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先輩と話してもらいます
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「でも私は、橘先輩にはっきりこういう事はやめてっていうべきだと思いますよ」
理沙は、真剣に八木杉に言った。
「難しいかもですが、その、こういう事を我慢していたら、きっと八木杉さんがおかしくなってしまいます。仕事を増やされたら、できるだけサポートします」
「ありがとう...オレが悪いのはそうなんだけど、でも周りの人に心配かけちゃうからね。今日出勤時に先輩と話してみるよ」
飲み会は終わった。
これでとりあえずは、一件落着って事ね。
八木杉は、ちゃんと明日、いや明日っていうか今日橘先輩に伝えられるのかしら。
...もう深夜2時30だもの。
***
「橘先輩、ちょっといいですか」
八木杉は、休憩時間中橘先輩と一緒に出て行った。
八木杉は、休憩時間中の仕事を早く終わらせていたようね。そもそも何で休憩時間中に仕事してんのよ私達。
本当に今更だけど。
私は心配になって様子を見に行こうと席を立った。
「野暮ですよ」
総司が私を見ずに止めた。
「なんでよ」
「八木杉さんが自分でなんとかするでしょう」
「...」
八木杉はなかなか戻ってこなかった。
橘先輩のとりまき二人が様子を見に行った。
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
総司もなかなか帰ってこない八木杉を心配していたようではぁとため息をついた。
とりまきにこっそりついていくと、勢いよく走ってくる女にぶつかった。
「わっ」
「きゃっ」
ぶつかった人は、八木杉に告白した橘先輩その人だった。
橘先輩は、泣いていた。
「なんで泣いてる...んですか」
「あんたね、溝沼灰子って子は」
ズカズカと私に近づいて橘先輩は私の顔を覗き込んだ。
「え...えぇ」
「どうしてあんたみたいな人に...」
「なんだかよくわかりませんけど、八木杉に泣かされたの」
「先輩にタメ口きくの!?」
火に油を注いでしまったようで、私は責められる視線をじっと注がれた。
「泣かされたわよ。私のこういうところが嫌なんだって」
「こういうところ?」
「ちょっと来て」
私は手を引かれて近くの女子トイレに引っ張り込まれた。
「な、なによ」
「泣き顔見られたくないのよ」
「別に誰も見ないんじゃない...ですか?」
「あんた、そんなんだから先輩の評判悪いのよ。ナメた態度が顔に出てるって。もー、シャドウ落ちちゃうじゃない。はぁ...なんで私があんな年下に泣かされないといけないのよ」
カチンときたわ。
なんで振られた腹いせに嫌がらせするような女にそんな事言われないといけないのよ。
「泣かされるような事したんじゃないの」
ムッとして言い返すと、橘先輩もカーッとした顔をして私を睨みつけた。
「なによその態度!本当に今時の新人ってゆとり世代っていうか!年下のくせに生意気よね」
「年下?あんたこそ、年上のくせに振られた男に嫌がらせするなんて小さいんじゃないの?」
「なんですって!」
「なによ、間違った事言ってないでしょうが」
「はぁー、なんで八木杉君はこんなのがいいのよ」
「何か言った?」
「なんでもないわよ...」
橘先輩は、タバコ吸いたい...と一言漏らしてトイレの洗面台を綺麗な爪でかつかつたたいた。
「顔は結構綺麗なんだから性格をなんとかしたほうがいいわよ」
正直に言うと、橘先輩は目を釣り上げた。
「余計なお世話よ!」
「じゃあ、私はもう行くわ」
私がトイレから立ち去ろうとした時、
「待ちなさいよ」
橘先輩が私を呼び止めた。
理沙は、真剣に八木杉に言った。
「難しいかもですが、その、こういう事を我慢していたら、きっと八木杉さんがおかしくなってしまいます。仕事を増やされたら、できるだけサポートします」
「ありがとう...オレが悪いのはそうなんだけど、でも周りの人に心配かけちゃうからね。今日出勤時に先輩と話してみるよ」
飲み会は終わった。
これでとりあえずは、一件落着って事ね。
八木杉は、ちゃんと明日、いや明日っていうか今日橘先輩に伝えられるのかしら。
...もう深夜2時30だもの。
***
「橘先輩、ちょっといいですか」
八木杉は、休憩時間中橘先輩と一緒に出て行った。
八木杉は、休憩時間中の仕事を早く終わらせていたようね。そもそも何で休憩時間中に仕事してんのよ私達。
本当に今更だけど。
私は心配になって様子を見に行こうと席を立った。
「野暮ですよ」
総司が私を見ずに止めた。
「なんでよ」
「八木杉さんが自分でなんとかするでしょう」
「...」
八木杉はなかなか戻ってこなかった。
橘先輩のとりまき二人が様子を見に行った。
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
総司もなかなか帰ってこない八木杉を心配していたようではぁとため息をついた。
とりまきにこっそりついていくと、勢いよく走ってくる女にぶつかった。
「わっ」
「きゃっ」
ぶつかった人は、八木杉に告白した橘先輩その人だった。
橘先輩は、泣いていた。
「なんで泣いてる...んですか」
「あんたね、溝沼灰子って子は」
ズカズカと私に近づいて橘先輩は私の顔を覗き込んだ。
「え...えぇ」
「どうしてあんたみたいな人に...」
「なんだかよくわかりませんけど、八木杉に泣かされたの」
「先輩にタメ口きくの!?」
火に油を注いでしまったようで、私は責められる視線をじっと注がれた。
「泣かされたわよ。私のこういうところが嫌なんだって」
「こういうところ?」
「ちょっと来て」
私は手を引かれて近くの女子トイレに引っ張り込まれた。
「な、なによ」
「泣き顔見られたくないのよ」
「別に誰も見ないんじゃない...ですか?」
「あんた、そんなんだから先輩の評判悪いのよ。ナメた態度が顔に出てるって。もー、シャドウ落ちちゃうじゃない。はぁ...なんで私があんな年下に泣かされないといけないのよ」
カチンときたわ。
なんで振られた腹いせに嫌がらせするような女にそんな事言われないといけないのよ。
「泣かされるような事したんじゃないの」
ムッとして言い返すと、橘先輩もカーッとした顔をして私を睨みつけた。
「なによその態度!本当に今時の新人ってゆとり世代っていうか!年下のくせに生意気よね」
「年下?あんたこそ、年上のくせに振られた男に嫌がらせするなんて小さいんじゃないの?」
「なんですって!」
「なによ、間違った事言ってないでしょうが」
「はぁー、なんで八木杉君はこんなのがいいのよ」
「何か言った?」
「なんでもないわよ...」
橘先輩は、タバコ吸いたい...と一言漏らしてトイレの洗面台を綺麗な爪でかつかつたたいた。
「顔は結構綺麗なんだから性格をなんとかしたほうがいいわよ」
正直に言うと、橘先輩は目を釣り上げた。
「余計なお世話よ!」
「じゃあ、私はもう行くわ」
私がトイレから立ち去ろうとした時、
「待ちなさいよ」
橘先輩が私を呼び止めた。
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