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第三章 魔法学校編

第三十九話 入学式

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 俺を叩いた張本人は、あの街ストラードの奴隷だった、黒髪の女の子だった。

 「久しぶりね。まさかこんな所で会えるなんてね」

 黒髪の女の子はそう言うのだが、こいつのせいで周りからとても見られている。

 こんな恥ずかしい目にあって、叩かれたからには何かやり返したい。

 「誰でしょうか?私は知りませんが」

 知らないふりをしてやった。

 その瞬間、黒髪の女の子は不敵な笑みが消え去り、顔を真っ赤にしながら、慌てて言った。

 「すいません。知り合いに似てたもんで!」

 その慌てようが面白くて、笑いが堪えきれなく、笑ってしまった。

 ......あ。やばい。

 そう思った時には、遅かった。

 黒髪の子は、顔を真っ赤にして、

 「やっぱりあんたじゃない!」

 今度は顔面をぶん殴れてしまった。

 それから、なんとか怒っている黒髪の子を宥め、改めて聞いた。

 「どうして、お前こんな所にいるんだ?」

 「強くなる為に」

 そういえば、そうだった。

 この子は、奴隷商人達にも、負けないくらい強くなりたかったんだ。

 「けど、お金高かったんじゃないか?」

 「それは、私を助けてくれた人が、払ってくれたわ。だからこの学校で強くならなきゃならないの」

 黒髪の子は、決意のこもった目で言った。

 この子も、前に進んでいるんだな。

 そう改めて思った。

 俺と黒髪の子は、一緒に教室に向かうことにした。

 向かう途中改めて自己紹介した。

 「俺の名前レイロードでレイでいいよ。お前はなんて言うの?」

 「マリーよ。ていうかあんたって何歳なの?」

 「今日で八歳になる」

 「年下じゃない!?」

 リアは驚いた顔をした。

 「そういやマリーって、何歳なんだ?」

 「十二歳よ」

 「めっちゃ年上じゃないか」

 確かに、身長はリアがちょうど百五十センチぐらいで少し俺よりも高いが、まさかそんなにも違うとはな。

 「あんたって、その強さで、まだその歳なのね」

 マリーは、こちらをじーと見ながら、しみじみ言う。

 「それよりも、教室何処か見ないとな」

 俺は、そう促し、教室の名前を見る。

 この世界でも、学校の仕組みはそんな違いはない。

 A~Eクラスまであって、その何処かのクラスにランダムに入れられるらしい。

 俺はクラスの名前を見てみると、意外と早く見つけられた。

 「レイは、何処のクラスだったの?」

 「Aクラスだったよ。そっちは?」

 「奇遇ね。私も、Aクラス」

 俺は改めて、クラスを見るとリアの名前もあった。

 「じゃあ、一緒に行くか」

 マリーは頷き、一緒にクラスに入った。

 そこには、色んな人物がいる。

 護衛を付けた、貴族の様な連中や、ギャルの様な、金髪やピンクの髪をしている奴らもいた。

 このクラスは、もしかしてハズレか?

 俺はそう思わずにはいられない。

 よくある話だ。

 問題児を、バラバラに置くのではなく、一箇所にまとめて、置いておくという処置だ。

 ならば、何故俺とリアがこのクラスなのかは疑問だが、これは俺の妄想だから、気にすることもないだろう。

 俺はそう決め、席に適当に座る。

 席は、早いもの順で座るらしい。

 俺の隣にマリーが座って、お互い雑談をしながら、先生が来るのを待った。

 先生は若い女の先生だった。

 「初めまして。皆さん。このクラスの担任のナタリアです。これからよろしくお願いします」

 担任の挨拶から、俺達は互いに自己紹介をして言った。

 それから、入学式を体育館で行う為、移動するらしい。

 俺とマリーは、皆が行った後に最後に行こうとした所で、

 「ちょっと、レイロード君には、お話があるので残ってもらっていいですか?すぐ終わるので」

 ナタリアさんはそう言った。

 「マリー。すぐ終わるから先に行ってて」

 マリーは、頷き、教室を出た。

 「それで、僕個人になんの用ですか?」

 「入学式が終わったら校長室に来てくれと、校長が仰っていました」

 「はぁ。分かりました。何の用事も無ければ、行きますので」

 俺はそう先生に言い、マリーの元に戻った。

 「ごめん。遅くなって」

 そんな遅くなっていないかもしれないが、これは一応言っておく。

 「別にそんな遅れてないでしょ。それよりも何だったの?」

 「いや。ほんとにただの雑談だったよ」

 俺達は、それから皆がいる、体育館に行った。

 そこからは、何事もなく、入学式が行われた。

 話が長い為、俺は改めて、この学校について、復習する。

 魔法学校。

 その学校は、魔法学科一つの学科の学校だ。

 六年間勉強をし、卒業を貰える。

 三年の頃には、一つの魔法について、学ぶ事も出来る。

 この学校を卒業をすると、大抵の人は、魔法に関する職業に就職出来ると言われている。

 そして、この学校にいる特別生。

 特別生は、学校側から逆に入ってくれと推薦を貰うことで、学費免除を得ることが出来る。

 そんな生徒が今丁度、壇上に三人ほどいる。

 眼鏡をかけ、きっちりとした性格っぽい人。

 何処かの護衛隊長でもやっていそうな、赤髪ポニーテールの女の人。

 そして、その中でも一際目立つ存在が、丁度マイクを持ち、挨拶を行った。

 その人は、美しい水色のロングの髪、綺麗な顔立ちをした人だった。

 「皆さん。入学おめでとうございます。これから皆さんには学校で困難や苦難が待ち構えているかもしれません。しかし、そこで挫折せず、それを乗り越える事によって、開かれる扉があると思います。それを成し遂げる人材がここには沢山いることを祈っています。特別生代表アスタナシアより」

 その瞬間、拍手が盛大に広がった。

 アスタナシアさんは、一礼し後にいる二人を連れて、去っていった。

 あの人、綺麗なだけじゃなく、強いな。

 俺はそう思い、これからの学園生活が面白くなる事を祈る。

 入学式が終わり、リアは教室に戻った所で、俺は少し用事があるとリアに伝え、校長室に向かった。

 校長室をノックすると、

 「入って下さい」

 「失礼します」

 俺は、そう言い校長室へ入った。

 そこには、エルフの青年がいた。

 やはり、あれは変身魔法だったか。

 「驚いたり、怖がったりしないんですね」

 「エルフと、冒険者をやっていたので。それに、俺はエルフの呪いを信じてませんから」

 「クックックックッ。本当に君は面白いな。これからの学校がどうなっていくのか本当に楽しみだよ」

 この人は、俺をどんな存在と思ってるんだろうか。

 「俺はそんな凄い人物じゃありませんよ」

 そんなに期待されても困るので、否定する。

 「本人がそう言うのならそういう事にしておきましょう」

 校長は、ニヤニヤしながら言ってくる。

 「今回、呼んだのはそれだけですか?」

 「少し、雑談しようと思ったのもあるんですが、今回は君に提案があって呼んだんです」

 「提案ですか?」

 「はい。それは......」

 そこに、話された内容は信じられるものではなかった。
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