惑が掛かる可能性がある。
それだけはいやだ。
私は、彼の事を忘れようとは思ってはいる。
だが、そう思えば思うほど、彼の顔が忘れられない。
「アスタナシアさん!アスタナシアさん!」
「......え?」
私を呼んでいるのは、同じ特別生のノエミだ。
「大丈夫ですか?最近ぼーとしている事が多いですよ」
彼女は、心配して言ってくれる。
「確かに最近多いな。大丈夫か?」
こちらも同じ特別生のダルザ君が、私を心配して言ってくれます。
「大丈夫ですよ。それよりどうかしたんですか?」
私は、ノエミさんに聞くと、ノエミさんは溜息をつきながら、言いました。
「いつものやつですよ」
......またですか。
「分かりました。すぐに戻ってきます」
私は、そうして席を外し、廊下で待っている人と、場所を移します。
誰もいないだろう場所に移動した時、彼は言いました。
「好きです!付き合ってください!」
これです。毎日一回はある出来事の告白タイムです。
一応、私は、毎回呼ばれたら応じます。
あちらも本気だろうから応じますが、流石に疲れます。
結果は分かっています。ですが、これがレイロード君からの告白だったら、どうしましょう。
私は自分でも顔が赤くなるのが分かります。
おっと。妄想に浸って、彼への返事がまだでした。
「ごめんなさい。あなたとは付き合えません」
「......はあ。分かりました」
彼は、そう言って、どこかに行ってしまいました。
私も戻ろうとすると、
「何で、断ったんですか?彼結構イケメンでしたよね?」
「.......え?」
そこには、レイロード君がいました。
~レイロード視点~
俺は、授業が終わり、暇を持て余していた。
マリーは、補修を受けるのと言っていた。
別に、家に帰ってもやる事もないので、丁度いいので、学校を色々見ながら、散歩することにした。
その途中だ。
「好きです!付き合ってください!」
そんな言葉が聞こえたので、俺はやってはいけないと思っていても覗いてしまった。
すると、そこには告白を受けているアスタナシアさんがいた。
俺はその現場から逃げることが出来なかった。
なんせ、アスタナシアさんの顔が赤いのだ。
俺は、アスタナシアさんの返事を、緊張しながら見守った。
結果は断りの返事だった。
俺は、その言葉に安堵しながらも、疑問に思った。
あの人は、結構イケメンだったし、顔も赤くしていたのに否定したのかを。
なので、俺は男が何処かに行った後に、勇気を振り絞り聞いた。
するとアスタナシアさんは、呆気にとられているようだ。
「もしかして先程の事を聞いてました?」
「はい。偶然通りかかって」
俺は、正直に言った。
「それで、どうして断ったんですか?」
「別に彼の事が好きじゃなかったので」
アスタナシアさんは、即答した。
「顔を赤くしていたのは?彼がカッコイイからじゃないんですか?」
「あれを見てたんですか!?」
アスタナシアさんは、顔を真っ赤にして慌てていた。
そして、慌てながらも言った。
「あれは.....ちょっと色々あってです!それにあの人より、レイロード君の方がかっこいいですよ!」
......はい?
俺は、今呆気にとられた顔をしているだろう。
今のは、俺の聞き間違いだろうか。
そんな筈はないはずだ。
俺の頭の中で、今の言葉が何度も繰り返されている。
アスタナシアさんも自分が言ったことに気付いたのか、顔を真っ赤にして、後ろを向いた。
そして深呼吸を何回かしてまたこちらを見た。
「それで、どうしてこんな所にいたんですか?
