4 / 29
バケツと寝てる誘拐犯
しおりを挟む
「・・・?」
私は、高く汚い窓から指すこむ朝日で目を覚ました。
「いた・・・」
背中が痛かった。
ボロソファに寝かせられていたらしい。最悪の目覚めね。
額が少し重かったので額に手を当てたら、少し濡れた布が乗っかっていた。
「なによこの汚い布は」
今まで生きてきた中で一番の目覚めだわ。
「そういえばあたし・・・」
誘拐されたんだったわ!!
そして、ここは誘拐犯の家。ボロ家、汚いボロ家!!
体の上に乗っかっているボロ布をはがして起き上がる。
ったく、アイツはどこに。
いた。ソファの下、汚い床に座ってソファにもたれかかって寝ている男。
コイツ、コイツよ。めちゃくちゃなヤツ。あたしを誘拐して、夜の町に売り払おうとしたサイテーな男。
隣には銀色のバケツ。何でコイツ水の入ったバケツと一緒に寝てるわけ?
「何でコイツ、床で寝てるの?っていうか、あれ?私昨日帰ってきてからどうしたんだっけ」
頭を押さえてゆっくり思い出そうとする。
「確か・・・あたし、昨日は疲れて、帰ってきて床でそのまま寝ちゃって」
『おい、おい、大丈夫か』
あれ・・・何。コイツ、何でそんなに必死に私に呼び掛けて・・・。
あたし、そういえば昨日は、確か帰ってきたら急に意識がなくなって。少しずつ思い出してきた。
「んあー」
「ひっ!」
あくびをして大きくのびをする男は、おしりをさすりながらゆっくりこっちを見た。
「あっ、起きたか?」
男は、朝日を浴びながらあたしに眠そうに笑いかけた。
「熱はもう下がったのか」
「熱?」
「覚えてないのか、あのなあ、お前昨日帰ってきて早々倒れたんだぞ。オレがどれだけ苦労したと思っているんだよ」
男は、眉をひそめて私の顔を覗き込んだ。
「あんた、あたしを看病してくれたっていうの?」
「ああ、当たり前だろ」
男は、ゆっくり立ち上がった。
「全く、心配かけさせるなよな」
男は、そういって立ち上がった。
「そう・・・、ね、ねえ」
「あ?」
振り返った男に、あたしは精一杯の笑顔で微笑んだ。
「あなた、名前は?」
「オレ?オレは、ハーネスだけど、いきなりなんだよ」
「そう、私はアリス。アリス・フォーデンイド」
私は、精一杯の笑顔で微笑んだ。
「ハーネス」
「あんだよ、礼はいらないぞ」
「礼なんていうわけないでしょ?バカなの?誰のせいでこんなことになってると思ってんのよ、ねえ、何でそんな上からなわけ?あたしを看病したのだって私を売るためでしょうが!!」
『おい、おい、大丈夫か』
あれ・・・何。コイツ、何でそんなに必死にあたしに呼び掛けて・・・。
あたし、そういえば昨日は、確か帰ってきたら急に意識がなくなって。少しずつ思い出してきた。
『おい、おい、大丈夫か、なんてこった、大事な商品だってのに』
朦朧とした意識の中、コイツはバタバタと部屋をうるさく走り回り、あたしを看病していたっけ。
あたしは商品だから。
「そうだが」
さらりと答えたハーネスに、あたしは歯をぎりぎり噛み締めて睨みつけた。
「さあ、元気になったなら今日も町へ出るぞ」
ハーネスは、病み上がりのあたしに笑顔で縄を持ってきた。
「いやよ!!もう売りに行かれるのは嫌!!他の人を誘拐してきて売ればいいでしょ!お金が欲しいならあたしじゃなくてもいいじゃない!!」
「お前、他の人を誘拐してこいなんてよく言えるな、性格悪すぎだろ」
ハーネスは、誘拐犯のくせにドン引きしていた。
「誘拐するのだって大変なんだからな、お前みたいな上玉はまたどこで見つかるかもわからないし、お金も準備もかかるんだ。簡単に誘拐してこいなんて言うな!!」
何であたしが怒られてんのよ!!
「我儘言うな、大人しく来い」
「いーーーやーーーーー」
あたしは、ハーネスから逃れるために部屋をじたばた走り周り、泣きわめいていたけど、ここでふと気が付いた。
出入り口には、外には出られないように無駄にこの家にそぐわない立派なダイヤル式南京錠がかかっていてここからは出られない。
そうだわ。あたしは、自分の立場を利用してハーネスから逃げる方法を思いついた。
「?どうした、いきなり立ち止まって」
「行きましょう、外に」
「情緒不安定か、お前は」
私は、高く汚い窓から指すこむ朝日で目を覚ました。
「いた・・・」
背中が痛かった。
ボロソファに寝かせられていたらしい。最悪の目覚めね。
額が少し重かったので額に手を当てたら、少し濡れた布が乗っかっていた。
「なによこの汚い布は」
今まで生きてきた中で一番の目覚めだわ。
「そういえばあたし・・・」
誘拐されたんだったわ!!
そして、ここは誘拐犯の家。ボロ家、汚いボロ家!!
体の上に乗っかっているボロ布をはがして起き上がる。
ったく、アイツはどこに。
いた。ソファの下、汚い床に座ってソファにもたれかかって寝ている男。
コイツ、コイツよ。めちゃくちゃなヤツ。あたしを誘拐して、夜の町に売り払おうとしたサイテーな男。
隣には銀色のバケツ。何でコイツ水の入ったバケツと一緒に寝てるわけ?
「何でコイツ、床で寝てるの?っていうか、あれ?私昨日帰ってきてからどうしたんだっけ」
頭を押さえてゆっくり思い出そうとする。
「確か・・・あたし、昨日は疲れて、帰ってきて床でそのまま寝ちゃって」
『おい、おい、大丈夫か』
あれ・・・何。コイツ、何でそんなに必死に私に呼び掛けて・・・。
あたし、そういえば昨日は、確か帰ってきたら急に意識がなくなって。少しずつ思い出してきた。
「んあー」
「ひっ!」
あくびをして大きくのびをする男は、おしりをさすりながらゆっくりこっちを見た。
「あっ、起きたか?」
男は、朝日を浴びながらあたしに眠そうに笑いかけた。
「熱はもう下がったのか」
「熱?」
「覚えてないのか、あのなあ、お前昨日帰ってきて早々倒れたんだぞ。オレがどれだけ苦労したと思っているんだよ」
男は、眉をひそめて私の顔を覗き込んだ。
「あんた、あたしを看病してくれたっていうの?」
「ああ、当たり前だろ」
男は、ゆっくり立ち上がった。
「全く、心配かけさせるなよな」
男は、そういって立ち上がった。
「そう・・・、ね、ねえ」
「あ?」
振り返った男に、あたしは精一杯の笑顔で微笑んだ。
「あなた、名前は?」
「オレ?オレは、ハーネスだけど、いきなりなんだよ」
「そう、私はアリス。アリス・フォーデンイド」
私は、精一杯の笑顔で微笑んだ。
「ハーネス」
「あんだよ、礼はいらないぞ」
「礼なんていうわけないでしょ?バカなの?誰のせいでこんなことになってると思ってんのよ、ねえ、何でそんな上からなわけ?あたしを看病したのだって私を売るためでしょうが!!」
『おい、おい、大丈夫か』
あれ・・・何。コイツ、何でそんなに必死にあたしに呼び掛けて・・・。
あたし、そういえば昨日は、確か帰ってきたら急に意識がなくなって。少しずつ思い出してきた。
『おい、おい、大丈夫か、なんてこった、大事な商品だってのに』
朦朧とした意識の中、コイツはバタバタと部屋をうるさく走り回り、あたしを看病していたっけ。
あたしは商品だから。
「そうだが」
さらりと答えたハーネスに、あたしは歯をぎりぎり噛み締めて睨みつけた。
「さあ、元気になったなら今日も町へ出るぞ」
ハーネスは、病み上がりのあたしに笑顔で縄を持ってきた。
「いやよ!!もう売りに行かれるのは嫌!!他の人を誘拐してきて売ればいいでしょ!お金が欲しいならあたしじゃなくてもいいじゃない!!」
「お前、他の人を誘拐してこいなんてよく言えるな、性格悪すぎだろ」
ハーネスは、誘拐犯のくせにドン引きしていた。
「誘拐するのだって大変なんだからな、お前みたいな上玉はまたどこで見つかるかもわからないし、お金も準備もかかるんだ。簡単に誘拐してこいなんて言うな!!」
何であたしが怒られてんのよ!!
「我儘言うな、大人しく来い」
「いーーーやーーーーー」
あたしは、ハーネスから逃れるために部屋をじたばた走り周り、泣きわめいていたけど、ここでふと気が付いた。
出入り口には、外には出られないように無駄にこの家にそぐわない立派なダイヤル式南京錠がかかっていてここからは出られない。
そうだわ。あたしは、自分の立場を利用してハーネスから逃げる方法を思いついた。
「?どうした、いきなり立ち止まって」
「行きましょう、外に」
「情緒不安定か、お前は」
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。
しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。
だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。
○○sideあり
全20話
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる