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一晩目2
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夕暮れから体感で二時間ほど経っていた。ベッドに横たわり天井を見上げながら窓から入り込んでくる街灯の光をただ見ていた。
空腹を感じたため体を起こす。ベッドのすぐ横に置かれている芳樹から貰ったビニール袋の中を弄る。
中から弁当を取り出して近くに置かれいる電気ランプのスイッチを押した。
ランプは明るく光った。かなり強いその光に眩しさを感じ一瞬視界がぼやける。
目を擦りながらベッドに腰掛け膝の上に弁当を置いた。
割り箸を割り唐揚げを口に放り込む。冷めた油としょっぱさ、パサついた鶏肉が口を満たす。白米を入れると丁度よく中和された。
腹が減っていた事もあり箸を動かす右手と咀嚼し飲み込む口は止まらなかった。
これだけ異常な状況でも空腹は感じるし飯は美味い。
むしろこんな状況だからこそ体は生を渇望しているのかもしれない。
気づけば弁当は空になっていた。それを同じゴミ袋に入れ袋の取手を縛る。
そのままベッドに横になる。ランプの光が周囲の物の影を天井に映し出していた。
目を閉じる。このまま眠るつもりだった。
芳樹は許可を取ったと言っていたし明かりがついていても問題は無いだろう。
暗闇に戻す勇気はもう無かった。
頭に浮かぶのは夕方の扉。ドアノブは確かに動いていたように見えた。
本当にただの見間違いなのだろうか。
やめよう。考えるだけ無駄だ。
考えるなら楽しい事にしよう。
金が入ったら何をしようか。とりあえず焼肉に寿司だ。それから飲みに行っても良いだろう。それから……
音が聞こえた。何かをゆっくり打ち付けるようなそんな音だった。
楽しい想像は一瞬にして吹き飛び全神経が耳に集まる。
ペタ、と音がした。全身に鳥肌が立った。
その音はだんだん大きくなって行く。
ペタ、ペタ、ペタ。
次第にその音の終わりに何かをするような音も出ている事がわかった。
なんの音かわかってしまった。それは足音なのだ。床に足が触れる音と擦る音。
そしてそれは近づいてきている。
体は硬直していた。逃げる事も戦う事も頭に浮かんだがただドアを見る事しか出来ない。
足音はドアの前まで来てピタリと止まったか体は固まったままだ。
何かが起こりそうな空気だったが特段何も起こらなかった。
時間だけが過ぎていき音は自分が恐怖心から作り出した幻覚なのではないかとすら思えてきた頃には意識を失っていた。
空腹を感じたため体を起こす。ベッドのすぐ横に置かれている芳樹から貰ったビニール袋の中を弄る。
中から弁当を取り出して近くに置かれいる電気ランプのスイッチを押した。
ランプは明るく光った。かなり強いその光に眩しさを感じ一瞬視界がぼやける。
目を擦りながらベッドに腰掛け膝の上に弁当を置いた。
割り箸を割り唐揚げを口に放り込む。冷めた油としょっぱさ、パサついた鶏肉が口を満たす。白米を入れると丁度よく中和された。
腹が減っていた事もあり箸を動かす右手と咀嚼し飲み込む口は止まらなかった。
これだけ異常な状況でも空腹は感じるし飯は美味い。
むしろこんな状況だからこそ体は生を渇望しているのかもしれない。
気づけば弁当は空になっていた。それを同じゴミ袋に入れ袋の取手を縛る。
そのままベッドに横になる。ランプの光が周囲の物の影を天井に映し出していた。
目を閉じる。このまま眠るつもりだった。
芳樹は許可を取ったと言っていたし明かりがついていても問題は無いだろう。
暗闇に戻す勇気はもう無かった。
頭に浮かぶのは夕方の扉。ドアノブは確かに動いていたように見えた。
本当にただの見間違いなのだろうか。
やめよう。考えるだけ無駄だ。
考えるなら楽しい事にしよう。
金が入ったら何をしようか。とりあえず焼肉に寿司だ。それから飲みに行っても良いだろう。それから……
音が聞こえた。何かをゆっくり打ち付けるようなそんな音だった。
楽しい想像は一瞬にして吹き飛び全神経が耳に集まる。
ペタ、と音がした。全身に鳥肌が立った。
その音はだんだん大きくなって行く。
ペタ、ペタ、ペタ。
次第にその音の終わりに何かをするような音も出ている事がわかった。
なんの音かわかってしまった。それは足音なのだ。床に足が触れる音と擦る音。
そしてそれは近づいてきている。
体は硬直していた。逃げる事も戦う事も頭に浮かんだがただドアを見る事しか出来ない。
足音はドアの前まで来てピタリと止まったか体は固まったままだ。
何かが起こりそうな空気だったが特段何も起こらなかった。
時間だけが過ぎていき音は自分が恐怖心から作り出した幻覚なのではないかとすら思えてきた頃には意識を失っていた。
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