アスタナシアさんは、冷静になっているつもりかもしれないが、耳が赤いので、バレバレだ。
だが、あちらがスルーすると決めたのならば、俺も恥ずかしいので、スルーすることにしよう。
「この学校をまだあまり見てなかったので、この暇な時間に見ようかなって」
「そうだったんですね。私が、案内しますよ。もう三年もいるので全て把握してるので」
アスタナシアさんは、そんな嬉しい事を言ってきた。
「けど、今から何かあるんじゃないんですか?」
「特に何もないので遠慮しないでください」
彼女が、そう言うので、お言葉に甘えることにした。
それから、アスタナシアさんに学校を案内してもらっていると、唐突に言ってきた。
「私に、敬語を使わなくていいんですよ?あなたの方が強いんですし」
「いや。アスタナシアさんは上級生ですし」
「そのアスタナシアさんもです。シアでいいです」
俺に、そんな簡単に名前を呼ぶ度胸はない。
「いや。それは流石に......」
「シアです」
「けど.....」
「シア!」
「......分かった。シア」
「それでいいんですよ」
アスタナシアさんが嬉しそうにしてくれたので、俺も恥ずかしい思いをした甲斐があった。
俺とシアは、それからも学校を見て回っていると、
「おーい。レイ、お願いがあるんだけど」
俺の名前を呼ぶマリーがこちらに来た。
嫌な予感しかしない。
~マリー視点~
私は、最近イライラすることが多い。
その原因も分かっている。
レイだ。
レイが、女の子と話たりしてたりすると、イライラしてしまう。私自身、どうしてレイが話していると、イライラするか分かっている。
私は、レイの事が好きだからだ。
レイの事は、助けてくれた恩人であり、尊敬する人であった。
けど、校長とレイの戦いを見て、変わった。
レイが、校長に立ち向かっていく姿を見て、私は、レイに惚れてしまった。
あいつは、ちょっと、気が抜けている所があるが、子供なのに大人のようでカッコイイ。
まあ、こんな事は、死んでもあいつには言えないが。
私は、どうしたらレイともっと仲良くなるか考えた。
そこで、名案が思い付いた。
レイに、無詠唱魔法を教えてもらえるように言えば、もっといられる。
そう思った。
ならば、すぐに実行だ。
私は、すぐにレイの所に行く準備をした。
「どうしたんですかマリーさん?まだ、補修中ですよ?」
ナタリア先生はそう言ってくるが、私はそれどころじゃない。
「急用で帰ります」
私は、そう言って、教室を出て、色んな人にレイの居場所を聞いた。
すると、学校で見かけた人がいるから、学校内にいるはずだ。
私は、学校を探し回って、ようやくレイを見つけた。
一応復習だ。
魔法を教えて欲しい。魔法を教えて欲しい。
それを何度か復習し、レイの元に向かって話しかけると、アスタナシアという女といた。
~レイロード視点~
マリーは、シアを見て、固まっている。
何で、固まっているかは分からないんだが。
「.....何で一緒にいるの?」
「シアに学校案内してもらってるんだ」
その言葉に、何故かマリーは目を大きく開いた。
「シアって?」
「シアがそう呼べって」
俺はそう言うしかない。
そこで、シアが口を挟んだ。
「二人はどういう関係なんですか?」
「友達ですけど」
これに、マリーも頷く。
何故かシアはほっとした表情をする。
俺は、マリーに改めて聞いた。
「俺に何か用があったんじゃないのか?」
そこで、マリーは思い出したようだ。
「そうだった。私に魔法を教えてよ」
そういうことだったのか。
「ああ。全然いいぞ。今日この後もう少ししたら、見終わると思うしその後やるか?」
マリーは頷いた。
「魔法の練習私も参加してもいいですか?」
シアは、唐突に言ってきた。
「別に俺はいいけど」
俺は、マリーを見ると、マリーはシアをとても睨んでいた。
「あんた、魔法出来るじゃない。教えて貰うことなんてあるの?」
マリーは喧嘩腰で聞く。
「丁度、無詠唱で躓いていたのでいいですかね?」
「私も構わないわ」
そう言って、二人で笑い合っている。
だが、目がどう見たって笑ってない。
