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海に行ってもらいます

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「海ってこんなに広いのね」

サングラスをした八木杉が、レンタカーという赤い車を借りてきてくれてそれに乗って私を含め四人は海へ。
相澤も誘ったんだけど、仕事の休みが取れなかったみたい。最初から仕事の都合上なんとなく相澤は来れないんじゃないかとは思っていたけれどね。

目の前の壮大な青い海を見て私は息を飲んだ。

「これが海なのね...」

「灰子ちゃん海知らないの?」

「あぁ、この人田舎者なので海知らないんですよ」

「なんかよくわからないけど馬鹿にしてるでしょ」

ムキー!と怒って総司を追いかける砂浜。
とても広くてサラサラしていて綺麗だわ。
向こうの世界にいたら、こんな景色見られなかったわね。

「日焼け止めを塗らないと焼けちゃうよ」

私は理沙に更衣室に引っ張り込まれた。

「こんなところに来れるとは思わなかったよ」

「まぁね。八月の休みが2日もあってよかったわ...」

仕事を頑張ったご褒美として、今日は沢山遊ぶわよー!
理沙に借りた黒い水着を着て早く外に出たくてワクワクしていた。
少し、ほんの少し胸がぶかぶかだったのでパッドを入れたわ。
理沙は白いワンピースタイプの水着を着て外に出たがる私を引き止めた。

「日焼け止め、ちゃんと塗って」

「わ、わかったわよ」

理沙は心配性だわ。
ブーブー言いながら日焼け止めを塗って外に出た。
海に入るの夢だったのよね!日曜だったから若い人たちや、親子連れも多かった。

いつも会社の中で缶詰だからこう開放感のあるところに行くとなんだか清々しい気持ちになるわね!
理沙は、大きな穴の空いた丸輪を抱えていた。

「理沙、何よそれ」

「浮き輪だよ」

少し恥ずかしそうな理沙に首を傾げた。

「私、泳げないの」

「そうなの?」

海を見るとよく子供達がバシャバシャ海を泳いでいる。その中でポツポツと理沙の持っている浮き輪をお腹に巻いてぷかぷか浮いている子供もいる。

「あれ、八木杉さん達じゃない?」

理沙が指差した方を見ると、八木杉と総司が肌の黒い知らない女二人組に声をかけられていた。

「何やってんのよ。誰よその人達」

声をかけると、女達は顔を見合わせて背を向けて行ってしまった。

「彼女もちなの」
「嘘、こんなにイケメンなのに」

「ありがとう溝沼さん」

八木杉に何故かお礼を言われた。

「なんでお礼を言われないといけないのよ声かけただけよ」

「オレと総司君でちょっとサーフィンに行ってくるよ」

「サーフィン?」

八木杉が指差す方を見ると、板に乗って人が波に乗っていた。

「何よあれ危ないじゃない」

「大丈夫だよ。オレは慣れてる」

「総司なんてサーフィンしたことないでしょ大丈夫なの」

「俺器用なんで」

確かにこいつなら一回見ただけでできそうね。

「あっそ。せいぜい気をつけなさい」

「溝沼さんも、他人に迷惑かけないように海で遊んでくださいね」

総司は私に背を向けて物凄く失礼なことを吐き捨てて言ってしまった。

「どーいう意味よ!!」

隣では理沙が「最高...最高...」と呟いていた。

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