上 下
23 / 45
限界サラリーマンのおじさんは女装した銀髪の歳下に❤︎される

3

しおりを挟む
 もくもくと残業をこなしていた俺は、ふと疑問に思ったことを口にした。

「なあ、さっきの話だけどさ」
「さっきの?」
「俺に彼女がいるって話」
「ああ、それですか」
「どんな子なの?」

 なぜお前が認知していないのか、というふうな顔を向けられたが、そこはスルーして話を続ける。

「えっとですね……肩ぐらいまで伸びた黒髪に膝丈ぐらいのスカートに、ああ、あとは白シャツでした」

 カタカタと手を動かしていたが、俺はピタリと動きを止めてしまった。
 まさか、と思ったが、そんなはずがないと思い直す。俺なんかのために冬街はここまでしない。きっと別の奴のことを指しているのだろう。

「へー、その子可愛いの?」
「はい。めっちゃ美人ですよ。……町田さん、彼女さんいますよね?」

 なぜお前が彼女のことを認知していないのか、と再び視線を送られたが、俺はそれに気付かないフリをした。

「さ、そ、ど、どうだろうなぁ」

 動揺を悟られないよう、平然を装いながらキーボードを打ち続ける。が、後輩な言葉で再び手が止まってしまった。

「冬街って言えばわかるって言ってました」

 ドクンッ、と心臓が大きく跳ね上がる。

 冬街……冬街と聞いて思い浮かぶ人物は1人しかいない。

 嘘だろ。どうしてあいつがここに来るんだよ。

 混乱する俺の頭はパニック状態に陥っていたが、ふと今日の昼ごろの出来事を思い出した。

『迎えに行く』

 確かにそう言っていた。

「……町田さん」
「なんだ」
「彼女のもとへ行ってあげてください。俺たちは大丈夫なので」
「えっ」
「早くしないと帰ってしまうかもしれませんよ」
「でも……」
「ほら、早く早く」
「……」

 急かすような言葉とは裏腹に、後輩たちの表情はとても優しかった。

 小走りになりながら、エレベーターに乗り込む。

 扉が閉まる直前、「頑張ってください!」という言葉と共に後輩たちが手を振ってくれたので、俺は小さく振り返すと、待ち侘びているであろう冬街のもとへと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

弟の可愛さに気づくまで

Sara
BL
弟に夜這いされて戸惑いながらも何だかんだ受け入れていくお兄ちゃん❤︎が描きたくて…

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...