俺は、今すぐここを抜けだしたい。
そう思った。
それから、俺達は学校案内はまた今度となり、
俺の家の庭で、無詠唱魔法を教えた。
その後、母さんの提案で、一緒に夜ご飯を俺の家で食べることになった。
そこで、親父はお酒を飲んでいて、酔っていたのだろう。
唐突にとんでもない事を言ってきた。
「お前、この二人と付き合ってんのか?」
その瞬間、場の雰囲気が静まりかえった。
親父は、その後母に拳骨され何処かに連れて行かれた。
だが、場は静まり返ったままだ。
だが、タマが、違う話題を出してくれたおかげで、何とか、良くなった。
俺は、タマの明日のご飯を豪勢にしてやろうと決めるのだった。
そうして、マリーとシアは帰るそうだ。
俺は、玄関まで見送った。
「また明日」
「明日の学校で」
マリーとシアはそう言って帰った。
だが、俺は二人の言葉が何故か心に来た。
明日。それはいつまで言ってもらえるのだろうか。
もし、俺が二人に告白して振られたら、気まずくて明日なんてことは言ってもらえないだろう。
今日みたいに、魔法の練習も出来なくなるんだろうな。
そう思ってしまうのだった。
そして、この世界は、レイロードのご都合主義の世界ではない。
これから起きるとある出来事が、レイロードを挫折へと追い込むのだった。
正直、俺はこの学校を舐めていた。
授業が、俺の知らない事だらけだった。
例えば、『魔法の性質』だ。
火魔法などの、魔法を使う時、何故手が熱くないかというものだった。
それは、魔法を使う際、身体に魔法の膜のような物が作られるかららしい。
要するに、魔法を使う際に、魔力が体に流れるその時、魔力のバリアが身体にはられるという仮説などがあるというもの。
他にも様々な授業があり、全て素晴らしいの言葉に尽きるものだった。
それに、この学校で新しく無詠唱魔法の実戦経験が含まれるようになった。
だが、これに殆どの生徒が難航した。
それもそうだろう。今まで魔法を唱えて使ったものを、いきなり無詠唱でやれと言われているのだ。
簡単に出来るのはあり得ない。
だが、ここで、誰もくじけることはなかった。
皆、あの校長との勝負を見て、自分でも頑張ればと思っているんだとおもう。
これからもその気持ちを忘れずに頑張ってほしいと俺は心の底から思った。
それと、俺が危惧していた、俺やマリーへの妬みなどの悪口は無かった。
俺は、あの校長との戦いで、皆からは避けられるものだと思っていたが、全くの逆だった。
どうやって無詠唱を覚えたのか、これまで何をしていたのかなど、質問攻めだった。
少し疲れたが、色んな人と話せたおかげで、コミュニケーション力が上がったと思っておきたい。
だが、今までの出来事は、俺にとってはそれほどでもないと思える事があった。
それは、アスタナシアさん、マリーの事を好きになってしまったことだ。
アスタナシアさんは、あの校長と勝負をした後の笑顔に一目惚れしてしまった。
それに、彼女は、清楚で美しいのだ。
こんな美しい人を好きにならない人は少ない。
実際、彼女は、毎日告白を受けているようだ。
だが、全員振っているようなので、俺からしたら嬉しい限りだ。
マリーは、初め俺が助けた人で可愛い子という印象だった。
俺が、マリーを好きになったのかは、いつからかは、俺もまだ覚えていない。
だが、いつの間にか好きになっていた。
マリーとは、学校でずっと一緒にいるし、偶に俺の家でご飯を食べたりもしたりしている。
それに、マリーの優しさが俺からしたら、とてもやばかった。
俺が教科書などを忘れると、何も言わず、教科書を、俺が見える位置に置いてくれたりもする。
そんな、素直じゃない優しいマリーを好きになった。
だが、俺にはすでに彼女が二人もいる。
そんな俺が、この二人を好きになってもいいだのだろうか。
リリアとセシリアにも失礼だ。
リリアはあんまり多くは、増やして欲しくはないとは言っていた。
セシリアは、あの時何も言わなかったが、増えるのに、そんな嬉しい顔をしないだろう。
まあ。まず俺が、あんな可愛い二人と付き合えるとは思えないんだけどな。
