不死身探偵不ニ三士郎

ガイア

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「し、失礼しみゃ、します!」

 あ、ノック忘れた!と入ってきてからノックをしているのは、近藤と一緒に幽霊を見たらしい立川だった。

 立川は、近藤の話を聞く限り幽霊騒動の時はずっと気絶していたらしいし、あまり参考になりそうにないなと思いながらも、一応全員の意見は聞かないといけないと、雪知は質問した。

「立川さんに伺いたいのは、最近この旅館で噂されている幽霊のお話と、8年前に行方不明になった柊さんについてですが……」

「えっと、す、すみません……近藤さんから話を聞いているかもしれませんが、私、気絶していまして」

「はい、伺いました、でもその時のことについて覚えていることを少しでもいいので教えていただきたくてですね」

 立川は、そわそわおどおどしながら、膝で拳を握りしめてみたり、指を絡めてみたりと緊張しているのかせわしなかった。

「あ、えっと、すみません……えっと、西館の階段から降りてきて、近藤さんが声をあげたんで見てみたら真っ暗の中、黒くて長い髪をホラー映画の女の幽霊みたいに前に垂れ流しながら、私たちと同じ制服を着ている女の幽霊がいたんです」
「はい、それで」

 せわしなく身振り手振りで説明してくれるが、全然怖くなかった。近藤と言っていることは一致している。雪知は続けるように促した。

「それから目の前が真っ暗になって……すみません、何も覚えていないんです」
「近藤さんが、立川さんを介抱したと仰っていましたが」
「ああ……休憩室で目覚めたので休憩室で寝かせてくれたんですね」

 思い出すように暗い表情で目を伏せた立川に、不二三はすっと目を細めた。

「休憩室は、えっと」
「お部屋を上がるとき利用された階段から右側が、壁とエレベーター、それから荷物用エレベーターになっておりまして、その正面がベンチや自販機が並ぶ休憩室になっております」

「成る程、階段の近くにある休憩所で休んでいたと」
「はい、それから目を覚まして……帰りました」

「一人で、ですか?」

 え?という顔をした立川は、目を伏せて笑顔で答えた。

「いえ、近藤さんと、勿論!」
「成る程、ありがとうございました」

 立川が出ていった後、雪知と不二三は密かに顔を見合わせた。その後すぐにノックが3つ、「どうぞ」と雪知が答え、レストラン支配人、谷口が現れた。
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