14 / 29
同居人の誘拐犯の様子が何故かおかしい
しおりを挟む
・・・・・あれ、あたし、寝てたの?
ソファから起き上がって部屋を見回すと、部屋がかなり綺麗になっていた。
「どういう風の吹き回しよ。これは」
「別に」
ポケットに手を突っ込んで足で雑巾をかけているハーネスに話しかけると、ハーネスはあたしに背中を向けたままぶっきらぼうに答えた。
「あれ、そういえば、あたし」
あたしは、今日のことが走馬灯のように襲い掛かってきた。
「あれ・・・あたしどうやって帰ってきたの?」
「さあ」
ハーネスは、つっけんどんに答えた。
「ハーネスはどうやって帰ってきたの?」
「てきとーに」
「ハーネス、どうしてそんなに不愛想なのよ」
「べつに」
ハーネスは、バケツをわざわざ壁際に持ってきて、あたしに背を向けて雑巾を絞っている。
なに!?なんなのよ!?言いたいことあるなら言いなさいよ!っていつもなら怒鳴っているところだけど、今はそんな元気がない。
「どうしたのハーネス、どうしてそんな感じなのよ」
「いつもこうだろ」
・・・そもそもどうしてハーネスが不機嫌なの?ねえ、どうしてなのよ。
普通ここはあたしがハーネスに対して不機嫌ならわかるわよ。
でも、なんでここでハーネスが不機嫌なのよ。
「ハーネス、あたしハーネスになにかした!?」
「・・・・・・・・・・」
無視だった。とうとう無視だった。
なんなのこの男は。どうしてこの男はいつもこうなわけ?
どうしてあたしがハーネスに気を使って話をしないといけないわけ?
『だあれ、あなた。あなたみたいな汚い子供は知らないわ。アリス?どうしてその名前を知っているの?』
『あたしがアリス本人だからよ!お母さま!』
『おい、なんだこの子供は。2人に近寄るな』
『いや!お母さま!』
『ちょっと、あんまり乱暴しないで』
おかあさ・・・・。
『人の目があるじゃない』
「・・・っぐっ・・・ぐすっ・・・どうしてあんたまであたしに冷たくすんのよぉ・・・」
「・・・・・・・」
あたしはとうとう耐えられなくなって涙があふれてきた。
この生活を初めてから辛いことばっかり。
・・・いいえ、そうでもないわね。前の生活でも辛いことは多かったわ。
泣き顔を見られたくなくてあたしは俯いた。
前方に気配を感じ、前を見るとハーネスが立っていた。
顔を見上げると、苦虫を踏み潰したような顔をしているハーネスがあたしを見下ろしていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪かった」
「え?」
ハーネスは、あたしの頭にぽんと手を置いて押しつぶすように力をかけてくる。
「な、なにすんのよハーネス!!」
「・・・・・・・・・」
ハーネスは、気まずそうにくるりとあたしに背を向けてバケツを片付け始めた。
あたしは、ソファから飛ぶように降りて、丸まったハーネスの背中をぱしっと叩いた。
「なんだよ・・・謝っただろ」
ハーネスは、すねた口調でそういった。
「雑巾絞った手であたしの頭に触らないでくれる!?」
「そうか!!!!悪かったな!!!!!!!!」
「それにそもそも掃除を足でやるってどういうことよ!」
あたしが床を指さしていうと、ハーネスはいつものように怒鳴った。
「肩が痛いんだわ!仕方ないだろ!」
猫ババから借りたものを全部ひとりで持とうとするハーネスから強引にほうきやはたき類を奪うと、あたしはハーネスと喧嘩しながら猫ババのところに掃除道具を返しにいった。
ソファから起き上がって部屋を見回すと、部屋がかなり綺麗になっていた。
「どういう風の吹き回しよ。これは」
「別に」
ポケットに手を突っ込んで足で雑巾をかけているハーネスに話しかけると、ハーネスはあたしに背中を向けたままぶっきらぼうに答えた。
「あれ、そういえば、あたし」
あたしは、今日のことが走馬灯のように襲い掛かってきた。
「あれ・・・あたしどうやって帰ってきたの?」
「さあ」
ハーネスは、つっけんどんに答えた。
「ハーネスはどうやって帰ってきたの?」
「てきとーに」
「ハーネス、どうしてそんなに不愛想なのよ」
「べつに」
ハーネスは、バケツをわざわざ壁際に持ってきて、あたしに背を向けて雑巾を絞っている。
なに!?なんなのよ!?言いたいことあるなら言いなさいよ!っていつもなら怒鳴っているところだけど、今はそんな元気がない。
「どうしたのハーネス、どうしてそんな感じなのよ」
「いつもこうだろ」
・・・そもそもどうしてハーネスが不機嫌なの?ねえ、どうしてなのよ。