俺は、そう結論付ける事にした。
~アスタナシア視点~
私は、最近頭が上の空のことが多い気がする。
私自身、その原因は分かっている。
あのレイロード君のせいだ。
彼の、更衣室での笑顔がずっと私の頭の中から離れない。
何故か、何度も彼の顔が、頭の中ではっきりイメージできる。
その瞬間、自分の顔が赤くなることも。
私は、最近やっと自覚が持つことが出来た。
レイロード君の笑顔に一目惚れしてしまった。
だが、この気持ちを伝えることは出来ない。
私には、秘密がある。
私と付き合ったりしたら、彼にも迷惑が掛かる可能性がある。
それだけはいやだ。
私は、彼の事を忘れようとは思ってはいる。
だが、そう思えば思うほど、彼の顔が忘れられない。
「アスタナシアさん!アスタナシアさん!」
「......え?」
私を呼んでいるのは、同じ特別生のノエミだ。
「大丈夫ですか?最近ぼーとしている事が多いですよ」
彼女は、心配して言ってくれる。
「確かに最近多いな。大丈夫か?」
こちらも同じ特別生のダルザ君が、私を心配して言ってくれます。
「大丈夫ですよ。それよりどうかしたんですか?」
私は、ノエミさんに聞くと、ノエミさんは溜息をつきながら、言いました。
「いつものやつですよ」
......またですか。
「分かりました。すぐに戻ってきます」
私は、そうして席を外し、廊下で待っている人と、場所を移します。
誰もいないだろう場所に移動した時、彼は言いました。
「好きです!付き合ってください!」
これです。毎日一回はある出来事の告白タイムです。
一応、私は、毎回呼ばれたら応じます。
あちらも本気だろうから応じますが、流石に疲れます。
結果は分かっています。ですが、これがレイロード君からの告白だったら、どうしましょう。
私は自分でも顔が赤くなるのが分かります。
おっと。妄想に浸って、彼への返事がまだでした。
「ごめんなさい。あなたとは付き合えません」
「......はあ。分かりました」
彼は、そう言って、どこかに行ってしまいました。
私も戻ろうとすると、
「何で、断ったんですか?彼結構イケメンでしたよね?」
「.......え?」
そこには、レイロード君がいました。
~レイロード視点~
俺は、授業が終わり、暇を持て余していた。
マリーは、補修を受けるのと言っていた。
別に、家に帰ってもやる事もないので、丁度いいので、学校を色々見ながら、散歩することにした。
その途中だ。
「好きです!付き合ってください!」
そんな言葉が聞こえたので、俺はやってはいけないと思っていても覗いてしまった。
すると、そこには告白を受けているアスタナシアさんがいた。
俺はその現場から逃げることが出来なかった。
なんせ、アスタナシアさんの顔が赤いのだ。
俺は、アスタナシアさんの返事を、緊張しながら見守った。
結果は断りの返事だった。
俺は、その言葉に安堵しながらも、疑問に思った。
あの人は、結構イケメンだったし、顔も赤くしていたのに否定したのかを。
なので、俺は男が何処かに行った後に、勇気を振り絞り聞いた。
するとアスタナシアさんは、呆気にとられているようだ。
「もしかして先程の事を聞いてました?」
「はい。偶然通りかかって」
俺は、正直に言った。
「それで、どうして断ったんですか?」
「別に彼の事が好きじゃなかったので」
アスタナシアさんは、即答した。
「顔を赤くしていたのは?彼がカッコイイからじゃないんですか?」
「あれを見てたんですか!?」
アスタナシアさんは、顔を真っ赤にして慌てていた。
そして、慌てながらも言った。
「あれは.....ちょっと色々あってです!それにあの人より、レイロード君の方がかっこいいですよ!」
......はい?
俺は、今呆気にとられた顔をしているだろう。
今のは、俺の聞き間違いだろうか。
そんな筈はないはずだ。
俺の頭の中で、今の言葉が何度も繰り返されている。
アスタナシアさんも自分が言ったことに気付いたのか、顔を真っ赤にして、後ろを向いた。
そして深呼吸を何回かしてまたこちらを見た。
「それで、どうしてこんな所にいたんですか?
アスタナシアさんは、冷静になっているつもりかもしれないが、耳が赤いので、バレバレだ。
だが、あちらがスルーすると決めたのならば、俺も恥ずかしいので、スルーすることにしよう。
「この学校をまだあまり見てなかったので、この暇な時間に見ようかなって」
「そうだったんですね。私が、案内しますよ。もう三年もいるので全て把握してるので」
アスタナシアさんは、そんな嬉しい事を言ってきた。
「けど、今から何かあるんじゃないんですか?」
「特に何もないので遠慮しないでください」
彼女が、そう言うので、お言葉に甘えることにした。
それから、アスタナシアさんに学校を案内してもらっていると、唐突に言ってきた。
「私に、敬語を使わなくていいんですよ?あなたの方が強いんですし」
「いや。アスタナシアさんは上級生ですし」
「そのアスタナシアさんもです。シアでいいです」
俺に、そんな簡単に名前を呼ぶ度胸はない。
「いや。それは流石に......」
「シアです」
「けど.....」
「シア!」
「......分かった。シア」
「それでいいんですよ」
アスタナシアさんが嬉しそうにしてくれたので、俺も恥ずかしい思いをした甲斐があった。
俺とシアは、それからも学校を見て回っていると、
「おーい。レイ、お願いがあるんだけど」
俺の名前を呼ぶマリーがこちらに来た。
嫌な予感しかしない。
~マリー視点~
私は、最近イライラすることが多い。
その原因も分かっている。
レイだ。
レイが、女の子と話たりしてたりすると、イライラしてしまう。私自身、どうしてレイが話していると、イライラするか分かっている。
私は、レイの事が好きだからだ。
レイの事は、助けてくれた恩人であり、尊敬する人であった。
けど、校長とレイの戦いを見て、変わった。
レイが、校長に立ち向かっていく姿を見て、私は、レイに惚れてしまった。
あいつは、ちょっと、気が抜けている所があるが、子供なのに大人のようでカッコイイ。
まあ、こんな事は、死んでもあいつには言えないが。
私は、どうしたらレイともっと仲良くなるか考えた。
そこで、名案が思い付いた。
レイに、無詠唱魔法を教えてもらえるように言えば、もっといられる。
そう思った。
ならば、すぐに実行だ。
私は、すぐにレイの所に行く準備をした。
「どうしたんですかマリーさん?まだ、補修中ですよ?」
ナタリア先生はそう言ってくるが、私はそれどころじゃない。
「急用で帰ります」
私は、そう言って、教室を出て、色んな人にレイの居場所を聞いた。
すると、学校で見かけた人がいるから、学校内にいるはずだ。
私は、学校を探し回って、ようやくレイを見つけた。
一応復習だ。
魔法を教えて欲しい。魔法を教えて欲しい。
それを何度か復習し、レイの元に向かって話しかけると、アスタナシアという女といた。
~レイロード視点~
マリーは、シアを見て、固まっている。
何で、固まっているかは分からないんだが。
「.....何で一緒にいるの?」
「シアに学校案内してもらってるんだ」
その言葉に、何故かマリーは目を大きく開いた。
「シアって?」
「シアがそう呼べって」
俺はそう言うしかない。
そこで、シアが口を挟んだ。
「二人はどういう関係なんですか?」
「友達ですけど」
これに、マリーも頷く。
何故かシアはほっとした表情をする。
俺は、マリーに改めて聞いた。
「俺に何か用があったんじゃないのか?」
そこで、マリーは思い出したようだ。
「そうだった。私に魔法を教えてよ」
そういうことだったのか。
「ああ。全然いいぞ。今日この後もう少ししたら、見終わると思うしその後やるか?」
マリーは頷いた。
「魔法の練習私も参加してもいいですか?」
シアは、唐突に言ってきた。
「別に俺はいいけど」
俺は、マリーを見ると、マリーはシアをとても睨んでいた。
「あんた、魔法出来るじゃない。教えて貰うことなんてあるの?」
マリーは喧嘩腰で聞く。
「丁度、無詠唱で躓いていたのでいいですかね?」
「私も構わないわ」
そう言って、二人で笑い合っている。
だが、目がどう見たって笑ってない。
俺は、今すぐここを抜けだしたい。
そう思った。
それから、俺達は学校案内はまた今度となり、
俺の家の庭で、無詠唱魔法を教えた。
その後、母さんの提案で、一緒に夜ご飯を俺の家で食べることになった。
そこで、親父はお酒を飲んでいて、酔っていたのだろう。
唐突にとんでもない事を言ってきた。
「お前、この二人と付き合ってんのか?」
その瞬間、場の雰囲気が静まりかえった。
親父は、その後母に拳骨され何処かに連れて行かれた。
だが、場は静まり返ったままだ。
だが、タマが、違う話題を出してくれたおかげで、何とか、良くなった。
俺は、タマの明日のご飯を豪勢にしてやろうと決めるのだった。
そうして、マリーとシアは帰るそうだ。
俺は、玄関まで見送った。
「また明日」
「明日の学校で」
マリーとシアはそう言って帰った。
だが、俺は二人の言葉が何故か心に来た。
明日。それはいつまで言ってもらえるのだろうか。
もし、俺が二人に告白して振られたら、気まずくて明日なんてことは言ってもらえないだろう。
今日みたいに、魔法の練習も出来なくなるんだろうな。
そう思ってしまうのだった。
そして、この世界は、レイロードのご都合主義の世界ではない。
これから起きるとある出来事が、レイロードを挫折へと追い込むのだった。
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