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「オレ、その、橘先輩に告白されたんだよ。でも、断ったんだ」
「あの、美人な橘先輩にですか」
理沙は、驚いて目を見開いた。
「う、うん...オレには勿体ないくらいの事なんだろうけど、オレは橘先輩の気持ちには応えられないよ。付き合うとか、恋愛とか、もう中途半端な気持ちでしたくないんだ」
「もうって、どういう事ですか」
「オレさ、今まで結構モテたんだよ。多分人の顔色をうかがって生きてきたからだと思うけど。中学の時初めて告白された時、断ったら相手を傷つけてしまうと思ってOKしたんだ。他の人に告白されても彼女がいるからって断ってた。しばらくそうやってきたんだけど、でもなんだか彼女に申し訳なくなって、高校卒業する時に別れたんだ」
「そんなに、長く一緒に付き合っていたのに好きじゃなかったんですか?好きにならなかったんですか?」
理沙の声は少し冷たかった。
「うん。申し訳ない気持ちはあったけど。どうやって彼女を傷つけずに別れを切り出そうかって思っていたら月日が経ってた。大学でお互い離れたのを機に別れたんだ」
「それから、恋愛はしないように決めた。告白されても遠くに彼女がいるからって嘘をついて断るようにしてるんだ。そうしたら、彼女がいるなら仕方ないって諦めてくれるから」
「橘先輩は、それでも諦めてくれなかったわけね」
彼女がいるって言ってるのに諦めないなんて...相当しぶといみたいね。
「あ、いや」
「何よ」
「今回は、気になる人がいるからって断ったんだ」
「なんで嘘を変えたのよ」
「え...あ、いや...その」
八木杉は、私を困ったように見て眉を八の字にした。
「それで、橘先輩が最後に気になる人を教えてくれたら諦めるって言うから、言ったんだ。そしたら、「そんな女より私の方が劣っているって言うの!?」って」
「あんたの好きな女、橘先輩にそんな女って言われるくらいの女なの」
理沙と総司がジトーッと私を見ていた。
「わかったわよ。八木杉の好きな人を馬鹿にするようなこと言って悪かったわよ」
「オレは素敵な人だと思う」
八木杉が私の顔を見て真剣な顔で言った。
「わかったわよ、だから悪かったって」
「オレ、ずっと人に気を使って生きてきたから素直に自分の思った事をこんな風に言ったの初めてなんだよ。それに、気になる人ができたのも初めてなんだ。前だったら彼女がいるって嘘をついてなんとかしてたと思う。本当の気持ちなんて全く入ってない言葉を伝えてなんとかしてた。でも、今回は自分の本当の気持ちを言った。言えた。でも、そのせいで橘先輩を傷つけた。嫌がらせされても仕方ないと思ってるよ」
八木杉は俯いた。
「いや、どう考えても橘先輩が悪いですよ。でもそれなら、その女の方を橘先輩は攻撃してくるんじゃないですか」
総司が腕を組んで私を見た。
なんで私を見るのよ。
「実は隠れたところで何かされているのかもしれない。でも、今の所は何かされてる様子はなくて安心してるよ。なんでオレは名前を言ってしまったんだろうって後悔してる。彼女が何かされたら守るよ」
なんで八木杉も私を見るのよ。
そんなに好きな人を馬鹿にされたのを根に持ってるってわけ?
「でもオレ、橘先輩に気になる人をそんな女って言われたのに怒ったオレがつい「彼女より劣ってますね」って言っちゃったんだ」
「成る程..それで怒った橘先輩が八木杉さんを攻撃してるんですかね」
「多分そうだと思う...オレは何されてもいいけど、彼女に何かあったら不安で」
「八木杉さん、私もできる限り近くで守ります」
「何かされたとしてもその人ならけろっとしてるか怒ってなんか喋ってきそうですよ。きっと抱え込むことはないでしょう」
「ちょっと、なんで皆八木杉の気になる人がわかってるのよ」
八木杉が俯いて二人は私を見て笑った。
「ちょっと、なんで笑うのよ」
「あの、美人な橘先輩にですか」
理沙は、驚いて目を見開いた。
「う、うん...オレには勿体ないくらいの事なんだろうけど、オレは橘先輩の気持ちには応えられないよ。付き合うとか、恋愛とか、もう中途半端な気持ちでしたくないんだ」
「もうって、どういう事ですか」
「オレさ、今まで結構モテたんだよ。多分人の顔色をうかがって生きてきたからだと思うけど。中学の時初めて告白された時、断ったら相手を傷つけてしまうと思ってOKしたんだ。他の人に告白されても彼女がいるからって断ってた。しばらくそうやってきたんだけど、でもなんだか彼女に申し訳なくなって、高校卒業する時に別れたんだ」
「そんなに、長く一緒に付き合っていたのに好きじゃなかったんですか?好きにならなかったんですか?」
理沙の声は少し冷たかった。
「うん。申し訳ない気持ちはあったけど。どうやって彼女を傷つけずに別れを切り出そうかって思っていたら月日が経ってた。大学でお互い離れたのを機に別れたんだ」
「それから、恋愛はしないように決めた。告白されても遠くに彼女がいるからって嘘をついて断るようにしてるんだ。そうしたら、彼女がいるなら仕方ないって諦めてくれるから」
「橘先輩は、それでも諦めてくれなかったわけね」
彼女がいるって言ってるのに諦めないなんて...相当しぶといみたいね。
「あ、いや」
「何よ」
「今回は、気になる人がいるからって断ったんだ」
「なんで嘘を変えたのよ」
「え...あ、いや...その」
八木杉は、私を困ったように見て眉を八の字にした。
「それで、橘先輩が最後に気になる人を教えてくれたら諦めるって言うから、言ったんだ。そしたら、「そんな女より私の方が劣っているって言うの!?」って」
「あんたの好きな女、橘先輩にそんな女って言われるくらいの女なの」
理沙と総司がジトーッと私を見ていた。
「わかったわよ。八木杉の好きな人を馬鹿にするようなこと言って悪かったわよ」
「オレは素敵な人だと思う」
八木杉が私の顔を見て真剣な顔で言った。
「わかったわよ、だから悪かったって」
「オレ、ずっと人に気を使って生きてきたから素直に自分の思った事をこんな風に言ったの初めてなんだよ。それに、気になる人ができたのも初めてなんだ。前だったら彼女がいるって嘘をついてなんとかしてたと思う。本当の気持ちなんて全く入ってない言葉を伝えてなんとかしてた。でも、今回は自分の本当の気持ちを言った。言えた。でも、そのせいで橘先輩を傷つけた。嫌がらせされても仕方ないと思ってるよ」
八木杉は俯いた。
「いや、どう考えても橘先輩が悪いですよ。でもそれなら、その女の方を橘先輩は攻撃してくるんじゃないですか」
総司が腕を組んで私を見た。
なんで私を見るのよ。
「実は隠れたところで何かされているのかもしれない。でも、今の所は何かされてる様子はなくて安心してるよ。なんでオレは名前を言ってしまったんだろうって後悔してる。彼女が何かされたら守るよ」
なんで八木杉も私を見るのよ。
そんなに好きな人を馬鹿にされたのを根に持ってるってわけ?
「でもオレ、橘先輩に気になる人をそんな女って言われたのに怒ったオレがつい「彼女より劣ってますね」って言っちゃったんだ」
「成る程..それで怒った橘先輩が八木杉さんを攻撃してるんですかね」
「多分そうだと思う...オレは何されてもいいけど、彼女に何かあったら不安で」
「八木杉さん、私もできる限り近くで守ります」
「何かされたとしてもその人ならけろっとしてるか怒ってなんか喋ってきそうですよ。きっと抱え込むことはないでしょう」
「ちょっと、なんで皆八木杉の気になる人がわかってるのよ」
八木杉が俯いて二人は私を見て笑った。
「ちょっと、なんで笑うのよ」
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