7 / 17
7話 朝が怖い
しおりを挟む
ナナオは、そう言って俺のペニスを誘うように握ってきた。俺はナナオに身体を洗ってもらったことで、勃起していたらしい。
「いいの?」
「うん……幸彦くん……いつでもいいよ」
ナナオは、そう言って俺の上にまたがってきた。俺の泡と、ナナオの泡で、滑りそうになるが、それが逆にぬるぬるして気持ちよかった。
「んんっ……あっ……っ」
ナナオの穴は、ぬるぬるになっていた。俺のペニスを挿れると、風呂に入っているような安心感であたたかく包み込んでくれた。
「んっ……あっ……あっ」
「挿れただけでそんな可愛い顔しちゃうんだ、ほんとにエッチな身体だね」
「……え、ぼ、僕っ……むひょうじょ……で、っ」
「見てみなよ」
俺は、ナナオの顎を持ち上げて自分は首を傾げるように横にずれて、正面の鏡を見るように促した。
「えっ……っ」
ナナオは、自分の顔を鏡で見て呆然としている様子だった。
「ナナオ、この顔のどこが無表情なんだ?」
「……うそ」
ナナオは、信じられないというように大きく目を見開くと俺の背中に隠れるように顔を背けた。
「ナナオ、どうした?」
「ずっと……」
「うん」
背中をさすってやると、またナナオはぴくんと身体を震わせた。
「ずっと、無表情で、可愛げがないってっ……言われてきたから」
「それって、前の……?」
「うんっ……前の、ご主人様に……」
俺は、ナナオから「ご主人様」という言葉を聞いてもやっとした。ナナオには、前のご主人がいて、俺が初めてじゃない……。
「あっ……やっ、ゆ、幸彦くんっ……」
「こんなに可愛いナナオを、前の“ご主人様”はどうやって可愛がってたの?」
俺は、ナナオを思いきり突き上げた。恥ずかしそうに身体を逸らそうとするナナオの腰をがっちり掴んで逃げられないようにする。
「ナナオ、答えて」
「あっ……んっ……まえ……のっ、んっ」
「うん」
何度も何度も、俺は嫉妬できるような身分じゃないのに、ナナオを運よく拾っただけなのに、こんなに可愛いナナオを、俺が初めてじゃないことが悔しかった。
「ま、まえの……、ごしゅじんさまっ、はっ……ぼくっ……つかえないからっ……すぐっ……せっくす……されずに、すてられた……よ……っ」
「え?」
「はあっ……んっ、僕のこと、こうして抱いてくれたのは……っ、幸彦くんが、はじめて、だよっ……ぼくっ、欠陥品で勃たないしっ……」
「俺が初めて?」
「んっ……んんっ……うんっ……♡」
俺は、それを聞いて可愛すぎて頭を掴んでキスをした。柔らかい唇。夢みたいに気持ちよくて、俺は風呂でまた果ててしまった。
「……はあっ……はあっ……」
「……ゆきひこくっ……あっ……あっ……中で、びくびく……っしてる……、も、でそう?なの?」
「……うん、いい?またイって……」
「うんっ……おねがい……ゆきひこくんっ……ちょうだい、っ……ぼくのっ、中にいっぱい……っ、ゆきひこくんのっ、せーしっ……ちょうだいっ……!」
また可愛すぎるナナオのおねだりで、俺は射精してしまった。ナナオの中に。俺は誰かに射精することなんて、今後の人生で一度もないと思っていた。俺の精子を愛おしそうに自分の柔らかそうなお腹をさすりながら受け入れていくナナオを見て、愛おしさが溢れた。
願わくば、こうやって一生ナナオと繋がっていたい。ナナオとセックスして生活していきたい。ぐったりした俺の身体をナナオが優しく抱き留めてくれた。
「やすむ?」
「休もうか、ナナオ。布団行こう、一緒に」
「うん……」
俺は、快感と多幸感を身体いっぱいにめぐらせながら、ナナオと一緒に布団に入った。いつも布団に入る時は、鬱々とした気持ちになる。
部屋がそもそも汚いのだ。片づける気力が起きない。キッチンは掃除するのが面倒くさくて調理しなくてもいいものを食べることにしたが、生活する場所に関しては、脱ぎっぱなしの服や、下着、ペットボトルなどが薄暗い部屋に乱雑に散らばっていた。布団と座椅子にはかろうじて足の踏み場はあるが、そんな場所で6月の蒸し暑い中眠るのは悪夢を毎日見るのに十分だった。
