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限界サラリーマンのおじさんは女装した銀髪の歳下に❤︎される
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もくもくと残業をこなしていた俺は、ふと疑問に思ったことを口にした。
「なあ、さっきの話だけどさ」
「さっきの?」
「俺に彼女がいるって話」
「ああ、それですか」
「どんな子なの?」
なぜお前が認知していないのか、というふうな顔を向けられたが、そこはスルーして話を続ける。
「えっとですね……肩ぐらいまで伸びた黒髪に膝丈ぐらいのスカートに、ああ、あとは白シャツでした」
カタカタと手を動かしていたが、俺はピタリと動きを止めてしまった。
まさか、と思ったが、そんなはずがないと思い直す。俺なんかのために冬街はここまでしない。きっと別の奴のことを指しているのだろう。
「へー、その子可愛いの?」
「はい。めっちゃ美人ですよ。……町田さん、彼女さんいますよね?」
なぜお前が彼女のことを認知していないのか、と再び視線を送られたが、俺はそれに気付かないフリをした。
「さ、そ、ど、どうだろうなぁ」
動揺を悟られないよう、平然を装いながらキーボードを打ち続ける。が、後輩な言葉で再び手が止まってしまった。
「冬街って言えばわかるって言ってました」
ドクンッ、と心臓が大きく跳ね上がる。
冬街……冬街と聞いて思い浮かぶ人物は1人しかいない。
嘘だろ。どうしてあいつがここに来るんだよ。
混乱する俺の頭はパニック状態に陥っていたが、ふと今日の昼ごろの出来事を思い出した。
『迎えに行く』
確かにそう言っていた。
「……町田さん」
「なんだ」
「彼女のもとへ行ってあげてください。俺たちは大丈夫なので」
「えっ」
「早くしないと帰ってしまうかもしれませんよ」
「でも……」
「ほら、早く早く」
「……」
急かすような言葉とは裏腹に、後輩たちの表情はとても優しかった。
小走りになりながら、エレベーターに乗り込む。
扉が閉まる直前、「頑張ってください!」という言葉と共に後輩たちが手を振ってくれたので、俺は小さく振り返すと、待ち侘びているであろう冬街のもとへと向かった。
「なあ、さっきの話だけどさ」
「さっきの?」
「俺に彼女がいるって話」
「ああ、それですか」
「どんな子なの?」
なぜお前が認知していないのか、というふうな顔を向けられたが、そこはスルーして話を続ける。
「えっとですね……肩ぐらいまで伸びた黒髪に膝丈ぐらいのスカートに、ああ、あとは白シャツでした」
カタカタと手を動かしていたが、俺はピタリと動きを止めてしまった。
まさか、と思ったが、そんなはずがないと思い直す。俺なんかのために冬街はここまでしない。きっと別の奴のことを指しているのだろう。
「へー、その子可愛いの?」
「はい。めっちゃ美人ですよ。……町田さん、彼女さんいますよね?」
なぜお前が彼女のことを認知していないのか、と再び視線を送られたが、俺はそれに気付かないフリをした。
「さ、そ、ど、どうだろうなぁ」
動揺を悟られないよう、平然を装いながらキーボードを打ち続ける。が、後輩な言葉で再び手が止まってしまった。
「冬街って言えばわかるって言ってました」
ドクンッ、と心臓が大きく跳ね上がる。
冬街……冬街と聞いて思い浮かぶ人物は1人しかいない。
嘘だろ。どうしてあいつがここに来るんだよ。
混乱する俺の頭はパニック状態に陥っていたが、ふと今日の昼ごろの出来事を思い出した。
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「えっ」
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「でも……」
「ほら、早く早く」
「……」
急かすような言葉とは裏腹に、後輩たちの表情はとても優しかった。
小走りになりながら、エレベーターに乗り込む。
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