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第三章 魔法学校編

第四十四話 決着

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 俺は、校長に目掛け、全速力で駆け抜ける。

 皆が応援してくれた。

 その期待にも応える為にも勝つ!

 校長に俺は、突きを繰り出す。

 だが、それが校長に当る事は無かった。

 校長は俺が飛び出すと同時に木刀を取り出した。

 「なっ!」

 俺は、驚いた声をあげてしまう。

 なんせ、校長は木刀を持っていなかった筈なのだ。

 校長は、俺の突きを横にいなし、俺を地面に叩きつけるように空から落とされる。

 やばい。

 俺は、そう思い咄嗟に、風魔法を背中に使い、地面への衝撃を弱める。

 「ガハ!」

 地面に落ちた衝撃を少し食らってしまったが、耐えられない程じゃない。

 俺は、すぐに立ち上がり、校長に向かおうとするが、もう決着は着いた。

 校長は、俺の首に木刀を向けていた。

 「降参です」

 負けてしまった。

 「試合終了です!今回は、校長が勝ちましたが、レイロード君は大健闘をしました。ここまで頑張った両者に大きな拍手を」

 俺達に、大きな拍手が送られる。

 「今度は絶対勝てるぞ!またみせてくれ!」

 「最高の試合だったよ!」

 そんな言葉が投げかけられる。

 「いやー。私勝てましたけど、案外ショックなんですよね」

 校長は何故か、勝てたのに悔しそうだ。

 「ショックなんですか?」

 「はい。本当なら、この木刀を使わずに、あの魔法で終わるつもりでしたから。あれを破られたのは初めてですよ」

 校長は、悔しそうにしながらも笑っている。

 この前向きさは、羨ましいと思う。

 俺は、いつも落ち込んでしまうからな。

 けど、今回は俺も可能性を感じたからだろうか。

 全然落ち込む事は無かった。

 「そういえば、校長は木刀を何処から出したんですか?」

 俺は、気になっている事を聞いた。

 「あー。あればですね。これですよ」

 そう言って、マントを裏返すと、背中に剣を入れる鞘があった。

 「ただの飾りだと思っている場所は、案外何か隠れているものですよ」

 校長は、笑いながら俺に言ってきた。

 「今回の勝負は、いい勉強になりました。またやりましょう」

 俺は、そう言い、手を差し出した。

 すると、校長も俺の手を握り、今回の試合が決着がついた。

 次に、その場で校長の話がある。

 ナタリアさんからマイクを貰い、話し始めた。

 「今回の勝負で皆さんも、私の意図に気付いて貰えると助かります。私が、今回、やりたかったものは、魔法には誰にでも可能性があるという事です。ここにいる、レイロード君は、別に魔法の特別な訓練を行った訳でもない、親が魔力量が多い訳でもない。ただ、努力してここまでこれたのです」

 校長は語る。

 それは、皆に知ってもらいたくて、必死になっているようにもみえる。

 「この、七歳の子でも、ここまでこれたんです。君達皆にもその可能性がある筈なんです。これから先生達、それに生徒達全員が変わり、今まで以上に、魔法を使う時の戦略、応用、無詠唱を学んでいきましょう」

 だが、ここで校長の雰囲気が変わる。

 「しかし、もし努力しても変わらない。めんどくさい。そう思っている輩がいれば、今すぐこの学校から出ていってもらって構いません」

 この言葉に、何人もの生徒が息を呑む。

 俺も、少し心に来た。

 前世の俺がそうだったからな。

 「私は、ここにいる全員で頑張って行きたい!皆さんは付いて来てくれますか?」

 「「「はい!」」」

 その言葉に、生徒が反応するだけでなく、先生をも反応していた。

 今日この瞬間から、学校が大いに変わっていくだろう。

 俺は、何故かそう確信が持てた。

 その後、俺は更衣室で、制服に着替えていた。

 その時、ドアがノックされた。

 「どうぞ」

 俺がそう言うと、マリー、それに変身魔法を解いた親父とココ、タマもいる。

 「惜しかったな」

 親父が、励ましてくれた。

 その言葉に、皆頷く。

 マリーに関しては、何か言ってくるかと思ったが、何も言うことは無さそうだ。

 「それは、いいとして、なんで親父達がいるんだ?来て良かったんだっけ?」

 確か、この学校は、そう簡単に親が入っていいわけがない。

 親父達は、そっぽを向く。

 おい。

 「いや。別に怒ってるわけじゃないんだ。どうやって来たのかなって」

 俺が、そう言うと、親父が話してくれた。

 「初めに、ココがお兄ちゃんの試合を見に行きたいっていうから、俺も行きたかったから、タマに頼んで、変身魔法をかけてもらったんだ。それで学校に侵入したのは良かったんだが、どこでやっているか分からない時に、マリーちゃんがいたから、事情を説明して、道案内してもらったんだ」

 なるほど。

 全員、グルだったわけか。

 「ごめんね。お兄ちゃん。どうしても見てみたくって」

 ココは、俺がそれを聞いて、怒ると思ったんだろう。

 「さっきも言ったけど、別に怒ってないから気にしなくていいよ。応援に来てくれてありがとな」

 「うん!」

 ココは、笑顔でそう言った所で、またしてもドアがノックされた。

 「レイロード君。入ってもよろしいですか?」

 それは、アスタナシアさんの声だった。

 「ちょっと!待ってください!」

 俺は、急いで呼び止め、タマに、大急ぎで親父達に変身魔法をかけてもらった。

 「大丈夫ですよ」

 俺のその言葉で、アスタナシアさんは入ってきた。

 「そちらの方々は?」

 アスタナシアさんは、最もな疑問を言ってくる。

 「この学校で出来た友人です」

 俺はそう答えるしかなかった。

 「そうですか。それはそうと、今回あなたと勝負をしたおかげで自分が未熟だと気づけました。ありがとうございます」

 アスタナシアさんは、そう言い、お辞儀した。

 上級生に急に頭を下げられ俺は慌てて言った。

 「いえ!こちらこそあなたと戦えたおかげで、あの技を攻略することが出来ました。こちらこそありがとうございます」

 俺は笑顔で感謝の言葉を述べた。

 今回、アスタナシアさんとの勝負がなければ、風の超級も纏えなかっただろうし。

 すると、何故か、アスタナシアさんが固まってしまった。

 どうしたんだろうか。

 すると、意識を取り戻して、顔を真っ赤にして言った。

 「これからもお互い頑張りましょうね」

 アスタナシアさんは笑顔でそう言ってきた。

 そこで、俺も固まってしまう。

 何故か、身体が熱い。

 俺は、そこで悟ってしまった。

 俺は、アスタナシアさんのその笑顔に惚れてしまった。

 そこでは、二人が互いに笑顔に一目惚れしてしまうという事件が起きた。

 その様子を、ニヤニヤしながら見つめる親父とタマの姿。

 マリーとココは面白くないような顔をしているのだった。

 
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