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本当の事を言ってもらいます

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「彼女は否定も抵抗もしなかった。つまり合意の上だった!」

「そうなの松下」

「えっ...」

「いや、違うでしょ普通に」

総司の呟きは怒りで耳に入ってこなかった。

「あっ....いや」

松下は、言葉を濁して俯いた。

「そうだよなぁ?松下くん。君は何しても嫌がったりしなかったし、毎回ちゃんと僕について倉庫にきたじゃないか!合意の上だったんだよ。松下くんも僕とこういうことをするのを楽しんでいたんだよ」

「えっ...」

「ねぇ、松下くん」

「あっ...あの...私は」

「ねぇ、わかってるよね。松下くん」

貝川は、急に険しい顔で松下を見た。

「わたし...は」

「松下」

私は、松下を見た。

「嫌なら嫌。合意の上なら合意の上って自分の口から言いなさいよ。あんたはトイレ掃除で自分の事を話した時、断れなくてって言っていたわ。今回のことはどうなのよ。断れなくてやってたんだとしたら、あんたは嫌だったって事よ」

「松下くん、言ってやってくれよ。そうだ、それに溝沼、お前...僕はお前の上司だぞ。思いっきり殴りやがって...クビにしてやる!」

「何よクビって」

「仕事を辞めさせてやるって言ってるんだ!」

「そんな...だめです!」

松下が、私と貝川の前に立った。

「私には、何をしても構いません。私、我慢しますから。何でもしますから。私は何してもいいですから。溝沼さんには何もしないでください!やめさせないでください!」

「松下くん、君は誰に向かってそんな口を聞いているんだね」

「辞めさせるとか云々の前に、貝川さんはここにいられないかもしれないですね」

ニコニコしながらいつのまにか総司がスマートフォンを操作していた。

「...お前...まさか!」

総司が大音量で流したものは、

『つまり同意の上だった!』

『僕に従わないならクビにしてやる!』

『仕事を辞めさせてやるっていっているんだ!』

顔を隠した半裸の松下と貝川が交互に出てくる悪質に編集された貝川の動画だった。

「おい!何だその動画は!!」

「失礼しまーす」

「おい!待て!」

総司を追いかけて貝川は倉庫を出て行った。

松下は、へたりと床に膝をついた。

「ありがとうございます...溝沼さんまさか、来てくれるなんて思っていませんでした」

「あんた、あんなあからさまにアピールしてきといて何言ってんのよ」

「いえ...少しだけ、ほんの少しだけ。期待して、私は、溝沼さんに助けを求めてしまいました」

松下は、両手を床についてぼろぼろと泣き出した。

「まんまと乗せられて来てやったわよ」

「...人間には二種類いるんです。使われる側と使う側。私は断然使われる側で、昔からそうやって生きてしました。何かをやるように言われたら従い、使う側の人達を楽しませる為に生きてきました。私は人間以下の道具なんですよ。私の存在価値なんて、ないにも等しくて、貝川さんにも、使われてたんです」

「御託はいいから、本当の事いいなさいよ」

私は腕を組んで松下を見下ろした。
松下は、大きく目を見開いて口を開いた。
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