ああ、起きたらもう二度と目覚めなければいいのにって。死にたくはない、死ぬのは怖い、何度もやってみたけれど、自分の命を絶つ、ということはできなかった。普段の生活の中で、コンビニのバイトをしていても、全然関係のないお客さんが笑っているのを見て、俺のことを見て笑っているんじゃないか、たまたま俺のことをじっと見つめている男子高校生を、「俺のことをゲイだと心を読んでいるんじゃないか」とか。
俺はそんなことをずっと考えながら、全てに恐れながら生活している。布団に入ると、ふと足元に何かがいるんじゃないかという気持ちになるし、こんな毎日が続くくらいなら死んだ方がマシだと思うし、夢には何度も俺がゲイだと笑われ、不登校になる前の日のことが、当たり前のように現れる。
映画のシアタールームで自分の恥部をその映画館にいる人全員で視聴し、笑い、あざけり、馬鹿にしているような気持ちになり、そんな地獄をたっぷり味わった後目を覚ますのだ。死ぬのは怖いが、死にたい。でもできないから、せめて朝この布団の中で目覚めなければいいのにと願う。でも、そんな願いは朝日と共に叶わないと知り、憂鬱と頭痛に悩まされながら身体を起こす。
ああ、また朝が来たと。
「……あれ」
目を覚ますと、すっかり暗くなっていた。カーテンが空いている。
「よ、夜……あ、え?嘘、やばい!何時だ!?」
「いいの?」
「うん……幸彦くん……いつでもいいよ」
ナナオは、そう言って俺の上にまたがってきた。俺の泡と、ナナオの泡で、滑りそうになるが、それが逆にぬるぬるして気持ちよかった。
「んんっ……あっ……っ」
ナナオの穴は、ぬるぬるになっていた。俺のペニスを挿れると、風呂に入っているような安心感であたたかく包み込んでくれた。
「んっ……あっ……あっ」
「挿れただけでそんな可愛い顔しちゃうんだ、ほんとにエッチな身体だね」
「……え、ぼ、僕っ……むひょうじょ……で、っ」
「見てみなよ」
俺は、ナナオの顎を持ち上げて自分は首を傾げるように横にずれて、正面の鏡を見るように促した。
「えっ……っ」
ナナオは、自分の顔を鏡で見て呆然としている様子だった。
「ナナオ、この顔のどこが無表情なんだ?」
「……うそ」
ナナオは、信じられないというように大きく目を見開くと俺の背中に隠れるように顔を背けた。
「ナナオ、どうした?」
「ずっと……」
「うん」
背中をさすってやると、またナナオはぴくんと身体を震わせた。
「ずっと、無表情で、可愛げがないってっ……言われてきたから」
「それって、前の……?」
「うんっ……前の、ご主人様に……」
俺は、ナナオから「ご主人様」という言葉を聞いてもやっとした。ナナオには、前のご主人がいて、俺が初めてじゃない……。
「あっ……やっ、ゆ、幸彦くんっ……」
「こんなに可愛いナナオを、前の“ご主人様”はどうやって可愛がってたの?」
俺は、ナナオを思いきり突き上げた。恥ずかしそうに身体を逸らそうとするナナオの腰をがっちり掴んで逃げられないようにする。
「ナナオ、答えて」
「あっ……んっ……まえ……のっ、んっ」
「うん」
何度も何度も、俺は嫉妬できるような身分じゃないのに、ナナオを運よく拾っただけなのに、こんなに可愛いナナオを、俺が初めてじゃないことが悔しかった。
「ま、まえの……、ごしゅじんさまっ、はっ……ぼくっ……つかえないからっ……すぐっ……せっくす……されずに、すてられた……よ……っ」
「え?」
「はあっ……んっ、僕のこと、こうして抱いてくれたのは……っ、幸彦くんが、はじめて、だよっ……ぼくっ、欠陥品で勃たないしっ……」
「俺が初めて?」
「んっ……んんっ……うんっ……♡」
俺は、それを聞いて可愛すぎて頭を掴んでキスをした。柔らかい唇。夢みたいに気持ちよくて、俺は風呂でまた果ててしまった。
「……はあっ……はあっ……」
「……ゆきひこくっ……あっ……あっ……中で、びくびく……っしてる……、も、でそう?なの?」
「……うん、いい?またイって……」
「うんっ……おねがい……ゆきひこくんっ……ちょうだい、っ……ぼくのっ、中にいっぱい……っ、ゆきひこくんのっ、せーしっ……ちょうだいっ……!」
また可愛すぎるナナオのおねだりで、俺は射精してしまった。ナナオの中に。俺は誰かに射精することなんて、今後の人生で一度もないと思っていた。俺の精子を愛おしそうに自分の柔らかそうなお腹をさすりながら受け入れていくナナオを見て、愛おしさが溢れた。
願わくば、こうやって一生ナナオと繋がっていたい。ナナオとセックスして生活していきたい。ぐったりした俺の身体をナナオが優しく抱き留めてくれた。
「やすむ?」
「休もうか、ナナオ。布団行こう、一緒に」
「うん……」
俺は、快感と多幸感を身体いっぱいにめぐらせながら、ナナオと一緒に布団に入った。いつも布団に入る時は、鬱々とした気持ちになる。
部屋がそもそも汚いのだ。片づける気力が起きない。キッチンは掃除するのが面倒くさくて調理しなくてもいいものを食べることにしたが、生活する場所に関しては、脱ぎっぱなしの服や、下着、ペットボトルなどが薄暗い部屋に乱雑に散らばっていた。布団と座椅子にはかろうじて足の踏み場はあるが、そんな場所で6月の蒸し暑い中眠るのは悪夢を毎日見るのに十分だった。
ああ、起きたらもう二度と目覚めなければいいのにって。死にたくはない、死ぬのは怖い、何度もやってみたけれど、自分の命を絶つ、ということはできなかった。普段の生活の中で、コンビニのバイトをしていても、全然関係のないお客さんが笑っているのを見て、俺のことを見て笑っているんじゃないか、たまたま俺のことをじっと見つめている男子高校生を、「俺のことをゲイだと心を読んでいるんじゃないか」とか。
俺はそんなことをずっと考えながら、全てに恐れながら生活している。布団に入ると、ふと足元に何かがいるんじゃないかという気持ちになるし、こんな毎日が続くくらいなら死んだ方がマシだと思うし、夢には何度も俺がゲイだと笑われ、不登校になる前の日のことが、当たり前のように現れる。
映画のシアタールームで自分の恥部をその映画館にいる人全員で視聴し、笑い、あざけり、馬鹿にしているような気持ちになり、そんな地獄をたっぷり味わった後目を覚ますのだ。死ぬのは怖いが、死にたい。でもできないから、せめて朝この布団の中で目覚めなければいいのにと願う。でも、そんな願いは朝日と共に叶わないと知り、憂鬱と頭痛に悩まされながら身体を起こす。
ああ、また朝が来たと。
「……あれ」
目を覚ますと、すっかり暗くなっていた。カーテンが空いている。
「よ、夜……あ、え?嘘、やばい!何時だ!?」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。
ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。
秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。
戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。
●八架 深都(はちか みと)
20歳、大学2年生
好奇心旺盛な性格
●秋木 晴士(あきぎ せいじ)
26歳、小説家
重度の不眠症らしいが……?
※性的描写が含まれます
完結いたしました!
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
邪神の因子を持つホムンクルスを作ったら盲目的に愛されてしまった
ミクリ21 (新)
BL
邪神ロウフィナシスが勇者達に倒され、邪神の右腕であり恋人だったバトラも瀕死だった。
しかし、バトラにだけは生きてほしいと願った邪神は、最後の力でバトラに不老不死という呪いをかける。
バトラは、邪神を復活させるために何年も何年も研究を続け、邪神の因子を組み込んだホムンクルスを作った。
本物の邪神とは言えない紛い物のホムンクルスのフィナ。
フィナはバトラをマスターと慕い、バトラを盲目的に愛している。
学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる