ゲイドールを拾った

ガイア

文字の大きさ
上 下
4 / 17

4話 僕の燃料、精子なんです

しおりを挟む
俺は思わずどんと浴槽に背をぶつけた。

「わっ、痛っ、え?セックス!?」

 よく考えてみたら、ゲイドールだ。男性とのセックスのために作られた……のはわかっている、わかっているけれど。

「そんな、今?なんで?」
「僕の燃料、精子なんです」

 ナナオは、ゆっくりと俺と向かいあうように座りなおすと俺の上にまたがろうとしてきた。

「ま、ベッドで、せめてベッドで、俺、童貞だし……」

 思わず恥ずかしくなって顔が熱くなる。身体も沸騰したように熱いのは、風呂に入っているせいだけではない。
男性器がさっきから痛いくらい勃起しているのは、バレまいとしているがとっくにバレていたらしい。俺は、ゲイドールのナナオに、勃起している。今まで高校の時の初恋の相手にしか勃起しなかった。それなのに、翔太そっくりなナナオを見て、俺の男性器は反応してしまっている。俯くと、俺のおでこにナナオはキスをした。あまりの衝撃に顔をあげると、ナナオは悲し気な顔で微笑んでいるような気がした。

「僕も、童貞です」

 彼をタオルで優しく拭いていると、ナナオが俺のペニスに手を伸ばしてきた。

「え?ナナオ!?なにして……っ」

 そして、そのままナナオは、俺の性器に顔をうずめるようにしてフェラチオし始めたのだった。

「ちょっ……待って、ナナオっ……っ」
「んっ……んふっ……じゅるっ……んっ」

 俺のペニスを、驚く程綺麗な顔をしたナナオが、高級なアイスキャンデーを舐めるように、丁寧に丁寧に舐めている。

「んっ……待って、ナナオっ……そんな舐め方されたら……っ」
「れろっ……はあっ……れろっ……っん……」

 ナナオは、長いまつ毛をゆっくりとあげて上目遣いで俺を見つめた。

「ナナオっ……」
「ひもひいいれすか……?」

 ナナオは、本当に綺麗な顔立ちをしていて、あの時俺が翔太で妄想していた光景が、現実になっていた。ナナオは、今度は俺の睾丸を優しく手で揉みしだきながら、俺のを深く喉まで咥えた。

「それっ……ナナオ、ほんと、だめだって……っ、気持ちよすぎるって……っ、ナナオっ……」

 ナナオは、俺のペニスを喉奥まで咥えて堪能するように上下に首を動かした。柔らかい舌が俺の男性器を蹂躙するように動き、ナナオの口の中は、ぬるぬるとしていて。そして一番興奮するのは、ナナオの顔だ。たまに上目遣いで、俺がどこが気持ちいいのか探ってくる。

「んっ、ナナオ……これ以上はほんとに……っ、出るから」
「んっ……ちゅっ……んんっ……じゅる……っ」

 俺が、ペニスからナナオの顔を離そうとしたが、ナナオは余計に俺のを深くくわえ込んだ。まるで、喉奥に出してくださいとでも言わんばかりに、更に早く首を動かしている。

「待って、出る……っ、ほんとに……出るから、ナナオっ……!」

 ナナオは、そのまま俺の腰をぐいっと自分の方へと引き寄せがっちりとガードすると、俺を動けない状態にして、またあの可愛い顔での上目遣いをした。俺は、その時のナナオの顔が、翔太と重なって、頭が真っ白になった。

「はあっ……はあっ……あっ……」
「んっ……んんっ……ごくっ……」

 ナナオは、俺の精子を口いっぱいに含んで美味しそうに飲み干した。こぼさないように手を顎で皿にしながら。

「はあっ……ありがとう、ございました」

 ナナオは、ぺろりと唇を小さな舌で舐め、俺に無表情で頭を下げた。2人共全裸で、脱衣所で、今何が起きたのか、冷静になるまで出し切って空っぽの頭で考えるのに時間を要した。

「ご主人様」

 ナナオは、ぐったりとしている俺のペニスをまたじっと見つめていた。しかも、ご主人様だ、俺はナナオにご主人様と呼ばれるような人間ではないのに。

「幸彦……くんって、呼んでくれないか?」
 俺は、気持ちよすぎて視界がぼやけていた。幸福感で身体が全身で喜んでいるのを感じた。ふにゃふにゃの声で、そういった俺に、ナナオは無表情のまま頷いた。

「幸彦くん……」
「うん、ナナオ」

 じわりと俺の胸にナイフが刺さったように罪悪感が広がった。幸彦くんって、呼ばれるたびに、きっとその傷口は開いていくのだろう。

「まだ少し、精子がついていますね」
「えっ?待っ、ちょっと……待って、ナナオ!くっ……っ」

 待ってと言っているのに、ナナオは急に元気になったように、俺の男性器に柔らかい舌を這わせた。愛しい人にキスをするように、丁寧に、優しく俺のを舐めて、キスをすると、またナナオは俺を見上げた。

「僕の準備もできています、今度はこっちに幸彦くんのおちんちん、挿れてください」

 僕の準備も、とナナオは言ったが、俺は出したばかりなのにまたナナオに舐められて勃起していた。オナニーしている時は、一回イくのが限界なのに、俺はナナオに残った精子を舐められただけでまたがちがちに勃起してしまっていた。

俺は脱衣所でささっと身体と頭を拭いてナナオをお姫様のように抱きかかえると、ベッドへと運んだ。ナナオは、おんぶした時も思ったが人間であると納得できる程ちゃんと重く、人間の皮膚のような柔らかい身体をしていた。
俺の煎餅布団に、ナナオを優しく寝かせると、ナナオは、足を自らゆっくり開いた。

「どうぞ、お願いします」

 俺のペニスからは、肉食獣がよだれを垂らしているような我慢汁が出ていた。

「わ、わかんないんだけど、もう挿れていいの?」
「はい、僕は自分で穴を濡らすことができる機能がついているので」

 ナナオのアナルに目が釘付けになる、ナナオは自分で穴を広げるように白い足を開いてこっちを見つめている。

「穴に指をいれてみますか?」

「さっきまでぐったりしていたのに、なんで急に……」

 俺の理性がぎりぎりのところで留まっている。いきなり今日出会った彼とセックスしていいのだろうか。童貞だというのは本当だろうか。

「身体を洗ってもらって、一緒に湯船に入った時、勃起したあなたのちんぽがお尻にあたって……」
「あ、え?ごめん」
「いえ、それで」

 ナナオは、無表情だ。俺に出会ってからもずっと表情は人形のように変わっていなかった。でも、今言い淀んでいるナナオは、俺の煎餅布団で両足を広げ、俺のをとろとろの穴で迎え入れようとしているナナオは、枕をきゅっと握りしめていた。

「泣いているのか?ナナオ」
「……僕には、泣く機能はついていないはず、ですが」

「なんだか、そういう風に見えたんだ」

 ナナオは、俺のを股の下から手を伸ばして優しく掴んだ。

「ご……幸彦くんの勃起ちんぽが僕のお尻にあたったのを感じた時、僕にもまだ存在価値があったんだと、嬉しくなったのです」
「……え?」

 そういえば、先ほどから一つ気になっていることがあった。俺のは、バキバキに勃起しているが、ナナオのはしゅんと萎んでいる。オナホドールだからなのかと思っていたが、さっき童貞と言っていたことに関係しているのだろうか。

「僕は、不良品のゲイドール。表情がない上に、勃つことができない……そのせいで、廃棄されました」
「……っ待て、ナナオ」

 ナナオは、俺のを自分のとろとろの穴の中へと誘うようにこすりつけた。

「青空を眺めながら、私はこのまま鉄くずになるのだと自分の人生を受け入れていたところでした」
「ナナオ、待って……っまだ、心の準備が」

「はあっ……でも、幸彦くんっ、あなたが僕を拾ってくれた、僕を使ってくれた…生まれて初めて必要とされた……っ」

 ぐちゅっ、ぐちゅっ、と俺のを自分のをオナニーするように自分の穴にこすりつけながら、ナナオは顔を真っ赤にしながら微笑んだ。

「来て……幸彦くん」

 無表情じゃなかった、俺は、その顔を見て一瞬で理性が吹き飛んだ。ナナオの膣内に、俺の熱いちんぽをずぷりと押し込んだ。

「んんっ……あ、っ、はあっ……」
「エロ……なんで、そんな表情(カオ)するの?」
「……っえ?ぼ、ぼくっ……?」

 俺は、顔を真っ赤にして驚いているナナオの柔らかい頬を撫でた。愛鳥を撫でるように柔らかい髪を撫でると、ナナオはぴくんと反応する。ナナオは、さっきまで確かに無表情だった。でも、こうやって俺のペニスを挿れたり、さっきみたいに俺のペニスを舐めている時は、何故かエロい表情をしている。

「もしかして……」

 俺は、さっき俺のをフェラしていたナナオの表情を思い出して一つのことが頭に浮かんだ。

「ナナオ、お前エロすぎるだろ……」
「……んっ、え、へ?」

「セックスやエロいことをする時だけ、つまり気持ちいい時だけ、表情を見せてくれるんだよ、今だってほら」
 泣きそうな顔で、俺のちんぽを受け入れちょっと動くだけで「んっ」と小さな喘ぎ声をもらすナナオを俺は抱きしめるようにホールドした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

春風の香

梅川 ノン
BL
 名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。  母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。  そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。  雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。  自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。  雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。  3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。  オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。    番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。 ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。 秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。 戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。 ●八架 深都(はちか みと) 20歳、大学2年生 好奇心旺盛な性格 ●秋木 晴士(あきぎ せいじ) 26歳、小説家 重度の不眠症らしいが……? ※性的描写が含まれます 完結いたしました!

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...