39 / 48
迷子を探しています
しおりを挟む
私は理沙と違って泳げるのよ!
海にじゃぶじゃぶやってきてあたりを見回すけれど、子供も多いし大人も多いし厄介ね。
男の子がどんな顔かもわからないし、そもそもどうやって探せっていうのよ。
海に入って呆然としていると、沖で心配そうにこっちを見ている男の子のお母さんが視界に入った。
「仕方ないわね...」
分かったわよ、ちゃんと探すわよ。
一人で遊んでいる男の子とか、お母さん探してる男の子とか探してみるわよ。
頭をガシガシとかいてあたりをキョロキョロ。
海の中にいる女達は、相変わらず八木杉や総司を見てきゃあきゃあ言ってるわ。
八木杉はともかく総司は毒舌悪魔よ。
まぁあの見た目じゃ、アイツが毒舌悪魔ってことはわかんないわよね。
そうだ、あの二人にサーフィン?しながら男の子を探すのに協力してもらえばいいんだわ。
私は、二人の元へとじゃぶじゃぶ泳いで向かった。
丁度陸に降りていた二人に駆け寄って、迷子を探していることを告げると、
「そりゃあ大変だ!オレも探すのに協力するよ!」
八木杉は思った通り乗り気だった。
「特徴が少なすぎる。しかも、今海にいるかもしれないんでしょう?この広い海で探せますかね」
総司は冷静に思った事を言った。
腕を組みながら海を見つめて眉をひそめている総司はきっと難しいと考えているのだわ。同感よ。
「でもやるって言っちゃったんだもの」
「できないことをやるっていうのは会社だけにしてください。会社はできないことでもやれって言いますけどね」
「いいわよ。私一人で探すわ。二人はもし見つけたら私に教えて」
「どうやって教えるか、とか考えてないんでしょうね。じゃあ、スタッフに言って放送とかかけてもらいますよ」
「お願い!」
「ところで、松下さんはどうしたんです?」
「え?」
あ、忘れてたわ!!
「ジュースを買いに行くから待っててって言われてたんだったわ!」
「あんたが迷子じゃないですか」
呆れ顔の総司に、背を向けて走り出した。
「ちょっと理沙に話をつけてくるわ!」
「いいよね、溝沼さん」
八木杉は、総司に微笑んだ。
「え...暑さで頭やられちゃいましたか?...あっ」
「あははっ、溝沼さん限定の毒舌が出ちゃってるよ」
「すいません」
「いいよいいよ。迷子、できるだけ探すのに協力してあげたいな」
***
「そうだわ、海に潜りながら理沙の方に向かえば探せるし一石二鳥じゃないの!」
陸には子供は少ない。スイカを割ったり砂のお城を作ったり女の子の方が多い。
男の子は泳ぎに行ってるからだろう。
海に入ると、なんだか変な視線が私に向けられている気がする。
「あの子、さっきあのサーファーイケメンと話してた」
「大したことないじゃん」
「どういう関係?友達?」
聞こえてるわよ。
何くだらない事言ってんのよ。バカじゃないの。
私は人から避けて少し海の深い方へじゃぶじゃぶ進んだ。
「きゃあああ!!」
冷めた視線で女達を見ていく中、突然叫び声が上がった。
「見て!だれか溺れてるわ!」
指をさした方を見ると少し遠くの方に人影がバタバタしているのが見える。
ありゃ助からないわね。でも、私が今一番あそこに近い所にいるわ。
人混みを避けて深い所に進んだおかげで。いや、進んでしまったせいで。
どくんと心臓が跳ねた。
あれ、何。
もしあの人影が、私の探している子供だったら?
いやいや、あるわけないじゃない。
もしこのまま戻って一日子供が見つからなくて、あの人影が探していた子供だったら、後味が悪いったらありゃしないじゃないの!
私ははぁとため息をついて人影に向かって泳ぎ始めた。
海にじゃぶじゃぶやってきてあたりを見回すけれど、子供も多いし大人も多いし厄介ね。
男の子がどんな顔かもわからないし、そもそもどうやって探せっていうのよ。
海に入って呆然としていると、沖で心配そうにこっちを見ている男の子のお母さんが視界に入った。
「仕方ないわね...」
分かったわよ、ちゃんと探すわよ。
一人で遊んでいる男の子とか、お母さん探してる男の子とか探してみるわよ。
頭をガシガシとかいてあたりをキョロキョロ。
海の中にいる女達は、相変わらず八木杉や総司を見てきゃあきゃあ言ってるわ。
八木杉はともかく総司は毒舌悪魔よ。
まぁあの見た目じゃ、アイツが毒舌悪魔ってことはわかんないわよね。
そうだ、あの二人にサーフィン?しながら男の子を探すのに協力してもらえばいいんだわ。
私は、二人の元へとじゃぶじゃぶ泳いで向かった。
丁度陸に降りていた二人に駆け寄って、迷子を探していることを告げると、
「そりゃあ大変だ!オレも探すのに協力するよ!」
八木杉は思った通り乗り気だった。
「特徴が少なすぎる。しかも、今海にいるかもしれないんでしょう?この広い海で探せますかね」
総司は冷静に思った事を言った。
腕を組みながら海を見つめて眉をひそめている総司はきっと難しいと考えているのだわ。同感よ。
「でもやるって言っちゃったんだもの」
「できないことをやるっていうのは会社だけにしてください。会社はできないことでもやれって言いますけどね」
「いいわよ。私一人で探すわ。二人はもし見つけたら私に教えて」
「どうやって教えるか、とか考えてないんでしょうね。じゃあ、スタッフに言って放送とかかけてもらいますよ」
「お願い!」
「ところで、松下さんはどうしたんです?」
「え?」
あ、忘れてたわ!!
「ジュースを買いに行くから待っててって言われてたんだったわ!」
「あんたが迷子じゃないですか」
呆れ顔の総司に、背を向けて走り出した。
「ちょっと理沙に話をつけてくるわ!」
「いいよね、溝沼さん」
八木杉は、総司に微笑んだ。
「え...暑さで頭やられちゃいましたか?...あっ」
「あははっ、溝沼さん限定の毒舌が出ちゃってるよ」
「すいません」
「いいよいいよ。迷子、できるだけ探すのに協力してあげたいな」
***
「そうだわ、海に潜りながら理沙の方に向かえば探せるし一石二鳥じゃないの!」
陸には子供は少ない。スイカを割ったり砂のお城を作ったり女の子の方が多い。
男の子は泳ぎに行ってるからだろう。
海に入ると、なんだか変な視線が私に向けられている気がする。
「あの子、さっきあのサーファーイケメンと話してた」
「大したことないじゃん」
「どういう関係?友達?」
聞こえてるわよ。
何くだらない事言ってんのよ。バカじゃないの。
私は人から避けて少し海の深い方へじゃぶじゃぶ進んだ。
「きゃあああ!!」
冷めた視線で女達を見ていく中、突然叫び声が上がった。
「見て!だれか溺れてるわ!」
指をさした方を見ると少し遠くの方に人影がバタバタしているのが見える。
ありゃ助からないわね。でも、私が今一番あそこに近い所にいるわ。
人混みを避けて深い所に進んだおかげで。いや、進んでしまったせいで。
どくんと心臓が跳ねた。
あれ、何。
もしあの人影が、私の探している子供だったら?
いやいや、あるわけないじゃない。
もしこのまま戻って一日子供が見つからなくて、あの人影が探していた子供だったら、後味が悪いったらありゃしないじゃないの!
私ははぁとため息をついて人影に向かって泳ぎ始めた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる