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社会勉強という名の仕返し

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「猫ババから食料をもらったが、いつかこれも尽きるんだろうな」

「あんたが働いてこればいいだけでしょ」

オレに相変わらず憎たらしい口を叩いてくるお嬢は、朝からオレを叩き起こし、部屋を掃除し始めた。
勿論掃除道具なんてモノはうちにはない。
あの猫ババに借りてきたのだ。

窓の上を、椅子に乗って木の棒にぴらぴらした布をつけた掃除道具でパタパタしながら、お嬢はオレを振り返らず、

「ねえ、どうしてハーネスは働かないの?」

実に嫌なコトを聞いてきた。
そういうことは、思っていても言わないのがマナーというものだろう。

「・・・真面目に働くのがキライだからだ」

べと舌を出すと、お嬢は眉間にしわを寄せた。

「はあ、大人のくせに、恥ずかしいと思わないの?」

「ガキが大人を語るな。そうだ、今日はお前に働くことの大変さを教えてやろう!」

お嬢はオレの言葉に更に眉間にしわを寄せて、呟いた。

「嫌な予感しかしないわ」

とりあえず掃除を一旦ストップさせて、オレはお嬢のお腹に縄を縛り付けた。

「ちょっと、今度はあたしに何をさせるつもりなのよ!」

「社会勉強だ」

騒ぐお嬢に、オレは冷静に答えた。
そして、縄をお腹に結わえ付けると、犬の散歩のように、怪我していない方の手で縄を掴んだ。

「あたしをどうするつもりなのよ!」

「とりあえず、外に行こう。話はそれからだ。心配するな、お前を売ったりする気はない」

オレは、猫ババからもらったバケツを片手に、お嬢とまた町に出た。

「そんなものどうするのよ」

「社会勉強に使うんだ」
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