普通ここはあたしがハーネスに対して不機嫌ならわかるわよ。
でも、なんでここでハーネスが不機嫌なのよ。
「ハーネス、あたしハーネスになにかした!?」
「・・・・・・・・・・」
無視だった。とうとう無視だった。
なんなのこの男は。どうしてこの男はいつもこうなわけ?
どうしてあたしがハーネスに気を使って話をしないといけないわけ?
『だあれ、あなた。あなたみたいな汚い子供は知らないわ。アリス?どうしてその名前を知っているの?』
『あたしがアリス本人だからよ!お母さま!』
『おい、なんだこの子供は。2人に近寄るな』
『いや!お母さま!』
『ちょっと、あんまり乱暴しないで』
おかあさ・・・・。
『人の目があるじゃない』
「・・・っぐっ・・・ぐすっ・・・どうしてあんたまであたしに冷たくすんのよぉ・・・」
「・・・・・・・」
あたしはとうとう耐えられなくなって涙があふれてきた。
この生活を初めてから辛いことばっかり。
・・・いいえ、そうでもないわね。前の生活でも辛いことは多かったわ。
泣き顔を見られたくなくてあたしは俯いた。
前方に気配を感じ、前を見るとハーネスが立っていた。
顔を見上げると、苦虫を踏み潰したような顔をしているハーネスがあたしを見下ろしていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪かった」
「え?」
ハーネスは、あたしの頭にぽんと手を置いて押しつぶすように力をかけてくる。
「な、なにすんのよハーネス!!」
「・・・・・・・・・」
ハーネスは、気まずそうにくるりとあたしに背を向けてバケツを片付け始めた。
あたしは、ソファから飛ぶように降りて、丸まったハーネスの背中をぱしっと叩いた。
「なんだよ・・・謝っただろ」
ハーネスは、すねた口調でそういった。
「雑巾絞った手であたしの頭に触らないでくれる!?」
「そうか!!!!悪かったな!!!!!!!!」
「それにそもそも掃除を足でやるってどういうことよ!」
あたしが床を指さしていうと、ハーネスはいつものように怒鳴った。
「肩が痛いんだわ!仕方ないだろ!」
猫ババから借りたものを全部ひとりで持とうとするハーネスから強引にほうきやはたき類を奪うと、あたしはハーネスと喧嘩しながら猫ババのところに掃除道具を返しにいった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
あなたが望んだ、ただそれだけ
cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。
国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。
カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。
王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。
失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。
公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。
逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。
心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。
金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。
前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう?
私の願い通り滅びたのだろうか?
前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。
緩い世界観の緩いお話しです。
ご都合主義です。
*タイトル変更しました。すみません。
不妊を理由に離縁されて、うっかり妊娠して幸せになる話
七辻ゆゆ
恋愛
「妊娠できない」ではなく「妊娠しづらい」と診断されたのですが、王太子である夫にとってその違いは意味がなかったようです。
離縁されてのんびりしたり、お菓子づくりに協力したりしていたのですが、年下の彼とどうしてこんなことに!?
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる