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第二章 少年編

第二十三話 神再来・再確認

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 俺はまた白い空間にいた。

 俺の目の前には神イルイラがいる。

 だが少し怒っているようにも見える。

 「久しぶりだね」

 「ああ。久しぶりだな」

 俺は怒っているように見えたが気のせいかもしれない。

 「中々順調じゃないか。僕も見ていて楽しいよ。特にゴブリン戦はね」

 イルイラは何か楽しそうだ。

 「ああ。あれは本当に大冒険だった」

 「本当にね。僕はあそこで君は終わりだとも思ったんだけどね」

 「俺も最初はあそこで終わるかと思ったな」

 本当にそう思う。あれは本当にいい経験になった。

 それからもイルイラと今までの事を話し合っていた。

 しかし、急に俺が最初に感じた、怒っている気配がするように感じる。

 「けど、最近の君は全く面白くないね」

 イルイラは声のトーンを落と言った。

 「そんな事を言ってもな。俺は普通にやっていってるだけだぞ」

 その言葉にイルイラは鼻でフッと笑った。

 「あれが君の普通なのかい?それはそれで面白いな」

 そんな感じで言われると誰でも腹が立つ。

 「何が言いたいんだ?はっきり言えよ」

 「はっきりは僕の口からは言えないよ。それは自分で気づくか、仲間に教えて貰いな」

 「なんなんだよ。俺は何一つ悪いことはしてないと思うぞ」

 「最初のお喋りでもう時間がないから一つだけ言わせてくれ。君はリリア、タマ、セシリアを本当に仲間って思えているかい?」

 そう言い、俺は意識が遠のいていくのを感じる。

 その中神イルイラは誰もいない中呟いた。

 「これからも、もっと成長して僕を楽しませてくれ」

 そう願うのだった。

 俺は目が覚めると、右手に何か温かいものを感じる。

 そこにいたのはリリアだった。

 リリアは俺の右手を握り眠っていた。

 タマは俺の左腕に頭を乗せ眠っていた。

 何が起きているか現状把握をしようと思ったら、セシリアさんが近づいてきた。

 「起きたのか。体は大丈夫か?」

 「はい。大丈夫です。あの、あのフラウスと戦っている時、怒鳴ったりしてすいませんでした」

 セシリアさんは微笑み、

 「ああ。あの事か。気にするな。決闘に水を差そうとした私も悪い」

 俺はその微笑みに一瞬心を奪われかけた。

 俺は正気を何とか取り戻し、

 「まだ、森の中にいるんですか?森を出ていける範囲だと思ったんですが」

 「ああ。それはお前の治療の為と、リリアがきちんと先生が起きてから行くというのでな。まだ、森にいることにしたんだ」

 「ああ。そうだったんですね。すいません。なんか迷惑をかけてしまって」

 俺の言葉に少しセシリアさんの顔が変わった気がする。

 セシリアさんは真剣な顔になった。

 「なあ。レイ。お前にとって私達は本当にパーティであり、仲間か?」

 俺はその言葉に衝撃を受けた。

 イルイラと同じことを言ったのだ。

 「...当たり前じゃないですか。ここにいる皆は仲間に決まってるじゃないですか」

 「なら何で迷惑をかけて謝ったりするんだ。仲間は迷惑を掛け合いながらもそれでも助け合っていくんじゃないのか?」

 俺はその言葉に何も言い返せなかった。

 しかし、セシリアさんの言葉は続く。

 「それにタキシムとの戦いもだ。お前が最強を目指しているのはリリアから聞いた。けど、あそこは皆で戦うのが普通なはずだ。皆で戦えば今頃もうこの森は抜けていたはずだぞ」

 俺は何も言えなかった。

 何も反論が思い浮かばない。

 セシリアさんは俺達の事を思って言ってくれている。

 だからこそ俺の心が痛む。間違いなく今回は俺の自分勝手の結果だ。

 強くなりたいからしょうがないのかもしれない。

けどそれは俺の都合だ。それに皆に迷惑をかけてしまった。

それに俺はリリアに分かってもらえるから甘えていたのかもしれない。

 「......本当にすいませんでした」

 俺は心から謝った。

 俺の気持ちが伝わったのか、セシリアさんは微笑み、

 「お前は自分一人で何とかしようとしすぎなんだ。今、私達は仲間なんだ。頼ってくれ」

 そう言い、俺の頭を撫でる。

 俺は今もう精神年齢は大人だ。これは恥ずかしい。

 振りほどこうとするが体が思ったように動かない。

 けど、涙が出てくる。何故だろう。分からない。けど涙が止まらない。

 それからセシリアさんは俺が泣き止むまでずっと撫でてくれた。

 俺は泣き止み、

 「......何かすいません。みっともない所見せてしまって」

 「言葉が違うだろ」

 セシリアさんは笑顔で言ってくれる。

 「ありがとうございます」

 俺も笑顔でそう言った。

 それからセシリアさんと雑談していたらリリアも起きた。

 リリアは俺に近づき、

 「大丈夫?体は」

 心配して言ってくれる。

 俺が自分勝手な行動をしたのに怒るわけでもなく優しくしてくれる。

 「大丈夫だ。あと心配かけて悪かった」

 俺はそう言うと、リリアは微笑み、

 「今度は皆で戦うわよ」

 そう言ってくれた。

 もしかしたら、リリアは起きて聞いていたのかもしれない。

 まぁ。いいだろう。

 俺はこの仲間だけは大切にしようと思う。

 もし、俺の仲間に危険が及ぶなら、俺はなんだってやる。

 たとえ、人殺しでも。

 何故か、イルイラが俺を見て、気づけて良かったね。と呟いている気がした。

 それから、タマが目を覚まし、俺に注意して、肉球パンチをしたこともあった。

 全員目が覚めたことによって改めて、これからの方針を再確認した。

 「明日この森を出て、街に着くのが理想です。もし街につかない場合は、野宿をし明後日には街につきましょう」

 俺の言葉に皆頷いた。

 これからレイロードの旅が改めて始まる。
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